会計処理の基礎!売掛金を手形で回収した時の仕訳は?

売掛金は売上代金のうちまだ回収されていない分を指しますが、受取手形は事業目的の営業活動で発生した手形債権です。手形に記された代金を受取る権利を指します。
売掛金は債権を他人に譲渡する時に一定の手続きが必要ですが、手形は裏面に署名などを行って手形証書を第三者に渡すだけで債権を譲渡することができます。
売掛金の回収サイクルよりも受取手形のほうが長いことが一般的ですが、この受取手形を使って売掛金を回収した場合、どのような仕訳を行うことになるでしょう。

資金繰り上は手形での回収は望ましくない?
売掛金を手形で回収することは、資金繰りの観点から見た場合あまり好ましいことではありません。
売掛金が翌月回収(30日)である場合、仮に120日の手形で回収すると売掛金の30日と手形の120日を足した150日経過しなければ入金されないことになってしまいます。

手形に関する仕訳について
上記の点を踏まえて売掛金を受取手形で回収した時など、手形に関する仕訳をケースに応じて確認していきましょう。

・売掛金を受取手形で回収したケース
売掛金1,200,000円のうち600,000円を小切手で回収し、残りは手形で回収した場合。
<借方>現金600,000    
<貸方>売掛金1,200,000
<借方>受取手形600,000

・受取手形を割引いて当座預金に入金したケース
受取手形600,000円について割引を行い、割引料10,800円を差し引いて口座に入金した場合。
<借方>当座預金589,200    
<貸方>割引手形600,000
<借方>支払利息割引料10,800

・受取手形が決済され当座預金に入金したケース
額面500,000円の手形が決済されたので当座預金の口座に入金した場合。
<借方>当座預金500,000  
<貸方>受取手形500,000

・割引手形が決済されたケース
割引いていた額面600,000円の手形が決済された場合
<借方>割引手形600,000 
<貸方>受取手形600,000

・支払手形で買掛金を支払ったケース
買掛金35,000円について、支払手形を振出し支払った場合。
<借方>買掛金350,000  
<貸方>支払手形350,000

・買掛金を受取手形の裏書で支払ったケース
買掛金700,000円を決済するために、受取手形700,000円を裏書譲渡した場合。
<借方>買掛金700,000  
<貸方>裏書手形700,000

売掛金が損金算入できるケースとは?
売掛金は貸倒引当金の設定の対象であり、全額回収不能と認められる場合、取引停止後1年以上経過した場合などは、一定の金額が損金の額に算入されます。法律上の債権が消滅した場合は損金経理をしなくても損金額に算入されることになります。
受取手形も貸倒引当金の設定の対象で、割引手形や裏書手形も同様に対象となりますが、割引手形を再割引した時や融通手形は対象ではありません。

売掛金など回収に手形を使う場合の注意
なお、手形を利用する場合には、支払期日の到来が3か月や6か月先などになるので、手形帳で管理しておくことが重要になります。
実際に入金されるまで時間がかかることになるので、資金繰りを圧迫しないかよく検討した上で利用するようにしましょう。