ファクタリングを利用しようと申し込んだものの、審査で断られたときには何が原因だったのか気になることでしょう。
銀行から融資を受けて資金調達するときよりも、ファクタリングの審査は難易度が低いといわれていますが、中には断られたというケースも見られます。
そこで、ファクタリング審査ではどのようなことを重視されるのか、断られたときにはどのような対処法があるのか説明していきます。
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ファクタリング審査で重視されるポイント
ファクタリングの申し込みをしたときには、ファクタリング会社が売掛金を買い取ってよいか審査を行います。
ただ、ファクタリングの審査は銀行からお金を借りるときの審査ほど厳しさはなく、比較的ハードルが低めであるといえるでしょう。
しかし中には断られたというケースも見られるのは、次の5つのポイントにおいて売掛金を買い取ることが難しいと判断されている可能性があります。
- 売掛先の信用力
- 売掛先との取引実績
- 支払期日までの日数
- 売掛債権の金額
- 利用者の経営状況
それぞれの審査におけるポイントについて説明していきます。
①売掛先の信用力
ファクタリングの審査でもっとも重視されるのは売掛先の信用力です。
もちろん、売掛先と利用者との取引の継続性や、他にも様々な要素が審査に影響します。
ただし未回収の恐れがある売掛金は、いずれにしてもファクタリング会社は買い取りません。
そのため売掛先の経営状態が安定しておらず、財務状況なども悪化していれば、期日に売掛金を支払うことは難しいと判断されます。
過去に金融事故など起こしている売掛先であれば、信用力が低いと見られてしまいちがです。
反対に大手企業または国や公共機関などが売掛先の場合は、未回収リスクが低いと判断され審査にも通りやすく、好条件で契約できるでしょう。
②売掛先との取引実績
利用者と売掛先との取引が継続している場合、すでに期日に売掛金が支払われている実績があると判断されます。
しかし契約したばかりで初めて取引をした売掛先の場合、支払い実績がないため期日に売掛金が回収できると確証を持ちにくくなってしまいます。
③支払期日までの日数
売掛先が売掛金を支払う期日までの日数が長い場合、その間に売掛先が倒産してしまわないとは限りません。
売掛先の信用力が十分であれば、それほど大きな影響はないと考えられます。
しかしそうでない場合は、期日まで60日を超える日数がある場合、審査が通りにくくなると考えられます。
④売掛債権の金額
売却する売掛金の金額が少ないと、ファクタリング会社の儲けも少なくなってしまうため、売掛債権額は大きいほうが審査では有利です。
ファクタリングを利用するときには、ファクタリング会社に売買手数料を支払います。
売買手数料にはファクタリング会社の儲け部分も含まれるものの、手続にかかるコストや手間も加味されており、売掛債権額に左右される部分ではありません。
そのため売掛債権額が大きければ、料率に応じた多めの売買手数料を支払うことになるため、ファクタリング会社の利益も増えます。
ただし未回収になった場合のリスクは大きくなるため、売掛先の信用力が高く債権額が大きい売掛金であれば、有利な契約に結び付きやすいと考えられます。
⑤利用者の経営状況
ファクタリングは、利用者が赤字決算の場合や債務超過の状態でも申し込みはできます。
ただし悪化しすぎた経営状態では、審査にとおりにくくなります。
特に2社間ファクタリングで契約した場合、売掛金を回収するのは利用者です。
利用者はファクタリング会社に代行する形で売掛先から売掛金を回収し、その後、ファクタリング会社に回収したお金を渡すことが必要です。
仮に利用者の経営状況が悪化しすぎている場合、回収した売掛金を使い込んでしまう恐れがあるため、ファクタリング会社にとってはリスクの高い取引となります。
そのため、利用者の信用力はファクタリング審査であくまでも重要視されないだけであり、まったく影響がないわけではありません。
ファクタリング審査で断られる主な理由
ファクタリングの申し込み後に行われる審査は、ファクタリング会社独自の基準によるものです。
重視されるポイントから考察すると、ファクタリング利用を断られる理由は次の5つと考えられます。
- 売掛先に問題がある
- 売掛先との取引実績が不十分
- 支払期日まで長い
- 債権額が買取できる範囲にとどまっていない
- 利用者の経営状況が悪すぎる
それぞれどのような理由で断られるのか説明していきます。
売掛先に問題がある
ファクタリングの審査では、利用者よりも売掛先の信用力が重視されます。
そのため審査で断られたというケースでは、次のことが原因として関係していると考えられるでしょう。
- 信用力が低い
- 実在が疑わしい
- 二重譲渡の疑いがある
それぞれ説明していきます。
信用力が低い
売掛先の経営状態がかなり悪化しており、信用力が低いときには売掛金が未回収となるリスクが高くなります。
そのため財務状況が悪化しいる売掛先や、創業したばかりの売掛先は、売掛金の買い取りを断られてしまう可能性が高いといえるでしょう。
実在が疑わしい
ファクタリングに伝えた売掛先が、本当に実在しているか疑わしいときも、買い取りを断られます。
たとえばインターネットに公式サイトなどがない場合や、企業情報などを調べても出てこないケースは、ペーパーカンパニーや休眠会社であると疑われることになります。
近年、実在しない売掛先の債権を売却しようとする詐欺行為も横行しているため、ファクタリング会社も本当に実在する会社の債権か重視しています。
架空請求書を使った実在しない売掛債権の売却は詐欺罪に問われることになるため、絶対に行わないようにしてください。
二重譲渡の疑いがある
すでに別のファクタリング会社に売却した売掛債権を持ち込み、再度ファクタリングに利用しようとする二重譲渡も犯罪行為です。
売掛債権は目に見えない資産のため、誰が持ち主なのか証明しにくいことを狙った犯罪といえます。
その二重譲渡の疑いがある債権は、ファクタリング会社に持ち込んでも買い取りを拒否されます。
売掛先との取引実績が不十分
売掛先との取引が長年続いている場合は、今後も売掛金が期日に支払われると判断されやすくなります。
しかし契約したばかりの場合や、取引実績が十分でない場合、信頼度が低いとみなされ、審査で断られてしまう可能性は否定できません。
支払期日まで長い
売掛金が支払われるまでの日数が長いと、その期間中に売掛先が倒産するリスクもあるため、買い取りを断られてしまう可能性があります。
できるだけ支払期日まで短い売掛金のほうが審査は通りやすくなるものの、信用力の高い売掛先であればその限りではありません。
まずはファクタリング会社に問い合わせてみるとよいでしょう。
債権額が買取できる範囲にとどまっていない
ファクタリング会社によっては、買い取りできる売掛債権に、下限や上限を設けている場合があります。
保有する売掛債権が、ファクタリング会社の取り扱い可能とする金額の範囲にとどまっていなければ、買い取りを断られてしまいます。
利用者の経営状況が悪すぎる
先にも述べたとおり、ファクタリングの審査では売掛先の信用力が重視されますが、利用者の信用力がまったく影響しないわけではありません。
利用者の経営状況があまりにも悪化しすぎていれば、ファクタリング会社にとってリスクの高い契約となります。
断られてしまう可能性があると留意しておいてください。
ファクタリング審査の通過率を上げる方法
ファクタリングを利用して資金を調達するためには、ファクタリング会社の行う審査に通過しなければなりません。
そこで、ファクタリング審査の通過率を上げるために、次の5つをポイントとして押さえた上で申し込みを行うようにしましょう。
- 信用力の高い債権を選ぶ
- 取引実績の高い債権を選ぶ
- 支払期日まで短い債権を選ぶ
- 買取可能な範囲を確認しておく
- 人柄を認めてもらえる服装や話し方を意識する
それぞれのポイントについて説明していきます。
信用力の高い債権を選ぶ
安定した経営を続け、過去に金融事故など起こしていない売掛先の債権であれば、ファクタリング会社も安心して買い取りができるため審査の通過率は高くなります。
取引実績の高い債権を選ぶ
初回取引の売掛先などは、取引実績が足らずファクタリング審査で断られる可能性も否定できません。
本来は優良な売掛債権と考えられるのになぜか審査で断られたというケースでは、成因資料が不足している可能性があります。
請求書だけでなく、基本契約書・取引契約書・発注書・受注書など、できるだけ多くの資料を準備した上で審査を受けるようにしてください。
支払期日まで短い債権を選ぶ
できるだけ支払期日までの日数が短い売掛債権のほうが、ファクタリング審査では通りやすくなります。
買取可能な範囲を確認しておく
少額債権を複数保有しており、ファクタリングで現金化したいと考えていても、買取可能とする債権の下限に満たない場合には審査で断られてしまいます。
事前にファクタリング会社の買取可能な売掛債権額の範囲を確認した上で、ファクタリングを申し込むようにしましょう。
人柄を認めてもらえる服装や話し方を意識する
ファクタリングは目に見えない債権を取り扱う信用取引により成り立つ契約です。
「印象」は想像以上に大きなポイントとなるため、社会人として常識的な対応を心がけることは大切といえます。
人柄など好印象を与えることのできる誠実な姿勢を心がけましょう。
まとめ
ファクタリングを利用した資金調達では、申し込み後に行われるファクタリング会社の審査に通過することが必須となります。
ただ、ファクタリング審査の基準はファクタリング会社によって異なるため、何を重視した審査内容になるのか事前に把握しておきましょう。
申し込み後に断られたという事態に陥らないためには、事前の対策をして申し込むことが大切です。
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