売掛金の回収は個人事業主や中小企業にとっては頭の痛い問題です。
売掛金を持っていたとしても回収できなければ意味がありません。資金難に陥ってしまう可能性もあるのです。
今回は売掛金の回収が遅れたケースについて、遅延損害金は発生するのか、ということをテーマに解説します。
遅延損害金が発生するのであれば、売掛金の回収が遅れるというケースについても全く旨味がないわけではありません。
また遅延損害金が発生する場合には、どの程度の年率になるのかも明らかにします。
遅延損害金が発生する
売掛金については、約束された決済日までであれば利息は一切つきません。
しかし決済日を過ぎても支払いが行われなかった場合には、遅延損害金の対象となるのです。売掛先は遅延損害金を支払わなければなりません。
そもそも売掛金は債権です。
債権は支払期限が定められているものであり、前もって取り決めがなかったとしても遅延損害金を付けて請求する権利があります。
本来入金されるべき日に入金されなかったわけです。会社としては売上の回収ができなかったことで経営に大きな負担が出てきてしまうかもしれません。
遅延損害金は罰則のようなものでもあるのです。
遅延損害金の年率はどの程度か?
- 前もって取り決めがある場合はその年利が設定される
- 取り決めがなかった場合には年6.0%が設定される
上記のいずれかの年利が設定されることになります。
前もって取り決めをしている場合には、その利息率が発生することになります。
しかしほとんどのケースでは売掛期の遅延損害金は決めていないでしょう。
そのような場合であったとしても遅延損害金は発生します。年6.0%が設定されることになり、元金とともに回収できるわけです。
遅延損害金が1年分を超えると元本に組み込むことが可能
返済が遅れ遅延損害金が発生してから1年が経過すると元本に組み入れることが可能です。要は1年毎に利息にも利息がつくようになるのです。
遅延損害金がつく売掛金は回収できない可能性あり
そもそも遅延損害金がついているということは、もはや相手の企業に返済能力がない、ということも考えられるわけです。
いつまで待っていても入金される可能性は限りなく低いでしょう。
そういった状況になる前にファクタリングなどの対策を立てることをおすすめします。
売掛金等債権を回収する方法
売掛金などの債権を回収することにおいて、ただ純粋に請求をすることも必要ですが事案によっては債権譲渡、または権者代位権の行使といった方法も検討しましょう。
債権譲渡
債権者が債務者に対する請求権を、内容は変更せずに債権者の地位だけ移転するという方法です。債務者や他第三者に対抗するためには、債権譲渡した側から債務者に確定日付のある通知、もしくは債務者から譲渡を承諾した通知が必要です。
債権者代位権の行使
債権者が債務者の権利を債務者自身に代わって代位する権利です。債権者は債権を保全するため、裁判所の手続きや債務者から許可を得なくても債務者の所有する財産の所有権や債権などを代わりに行使することができます。
相殺
取引先と互いに債権、債務関係にあるなど反対債権を有している場合には、一方的な意思表示で対当額の範囲で相殺をすることができます。互いに業務委託や受発注の取引がある場合には現金の動きを伴わず取引が可能です。
債権の補強も必要
継続的な取引により、途中で取引を打ち切れない場合などは期限の利益の喪失などを通知して、担保や保証人の提供を促し債権を強化しましょう。
売掛金の債権回収で注意したいこと
売掛金などの債権回収には、遅延損害金や時効の確認、また、回収方法を選択するといった色々なことを総合して考えて行く必要があります。
後で回収が不能となり、連鎖的に影響を受けてしまわないためにも早めに手を打っていくことが必要です。