【法人】銀行口座が差し押さえられる!?解決方法を徹底解説

法人の銀行口座が差し押さえられるときは、債務整理の開始や公租公課の滞納、犯罪利用などさまざまな原因が考えられます。銀行口座が差し押さえられてしまうと、口座に関するすべての取引ができなくなってしまうため、すぐに対処することが必要です。

今回は、法人口座が差し押さえられる原因と解決方法を解説します。

法人口座が差し押さえられる原因

会社の法人口座が差し押さえられるのは、下記の5つのケースが考えられます。

  1. 債務整理(会社破産等)の開始
  2. 公租公課の滞納処分
  3. 社会保険料の滞納
  4. 半年間に2度の不渡りが発生
  5. 犯罪利用が疑われた場合

それぞれを詳しく解説します。

債務整理(会社破産等)の開始

企業が倒産をし、弁護士に債務整理を依頼すると、弁護士が債権者に対し受任通知を送付します。その債権者が銀行や信用金庫などの金融機関の場合、金融機関は受任通知を受け取った時点で、該当する法人名義の口座を差し押さえます。

差し押さえられると、預金残高を引き出すことはできなくなり、その預金残高は債権と相殺されます。受任通知を送付する前に、預金残高を引き出しておくと良いでしょう。

受任通知を送付すると、ブラックリストに載ったり、保証人が請求を受けたりするなどのデメリットもあります。そのため、弁護士に債務整理を依頼する際は、受任通知を送付するタイミングを弁護士とよく相談するようにしましょう。

公租公課の滞納処分

経営が苦しい法人では、公租公課(税金や年金など)の滞納が発生していることがあります。公租公課を滞納している期間が長いと、役所が銀行口座の差し押さえを行う場合があります。

口座の差し押さえられると、その口座のある金融機関から借り入れがある場合、金融機関が債権を回収するために、口座を凍結する場合があります。

金融機関の融資契約では、経営者や保証人の口座が差し押さえられた場合は、法人融資の一括返済を求める内容の契約になっている場合がほとんどです。そのため、経営者個人に公租公課の未納があり、個人名義の口座が差し押さえられた場合でも、銀行の判断で法人口座が凍結されることもあります。

公租公課は未納があると、最大で年14.6%の延滞金を課せられてしまうため、未納に気づいたらすぐに支払うようにしましょう。

社会保険料の滞納

社会保険料を滞納し続けると、督促状が届き延滞金が発生します。滞納額に延滞金の金利を乗じ、365日で割ることで1日当たりの延滞金が算出されます。延滞金の金利は延滞期間や時期によって異なるため、その都度チェックしてください。

延滞し続けてしまうと、財産調査を受け、差し押さえ可能な財産が見つかると、社会保険料の延滞分の財産が差し押さえられます。

預貯金が差し押さえられると、社会保険料を滞納していることが銀行にも知られることから、融資を受けにくくなります。そのため、社会保険料の未納がある場合はすぐに支払うようにしましょう。

半年間に2度の不渡りが発生

半年間に手形の不渡りが2度発生すると、銀行取引停止処分になります。

銀行取引停止処分になるのは当座預金のみで、基本的には普通預金口座は使用できます。ただし、当座預金口座を開設している銀行からの融資がある場合、銀行が普通預金口座を差し押さえることもあるため、注意が必要です。

半年間に手形の不渡りが2度あると、手形が使えなくなったり、銀行から融資が受けられなくなったり、預金口座が使えなくなったりします。その結果、資金調達ができなくなり、倒産に追い込まれるケースは珍しくないのです。

犯罪利用が疑われた場合

法人口座が犯罪に利用された場合、警察の要請により口座が差し押さえられます。不正に譲り受けた口座や、情報を偽って作った口座は、金融機関と預金保険機構の判断で残高に対しての権利が失われます。

犯罪利用が疑われた口座は、預金保険機構のHPに口座情報が60日間掲載されます。その間に異議申し立てを行わないと、その口座の権利は消滅するため、犯罪に加担していない場合は異議申し立てをしましょう。

法人口座が差し押さえられるとどうなる?

法人口座が差し押さえられてしまうと、会社経営に大きな影響を及ぼします。最悪の場合はそのまま倒産してしまうケースも珍しくありません。ここからは、法人口座が差し押さえられるとどうなるかを解説します。

あらゆる取引ができなくなる

口座凍結をされると、公共料金の支払いや取引先への振り込み、従業員への支払い、税金の引き落としなど、口座に関するすべての取引ができなくなります。

同銀行他口座もすべて差し押さえられる

銀行口座がひとつ凍結されると、同じ銀行の他口座もすべて凍結されます。例えば、ゆうちょ銀行で法人口座と個人口座どちらも持っている場合、法人口座が差し押さえられると、個人口座も差し押さえられます。

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口座を差し押さえられた場合の対処法

口座を差し押さえられた場合の対処法は下記の3つです。

  1. 代位弁済を受ける
  2. 権利行使の届出を行う
  3. 民事訴訟で司法判断に委ねる

下記で詳しく解説します。

代位弁済を受ける

債務整理で銀行口座が凍結された場合は、保証会社による代位弁済が終わったときに差し押さえが解除されます。代位弁済とは、第三者が債務者の代わりに弁済を行うことで、その弁済者債務者に対して、求償権を取得する場合の弁済のことです。返済義務がなくなるわけではありません。

例えば、銀行からの1,000万円の借り入れがあり、その銀行の口座に500万円の預金があるとすると、銀行は500万円を相殺し、保証会社は残りの500万円を代位弁済します。代位弁済後、会社は保証会社に500万円の債権を負い、銀行は会社に対して債権がなくなります。

口座が凍結されてから代位弁済が行われ、凍結が解除されるまでは、1ヶ月から3ヶ月程度かかります。

権利行使の届出を行う

口座を犯罪利用された場合は、預金保険機構に対して「権利行使の届出」を口座がある金融機関に提出しましょう。権利行使とは「自分の口座は犯罪に利用していない」と主張する権利のことです。

この届出を提出することで、差し押さえられた口座に入っているお金は一定期間留め置かれたのちに、被害者へ分配されます。原則60日以内に権利行使の届出を金融機関に提出する必要があり、この期間を過ぎると口座の権利を失ってしまいます。

犯罪利用で差し押さえられた場合は、口座のある金融機関に問い合わせて、権利行使の届出を出したいと相談してみましょう。

ただし、権利行使の届出を出したから、必ず差し押さえが解除するというわけではありません。実際には、捜査機関や金融機関との協議で訴訟を通して、解除できるかが判断されます。

民事訴訟で司法判断に委ねる

口座の差し押さえを解除するために、民事訴訟へ発展することもあります。犯罪利用が疑われる場合は協議が長期化することも珍しくありません。そのため、長期化する場合は司法判断によって解除してもらう方法がおすすめです。

まとめ

今回は、銀行口座が差し押さえられる原因や対処法を解説しました。銀行口座が差し押さえられる原因はさまざまで、なにが原因かを把握する必要があります。銀行口座が差し押さえられると、公共料金の支払いや取引先への振り込み、従業員への支払い、税金の引き落としなど、口座に関するすべての取引ができなくなります。

口座が差し押さえられたときは速やかに弁護士に相談してください。凍結などに対する準備を的確に実施できます。また、資金繰りに不安を感じた時点で、相談することもおすすめです。