売掛金と未収入金、どちらも資産であり、金銭債権であるという部分で共通しています。
そのため違いが明確にできなくても、実際のところは法人税額や所得税額に影響することはありません。
しかし銀行など金融機関から融資を受けることを検討しているなら、この2つの区別ができている必要があります。
未収入金が多い場合、金融機関は決算書の評価を下げてしまう可能性がありますので注意しましょう。
売掛金とはどのような未収代金?
まず売掛金と未収入金、この2つの明確に違う点は営業活動から生じる債権かどうかです。
売掛金は営業活動から発生する債権です。
建設業の場合には、売掛金ではなく完成工事未収入金という勘定科目が使われています。
商品の販売、製品の製造販売、サービスの提供(役務の提供)など、営業取引から生じる未収代金が売掛金です。
営業以外の部分で発生している債権は、売掛金に入れてはいけません。
間違えて全ての債権を記入している人もいますが、間違って記載してしまうと、信頼を失ってしまいます。
更に、架空の数字を記入していることも多くあり、1つ1つの項目を金融機関は確認しています。
本当の数字を書いていないと、すぐにバレてしまう部分でもありますので、売掛金で嘘を書かないようにしてください。
また、売掛金には時効があり、飲食費や宿泊費などの売掛金は1年、商品や製品を販売した場合は2年、建築代金なら3年というように時効までの時間はサービス内容によって異なります。
対する未収入金とは?
未収入金は営業活動ではない特別な取引により生じた債権で、受取金額が確定しているけれどまだ対価の支払いを受けていない債権を指しています。
金属加工業で作業工程中に発生した作業屑の売却代金や、有価証券や固定資産の売却、不動産賃金業者でないものが行う不動産の家賃収入などが該当します。
多く記載されている場合は、不正会計の疑惑を持たれる可能性がありますので注意してください。
営業の債権まで入れてしまうと、膨大な金額に膨らむことも多いですが、間違って書かないように気をつけましょう。
なお、未収入金は1年以内に期限が到来するものは流動資産、1年超のものは投資その他資産の区分へ表示されます。
回収に1年超要するものとして長期未収入金で処理をしているけれど、実質何年も動かず回収ができていない場合は銀行で債権とみなされない可能性もあります。
決算書の中身が説明できるように
銀行などの金融機関から融資を受ける際には、決算書などを銀行に提出することになります。
提出を受けた銀行では決算書の内容を細かく確認していきますが、売掛金に回収できる可能性がないものまで含まれていないか、架空計上されているものはないかなども確認していると考えられます。
そのため同じ取引先で前期と金額が同じ場合には、回収できていない債権とみなされないように、事前に説明ができるようにしておく必要もあります。
未収入金に売掛金を含んでいないか確認を
そして注意したいのは未収入金に売掛金などの営業債権が間違って計上されていないかで、例えば売上として計上できるものが雑収入に計上されていると、未収入金に営業債権が計上されている可能性があります。
それによって未収入金の金額が大きくなりすぎると不正会計を疑われるなど決算書の評価を下げることになります。
仮払金ほどではないものの、未収入金が多いことは銀行に良く思われなくなると認識しておきましょう。
同時に負債勘定である買掛金と未払金にも注意が必要です。営業上の債務である買掛金をなるべく減らして未払金を多く計上した方が融資上は有利だと言えます。