差し押さえの予告を放置するとどうなる?適切な対応をご紹介

経営がうまくいかず資金繰りが悪化すると、必要な支払いも滞り気味になります。納税資金を用意できずに税金の支払いを滞納しているケースもあるのではないでしょうか。

税金の滞納で不安なのが差し押さえ予告です。差し押さえ予告を受けてもなお滞納が解消されないと、いよいよ差し押さえが実行される可能性があります。

この記事では、どのような状況で滞納した税金の差し押さえ予告が来るのか、差し押さえ予告を放置するとどうなるのか、差し押さえ予告を受けたときの適切な対応までみていきましょう。

税金を滞納すると差し押さえの予告が来る

税金を滞納し続けると差し押さえを予告する書類が届くことがあります。どのような流れで差押予告通知書を受け取ることになるのか、予告通知までの流れを2つに分けてみていきましょう。

  1. すぐに差し押さえの予告が来るわけではない
  2. 無視を続けると差し押さえになる

すぐに差し押さえの予告が来るわけではない

税金を滞納してもすぐに差し押さえ予告を受けるわけではありません。まず、滞納が続くと税金を滞納している機関、法人税などの国税であれば税務署、地方税であれば地方から督促状の送付を受けることになるでしょう。

例えば、地方税法では納期限後20日以内に督促状を発しなければならないと法律で定められています。納期限からおおむね20日ほど税金を滞納したら督促状が届くものと考えて差し支えないです。

督促状は滞納している税金の納付を促す書類で、税金の新たな支払期限が記載されています。指定された期日までに税金の納付がない場合は延滞税が発生しますのでご注意ください。

延滞税とは、滞納している税金の利息に相当するものです。滞納分に対して、法律で規定された一定の割合を乗じた延滞税が本来の納付税額に加算されていきます。

督促状の指定期日までに支払いがない場合、原則として本来の納付期限の翌日から納付が行われるまで延滞税が発生するため、滞納が続くほど負担が増すことになるでしょう。

督促状が届いてもなお滞納が続く場合は、督促状よりもより効力のある催告書が届きます。ただし、催告書が届いてもすぐに差し押さえになるわけではありません。

無視を続けると差し押さえになる

税金を滞納してから、しばらく督促や催告書が届く状態が続きます。それでもなお督促や催告書を無視し続けると、差し押さえに発展することになるでしょう。差し押さえの処分は、滞納処分といいます。

再三の納税の催促にもかかわらず納付を無視し続けると、差押予告通知書を受け取ることになるでしょう。差押予告通知書とは、指定期日までに納付がないときに差し押さえを執行することが記載された書類です。

差押予告通知書には差し押さえの時期までは記載されていないことが多く、基本的には支払期限のみの記載となります。

差し押さえの予告を放置するとどうなる?

差し押さえの執行を警告する差押予告通知書を受けてもなお税金の滞納を続けてしまうとどのような状況になるのでしょうか。

  1. 財産調査が入る
  2. 差し押さえが執行される

ここからは差押予告通知後の滞納処分について上記2点を解説します。

財産調査が入る

通常の強制執行による差し押さえでは、差押予告通知を無視すると、裁判所から支払督促が届くが流れになっています。支払督促があったということは差し押さえ間近で無視すると強制執行が行われる段階にあるということです。

税金の滞納は通常の強制執行とは異なるため、裁判所を通さなくても強制執行ができます。裁判所からの通知なしに差し押さえが実行できるほどの強制力があるので注意しましょう。

なお、差し押さえの前段階として、事業者がどれほどの財産を有しているのか財産調査が始まります。

財産調査で調べられるのは、収支や預貯金の残高、不動産や自動車などの固定資産、取引先、勤務先の状況、家族構成、生命保険などです。調査官が自宅や事務所を直接訪れることもあります。

差し押さえが執行される

財産調査の結果、差し押さえ可能な資産がある場合は、差し押さえが行われます。まず、差し押さえの対象になるのが経営者の給与(役員報酬)です。

通常の給与であれば生活に支障のない範囲での差し押さえになりますが、役員報酬については全額差し押さえ可能である点に注意しましょう。従業員に支払われる給与と役員報酬の扱いが異なるのは、経営者と会社間の契約は委任契約であって労働契約ではないためです。

ほかにも、会社の預貯金、会社が所有する土地や不動産、自動車、有価証券などが差し押さえの対象になります。

一方、差し押さえを免れるのは生活や事業を継続する上で必要とされるものです。食料や燃料(3ヶ月分)、家具や衣類など生活必需品、仏壇、事業に必要な資産などは差し押さえの対象から外されます。家族名義の財産も差し押さえの対象外です。

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差し押さえの予告が届いたときの対応

差し押さえの予告を受けてそのままだと差し押さえが実行されることになりますので、放置は良くありません。

  1. 一括で納税
  2. 分割払い・減免の相談
  3. 納税の猶予・換価の猶予の利用
  4. 滞納処分の停止の利用
  5. 債務整理を行う

差し押さえの予告を受けたときの5つの対応をご紹介します。

一括で納税

ひとつは、一括納付により滞納している税金や延滞金を解消することです。完済すれば差し押さえはされませんし、仮に手続きが進められている段階でも差し押さえはストップします。

差し押さえとなると事業にさまざまな支障が及ぶ可能性があるので、差し押さえが実行されるまでに状況を改善するのがベストです。しかし、税金を滞納している状態では完済のための資金が用意できないといったケースも多いでしょう。

PMGでは、資金調達の全般的なサポートを行っています。延滞している税金の納付にお困りの際は早めにご相談ください。差し押さえが実行されていない段階であれば対処法も増えます。

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分割払い・減免の相談

差押予告通知書を受け取ったら、通知書に記載されている連絡先または市役所に分割払いや減免の対応ができないかの相談も検討しましょう。

分割払いとは、分割が認められる期間にわたって滞納分を分割で支払うことで、減免とは、滞納している税金自体を減額してもらうことです。支払いの意思があり、かつ徴収先が認める納付困難な状況にあれば、分割払いや減免が認められるケースもあります。

納税の猶予・換価の猶予の利用

分割や減免のほかには、納税の猶予や換価の猶予といった対処法もあります。

納税の猶予

納税の猶予とは、徴収先によっては徴収の猶予ともいわれる制度です。納付を待ってもらうことで、納付の猶予が認められれば差し押さえはストップされます。病気や災害などで多額の負担があったとき、事業で著しい損失があったときなどに申請が可能です。

換価の猶予

換価の猶予とは、差し押さえ実行後の換価(不動産の売却など)を待ってもらう制度です。換価の猶予を申請するには納税の意思があることなど、一定の要件を満たして申請する必要があります。

滞納処分の停止の利用

滞納処分の停止は、あくまで債権者である税務署などの判断に基づいて行われる処分です。

滞納が起きている税金に対して、滞納処分を実行するほどの財産がなかったり、滞納処分を実行すると生活に著しい支障を与えてしまったりするような場合は、税務署長などの判断で滞納処分の停止が実行されることがあります。

滞納処分の停止は、最終的には納税義務の消滅に移行しますので、ハードルは高いです。数々の厳しい要件を満たしたうえで行われる処分となります。

債務整理を行う

差し押さえを回避する方法としては債務整理もあります。債務整理とは、任意整理、個人再生、または自己破産により、借入金の返済期間の延長や減額、あるいは借金自体をゼロにする法的に認められた手続きです。

債務整理で滞納した税金の納税義務は免れませんが、税金以外の借入金については解決できるでしょう。債務整理は、今後の事業の継続にも影響を与えますので慎重に検討されることをおすすめします。

まとめ

税金の滞納に対する差し押さえ予告は、差し押さえの実行を滞納者に通知するために行われます。予告を無視すると滞納処分に移行して財産の差し押さえになることもありますので、予告を受けたら早期に対処することが望ましいです。