経営が難航する理由に資金不足が挙げられますが、その要因として本業不調による運転資金が不足するケースが考えられます。
そして反対に本業が好調なのに運転資金が不足するケースもあるのは、企業がまだ成長過程にあることで設備投資が必要であることが理由です。
本業が不調で運転資金が不足する状況とは?
本業がうまくいかずに運転資金が不足するのは、キャッシュフロー計算書では営業キャッシュフローがマイナスの状態の時です。
これは資金が流出していることをあらわしており、一時的なものであれば内部留保を充てることで対応することも可能でしょう。
しかし長期的に継続してしまうと資金繰りを圧迫することになり倒産という結果を招く可能性も否定できません。
好調なのに運転資金が不足してしまうケースとは
例えば新たに事業を開始する場合や新規に取引先を獲得した場合など、急激に取引量が増え仕入代金の支払いと売掛金入金の時期のタイミングが合わず運転資金が不足することもあります。
損益計算書上の営業利益はプラスで、キャッシュフロー計算書も年間を通して見た場合にはプラスになるにもかかわらず、一時的に資金が足らなくなるなど資金繰りを困難にする可能性があります。
設備投資による資金不足
設備投資を行うとキャッシュフロー計算書の投資キャッシュフローはマイナスをあらわします。
そのため資金が減ることになりますが、資金の支払いがフリーキャッシュフローを超えて継続的に発生すると、営業キャッシュフローがプラスだとしても資金繰りがショートする可能性もあります。
企業が成長過程にある場合の資金不足
企業がまだ成長過程の段階である場合、売上が右肩上がりに増加して営業利益も増加するでしょう。
代金の回収遅れがなければキャッシュフロー計算書の営業キャッシュフローはプラスをあらわします。
しかし売上は増えて規模も拡大できているという状況であるのに対応できる支払準備資金など運転資金の確保ができていなければ、売上が増加するに従って売掛金や在庫も増加し、結果として資金繰りを圧迫することになるでしょう。
キャッシュフローをしっかり把握しておくこと
赤字企業が倒産せず、黒字企業が倒産してしまうといった現象は、キャッシュフローの悪化です。
損益計算書が黒字だからと安心していれば、突然倒産の危機に追い込まれる可能性があります。
キャッシュフローを正確に把握し、現金が不足しないような経営努力と万一不足した場合に備えた対策を行いましょう。
そのためにもキャッシュフロー計算書を活用し、代金の支払いは先延ばし、売上の回収は早くできるようにしていくことが必要です。