会社が事業を運営していくにあたり、様々なコストがかかります。その中で、債権者や株主に対するコストに注視していきましょう。債権者に対するコストを負債コストと言いますが、銀行などで融資を受けた場合にかかる利子などです。そして株主にかかるコストを株式資本コストと言います。株主は株価上昇や配当に対する期待が高まれば投資することになるでしょう。その期待に応えるためのコストが株主資本コストです。
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なぜ株主資本コストに目が行きにくい?
一般的に経営者は負債コストだけに注視する傾向が強いようですが、その理由として負債コストは損益計算書の支払利息としてあらわされることが挙げられます。一方の株主資本コストは損益計算書にはあらわれず、株主ごとにリターンの期待も異なることからどのくらいのコストか判断しにくいという特徴があります。
加重平均資本コストを算出して期待される収益率を確認
負債コストと株主資本コストを合わせて資本コストと言いますが、資本コストはそれぞれの割合に応じた平均を計算する加重平均を使って算出します。例えば銀行からの融資の金利が5%、株主が年利15%を要求している状況であれば、負債コストは5%、株主資本コストは15%になります。さらにどのくらいの融資を受けているのか、株主から受けている投資の割合などから必要なコストを算出するという方法です。ここで算出された数値が加重平均資本コストといわれるものになり、この数値を下げることが全体のコストを下げることに繋がります。
お金を出している全ての人の期待に応えるために
この加重平均資本コストが10%だった場合、債権者と株主は年利10%のリターンを要求していることになります。上記の例で考えると、銀行の利率が5%の場合に加重平均資本コストが10%なら十分に応えられていると思うかもしれません。しかし事業を運営していくならお金を出す人全ての期待に応えていくことが基本ですので、株主の期待に応えられなければ株は売られて他社株を購入されてしまい株価が下落する要因となる可能性もあります。
加重平均資本コストを下げるには?
加重平均資本コストを下げることで事業を運営していく上でのコストを下げることができます。債権者や投資家はリスクが高くなれば大きなリターンを求めてくるでしょう。例えば数億円の赤字が出た情報やリストラ実行という情報がある日突然流れれば、この会社はリスクが高いと判断されて加重平均資本コストを上げる要因になります。そのため広報を流す際の手法や手順を変えるだけで必要なコストを下げることも可能となるでしょう。
投資家の信頼を得ることが必要
加重平均資本コスト(WACC)は借入にかかる負債コストと株式の調達コストである株主資本コストを加重平均したものです。企業が最低限あげるべき要求収益率ですが、上場企業の場合にはこの加重平均資本コストを下げることを専門とする部署(IR)があります。適切な情報開示により、投資家のリスク認識を下げて要求収益率を下げることを目的としています。結局のところ、投資家のリスク認識を下げることができるためには、投資家の信頼を得ることだということを忘れないことが大切です。