掛けによる後払いの代金を取引先に支払ってもらうために請求書を発送しますが、単に渡しただけで未回収状態が続けば、いずれ時効を迎えてしまいます。
請求書という書面に残せば未払い分があることを確定させることができると考えられますが、掛け取引で発生する売掛債権には民法上、消滅時効の規定が適用されます。
そこで、法律を根拠とした請求書の時効や有効期限についてご説明します。
請求書の時効はいつ?
取引先に請求書を送ったのにも関わらず、まだ代金が回収できていなければ、いつまでに回収しなければ時効を迎えるのか気になるところでしょう。
民法による請求書の有効期限を確認すると、従来まではたとえ請求していたとしても、未払いのままでは支払期日の翌日から2年経過により時効を迎えていました。
しかし2017年に民法は改正されたことで、短期・職業別の消滅時効などの制度は廃止され、債権が消滅時効を迎える期間は統一されています。
新たな民法により、売掛債権の時効は原則、支払期日の翌日から5年で消滅時効を迎えることとなりました。
そのため、請求書も有効期限は5年となります。
なお、新たな民法は2020年4月1日に施行されているため、売掛債権の発生がこの日よりも前なら改正よりも前の民法が適用されますので注意しましょう。
理想的な入金サイトの設定
請求書による売掛債権の回収では、月末締め翌月末払いまたはは翌々月末払いなど、入金まで一定期間空くことになります。
代金回収までの猶予期間が入金サイトですが、取引先との契約においてこの期間を設定するため、資金繰りを良好に保つためには短いサイト設定がおすすめです。
なお、「下請代金支払遅延等防止法」では下請取引の公正化と下請事業者の利益保護を促しています。
下請代金支払遅延等防止法による支払期日は、役務提供を受けた日から60日以内、さらにできるだけ短期間でなければならないとされています。
祝日や年末年始を挟む場合
請求書を送るとき、注意したいのが土曜日・日曜日・祝日などです。
カレンダー上の休日は金融機関も休業となるため、請求書を送る期日が土日や祝日になる場合には、支払期限を前後にずらしたほうがよいといえます。
また、取引先と契約を交わすときに、前もって土日祝日の支払期限について取り決めをしておくと安心です。
たとえば「支払期限が土日や祝日に重なるときには直前の平日払いとする」「年末年始など大型連休と重なるときには連休明けの営業日」といった形でよいでしょう。
売掛債権は適切に管理を行い、後々支払期限に関連するトラブルが発生しないように、未払いのまま時効を迎えてしまわないようにしてください。