銀行融資の審査期間は?目安や手続の流れ・短くするポイントを解説

銀行融資で資金を調達する際、審査期間はどのくらいなのか、手元のお金が増えるまでの時間が知りたいという方も少なくありません。

借入れできるのか、銀行融資でどのくらいの金額を貸してもらえるのか、お金を必要とするタイミングに遅れないためにも目安となる審査期間を把握しておくことは大切なことです。

そこで、銀行融資の審査期間について、結果がわかるまでの目安や手続の流れ、資金調達までの時間を短くするポイントを解説していきます。

銀行融資の審査期間の目安

銀行融資の審査期間は、どの金融商品を利用するかによって目安が変わってきます。

金融商品ごとに特徴や審査期間は異なるものの、民間の銀行からお金を借りることは簡単なことではありません。

また、民間銀行にも都市銀行・地方銀行・信用金庫など種類があり、借入れの難易度やかかる時間も異なります。

いずれの銀行融資でも民間からの借入れであるため、政府系金融機関からお金を借りるよりは審査の難易度は高いといえますが、主な銀行融資として次の4つの種類が挙げられます。

  1. プロパー融資
  2. 信用保証付き融資
  3. 自治体の制度融資
  4. ビジネスローン

それぞれの審査期間の目安について説明していきます。

プロパー融資

プロパー融資は、銀行融資の中うち、100%銀行の責任で顧客に直接貸し付けを行う金融商品です。

信用保証協会など第三者機関が介入しないため、担当者の稟議起案と上司による審査を経て、決裁者が最終的に判断します。

そのため比較的スムーズに手続が進むと考えられますが、担保なしでのプロパー融資の審査期間は、申し込みから融資実行まで2~3週程度が目安です。

担保を差し入れてプロパー融資を申し込む場合には、担保に対する評価が必要となる時間が加算されるため、融資実行まで4週間程度を目安にしておきましょう。

信用保証付き融資

信用保証付き融資は、信用保証協会の保証を受けた上で銀行など金融機関から融資を受ける制度です。

まずは信用保証協会の審査を受けてから銀行の審査に進む流れとなりますが、担保の差し入れなしで融資を受けるのなら2~3週間程度が目安となります。

担保を差し入れる際には担保に対する評価なども必要となるため、さらに1週間程度は審査期間が延びると考えておきましょう。

自治体の制度融資

地方自治体の制度融資は、信用保証付き融資の審査よりも前に自治体の確認作業が行われます。

自治体・信用保証協会・銀行と3つの機関が協力して資金を貸し付けることになるため、申し込みから審査まで2か月程度が目安です。

申込書に記載された内容を調査したり現地確認したり、さらに中小企業診断士など専門家と事前面談が必要なケースもあるため、地域の自治体などによって審査期間は長くなる傾向が見られます。

ビジネスローン

ビジネスローンとは、通常の銀行融資を受けにくい個人事業主や小規模事業者などでも事業資金を借りることができるように、簡易な審査で借入れ可能とする金融商品です。

消費者金融が提供するビジネスローンでは即日融資可能としているケースが多いものの、銀行では1~2週間かかります。

審査については、消費者金融と銀行のどちらも原則、スコアリング方式で自動的に行われるため、通常の銀行融資より審査期間は短めです。

ただ、銀行系のローン商品については、申込者が反社会勢力と取引していないか、1営業日以上の時間をかけて警察庁の暴力団情報データベースに情報照会するため、その分時間がかかります。

さらにビジネスローンはプロパー融資などよりも金利が高く設定されるため、一時的な資金調達に留めておかなければ資金繰りを悪化させる要因となります。

銀行融資の審査の流れ

銀行融資の審査期間は、選ぶ金融機関や金融商品によって異なるものの、最短で1週間程度であり長ければ1か月以上かかります。

審査に時間がかかるのは、申し込みから融資実行まで次の6つのステップで手続が進められるからです。

  1. 申し込み
  2. 必要書類提出
  3. 面談
  4. 審査
  5. 審査結果の通知
  6. 融資実行

一般的な銀行融資の流れを例に、それぞれ説明していきます。

申し込み

銀行融資を受けるときには、まず取引する銀行に申し込むことが必要です。

直接銀行を訪問するか、普段から付き合いのある銀行担当者に相談するか選ぶことになりますが、担当者がいるのなら相談してみることをおすすめします。

資金調達しなければならないタイミングからさかのぼって、2か月前には申し込むようにしましょう。

必要書類提出

銀行融資を申し込んだ後は、審査に必要となる書類を提出することが必要です。

主な必要書類として、以下の書類が挙げられます。

  • 決算書
  • 試算表
  • 事業計画書
  • 資金繰り表
  • 本人確認書類

他にも提出を求められた書類はすみやかに準備し、スムーズに審査が行われるように心がけましょう。

書類漏れや不備が多ければ、その分、審査が進まなくなるだけでなく銀行や担当者からの印象を悪化させます。

銀行融資に必要な書類は?申し込みから融資実行まで流れを解説

面談

必要書類を提出した後は、担当者との面談が行われます。

書面上では確認できない部分を見極めるために実施されますが、面談以外に訪問されることもあります。

人柄・将来的なビジョンなども確認するための質問もされるため、次の項目についてスムーズに回答できるようにしておくとよいでしょう。

  • 創業・事業を始めた動機
  • 事業内容
  • 事業計画・資金繰り計画について
  • 事業が不調になったときの対策
  • 自己資金の用意

他にも質問される可能性はあるため、何をきかれても正直に、スムーズにこたえることができるように事前準備が大切です。

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審査

面談が終わった後は、提出した必要書類と面談によるヒアリングをもとに審査が行われます。

銀行融資の審査で審議される内容として、融資可否や融資額、融資可能とする場合には設定する金利や返済期間などです。

審査期間はどの金融商品を選ぶかなどによって異なるものの、特に条件が厳しいときや借入れ希望額が大きい場合には、本店での決裁が必要となるため審査結果まで時間がかかります。

なお、信用保証付き融資は審査期間がもっとも長めの傾向ですが、仮に信用保証協会の審査に通ったとしても、銀行の審査に必ず通るわけではありません。

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審査結果の通知

審査完了後は、担当者から結果について連絡が入り、借用証書が郵送されます。

プロパー融資や信用保証協会付き融資では、審査結果が電話またはメールで行われます。

信用保証付き融資の場合、信用保証協会が発行する信用保証書が郵送で届き、正式に保証承諾・審査通過となります。

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融資実行

銀行融資の審査を無事に通過した後は、銀行と契約書を交わして融資が実行されます。

融資が決定後に契約締結できても、実際に借入れたお金が入金されるまで1か月程度かかります。

ただし2回目以降の銀行融資であれば審査もある程度スムーズに進むため、審査完了後に1〜2週間程度で入金される場合もあるといえるでしょう。

忘れてはいけないことは、融資実行後には銀行融資の返済もスタートすることです。

借りたお金は当初の資金使途に使用し、返済資金を捻出できる事業運営と返済計画に沿って遅れず返すことが求められます。

据置期間を設けてもらえる場合もありますが、この場合には一定期間、利子のみ支払い元金返済は発生しません。

据置期間を長く設けることができるほど返済負担が軽減されるため、今後の返済計画を踏まえた上で設定できるか相談してみましょう。

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銀行融資の審査期間を短くするためのポイント

銀行融資の審査時間を短くするためには、審査を円滑に進めることができるような準備が必要です。

ポイントとして、次の5つを準備した上で申し込むようにするとよいでしょう。

  • 銀行と日頃から良好な関係を築いておく
  • 銀行からの企業格付けを高めておく
  • 融資額と資金使途を明確にしておく
  • 説得力のある事業計画書を作成する
  • 銀行担当者の質問にこたえる準備をしておく

お金を貸しても遅れず返済してもらえると銀行から認めてもらわなければ銀行融資を受けることはできません。

そのため銀行とは日頃から良好な関係を築き、企業格付けなども高めておくことが必要です。

また、銀行融資によりどのくらいの金額を調達したいのか、何に使うのか明確にしておくことを示すための事業計画書作成は欠かせません。

金融商品によって事業計画書は不要な場合もあるものの、今後の事業運営のために作成しておくことをおすすめします。

銀行担当者との面談においても事業計画書を見ただけでは確認できない内容について質問される可能性があるため、記載した数値などに対し説得力を持って説明できる資料など添付の上、説明できる準備をしておくことも必要です。

まとめ

銀行融資による資金調達においては、審査期間がどのくらいかかるのか気になるものですが、申し込み後にすぐ融資実行されるわけではありません。

金融商品によっては多岐に渡る必要書類の準備と提出が必要となり、審査など様々な手続を経た上で借入れ可能となります。

そのため銀行融資で資金を調達するときには、資金繰り管理を安定させることや早めの銀行への相談が望まれます。

また、銀行融資による資金調達までの間、仕入代金や固定費・税金の支払いなどに充てるお金が足らなくなることも予想されます。

その際には、保有する売掛債権を早期に資金化できるファクタリングによる資金調達など活用し、つなぎ資金を準備してはいかがでしょう。

銀行融資によるつなぎ資金はもちろんのこと、様々なニーズに対応できるファクタリングの検討をおすすめします。