中小企業におすすめの補助金・助成金一覧|各支援内容をわかりやすく解説

中小企業の資金調達の方法に補助金や助成金は欠かせないといえますが、申請すればだれでも受け取ることができるわけではありません。

助成金は一定要件を満たせばほとんど支給されるのに対し、補助金に至っては審査を経て採択されなければ支給されません。

中小企業が支援制度を活用して資金調達したいと考えるのなら事前の準備も必要です。

返還不要な資金を調達できる頼りになる手段といえる反面、どの制度を利用するのか、目的に応じた制度を選ぶことも重要となります。

そこで、中小企業におすすめの補助金や助成金にはどのような制度があるのか、それぞれの支援内容について解説します。

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助成金とは

「助成金」は、国の政策に沿って労働環境改善などに取り組んでいる事業者に対し、支給されるお金であり、原則返還する必要はありません。

働き方改革推進などで労働者が働きやすいと感じることのできる環境整備が求められているため、雇用維持や促進に向けた様々な制度が用意されています。

ただ、雇用を目的とした助成金の場合、事業運営でかかった費用ではなく、人材雇用や能力開発で必要になった経費が支援の対象になります。

補助金とは

「補助金」も国の政策目標に沿って事業を運営する事業者に対し支給されますが、主に新規事業や起業促進、研究開発などで必要な費用を支援する制度です。

要件を満たす場合には申請したい制度である一方、助成金は通年応募であるのに対し、補助金は1週間から1か月など特定期間のみの公募に限定されています。

さらに助成金は要件を満たせばほとんど支給されるのに対し、補助金は審査を経て採択されなければ支給されることはありません。

中小企業向け補助金の種類

中小企業が補助金を活用することで、事業に必要な資金を調達することができます。

資金調達する目的によってどの制度を活用するか異なりますが、中小企業向けの主な補助金は次の6つです。

  1. 事業再構築補助金
  2. IT導入補助金
  3. ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

それぞれどのような制度か説明していきます。

事業再構築補助金

事業再構築補助金」は、事業者が経済社会変化に対応するための制度であり、新分野展開や業態転換、事業・業種転換など思い切って事業を再構築する事業者を対象とした支援制度です。

複数の枠が設けられており、補助金額や補助率などはそれぞれ異なります。

IT導入補助金

IT導入補助金」とは、中小企業などが働き方改革促進・労働環境改善・生産性向上などに向けてIT機器などを導入する際に活用できる制度です。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」では、中小企業や小規模事業者などが革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセス改善・生産性向上に向けて設備投資する際に補助金が支給されます。

複数の枠に分かれており対象者・補助金額・補助率はそれぞれ異なります。

中小企業向け助成金の種類

雇用や人材育成に向けて取り組む中小企業は、厚生労働省の助成金を活用することで資金が足らず人を雇用や育成ができないことに悩むことがなくなります。

中小企業向けの厚生労働所の助成金は以下の7つです。

  1. キャリアアップ助成金
  2. トライアル雇用助成金
  3. 人材確保等支援助成金
  4. 人材開発支援助成金
  5. 両立支援等助成金
  6. 地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)
  7. 創業助成事業(東京都)

それぞれの助成金について説明していきます。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金」とは、有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者などの非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善へ取り組む事業者を助成する制度です。

いくつかコースがありますが、たとえば中小企業が「正社員化コース」を申請した場合、受け取ることができる金額は以下のとおりです。

有期雇用非正規労働者を正社員にした場合 57万円
有期雇用非正規労働者を正社員にし、生産性向上要件を満たす場 72万円
無期雇用非正規労働者を正社員にした場合 28万5,000円
無期雇用非正規労働者を正社員にし、生産性向上要件を満たす場合 36万円

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金」とは、就職困難に陥っている求職者を無期雇用契約へ移行することを前提に一定期間試行雇用する事業者を助成する制度で、求職対象者に応じたコースの申請が可能です。

助成額 支給対象者1人につき月額4万円

人材確保等支援助成金

人材確保等支援助成金」とは、魅力ある職場づくりに向けて取り組む事業者などを支援する制度で、中小企業向けの人材確保等支援助成金は次の3つです。

  1. 中小企業団体助成コース
  2. 外国人労働者就労環境整備助成コース
  3. テレワークコース

それぞれ説明します。

中小企業団体助成コース

中小企業団体助成コース」は、改善計画の認定を受けた中小企業団体(事業協同組合)などが、構成中小企業者の人材確保や職場定着を支援する事業を行ったとき助成する制度です。

助成額 1年間の中小企業労働環境向上事業の実施にかかった経費の3分の2の額
支給限度額 大規模認定組合等(構成中小企業者数500以上) 1,000万円
中規模認定組合等(同100以上500未満) 800万円
小規模認定組合等(同100未満) 600万円

外国人労働者就労環境整備助成コース

外国人労働者就労環境整備助成コース」は、外国人労働者の職場定着に取り組む事業者を助成する制度です。

対象事業者 以下の要件を満たす事業者
・外国人労働者に対する就労環境整備措置を新しく導入し、外国人労働者全員に対し実施する
・就労環境整備計画期間終了後の一定期間経過後、外国人労働者の離職率が10%以下である など
支給上限額 支給対象経費の2分の1(上限57万円)・生産性要件を満たした場合は3分の2(上限72万円)
要件 就労環境整備措置(雇用労務責任者の選任・就業規則等の社内規程の多言語化など)の導入や実施・離職率目標の達成など

テレワークコース

テレワークコース」は、質のよいテレワークを制度導入・実施し人材確保や雇用管理改善に取り組む中小企業事業者を助成する制度です。

対象となる経費は最大6か月分の合計77万円までで、さらに賃金要件(賃上げ加算)を満たしたときには、目標達成助成の助成率が割り増しで支給されます。

助成金額 機器等導入助成:1企業あたり支給対象となる経費の30%
目標達成助成:企業あたり支給対象となる経費の20%(賃金要件を満たす場合35%)
要件 機器等導入助成:評価期間(機器等導入助成)において1回以上テレワーク実施対象労働者全員がテレワークを実施 など
目標達成助成:評価時離職率が計画時離職率以下であること など

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金」とは、事業主が労働者に職務関連の専門的知識・技能を習得させることを目的とした職業訓練を実施したとき、かかった訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度で以下の4つのコースが設けられています。

  1. 人材育成支援コース
  2. 教育訓練休暇等付与コース
  3. 人への投資促進コース
  4. 事業展開等リスキリング支援コース

それぞれの人材開発支援助成金について説明します。

人材育成支援コース

人材育成支援コース」は、職務に関連した知識や技能を習得させる訓練を実施した際の費用を助成する制度です。

助成対象となる経費 部外講師の謝金・旅費・施設・設備の借上げ費・カリキュラム開発作成の外部委託費・社会保険労務士の手数料・外部教育訓練施設の受講料・教科書代など
受給条件 セミナー受講が10時間以上
助成額 受講費用の45%+賃金助成380円/時間
限度額 20時間以上100時間未満:15万円
100時間以上200時間未満:30万円

教育訓練休暇等付与コース

教育訓練休暇等付与コース」は、導入した教育訓練休暇制度を利用し、労働者が自発的に訓練を受けた際、事業者を助成する制度です。

3年間に5日以上の取得が可能な有給の教育訓練休暇を導入し、実際に適用した事業者へ制度導入に対して30万円が支給されます。

人への投資促進コース

人への投資促進コース」は、デジタル人材・高度人材育成訓練などを対象とした訓練などを実施した事業主を助成する制度です。

かかった訓練経費や訓練期間中の賃金の一部、制度導入の経費を助成します。

事業展開等リスキリング支援コース

事業展開等リスキリング支援コース」は、新規事業立ち上げや事業展開に伴って新たな分野の知識・技能習得に向けた訓練を実施した事業者を助成する制度です。

経費助成率 中小企業の場合:75% 大企業の場合:60%
賃金助成額 中小企業1人1時間あたり960円 大企業1人1時間あたり480円
※経費助成限度額・賃金助成限度額あり。1事業所が1年度に受給できる助成額は1億円

両立支援等助成金

「両立支援等助成金」とは、仕事と育児・介護を両立できる制度の導入や、女性が活躍しやすい環境づくりなどを行う事業者を支援する制度で、複数のコースに分かれています。

  1. 出生時両立支援コース
  2. 介護離職防止支援コース
  3. 育児休業等支援コース
  4. 不妊治療両立支援コース

なお、上記の助成金は事業所単位ではなく事業主単位で支給されます。

申請は本社など人事労務管理機能を有する部署の属する事業所が行うことが必要です。

それぞれ説明します。

出生時両立支援コース

出生時両立支援コース」は、男性労働者の育児休業取得を可能とする雇用環境整備や業務体制整備を行う事業者を支援する制度です。

対象事業者 育児・介護休業法による雇用環境整備を行い、男性社員に子が生まれて8週間以内に5日以上の育児休業を取得することができる中小企業
助成金額 20万円(1事業主1回限り)
代替要員加算20万円(代替要員が3人以上の場合、45万円)

介護離職防止支援コース

介護離職防止支援コース」は、労働者の介護休業取得や復帰に取り組む中小企業などを支援する制度で、支給金額は以下のとおりです。(いずれも1事業主1年度5人まで支給)

介護休業 休業取得時:28.5万円 職場復帰時:28.5万円
介護両立支援制度 28.5万円
新型コロナウイルス感染症対応特例 5日以上10日未満:20万円 10日以上:35万円

育児休業等支援コース

育児休業等支援コース」は、育児休業取得や職場復帰に関する取り組みを行った中小企業やなどを助成する制度です。

対象事業者 継続して3か月以上の育児休暇を取得した労働者が在籍する中小企業
育児休暇復帰後に継続して6か月以上経過した労働者が在籍する中小企業
支給額 通常の企業 生産性要件を満たした場合
育児休暇取得時 28.5万円 36万円
職場復帰時 28.5万円 36万円
職場支援加算(※職場復帰時に加算) 19万円 24万円

両立支援助成金(育児休業等支援コース)では、次の2回に分けて申請を行うことが必要となります。

休業取得時 育児休業開始日から3か月後〜2か月以内
職場復帰時 職場復帰から6か月後〜2か月以内

仮に休業取得時の申請をしなかった場合、その後の職場復帰時も申請できなくなるため注意してください。

不妊治療両立支援コース

不妊治療両立支援コース」は、不妊治療のための休暇制度や両立支援制度を導入し利用させた中小企業を助成する制度です。

対象事業者 労働者が不妊治療のための休暇制度・両立支援制度を設ける一定要件を満たす中小企業
支給額 労働者が休暇制度・両立支援制度を合計5日(回)利用した場合28.5万円(36万円)
受給後、労働者に不妊治療休暇制度を20日以上連続取得させ、現職復帰させて3か月以上継続勤務させた場合28.5万円(36万円)
※1事業主1回限り

地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)

地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)」は、

地域の事業主の設置整備費用を対象労働者増加数に応じて助成する制度で、1年ごとに最大3回まで支給を受けることができる制度です。

1回目の支給要件 ・一定の計画書を労働局長に提出する
・計画期間内に施設や設備を設置・整備する
・計画期間内に雇用保険の被保険者を3人(創業時は2人)以上雇い入れる
・完了日には計画日の前日に比べ3人(創業時は2人)以上労働者が増加している
2回目の支給要件 ・被保険者数を維持している
・対象労働者数が完了日を下回っていない
・対象労働者が職場に定着している(離職者数は完了日の2分の1以下または3人以下である)
助成金の額 50万円~800万円
※設置・設備費用の額と対象労働者の増加人数で異なる

創業助成事業(東京都)

創業助成事業」は、東京都内の中小企業者などへ、創業初期に必要な経費の一部を助成する制度です。

助成対象期間 交付決定日から6か月以上・最長2年以下
助成限度額 300万円(下限100万円)・助成率3分の2以内
助成対象経費 賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、従業員人件費

まとめ

中小企業が活用したいのが補助金や助成金ですが、どちらも返還不要の資金を調達できる反面、期限内の申請手続が必要です。

また、補助金と助成金はどちらも実際にかかった費用を後払いで支給する制度であるため、前もって立て替えることのできる資金を準備することも必要となります。

もしも補助金や助成金で資金調達することを計画しているものの、立て替える資金がないという場合、決算書を汚さず資金調達できるファクタリングの活用も検討することをおすすめします。

PMGでは、金融支援のひとつとして、申請可能な補助金や助成金を調査しレポートとしてお客様へ提供しております。

補助金や助成金のお悩みはご相談ください。

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