ファクタリング取引に消費税はかからない3つの根拠を徹底解説

資金を調達するときにファクタリングを利用したいけれど、「消費税」がかかる取引なのだろうかと疑問を感じることはありませんか?

消費税の「課税対象」となるのは、国内で事業者が事業として対価を得て行う資産譲渡などですが、売掛金を現金化するファクタリングも含まれるように感じられることもあるでしょう。

しかし結論からお伝えすれば、ファクタリング取引に消費税はかかりません。

そこで、ファクタリング取引に消費税が課税されないその「根拠」について、詳しく解説していきます。

「消費税」とは

消費税とは、商品や製品などの販売やサービスの提供などに対し、公平に課税される税金です。

負担するのは消費者で、納めるのは事業者となる、納税者と担税者が同一でない「間接税」でもあります。

消費者から支払われた消費税を事業者が一定期間預かり、最終的に事業者が納税者となって期限までに納める仕組みであるため、消費税の仕組みを理解していないと非常にわかりにくいともいえます。

消費税はすべての取引に対し課税されるのではなく、消費税がかからない「不課税」「非課税」「免税」の3つの取引もあります。

消費税がかかる「課税取引」は、次の4つの条件をすべて満たす取引です。

  • 日本国内で行うもの取引
  • 事業者が事業として行う取引
  • 対価を得て行う取引
  • 資産の譲渡・資産の貸付・役務の提供である取引

ファクタリング取引は、この課税取引には含まれず、消費税はかからないとされています。

「ファクタリング取引」と「手数料」に消費税はかからない3つの根拠

ファクタリング取引と取引で発生する手数料に消費税はかかりません。

そもそもファクタリングによる資金調達は、保有する売掛金をファクタリング会社に譲渡し、買取代金が支払われる売買取引です。

先に述べた「課税取引」のうち、資産の譲渡に該当するのなら、消費税はかかるのではないかと考える方もいることでしょう。

確かに売掛金は資産である売掛債権の1つであり、売掛債権を売買する取引ではありますが、消費税の課税対象とはされていません。

そのため売掛債権を譲渡する取引であるファクタリングも「非課税取引」に該当する取引であり、ファクタリング会社が受け取る「手数料」や売掛金の売却代金についても、消費税はかからないといえます。

ファクタリング取引と、手数料に消費税がかからないとされる「根拠」を次の通り説明していきます。

  1. 「ファクタリング取引」は消費税が非課税である根拠
  2. 「手数料」に消費税がかからない根拠
  3. 「ファクタリング取引」と「手数料」に消費税がかからない根拠

「ファクタリング取引」は消費税が非課税である根拠

なぜファクタリング取引に消費税はかからないのか、その根拠として挙げられるのが国税庁の公式ホームページにある「非課税となる取引」です。

国税庁は「非課税となる取引」の概要として、次のように記載しています。

消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う取引を課税の対象としています。
しかし、これらの取引であっても消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、課税しない非課税取引が定められています。

さらに「非課税取引」として17の取引を列挙していますが、ファクタリングによる売掛債権の譲渡は、2つ目の「有価証券等の譲渡」に該当します。

「有価証券等の譲渡」について、

国債や株券などの有価証券、登録国債、合名会社などの社員の持分、抵当証券、金銭債権などの譲渡
ただし、株式・出資・預託の形態によるゴルフ会員権などの譲渡は非課税取引には当たりません。

と記載されており、金銭債権などの譲渡に売掛債権も含まれると考えられます。

「手数料」に消費税がかからない根拠

ファクタリングで売掛金を現金化すると、ファクタリング会社に対し「手数料」を支払いますが、この手数料にも消費税はかかりません。

手数料に消費税が課税されない根拠は、同じく国税庁の公式ホームぺージの「預金や貸付金の利子など」に記載されています。

「預金や貸付金の利子など」の概要として、次のように記載があります。

消費税は、財貨やサービスの流れを通して消費に負担を求める税です。したがって、消費税の課税の対象になじまない資金の流れに関する取引などは非課税とされています。

さらに、何を対価とした金融取引が非課税とされるのか20の項目が記載されており、その中の「手形の割引料」にファクタリング手数料は含まれると考えられるでしょう。

ファクタリングと似た取引として、同じ売掛債権を現金化する「手形割引」があります。

「手形割引」は、売掛金と同様に手形の支払期日まで待たず、銀行や手形割引業者に譲渡することで現金化する資金調達の方法です。

手形を買取る銀行や手形割引業者は、手形の額面金額から「割引料」を差し引いた残りを手形所持者に支払います。

このとき、「割引料」に消費税はかからないため、ファクタリングで支払う「手数料」にも消費税はかからないと判断できます。

「ファクタリング取引」と「手数料」に消費税がかからない根拠

ファクタリング取引と手数料、それぞれに消費税がかからない根拠を説明しましたが、これら2つが消費税の課税対象ではないことは、国税庁の公式ホームページにある「金銭債権の買取り等に対する課税関係」にも記載されています。

「金銭債権の買取り等に対する課税関係」には、売掛金や貸付金などの金銭債権を譲渡する取引や、そのとき発生する手数料についての取り扱いに関する照会内容が記載されています。

照会内容に対する回答は以下のとおりです。

  • 契約上、金銭債権の譲受けなら金銭債権の譲受対価として非課税となる
  • 金銭債権の譲受けの際に債権者から徴収する割引料・保証料・手数料は、名目にかかわらず金銭債権の譲受対価として非課税となる

この2つの回答からわかるように、ファクタリング取引と手数料はどちらも消費税がかからないと判断できます。

ファクタリング取引で消費税が発生するケース

ファクタリング取引と手数料に消費税はかからないため、余計な税金を納めることなく資金調達できることが確認できたことでしょう。

しかしファクタリング取引を進める中で、消費税がかかってしまうケースも中にはあります。

消費税がかかるケースとは、次の手続があるときです。

  1. 「債権譲渡登記」が必要なとき

なぜ消費税がかかるのか、詳しく説明していきます。

「債権譲渡登記」が必要なとき

ファクタリングで資金調達するとき、「債権譲渡登記」は必ずしも必要になる手続ではありません。

しかし、2社間ファクタリングで契約するとき、ファクタリング会社によっては債権譲渡登記を求められることがあるため、その際は費用の一部に消費税が課税されます。

ファクタリングには次の2つの契約方法があります。

  • 利用者とファクタリング会社の2者で契約する「2社間ファクタリング」
  • 利用者とファクタリング会社、さらに売掛先の3者で契約する「」3社間ファクタリング」

このうち、債権譲渡登記は主に「2社間ファクタリング」で求められる手続であり、ファクタリング会社が債権を保全する目的として必須としている場合があります。

債権譲渡登記を行っておくことで、ファクタリング取引後に第三者から売掛金の所有権を主張された場合でも、ファクタリング会社は債権の所有者であることを主張できるようになるため求められることもある手続です。

ただ、債権譲渡登記を行う場合、登記費用として次の費用を支払います。

  • 登録免許税(1件につき7,500円または1万5,000円)
  • 司法書士に対する報酬(5万円から10万円程度)

上記の費用はすべて利用者が負担しますが、司法書士に対する報酬は消費税の課税対象です。

消費税を請求してくる悪徳業者には注意

仮にファクタリング会社に見積もりを依頼したとき、消費税が加算されていたときはどうすればよいのでしょう。

まず、原則、ファクタリング取引や手数料には消費税はかからないため、消費税を加算した見積もりを提示してくる業者は悪徳業者と判断できます。

ファクタリングで資金調達を希望する方の中には、すぐにでもお金が必要という切羽詰まった状況にある方もいます。

急いでお金を準備しなければならないという状況を利用し、不要な消費税を加えて提示してくる業者と契約してしまうと、消費税だけでなく割高な手数料や使途不明な費用まで請求されることになってしまうでしょう。

ファクタリングで資金調達するときには、正規の業者を通しても手数料が発生します。

銀行から融資を受けるときよりも決して割安とはいえないコストがかかるため、さらに余計な費用を請求されてしまえば、本来受け取ることができたはずの売掛金を大きく目減りさせてしまいます。

そのためファクタリング会社から提示された見積もりや請求書の中に、消費税の項目が記載されていた場合には、すぐに取引を中断するようにしてください。

まとめ

ファクタリング取引と手数料に消費税がかからない理由について解説しました。

国税庁の公式ホームページにも、ファクタリング取引と手数料が非課税である根拠について記載があるため、不安なときには確認しておくとよいでしょう。

ファクタリング契約を結ぶ上で「債権譲渡登記」が必要になった場合、司法書士に対して報酬を支払うことが必要になりますが、その費用には消費税がかかるため注意してください。

そもそもファクタリング取引において、司法書士報酬以外で消費税を請求してくる業者は悪徳業者である危険性が高いといえるため、以上を理解した上で契約を結ぶファクタリング会社を選ぶようにしましょう。

正しい消費税の知識を身につけておけば、ファクタリングで資金調達するとき以外にも、余計な費用を支払わずに済みます。

ファクタリングを有効な資金調達の手段とするためにも、悪徳業者に騙されないように注意しましょう。