【2023年度版】中小企業向けの主な補助金・助成金を解説

中小企業の資金調達の方法に補助金や助成金は欠かせないといえますが、申請すればだれでも受け取ることができるわけではありません。

助成金は一定要件を満たせばほとんど支給されるのに対し、補助金に至っては審査を経て採択されなければ支給されないため、中小企業が支援制度を活用して資金調達したいと考えるのなら事前の準備も必要です。

返還不要な資金を調達できる頼りになる手段といえる反面、どの制度を利用するのか、目的に応じた制度を選ぶことも重要となります。

そこで、中小企業におすすめの補助金や助成金にはどのような制度があるのか、それぞれの支援内容について解説していきます。

助成金とは

「助成金」は、国の政策に沿って労働環境改善などに取り組んでいる事業者に対し、支給されるお金であり、原則返還する必要はありません。

働き方改革推進などで労働者が働きやすいと感じることのできる環境整備が求められているため、雇用維持や促進に向けた様々な制度が用意されています。

ただ、雇用を目的とした助成金の場合、事業運営でかかった費用ではなく、人材雇用や能力開発で必要になった経費が支援の対象になります。

補助金とは

「補助金」も国の政策目標に沿って事業を運営する事業者に対し支給されますが、主に新規事業や起業促進、研究開発などで必要な費用を支援する制度です。

要件を満たす場合には申請したい制度である一方、助成金は通年応募であるのに対し、補助金は1週間から1か月など特定期間のみの公募に限定されています。

さらに助成金は要件を満たせばほとんど支給されるのに対し、補助金は審査を経て採択されなければ支給されることはありません。

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中小企業向け補助金の種類

中小企業が補助金を活用することで、事業に必要な資金を調達することができます。

資金調達する目的によってどの制度を活用するか異なりますが、中小企業向けの主な補助金は次の6つです。

  1. 事業再構築補助金
  2. IT導入補助金
  3. ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
  4. 小規模事業者持続化補助金
  5. 地域商業機能複合化推進事業(地域の持続的発展のための中小商業者等の機能活性化事業)
  6. 面的地域価値の向上・消費創出事業

それぞれどのような制度か説明していきます。

事業再構築補助金

事業再構築補助金」は、事業者が経済社会変化に対応するための制度であり、新分野展開や業態転換、事業・業種転換など思い切って事業を再構築する事業者を対象とした支援制度です。

ポストコロナ・ウィズコロナに対応する中小企業を支援し、日本経済の構造転換を促進することを目的としています。コロナを経て、新たな分野への進出や新たなサービスの展開を図ろうとする企業を支援する複数の枠が設けられているのが特徴です。

複数の枠が設けられており、以下のとおり補助金額や補助率などはそれぞれの枠で異なります。

成長枠(対象:成長分野に向けた大胆な事業再構築に取り組む事業者) ・中小企業 補助率2分の1 補助上限額2千万円~7千万円(従業員規模により上限額は異なる)
・中堅企業 補助率3分の1  補助上限額2千万円~7千万円(従業員規模により上限額は異なる)
グリーン成長枠(対象:グリーン分野での事業再構築を通じて高い成長を目指す事業者) ・中小企業(エントリー) 補助率2分の1 補助上限額4千万円~8千万円(従業員規模により上限額は異なる)
・中小企業(スタンダート) 補助率2分の1 補助上限額1億円
・中堅企業(エントリー) 補助率3分の1 補助上限額1億円
・中堅企業(スタンダート) 補助率3分の1 補助上限額1.5億円
卒業促進枠(対象:成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して中小企業等から中堅企業等に成長する事業者) ・中小企業 補助率2分の1 補助上限額は成長枠・グリーン成長枠の補助金額上限に準じる
・中堅企業 補助率3分の1 補助上限額は成長枠・グリーン成長枠の補助金額上限に準じる
大規模賃金引上促進枠(対象:成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して大規模な賃上げに取り組む事業者) ・中小企業 補助率2分の1 補助上限額3千万円
・中堅企業 補助率3分の1 補助上限額3千万円
産業構造転換枠(対象:国内市場の縮小等の産業構造の変化等により事業再構築が強く求められる業種・業態の事業者) ・中小企業 補助率3分の2 補助上限額2千万円~7千万円(従業員規模により上限額は異なる)
・中堅企業 補助率2分の1 補助上限額2千万円~7千万円(従業員規模により上限額は異なる)
物価高騰対策・回復再生応援枠(対象:コロナや物価高等により依然として業況が厳しい事業者) ・中小企業 補助率3分の2 補助上限額1千万円~3千万円(従業員規模により上限額は異なる)
・中堅企業 補助率2分の1 補助上限額1千万円~3千万円(従業員規模により上限額は異なる)
最低賃金枠(対象:最低賃金の引上げの影響を受けその原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等) ・中小企業 補助率4分の3 補助上限額500万円~1.5千万円(従業員規模により上限額は異なる)
・中堅企業 補助率3分の2 補助上限額500万円~1.5千万円(従業員規模により上限額は異なる)
サプライチェーン強靭化枠(対象:海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化および地域産業活性化に取り組む事業者) ・中小企業 補助率2分の1 補助上限額5億円
・中堅企業 補助率3分の1 補助上限額5億円

IT導入補助金

IT導入補助金2023」とは、中小企業などが働き方改革促進・労働環境改善・生産性向上などに向けてIT機器やITツールなどを導入する際に活用できる制度です。

中小企業の労働生産性の向上などを目的としています。勤怠管理ソフトの導入や企業規模に応じた会計ソフト導入、ECサイトの構築などに広く活用されている補助金です。

以下で、2023年8月1日以降の募集内容を確認しましょう。

通常枠(A・B類型)(対象:業務のデジタル化を目的としたソフトウェアやシステムの導入) ・A類型 補助率2分の1以内 補助額5万円~150万円未満
・B類型 補助率2分の1以内 補助額150万円~450万円以内
デジタル化基盤導入枠・複数社連携IT導入類型(対象:会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトに補助対象を特化し、複数の中小企業・小規模事業者が連携しITツールを導入し生産性向上を図る取り組みへ対応) ・ソフトウェア等 補助率4分の3以内 補助額下限なし~50万円以内
補助率3分の2以内 補助額50万円~350万円以内
・ハードウェア 補助率2分の1以内 補助額30万円以内
※ 複数社連携IT導入類型の場合には、補助対象が「基盤導入経費」に加えて「消費動向等分析経費」と「参画事業者の取りまとめに係る事務費・専門家費」までに拡大
セキュリティ対策推進枠(対象:サイバーインシデントを防止するセキュリティ対策強化支援) ・補助率 サービス利用料の2分の1以内 補助額5万円~100万円以内
商流一括インボイス対応類型(対象:インボイス制度に対応し受発注機能を有するITツール導入、取引関係における受注者である中小企業・小規模事業者等に対して当該ITツールを無償で利用させる場合) ・中小企業・小規模事業者等 補助率3分の2以内 補助額下限なし~350万円以内
・その他の事業者等 補助率2分の1以内 補助額下限なし~350万円以内

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は、一般的に「ものづくり補助金」ともいわれ、中小企業が働き方改革や賃上げやインボイス導入への支援を目的とした補助金です。

最新設備投入による製造プロセスの改善、設備投資による競争力強化など、中小企業の設備投資に役立てられています。

募集枠は以下の5つです。

①通常枠 対象者 「革新的な製品・サービス開発」または「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を行う中小企業者等
補助金額 従業員数5人以下:100万円から750万円
従業員数6人から20人:100万円から1,000万円
従業員数21人以上:100万円から1,250万円
補助率 中小企業者:2分の1
                 小規模企業者・小規模事業者:3分の2
                 再生事業者:3分の2
②回復型賃上げ・雇用拡大枠 対象者 業績が厳しい中で賃上げ・雇用拡大に取り組み、「革新的な製品・サービス開発」または「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を行う中小企業者等
補助金額 従業員数5人以下:100万円から750万円
                     従業員数6人から20人:100万円から1,000万円
                     従業員数21人以上:100万円から1,250万円
補助率  3分の2
③デジタル枠 対象者 「DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービス開発」または「デジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上」に必要な設備・システム投資等を行う中小企業者等
補助金額 従業員数5人以下:100万円から750万円
                     従業員数6人から20人:100万円から1,000万円
                     従業員数21人以上:100万円から1,250万円
補助率 3分の2
④グリーン枠 対象者 「温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービス開発」または「炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上」に必要な設備・システム投資等を行う中小企業者等
補助金額 [エントリー類型] 従業員数5人以下:100万円から750万円
              従業員数6人から20人:100万円から1,000万円
              従業員数21人以上:100万円から1,250万円
     [スタンダード類型] 従業員数5人以下:750万円から1,000万円
               従業員数6人から20人:1,000万円から1,500万円
               従業員数21人以上:1,250万円から2,000万円
     [アドバンス類型] 従業員数5人以下:1,000万円から2,000万円
              従業員数6人から20人:1,500万円から3,000万円
              従業員数21人以上:2,000万円から4,000万円
補助率 3分の2
⑤グローバル市場開拓枠 対象者 海外事業の拡大・強化等を目的とした「製品・サービス開発」または「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を行う中小企業者等
補助金額 100万円から3,000万円
補助率 中小企業者:2分の1
    小規模企業者・小規模事業者:3分の2

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金」は、販路開拓や業務効率化の取り組みを実施する企業の支援を目的とした補助金です。

販路開拓など補助事業に必要な機械装置や広報費などを補助します。

募集枠は以下の5つで、支援対象は一定規模以下の小規模事業者に限られます。

通常枠 ・商工会議所の支援を受けて販路開拓などの取り組みを行う小規模事業者が対象
・補助率3分の2 補助上限50万円
賃金引上げ枠 ・事業場内最低賃金が地域別最低賃金の+30円以上の販路開拓などを行う小規模事業者が対象
・補助率3分の2(赤字事業者は4分の3) 補助上限200万円
卒業枠 ・小規模事業者の枠を超え従業員数を増やして規模を拡大する販路開拓などを行う小規模事業者が対象
・補助率3分の2 補助上限200万円
後継者支援枠 ・アトツギ甲子園でファイナリスト・準ファイナリストの販路開拓などを行う小規模事業者が対象
・補助率3分の2 補助上限200万円
創業枠 ・産業競争力強化法の特定創業支援等事業支援により過去3年のうちに開業した販路開拓などを行う小規模事業者が対象
・補助率3分の2 補助上限200万円

※各枠インボイス特例の要件を満たすときは上限額に50万円上乗せされる

参考:「小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブック」(商工会議所地区小規模事業者持続化補助金事務局)

地域商業機能複合化推進事業(地域の持続的発展のための中小商業者等の機能活性化事業)

地域商業機能複合化推進事業(地域の持続的発展のための中小商業者等の機能活性化事業)」は、地域のニーズや需要へ対応する取り組みを後押しする制度です。

補助対象事業者は地方公共団体で、間接補助事業者として、商店街等組織や民間事業者が支援を受けられます。

補助の対象となるのは、空き店舗の活用や新たな機能の導入により、地域商店街などの活性化や持続的発展につながる事業です。

補助額は以下の通りとなっています。

補助金額 ・消費動向等分析・テナントミックス構築事業(ソフト事業) 地方公共団体が間接補助事業者に交付する額の5分の4以内・上限額400万円
・商店街等新機能導入促進事業(ハード事業) 地方公共団体が間接補助事業者に交付する額の3分の2以内・上限額4,000万円

なお、募集期間は令和5年8月31日15時必着の締め切りとなっているため、注意してください。

面的地域価値の向上・消費創出事業

面的地域価値の向上・消費創出事業」は、商店街の魅力や地域資源を使って滞留・交流空間整備・消費創出事業を支援する事業です。

地域活性化や稼ぐ力の向上を目的としたもので、インバウンド回復などのなか、商店街や関係する民間事業者の、消費創出や専門家による支援を補助金でサポートします。

支援内容は以下のとおりです。

  1. 専門家による伴走支援 専門家が事業効果等を定期的に確認しながら面的に伴走支援
  2. 消費創出事業 回遊促進事業・体験事業・交流事業・ブランディング・情報発信強化 など
  3. 滞留・交流空間整備事業 空き地・空き店舗の利活用・店舗等の機能転換・歩道等の利活用・景観整備(統一化)など
対象事業者 商店街等組織・民間事業者と商店街等組織の連携体
補助金額 補助率3分の2・補助額上限3,000万円・下限200万円

なお、募集期間は令和5年8月9日15時必着となっているため注意してください。

中小企業向け助成金の種類

厚生労働省の助成金を中心に、主な中小企業向けの助成金を7つ紹介します。

  1. キャリアアップ助成金
  2. トライアル雇用助成金
  3. 人材確保等支援助成金
  4. 人材開発支援助成金
  5. 両立支援等助成金
  6. 地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)
  7. 創業助成事業(東京都)

それぞれの助成金について説明していきます。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金」とは、有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者などの非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善へ取り組む事業者を助成する制度です。

いくつかコースがありますが、たとえば中小企業が「正社員化コース」を申請した場合、受け取ることができる金額は以下のとおりです。

有期雇用非正規労働者を正社員にした場合 57万円
有期雇用非正規労働者を正社員にし、生産性向上要件を満たす場 72万円
無期雇用非正規労働者を正社員にした場合 28万5,000円
無期雇用非正規労働者を正社員にし、生産性向上要件を満たす場合 36万円

他に、処遇改善支援では、有期雇用労働者などの処遇改善を対象に、基本給の賃金規定などを3%以上増額した企業または賞与や退職金を導入して支給を行う企業などを支援しています。

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金」とは、就職困難に陥っている求職者を無期雇用契約へ移行することを前提に一定期間試行雇用する事業者を助成する制度で、求職対象者に応じたコースの申請が可能です。

一般トライアルコースの支援内容は以下のとおりとなっています。

助成額 支給対象者1人につき月額4万円

対象者が母子家庭や父子家庭の親であるときは5万円で、一律支給ではなく実際に就労した日数が計算の対象です。

対象者が途中で離職したなど特定の場合は、就労を予定した日数に対する実際の就労日の割合にもとづき支給額が変動します。

人材確保等支援助成金

「人材確保等支援助成金」とは、魅力ある職場づくりに向けて取り組む事業者などを支援する制度です。

複数のコースに分かれていますが、代表的な3つについて説明します。

  1. 中小企業団体助成コース
  2. 外国人労働者就労環境整備助成コース
  3. テレワークコース

中小企業団体助成コース

中小企業団体助成コース」は、改善計画の認定を受けた中小企業団体(事業協同組合)などが、構成中小企業者の人材確保や職場定着を支援する事業を行ったとき助成する制度です。

助成額 1年間の中小企業労働環境向上事業の実施にかかった経費の3分の2の額
支給限度額 大規模認定組合等(構成中小企業者数500以上) 1,000万円
中規模認定組合等(同100以上500未満) 800万円
小規模認定組合等(同100未満) 600万円

外国人労働者就労環境整備助成コース

外国人労働者就労環境整備助成コース」は、外国人労働者の職場定着に取り組む事業者を助成する制度です。

対象事業者 以下の要件を満たす事業者
・外国人労働者に対する就労環境整備措置を新しく導入し、外国人労働者全員に対し実施する
・就労環境整備計画期間終了後の一定期間経過後、外国人労働者の離職率が10%以下である など
支給上限額 支給対象経費の2分の1(上限57万円)・生産性要件を満たした場合は3分の2(上限72万円)
要件 就労環境整備措置(雇用労務責任者の選任・就業規則等の社内規程の多言語化など)の導入や実施・離職率目標の達成など

テレワークコース

テレワークコース」は、質のよいテレワークを制度導入・実施し人材確保や雇用管理改善に取り組む中小企業事業者を助成する制度です。

対象となる経費は最大6か月分の合計77万円までで、さらに賃金要件(賃上げ加算)を満たしたときには、目標達成助成の助成率が割り増しで支給されます。

助成金額 機器等導入助成:1企業あたり支給対象となる経費の30%
目標達成助成:企業あたり支給対象となる経費の20%(賃金要件を満たす場合35%)
要件 機器等導入助成:評価期間(機器等導入助成)において1回以上テレワーク実施対象労働者全員がテレワークを実施 など
目標達成助成:評価時離職率が計画時離職率以下であること など

人材開発支援助成金

「人材開発支援助成金」とは、事業主が労働者に職務関連の専門的知識・技能を習得させることを目的とした職業訓練を実施したとき、かかった訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。

以下、特に活用されることの多いコースを説明します。

  1. 人材育成支援コース
  2. 教育訓練休暇等付与コース
  3. 人への投資促進コース
  4. 事業展開等リスキリング支援コース

人材育成支援コース

人材育成支援コース」は、職務に関連した知識や技能を習得させる訓練を実施した際の費用を助成する制度です。

助成対象となる経費 部外講師の謝金・旅費・施設・設備の借上げ費・カリキュラム開発作成の外部委託費・社会保険労務士の手数料・外部教育訓練施設の受講料・教科書代など
受給条件 セミナー受講が10時間以上
助成額 受講費用の45%+賃金助成380円/時間
限度額 20時間以上100時間未満:15万円
100時間以上200時間未満:30万円

教育訓練休暇等付与コース

教育訓練休暇等付与コース」は、導入した教育訓練休暇制度を利用し、労働者が自発的に訓練を受けた際、事業者を助成する制度です。

3年間に5日以上の取得が可能な有給の教育訓練休暇を導入し、実際に適用した事業者へ制度導入に対して30万円が支給される教育訓練休暇制度のほか、長期教育訓練休暇制度、教育訓練短時間勤務等制度による助成があります。

人への投資促進コース

人への投資促進コース」は、デジタル人材・高度人材育成訓練などを対象とした訓練などを実施した事業主を助成する制度です。

かかった訓練経費や訓練期間中の賃金の一部、制度導入の経費を助成します。

事業展開等リスキリング支援コース

事業展開等リスキリング支援コース」は、新規事業立ち上げや事業展開に伴って新たな分野の知識・技能習得に向けた訓練を実施した事業者を助成する制度です。

経費助成率 中小企業の場合:75% 大企業の場合:60%
賃金助成額 中小企業1人1時間あたり960円 大企業1人1時間あたり480円
※経費助成限度額・賃金助成限度額あり。1事業所が1年度に受給できる助成額は1億円

両立支援等助成金

「両立支援等助成金」とは、仕事と育児・介護を両立できる制度の導入や、女性が活躍しやすい環境づくりなどを行う事業者を支援する制度で、次のコースに分かれています。

  1. 出生時両立支援コース
  2. 介護離職防止支援コース
  3. 育児休業等支援コース
  4. 不妊治療両立支援コース

なお、上記の助成金は事業所単位ではなく事業主単位で支給されます。

申請は本社など人事労務管理機能を有する部署の属する事業所が行うことが必要です。

それぞれ説明します。

出生時両立支援コース

出生時両立支援コース」は、男性労働者の育児休業取得を可能とする雇用環境整備や業務体制整備を行う事業者を支援する制度です。

対象事業者 育児・介護休業法による雇用環境整備を行い、男性社員に子が生まれて8週間以内に5日以上の育児休業を取得することができる中小企業
助成金額 20万円(1事業主1回限り)
代替要員加算20万円(代替要員が3人以上の場合、45万円)

介護離職防止支援コース

介護離職防止支援コース」は、労働者の介護休業取得や復帰に取り組む中小企業などを支援する制度で、支給金額は以下のとおりです。(いずれも1事業主1年度5人まで支給)

介護休業 休業取得時:28.5万円 職場復帰時:28.5万円
介護両立支援制度 28.5万円
新型コロナウイルス感染症対応特例 5日以上10日未満:20万円 10日以上:35万円

育児休業等支援コース

育児休業等支援コース」は、育児休業取得や職場復帰に関する取り組みを行った中小企業やなどを助成する制度です。

対象事業者 継続して3か月以上の育児休暇を取得した労働者が在籍する中小企業
育児休暇復帰後に継続して6か月以上経過した労働者が在籍する中小企業
支給額 通常の企業 生産性要件を満たした場合
育児休暇取得時 28.5万円 36万円
職場復帰時 28.5万円 36万円
職場支援加算(※職場復帰時に加算) 19万円 24万円

両立支援助成金(育児休業等支援コース)では、次の2回に分けて申請を行うことが必要となります。

休業取得時 育児休業開始日から3か月後〜2か月以内
職場復帰時 職場復帰から6か月後〜2か月以内

仮に休業取得時の申請をしなかった場合、その後の職場復帰時も申請できなくなるため注意してください。

不妊治療両立支援コース

不妊治療両立支援コース」は、不妊治療のための休暇制度や両立支援制度を導入し利用させた中小企業を助成する制度です。

対象事業者 労働者が不妊治療のための休暇制度・両立支援制度を設ける一定要件を満たす中小企業
支給額 労働者が休暇制度・両立支援制度を合計5日(回)利用した場合28.5万円(36万円)
受給後、労働者に不妊治療休暇制度を20日以上連続取得させ、現職復帰させて3か月以上継続勤務させた場合28.5万円(36万円)
※1事業主1回限り

地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)

地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)」は、

地域の事業主の設置整備費用を対象労働者増加数に応じて助成する、1年ごとに最大3回まで支給を受けられる制度です。

雇用機会が特に不足する地域の、事業所の設置や設備、さらには雇用促進を目的とします。以下の表のように1回目の支給、2~3回目の支給で要件が異なることに注意しましょう。

1回目の支給要件 ・一定の計画書を労働局長に提出する
・計画期間内に施設や設備を設置・整備する
・計画期間内に雇用保険の被保険者を3人(創業時は2人)以上雇い入れる
・完了日には計画日の前日に比べ3人(創業時は2人)以上労働者が増加している
2回目の支給要件 ・被保険者数を維持している
・対象労働者数が完了日を下回っていない
・対象労働者が職場に定着している(離職者数は完了日の2分の1以下または3人以下である)
助成金の額 50万円~800万円
※設置・設備費用の額と対象労働者の増加人数で異なる

参考:「地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)」(厚生労働省)

創業助成事業(東京都)

創業助成事業」は、東京都内の中小企業者などへ、創業初期に必要な経費の一部を助成する制度です。

都内で創業を計画する個人や中小事業者を支援するもので、厚生労働省ではなく東京都独自の取り組みです。東京都以外でも創業に関して補助金や助成金を支給する自治体もありますので、お住まいの自治体で類似する制度はないか確認してください。

助成対象期間 交付決定日から6か月以上・最長2年以下
助成限度額 300万円(下限100万円)・助成率3分の2以内
助成対象経費 賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、従業員人件費

申請できる補助金や助成金を探す方法

申請可能な補助金や助成金を確認する手段として、「ミラサポplus」のような補助金の情報発信を行っている公式のサイトや厚生労働省のページで助成金をチェックする方法があります。

しかし、実際には数多くの補助金や助成金が存在するためすみずみまでチェックするのは困難です。チェックが漏れてしまうこともあるでしょう。

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まとめ

中小企業が活用したいのが補助金や助成金ですが、どちらも返還不要の資金を調達できる反面、期限内の申請手続が必要です。

また、補助金と助成金はどちらも実際にかかった費用を後払いで支給する制度であるため、前もって立て替えることのできる資金を準備することも必要となります。