過剰な負債で資金繰りが厳しい状態が続き、ついに破綻し倒産という結果になっても、会社を存続させ再建を目指す手続もあります。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で会社が倒産してしまったものの、本当は再建をあきらめたくない経営者も少なくないはずです。
倒産といえば資産を売って債務の一部を弁済し、会社を消滅させる清算型倒産手続が一般的に知られています。
しかし会社を存続させ再建を目指す「再建型倒産手続」もあるため、あきらめる必要はありません。
会社の「倒産」には2つの種類がある
会社の「倒産」には、「清算型倒産手続」と「再建型倒産手続」があります。
大きく異なる点は、手続後に会社を残すことができるかという部分であり、「再建型倒産手続」なら会社を残すことができます。
清算型倒産手続
倒産した会社の資産はすべて回収・売却され、換金された資金で債務の一部が支払われ、会社は消滅します。
破産手続や特別清算手続と呼ばれるのが清算型倒産手続です。
再建型倒産手続
会社または裁判所が選任した管財人が再建計画を立て、債権者から計画に対する同意を得ることができれば、その内容に従い弁済していく手続です。
債務免除額・支払期間・支払方法などが再建計画に盛り込まれることになります。
会社更生手続・民事再生手続・特定調停手続などが再建型倒産手続として挙げられます。
再建型倒産手続はどの会社でも利用可能か
再建型倒産手続で会社を再建できれば…と考える企業もあるでしょうが、実際に利用するには高いハードルを乗り越えることが必要となります。
クリアしなければならない条件は主に次の3つです。
早期に黒字化できる
再建型倒産手続は債務の弁済が免除される手続ではなく、たとえ大幅にカットしてもらえた場合でも、カットされた後の債務の返済を続けることになります。
そのため早期に事業を黒字化できる見込みがなければ、返済に充てる原資を生み出すこともできないため、手続を取ることは認められないでしょう。
手続にかかる費用を負担できること
再建型倒産手続を行うときには、弁護士だけでは公認会計士なども関与することになるため、専門家に支払う報酬負担が大きくなりがちです。
また、民事再生手続を選ぶと裁判所に数百万円単位で予納金を納めることになります。
それに加え、ある程度の運転資金を確保していなければ業務を継続することは難しいため、これらの資金の準備ができなければ手続は困難です。
税金・社会保険の滞納額が多くを占める
銀行からの融資などの借入金や仕入債務など、一般的な債務は手続により大幅に債務免除してもらうこともできます。
しかし免除とならない税金や社会保険料を滞納しており、未払い分の多くを占める場合には再建型倒産手続で再建を図ることは難しいと考えられます。