差押というと一般的には自己破産をした時、不動産や家財道具などに赤い張り紙を貼られて競売にかけられるような場面を想像する人が多いかもしれません。
しかし実際の差押の場合にどのようなことはありませんし、企業でいう債権の差押とは売掛金や貸金などを取り立てる権利の差押です。
そのため債権の差押では、売掛金の相手先が持っている取引先からの債権を差押します。
どのような方法で債権を回収する?
例えば現在取引先A会社100万円分の売掛金があるとします。
しかしA会社が代金を支払わない場合、A会社が保有するB会社200万円の売掛金から回収するという差押を行います。
それによってB会社の100万円分は自社に直接支払ってくることになりますので、A会社からの債権を無事に回収できるでしょう。
売掛金以外に差押できるものもある
売掛金以外にも預金を差押する方法もあります。
預金の場合には銀行に対して払い戻しを要求することになりますが、預金を払い戻す権利を債権差押で取得することが可能になります。
預金の差し押さえを行うことで銀行から相手の預金の払い戻しを受けることができます。
ただし預金の場合は実際のところ、取引先が借り入れをしているケースが多く、預金を差押したとしても相殺すると銀行から言われてしまう可能性があります。
預金だけの銀行を見つけることは困難な場合も多いため、取引先が工事業者の場合には請負工事代金を押さえることも有用だとも考えられます。
色々なケースを想定してみると良いでしょう。
普段から取引先の情報を入手しておくことが大切
売掛金や預金の差押により、債権の回収率を向上させることが期待できるでしょう。ただし差押する債権の情報がなければ実行できません。
売掛金の場合は、誰に対するどのような内容の売掛金なのかという情報が必要です。
さらに支払時期や金額なども得ておくと有利です。預金の場合はどの銀行と支店の預金口座かが最低限必要です。
いざ代金が支払われないというトラブルになってから情報を得ようとしても、なかなか情報は入りませんので取引先の情報はしっかり把握しておくようにしましょう。
相手に振る袖があるかを確認すること
債権債務処理の場面において、ない袖は振れないという言葉が極めて重要になります。
返済する必要がある債務の原資が相手になければ、債権は回収できません。
しかし相手に売掛金や預金がある場合には、まだ袖は振れる状態です。
取引先からの入金がなかなか入らないという場合、差押できる債権がないか検討することにより不良債権を生じさせない対策として使えるでしょう。
ただし売掛金の場合などは、先に支払い時期を迎えてしまうと差押することはできなくなりますので、迅速に対応していくことが必要です。