債務超過とは、会社の資産総額を上回る負債総額がある状態を指していますが、M&Aを検討している場合には不安な状況です。
もし自社がM&Aにより会社を買収しようとしていたら、債務超過の企業を購入したいと考えるでしょうか。
買い手側企業は、M&Aで購入する会社の財務状況を重視することは当然のことですが、債務超過で事業継続が難しいからこそ売りたいと考えることもあるでしょう。
そこで、M&Aで会社を買い取ってもらいたい場合、債務超過では売却できなくなるのかご説明します。
中小企業経営者向け!

債務超過か確認する方法とは?
まず自社が債務超過か知りたいなら、決算書の貸借対照表(B/S)から確認してみましょう。
貸借対照表の左側が「資産」、右側は「負債」の記載があります。
資産には、現金・預金・売掛金・不動産・機械・設備など、負債には借入金・買掛金などが記載されているはずです。
資産はお金になる財産であり、負債は支払う借金とすると、債務超過は財産よりもすでに借金が上回っている厳しい状況をあらわします。
債務超過には2つの種類が
実は債務超過にも「簿価債務超過」と「時価(実態)債務超過」という種類があります。
「簿価債務超過」の場合には帳簿上の純資産でみたときに債務超過となっているのに対し、「時価(実態)債務超過」は時価純資産でみた場合の債務超過です。
たとえば不動産や有価証券などの資産は、購入したときと売却するときには価値が異なります。
そこで、簿価債務超過ではなく時価)実態債務超過かを判断することになります。
債務超過ではM&Aによる売却は困難
債務超過の状況にある場合、単純な「純資産」の計算だけでは売却が難しく見えるのは事実です 。
しかし、M&Aの現場では、優秀な人材や独自の技術、ノウハウといった「のれん(営業権)」が負債を上回る価値として評価されれば、成約の可能性は十分にあります 。
買い手は、自社でゼロから立ち上げる「時間をお金で買う」ために買収を検討するからです 。
さらに購入後、経営を続ける上で重大な問題が発生する可能性も不安視されます。
たとえば帳簿には記載のない保証債務や訴訟リスクなどがあれば、購入後に結局事業を続けることはできなくなるからです。
ただし債務超過でもM&Aが可能になるケースはある!
時価(実態)債務超過の場合、もう会社をM&Aで売却することは難しいのか…と考えてしまいがちです。
しかし容易とはいえないものの、中にはM&A が可能になるケースもあります。
可能になるケースとは、まず債務超過が営業赤字ではない場合で、将来の会社評価を基準とし営業権に評価が出る場合です。
営業権の評価を加味し、債務超過としない方法であればM&Aで売却が可能となることも考えられます。
ただ債務超過の原因が積もり積もった赤字であるのなら、収益性が見込めず営業権の評価は出ないため、この方法は使えません。
また複数ある会社の事業の中で優良事業のみを売却するのであれば、対象となる事業の資産や経営資源は値段がつくはずなので、M&Aで買い取ってもらえる可能性はあります。
ただしこの場合には良い部分のみ売却することとなるため、さらに債務超過が深刻になった状態の会社を残すことになります。
こうした手法は法的整理(民事再生等)の文脈で語られがちですが、実際には、法的整理に至る前に「自社と組むことで大きなシナジー(相乗効果)を見込める買い手」を早期に見つけることが最善策です 。自力での改善が難しくても、大手グループの傘下に入ることで、「赤字や債務超過の状態からわずか1年で黒字転換」して会社と従業員を守り抜いた実例も多く存在します 。
債務超過に陥る前の対策が重要に
もし債務超過だとしても、人材や技術、将来の収益性などが評価されれば買い手企業は見つかる可能性もあります。
ただ、基本的には業績や資金繰りが悪化して債務超過に陥るよりも前に、それらが悪化している要因は何なのか洗い出し改善させておくことが必要です。
もし将来的にM&Aを見据え経営しているのなら、魅力的な経営資源と事業を作っていくことが大切になるといえます。
企業価値(株価)に最も影響を与えるのは、売上規模ではなく『営業利益』と『純資産』です 。将来的にM&Aを検討しているなら、まずは売上を追うことよりも、不必要な私的経費を削減し、少しでも本業で利益が出る体質(正常収益力)に整えておくことが、価値を高める一番の近道となります 。
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