金融リテラシーとは?身に付けておきたいお金に関する知識について解説

日々の生活において、モノやサービスを買ったりお金を借りたり、商売でモノを売った代金を受け取ったり勤務先から給料が支払われたりなど、いろいろな形でお金とかかわっています。

金融リテラシーとは、お金やキャッシュの流れに関する知識や判断力のことであり、経済的に自立し社会で生きていくためには欠かせないことといえます。

そこで、金融リテラシーとは何か、最低限身に付けておきたいお金に関する知識について解説していきます。

金融リテラシーとは

「金融リテラシー」とは、経済や金融に関する知識や判断力のことであり、生活基盤を持ち生活するために必要なことです。

お金との付き合い方や管理、適切な判断力が身についていなければ、社会で生きていくことが困難になるからといえます。

金融経済教育研究会では、「最低限身に付けるべき金融リテラシー」として分野を次の4つに分け、全部で15項目に分類し上げて挙げています。

  1. 家計分野
  2. 生活設計
  3. 金融と経済の基礎知識・金融商品を選ぶスキル
  4. 外部知見の適切な活用

それぞれの分野について、項目ごとに説明していきます。

家計管理

1つ目は、適切な収支管理を習慣にすることです。

家計のやりくりは、最も基本的な金融リテラシーの1つとして挙げられるのが家計のやりくりですが、収支バランスを考え家計を黒字にすることが必要です。

赤字が続いていれば無駄な出費を抑えるなど支出を削減し、節約してお金が手元に残るような習慣を身につけましょう。

生活設計

2つ目はライフプランを明確にすることです。

人生設計は人それぞれですが、たとえばマイホーム購入や子どもの大学進学、安定した老後などいずれもお金がなければできません。

必要な資金を確保するためには、目標を立てて計画的に準備していくことが必要となります。

失業や病気を抱えたことで計画どおりに準備ができなくなる可能性もありますが、このような場合でも軌道修正することが求められます。

金融と経済の基礎知識・金融商品を選ぶスキル

資産形成とリスク管理において、金融商品を選ぶ能力も重要です。

そこで、3つ目は金融商品の契約をするときには、契約書をよく読み取引相手・日付・金額・支払い条件などの記載の確認や、不明点の確認などを習慣にすることが求められます。

同じく4つ目として、契約相手や情報の入手先が信頼できるか確認すること、5つ目としてインターネット取引のメリットとデメリットの理解も必要となります。

さらに金融分野に共通していえることですが、6つ目として金融と経済の基礎知識(金利・インフレ・デフレ・為替・リスク・リターンなど)や金融経済の情勢に応じてどの金融商品がよいか理解することも必要です。

さらに7つ目として、取引するときの価格や手数料も必ず確認しましょう。

保険商品も金融商品に含まれますが、8つ目に何を保険でカバーしたいのか考え、9つ目にカバーすることになった場合に必要な金額を考えることも必要です。

さらに10個目として、住宅ローンを利用するときの留意点の理解や、11個目に無理のない借入限度額と返済計画の設定や返済が難しくなる事態に備えることなども求められます。

無計画・無謀なローンやクレジットの利用を行わないことを習慣にするようにしてください。

資産形成に向けた金融商品においては、12個目に高リターンを期待するときには高リスクが伴うことを理解しておくこと、13個目としてリスク分散の効果の理解、14個目には長期運用効果を理解も必要です。

外部知見の適切な活用

最後に、金融商品の利用においては、適切に外部の知見を利用する必要性についても理解しておくことが必要となります。

金融リテラシーを身に付けておくべき理由

社会で生きていく上で欠かせない「金融リテラシー」ですが、身につけるために行うのが金融経済教育です。

自らが学び・考え・判断・行動することで、問題解決できる資質や能力をつけることは、生きる力を身につけることともいえます。

金融リテラシーを身につけ向上させることで、誰もが経済的に自立し良い暮らしができるようになります。

さらに身につけておくべき理由を詳しく説明すると、次の つに分けることができます。

  1. 生活スキルを高めることができる
  2. 健全な金融商品・金融サービス普及につながる
  3. 経済的に自立できる

それぞれ説明していきます。

生活スキルを高めることができる

貯蓄・資産運用・保険加入・住宅ローンなど、いろいろな金融商品がありますが、経済的に自立し暮らしを豊かにするためには、まず無駄な支出を抑えて収支の改善することが必要です。

その上で、将来に備えた生活設計を可能とする金融商品を適切に利用することが求められます。

そのためにも金融全般の基礎を知り、金融商品や金融サービスの特性を理解できるように情報収集を行いましょう。

得た知識や情報から、適切に判断する能力を身につければ、生活スキル自体がアップします。

健全な金融商品・金融サービス普及につながる

多種多様な金融商品や金融サービスが提供されていますが、仕組みや特徴だけでなくリスクについても正確に理解しておかなければなりません。

商品を選別する目を養うことができれば競争を促すことにつながり、質の高い商品やサービスを生むことになります。

金融商品や金融サービスの質を向上させるためにも、厳しい商品選択ができる知識や能力を身につけていきましょう。

経済的に自立できる

人生設計に合わせた家計のやりくりや管理が合理的にできるようになれば、経済的に自立することにつながります。

ライフイベントごとに必要となる資金を効率的に準備するためにも、貯蓄以外に収入を増やしたり節約したりなどの行動を続けることが必要です。

金融リテラシーに基づいた合理的な判断が可能となることで、お金に対するストレスを抱えず生活を送ることができます。

金融リテラシーが役立つ場面

金融リテラシーが役に立つ場面は身近な場所にたくさんあります。

銀行にお金を預けたり加入する保険を選んだり、いつどのような場面でどのくらいお金が必要になるか、そのための準備としてできることなど情報を収集した上で判断することが求められます。

2022年に金融広報中央委員会が実施した「金融リテラシー調査2022」では、金融リテラシーが高い方ほど適切な行動ができるとされています。

この調査結果から、金融リテラシーの高い方は次の特徴があることも確認できます。

  • 金融トラブルが少ない
  • 消費者ローンの利用が少ない
  • 借入負担感が低い
  • 経済ショックに対する耐性が強い
  • リスク性資産に多く投資している

この結果を見ても、生活する上で金融リテラシーが欠かせないスキルであることは明確です。

中には嘘の投資話や悪質商法・詐欺などを持ち掛けてくるケースもありますが、そのようなトラブルを避けて安心した生活を送るためにも、金融リテラシーを学ぶ金融経済教育が必要といえるでしょう。

年齢別の金融リテラシーの学び方

金融リテラシーは誰もが最低限身につけておきたい知識や能力といえますが、次の年齢別に学び方を説明していきます。

  1. 小学生
  2. 中学生
  3. 高校生
  4. 大学生
  5. 若年社会人
  6. 一般社会人
  7. 高齢者

それぞれの教育内容を理解しておきましょう。

小学生

小学生の場合、親や親戚からもらう小遣いやお年玉、おつかいや手伝いなどを通じて、お金に関わる知識や経験を身に付けていきます。

たとえばおこづかい帳をつけることや、店での商品の選び方や買い物の工夫、計画的に貯蓄する習慣を身につけることで学ぶことができます。

中学生

中学生の場合も、親や親戚から貰った小遣いを管理することや買い物などの行動は小学生と同じですが、それらの金額や経験も増えるためより家計や生活設計について理解し、自立に向けた基本的な力を養っていくことが必要です。

たとえば職業体験などを通じ、勤労に対する実感や将来の職業について考え、そのための情報を収集することなどで学ぶことができるでしょう。

高校生

高校生になると、生活設計の重要性や社会的な責任について理解を深め、社会人として自立する基礎的な能力を養っていくことが必要です。

長期でお金を管理してく大切さを理解し、進路の選択などを通じて意思決定の重要性に対する理解を深めていきましょう。

大学生

大学生の場合、卒業後は社会人として自立できる能力を確立させることが必要です。

遠方の大学に通っている大学生は、親からの仕送りなどの収入やかかる学費・生活費など収取を管理し、クレジットカードなど利用するときには借金であることの理解や支払いできる範囲での利用や管理が必要となります。

卒業後にはどのような仕事に就くのか、職業選択に必要な能力を取得し、金融商品の仕組みやリスク・リターンについても理解を深めておきましょう。。

若年社会人

社会に出れば生活・経済面で自立することになります。

勤務先から受け取る給与からお金を貯蓄する行動を定着させ、手取り額や生活にかかる支出を把握し、必要に応じて民間の保険や年金への加入なども検討していきましょう。

さらに将来的なキャリア計画や自己啓発も行い、金融商品の性質を理解した上で運用できる知識を身につけていきます。

一般社会人

マイホーム購入や子どもの大学進学など、人生設計における知識やノウハウを習得し、お金の管理を行っていきましょう。

病気や自然災害など不測の事態も想定し、保険への加入や貯蓄などを適切に行うことも必要です。

黒字を確保できるような貯蓄や投資を通じた資産形成を実現させていきます。

高齢者

定年を迎え、長年勤務した会社を退職した後はいよいよ年金生活に突入します。

年金受給の範囲で支出を賄えるライフスタイルへと生活を切り替え、先々判断力や理解力が衰えたときのお金の管理や運用についても準備を行っていくことが必要です。

まとめ

金融リテラシーとは、日々の家計管理・資産形成・保険加入・金融取引・借入れなど、お金と上手っく付き合うため必要になる知識や判断力です。

経済的に自立し、より良い暮らしを送るためには欠かすことのできない生活スキルであり、誰もが金融リテラシーを身につければ健全で高い質の金融商品が供給されるようになります。

その結果、国の家計金融資産が有効活用されるようになるため、金融・経済に対しての知識を正しく理解し学んでいきましょう。