銀行系ファクタリングの特徴とは?メリット・デメリットを詳しく解説!

ファクタリングには親会社や運営主体により様々な種類があり、その中の1つが「銀行系ファクタリング」です。銀行系ファクタリングは、銀行やそのグループ会社が提供しているファクタリングサービスであり、利用を検討している方もいるのではないでしょうか。

銀行系ファクタリングは、他のファクタリングサービスにはないメリット・デメリットがあります。それぞれを理解したうえで利用するのが重要です。

今回は、銀行系ファクタリングの特徴とメリット・デメリットについて詳しく解説します。

銀行系ファクタリングの特徴

資金を調達する方法として周知されつつある「ファクタリング」ですが、サービスとして提供する「ファクタリング会社」には次の3つの種類があります。

銀行系    銀行またはそのグループ会社
ノンバンク系 消費者金融など貸金業者
独立系    ファクタリングサービスを専門とする業者

この中で「銀行系」は、銀行またはそのグループ会社などがファクタリングサービスを提供していますが、銀行が出資しているファクタリング専門子会社なども銀行系に含まれます。メガバンクはもちろん、地方銀行なども手掛けています。

近年、国も中小企業に対して資金調達に銀行融資に頼らず、売掛債権を流動化させることを推奨しています。

そのため銀行などもファクタリングをサービスとして提供することに積極的になったといえますが、やはり銀行本体は融資がメイン業務ですので、銀行本体がファクタリングを行うというよりは、子会社や資本関係のあるファクタリング会社や系列の貸金業者と役割を分担しているケースがほとんどです。

 

銀行系ファクタリングのサービスの種類

銀行が手掛けるファクタリングには、大きく保証型と買取型2つに分類されます。

そのなかにもさらに5つの種類があります。

保証型

国際ファクタリング(貿易取引先倒産保証)

「国際ファクタリング」とは輸出企業の債権回収に活用できるサービスで、

国内輸出業者(利用者)
海外輸入業者(売掛先)
国内ファクタリング会社
海外ファクタリング会社(取引に加わらない場合あり)
の4者(または3者)で取引することが特徴です。

売掛先である海外輸入業者の債務不履行や倒産などで売掛金が回収不能になることに備えて利用されることが多いといえます。

保証ファクタリング(売掛債権倒産保証)

「保証ファクタリング」とは、売掛先の与信管理が可能となるサービスで、売掛債権の一定割合を保証料として負担する代わりに、売掛金全額が保証されます。銀行が与信を調査し、契約が締結できれば、もし万が一、売掛先の倒産などにより売掛金が回収不能になった場合でも、貸倒リスクを回避できます。
なお、保証ファクタリングは倒産保険のようなサービスですが、損保会社でもこれと同じような機能を持つ「取引信用保険」を取り扱っています。ですので、銀行系の保証型ファクタリングを利用する場合、損保会社の取引信用保険からも情報を取り寄せ、保証料(保険料)、保証の上限額などを比較してから選択するのが良いと言えるでしょう。

 

買取型

 一括ファクタリング

「一括ファクタリング」とは、次の3社で事前に契約を結んでおき、任意のタイミングで金融機関が売掛債権を一括で買い取り、期日に銀行から振込があり現金化するというサービスです。

利用者(債務者)
売掛先(債権者)
金融機関
買取ファクタリングと仕組みは同じであるものの、通常は「手形」の代用として使用されることが多く、手形発行で問題となる手続の煩雑さや印紙税などの負担をなくした決済方法です。
また、契約の主体が利用者ではなく売掛先であることも特徴で、売掛先が先に契約を交わします。

 

 でんさいファクタリング

でんさいファクタリングは、一括ファクタリングとでんさいを組み合わせたサービスで、手形などの印紙代の削減による決済事務の合理化、さらに事務の負担軽減などができます。仕入先企業の資金調達手段としての活用ができます。

 

 3社間ファクタリング

「3社間ファクタリング」とは、利用者とファクタリング会社だけでなく、「売掛先」も契約に関与するファクタリングです。

ファクタリング会社に売掛債権を譲渡することについて、売掛先に伝え承諾を得ることが必要となります。

売掛金は、売掛先からファクタリング会社に直接支払いが行われるため、使い込みなどのリスクはないため手数料は割安に設定されることがメリットです。

本当に売掛債権が発生しているのか、ファクタリング会社から売掛先に確認することもできるため、ファクタリング会社にとっては安心して契約を結ぶことができるファクタリングといえます。

 

銀行系ファクタリングのメリット

銀行やそのグループ会社または子会社などがサービスとして提供することが「銀行系ファクタリング」の大きな特徴です。
また取り扱っているファクタリングサービスの種類がその他のファクタリング会社に比べると豊富なことが多いです。

知名度の高い銀行やその系列会社によるサービス提供のため、ファクタリングという資金調達方法をよく理解していない方にとっても、安心して利用しやすいといえるでしょう。

銀行系ファクタリングで資金を調達することのメリットとして挙げられるのは、主に次の4つです。

  1. 高い信頼性の金融会社と契約できる
  2. 手数料が割安
  3. 他系列では扱いにくいサービスも提供される
  4. 大口債権に対応している

それぞれのメリットについて説明していきます。

①高い信頼性の金融会社と契約できる

銀行系ファクタリングの一番のメリットとして挙げられるのは、やはり信頼性の高い金融会社と契約できることです。

銀行やその系列会社が運営している金融会社のため、安心してファクタリングサービスを利用できます。

貸金業者系ファクタリングも市場に参入していますが、銀行系と比較しますと、少し手数料が割高になる傾向があります。

独立系の場合はさらに悪徳業者が横行しやすい環境のため、信頼できるファクタリング会社かそうでないかの見極めが重要となります。

しかし銀行系ファクタリングであれば、違法業者や怪しい業者などが関わることがなく、悪徳業者に騙されるリスクは全くないといえるでしょう。

②手数料が割安

銀行系ファクタリングは、サービスを利用するときに発生する「買取手数料」も割安であることがメリットです。

多くが利息制限法の上限金利内で手数料が設定されており、100万円以上の場合、年15%の買取手数料(又は利息)で設定されており、債権額面ベースとてし計算した手数料率は、05%~1.25%と非常に低い手数料率です。
これは財務基盤が確保できている銀行ならではともいえます。

さらに、利用者や売掛先がその銀行と取引している場合は、過去の入出金履歴などの情報を保有しているため、本当に売掛先と継続した取引があるのか、毎月どのくらいの売掛金が発生しているかなどの情報が確認しやすく、少しでもリスクが高いと判断した場合は、原則、取り扱わないなど、利用者を厳選していることも買取手数料を引き下げることができる理由といえるでしょう。そのため、銀行系ファクタリングは、手数料が低い分、審査は厳格に行われるということになります。

③他系列では扱いにくいサービスも提供される

独立系ファクタリングでは扱いにくいサービスとして挙げられるのが「保証型ファクタリング」です。

保証ファクタリングは通常のファクタリングと異なり、万一売掛金が回収できなかったときに保証するサービスですが、銀行系ファクタリングであれば利用できます。
その内のひとつに建設業に特化した下請債権保全のサービスがあり、手形を含む債権を銀行系のファクタリング会社が支払いを保証します。工事請負代金の未回収のリスクヘッジに活用できます。

利用者と売掛先が共倒れしないように、国から助成金も交付されるなど銀行系ファクタリングが積極的に利用を勧めているサービスです。

また、「国際ファクタリング」など貿易事業者向けのファクタリングも大手銀行出資のファクタリング会社が取り扱います。

④大口債権に対応している

銀行系ファクタリングの多くは、豊富な資金力があるため大口債権に対応しています。数億円単位で売掛債権を売却することもできます。

貸金業者系ファクタリングや独立系ファクタリングは、売掛債権の限度額を設けているケースが多いです。一般的には数千万円が上限であり、1億円以上の売掛債権の買取は難しい場合が多いです。

数億円単位で資金調達をする必要がある場合は、銀行系ファクタリングがおすすめです。

銀行系ファクタリングのデメリット

社会的な信用も高いことが特徴の銀行系ファクタリングなら、安心してファクタリング契約を結ぶことができることは大きなメリットです。

ただしファクタリングに注目している中小企業の多くは、資金調達までのスピードや審査のハードルの低さなどに魅力を感じていることがほとんどですが、銀行系ファクタリングの場合はその限りではありません。

そのため中小企業の場合は特に、次の4つのデメリットには注意した上で銀行系ファクタリングを選ぶようにしましょう。

  1. 2社間ファクタリングは利用できない
  2. ファクタリング利用情報が親会社と共有される
  3. 審査に時間がかかる
  4. 審査の難易度が高い

それぞれのデメリットについて説明していきます。

①2社間ファクタリングは利用できない

銀行系ファクタリングの最大のデメリットといえるのは、独立系ファクタリングが得意とする「2社間ファクタリング」に対応していないことです。

「3社間ファクタリング」のみの取り扱いとなっており、原則、売掛先に債権譲渡通知を送達するか、債権譲渡登記などが必須とされます。

そのため売掛先にファクタリングで資金を調達することを伝え、協力してもらえるように依頼しなければ、サービスを利用することはできません。

中小企業の場合、一定の売掛先に取引を依存しているケースも少なくないため、売掛先にファクタリングを利用する事実を伝えることは、資金繰りに厳しい会社とみなされ、その後の取引に影響を与えることになりかねないでしょう。

「2社間ファクタリング」で資金を調達したいなら、銀行系ファクタリングではなく
独立系ファクタリングを選ぶことになります。

②ファクタリング利用情報が親会社と共有される

銀行系ファクタリングの場合ファクタリングの利用情報が親会社である銀行やグループ会社間で共有される可能性があります。
ファクタリングの利用は、銀行が融資先に対して評価する信用格付けにも悪影響を及ぼすることがあり、直近で銀行から融資を受けることを考えているのなら、ファクタリングの利用が融資審査にマイナスに働く可能性がありますので留意が必要です。

例えば、当面、銀行融資を受ける予定がない時期に、スポット的な利用なら大きな影響はないと思われます。

しかし、継続したファクタリングによる資金調達を検討しているのなら、ファクタリングの利用情報が共有されないよう(融資審査に影響しないよう)銀行系以外のファクタリング会社を選んだほうが賢明な選択の場合もあります。

③審査に時間がかかる

銀行系ファクタリングは、審査にかかる時間は他の系列のファクタリングよりはかなり長くなります。

たとえば独立系ファクタリングの場合、早ければ即日現金化も可能などスピーディな対応が魅力ですが、銀行系ファクタリングは3社間ファクタリングのみの扱いのため一定の時間がかかります。

申し込みから入金まで、短くても1週間前後、長ければ2〜3週間はかかると留意しておいたほうがよいでしょう。

急いで資金を調達しなければならない場合には、2社間ファクタリングを利用したほうが審査時間が短いので、早さを求めるなら独立系ファクタリングがよいといえます。

④審査の難易度が高い

もともとファクタリングは、お金を借りて資金を調達する方法よりも審査のハードルが低いことがメリットですが、銀行系ファクタリングは審査の難易度が、圧倒的に高めいといえます。

なぜなら銀行系ファクタリング償還請求権付きファクタリングが原則のため、資金の貸し付けと同様に売掛先だけでなく利用者の信用度も審査の対象となるからです。
一方で、独立系ファクタリングは、利用者の信用度はそれほど重視しないことから、銀行系ファクタリングよりも審査の難易度は低くなります。なお、貸金業者系ファクタリングも利用者の信用度について、銀行系ほど厳格ではありませんが審査対象としております。ですので、審査の難易度の高さは、「銀行系」>「貸金業者系 」>「独立系」という順序になります。

銀行系ファクタリングや貸金業者系ファクタリングの場合、利用者の信用度も審査の対象となる説明しましたが、信用度を計るものの一つとして、個人信用情報の照会があります。いわゆる借入に関する残高や返済履歴の情報で、この内容も審査に影響します。なお、独立系ファクタリングでは個人信用情報の照会は行われません。
ですので、個人信用情報に自信がない場合は独立系ファクタリングを選んだほう審査は通りやすいのは間違いありません。

銀行系ファクタリングを利用した方が良いケース

様々なメリットがある銀行系ファクタリングですが、その反面、独立系ファクタリングなどでメリットといえる部分が銀行系では活かされにくいといえます。

そのため銀行系ファクタリングを選んだほうがよいケースと考えられるのは、次の4つといえるでしょう。

  • 売掛先がファクタリングに協力してもらえる
  • 審査に時間がかかっても問題がない
  • 継続利用ではなくスポット的に資金が必要
  • 融資を受けることもできるが負債を増やして決算書の見栄えを悪化させたくない

反対に次の4つのケースでは、銀行系ファクタリングは向いていないといえます。

  • 売掛先にファクタリング利用を知られたくない
  • すぐにでも資金を調達したい
  • 期間を決めてファクタリングを利用し資金繰りを改善させたい
  • 赤字決算や債務超過で融資審査に通らない

自社の状況やニーズに合った資金調達を実現させるため、銀行系または貸金業者系か、それとも独立系か選ぶようにしましょう。

銀行系ファクタリングの注意点

銀行系ファクタリングには、以下の4つの注意点があります。

  1. 原則、償還請求権付きの契約になる
  2. 小口債権は原則、取り扱わない
  3. 個人事業主は原則、取り扱わない
  4. 今後の融資に影響を及ぼす可能性がある

それぞれの注意点を詳しく解説します。

原則、償還請求権付きの契約になる

償還請求権とは、売掛先から売掛金を回収できなかった際に、ファクタリング会社が利用者に売掛金の買戻しを請求できる権利です。
銀行系ファクタリングの場合、この償還請求権付きの契約を原則としています。
なお、独立系ファクタリングは、償還請求権なしの契約になっています。

独立系ファクタリングであれば、売掛先から売掛金を回収できなかった責任を利用者が負うことはありません。しかし、銀行系ファクタリングの場合は、償還請求権付きの契約が原則ですので、売掛金が未回収となれば、買戻しを請求されます。

小口債権は原則、取り扱わない

銀行系ファクタリングは、数千万円から数億円単位の大口債権の買取を前提としており、例えば、数百万円、数十万円などの小口債権で利用するのは難しいです。

小口債権でのファクタリングを検討している方は、小口債権をメインとする独立系ファクタリングを利用するのがおすすめです。

個人事業主は利用しづらいケースが多い

個人事業主でファクタリングの利用を考えている方は、独立系ファクタリングの利用をお勧め致します。ただし、独立系ファクタリングの中でも、法人のみを対象としている業者もありますので、事前に業者のホームページで申し込みができるか確認しておきましょう。

今後の融資に影響を及ぼす可能性がある

行系ファクタリングは、銀行もしくは銀行の子会社が提供しているファクタリングサービスです。ファクタリングを利用した情報は、銀行内で共有される場合があります。

そのため、銀行系ファクタリングを利用していると、銀行から融資を受ける際に「資金繰りが厳しい会社」と判断され、審査に通りづらくなる可能性がありますので留意が必要です。

まとめ

大企業にとっては魅力的なサービスである一方で、中小企業や個人事業主の方には利用しにくいサービスといえます。

数百万円又は数千万円単位で資金調達を行う場合は、審査基準も緩やかで、迅速に資金調達ができる独立系ファクタリングが断然お勧めです。どのファクタリング会社に相談するべきか迷った際は、ぜひPMGにご相談ください。

PMGはファクタリングを利用したことのない方にも、親切・丁寧に対応しています。ご契約頂く前にファクタリングに関する説明を行ったうえで、ご理解、ご納得を頂いてから契約を進めているため、安心してご利用いただけます。

PMGでは、ファクタリングだけでなく、経営や資金繰りの改善に関する様々なアドバイスも行っています。お気軽にPMGにご相談ください。