売掛金と消費税の仕訳方法とは?税込と税抜の発生と回収の会計処理を解説

売掛金の仕訳処理は、消費税の取り扱いにも注意が必要です。

消費税を納めなければならない課税事業者は、売掛金の発生から回収、納税まで正しい金額で仕訳処理を行う必要があります。

仕訳処理については、消費税の税込経理方式と税抜経理方式の違いによって、売掛金の処理方法も異なることを理解しておきましょう。

そこで、売掛金と消費税の仕訳方法について、税込経理方式と税抜経理方式、それぞれの発生と回収の会計処理を解説していきます。

売掛金と消費税の関係

税金を納める人たち

「売掛金」とは、商取引で販売した商品やサービスの代金を、将来受け取る権利です。

企業間における継続取引では、取引ごとに代金を支払うと、支払う側も受け取る側も手間や手数料がかさみます。

そのため一定期間の取引分を後日まとめて支払う「掛け取引」により、発生する勘定科目が売掛金です。

売上を計上するときに相手科目を売掛金としますが、売上高は消費税課税売上であるのに対し、売掛金は消費税の課税対象外です。

売掛金の仕訳処理においては、消費税の税込・税抜によって売上計上の方法が異なるため注意しましょう。

消費税の課税・非課税・不課税の違い

消費税はすべての商品やサービスに課税されるわけではなく、取引の内容によって以下の通り異なります。

  1. 消費税の課税取引
  2. 消費税の非課税取引
  3. 消費税の不課税取引

それぞれ説明します。

消費税の課税取引

消費税が課税されるのは、国税庁の公式サイト「No.6105 課税の対象」に、以下と記載されています。

事業者が事業として行う取引 個人事業者(事業を行う個人)と法人が、対価を得て資産の譲渡などを反復・継続・かつ独立して行う取引
対価を得て行う取引 物品販売などの反対給付を受けることであり、反対給付として対価を受け取る取引
資産の譲渡などの取引 事業として有償で行う商品や製品などの販売・資産の貸付け・サービスの提供
特定仕入れ 事業として他の者から受けた特定資産の譲渡など
外国貨物の引取り 保税地域から引き取られる外国貨物の輸入取引

消費税の非課税取引

消費税は国内で事業者が事業として対価を得て行う取引が課税対象ですが、対象となる取引でも消費負担を求める税対象になじまないものや社会政策的な配慮で、課税しないとする取引が定められています。

非課税になる取引については、国税庁の公式サイト「No.6201 非課税となる取引」に、以下と記載されています。

  • 土地の譲渡および貸付け
  • 有価証券等の譲渡
  • 支払手段の譲渡
  • 預貯金の利子および保険料を対価とする役務の提供等
  • 日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡および地方公共団体などが行う証紙の譲渡
  • 商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡
  • 国等が行う一定の事務に係る役務の提供
  • 外国為替業務に係る役務の提供
  • 社会保険医療の給付等
  • 介護保険サービスの提供等
  • 社会福祉事業等によるサービスの提供等
  • 助産
  • 火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供
  • 一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け等
  • 学校教育
  • 教科用図書の譲渡
  • 住宅の貸付け

消費税の不課税取引

消費税の不課税取引とは、消費税の課税対象にならない取引です。

国内において事業者が事業として対価を得て行う取引でなければ、不課税取引となります。

たとえば国外での取引や、対価を得ない寄付や贈与、出資に対する配当の支払いなどが該当します。

非課税取引と同じく消費税が課税されないことは共通していますが、非課税取引は課税対象になじまない取引や、社会政策的配慮で除外している取引であり、性質が異なります。

また、非課税取引と不課税取引では課税売上割合の計算における取り扱いも違います

課税売上割合は、分母を総売上高(課税取引・非課税取引・免税取引の合計額)とし、分子は課税売上高(課税取引・免税取引の合計額)とする割合です。

非課税取引は、原則、分母のみに算入するのに対し、不課税取引は消費税の適用対象ではない取引のため分母と分子のどちらにも算入しません。

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課税事業者と免税事業者の違い

請求書と電卓

消費税は、すべての事業者が課税対象になるわけではなく、以下の2つに区分されます。

  1. 課税事業者
  2. 免税事業者

それぞれ説明します。

課税事業者

消費税の「課税事業者」とは、消費税を納めなければならない義務を課せられた事業者です。

課税期間の基準期間(前々年度)の課税売上高が1,000万円を超える事業者については課税事業者になります。

原則、売上に対する消費税額から仕入や経費に対する消費税額を差し引いて、消費税を納めます。

免税事業者

消費税の「免税事業者」とは、消費税の申告・納付を免除されている事業者です。

課税期間の基準期間(前々年度)の課税売上高が1,000万円以下の事業者は消費税を納める義務が免除されます。

なお、2023年10月にインボイス制度が導入されたことで、適格請求書発行事業者の登録を受けることができるのは消費税の課税事業者に限定されました。

免税事業者がインボイスを発行したい場合、たとえ消費税が課税されない免税事業者でも敢えて課税事業者になる必要があります。

税込経理方式と税抜経理方式の違い

消費税をあらわす割合

消費税の仕訳処理においては、商品やサービスの価格と消費税を合わせた金額を売上とするのか、別途消費税を計上するかによって以下の2つの方式に分けることができます。

  1. 税込経理方式
  2. 税抜経理方式

それぞれの方式の内容を説明します。

税込経理方式

税込経理方式とは、仕入や売上などの取引において、商品やサービスの価格と消費税を合わせた金額で記帳する方法です。

売上においては発生した消費税は「売上」に、仕入れの際の消費税額は「仕入」に含めて計上します。

税込経理方式と次に説明する税抜経理方式は、課税事業者が任意で選ぶことができます。

ただしすべての取引で同一の方式を適用することが必要ですが、例外としてグループごと(売上・資産・経費)の経理方式採用は可能です。

あくまでもグループごとの選択を可能とするため、個々の固定資産・経費ごとで異なる方式の採用はできません。

税抜経理方式

税抜経理方式とは、本体価格と消費税を分けて計上する方法です。

売上や仕入に消費税を含めないため、「仮払消費税」や「仮受消費税」の勘定科目で消費税を計上します。

売掛金と消費税の仕訳例

税金の疑問

売掛金が発生するときは売上を計上するときですが、消費税の関連する仕訳処理は以下の5つです。

  1. 売掛金の発生
  2. 返品・売上値引
  3. 売掛金の回収
  4. 消費税の納付
  5. 決算仕訳

それぞれの売掛金と消費税の仕訳例を紹介します。

売掛金の発生

売掛金の発生の処理を、税込経理方式と税抜経理方式に分けてそれぞれ紹介します。

税込経理方式(商品やサービスの価格と消費税を合わせた金額で計上)

例:商品11万円を販売し、売上を計上した
借 方 貸 方
売掛金 110,000 売上 110,000

税抜経理方式(本体の価格と消費税を分けて計上)

例:商品11万円(消費税10%)を掛け取引で販売し、売上を計上した
借 方 貸 方

売掛金 110,000

 

売上 100,000

仮受消費税等 10,000

 

例:商品11万円(消費税10%)と、商品5.4万円(消費税8%)を掛け取引で販売し、売上を計上した(※軽減税率制度では、売上と仕入どちらも標準税率(10%)と軽減税率(8%)に分けて税額計算を行うため、税率ごとに仕訳も分けることが必要です。)
借 方 貸 方

売掛金 164,000

 

 

 

売上 100,000(10%)

仮受消費税 10,000

売上 50,000(8%)

仮受消費税 4,000

 

例:クレジットカード払いによる売上55万円(消費税10%)と、カード会社に支払う手数料5千円を計上した(クレジットカード取引で発生した売掛金はカード会社と取引するため、顧客との取引で発生する通常の売掛金とは分けて処理します。カード加盟店がクレジットカード会社に支払う手数料は、消費税では非課税仕入となるため仮払消費税は計上しません。)
借 方 貸 方

クレジットカード売掛金 545,000

支払手数料 5,000

売上(10%対応) 500,000

仮受消費税 50,000

返品・売上値引

販売した商品やサービスの返品や値引があったときの処理を、税込経理方式と税抜経理方式に分けてそれぞれ紹介します。

税込経理方式(商品やサービスの価格と消費税を合わせた金額で計上)

例:売上110,000円から11,000円を値引きした
借 方 貸 方
売上 11,000 売掛金 11,000

税抜経理方式(本体の価格と消費税を分けて計上)

例:商品55,000円(消費税10%)が返品された
借 方 貸 方

売上 50,000

仮受消費税 5,000

売掛金 55,000

 

 

例:商品55,000円(消費税10%)と商品10,800円(消費税8%)が返品された(売上戻りや売上返品などの勘定科目の使用においても、軽減税率と標準税率は区分して仕訳処理します。)
借 方 貸 方

売上戻り50,000 (10%)

仮受消費税 5,000

売上戻り10,000 (8%)

仮受消費税 800

売掛金 65,800

 

 

 

売掛金の回収

発生した売掛金が取引先から入金されたときは、以下の仕訳処理を行います。

例:取引先から売掛金10万円が現金で支払われた
借 方 貸 方
現金  100,000 売掛金  100,000

 

例:取引先から売掛金10万円が普通預金口座へ入金された
借 方 貸 方
普通預金  100,000 売掛金 100,000

売掛金が入金されたときに行う消し込み処理の方法

決算仕訳

決算仕訳も、消費税を税込経理方式と税抜経理方式のどちらで処理したかによって以下の通り異なります。

税込経理方式(商品やサービスの価格と消費税を合わせた金額で計上)

税込経理方式の場合、決算仕訳で「租税公課」で処理します。租税公課は、国や地方に納める租税と、公共団体へ納める会費などの公課を処理するときに使う勘定科目です。まだ消費税を納めていないため、相手科目は「未払消費税」を使います。

借 方 貸 方
租税公課 5,000 未払消費税 5,000

税抜経理方式(本体の価格と消費税を分けて計上)

税抜経理方式の場合、決算仕訳では「仮受消費税」と「仮払消費税」で処理します。仮払消費税とは、消費税を税抜方式で経理処理をしている場合に用いる勘定科目です。期末には、仮受消費税と仮払消費税の差額を「未払消費税等」で計上して翌期に納めます。

借 方 貸 方

仮受消費税 15,000

 

仮払消費税 10,000

未払消費税 5,000

消費税の納付

消費税の納付は、税込経理方式と税抜経理方式によって以下のとおり仕訳処理が異なります。

税込経理方式(商品やサービスの価格と消費税を合わせた金額で計上)

税込経理方式の場合、決算のときに租税公課の相手科目だった「未払消費税」を消します。

借 方 貸 方
未払消費税 5,000 現金 5,000

税抜経理方式(本体の価格と消費税を分けて計上)

税抜経理方式の場合、消費税を納めたときに決算で発生した未払いの「未払消費税」を消します。

借 方 貸 方
未払消費税 5,000 現金 5,000

まとめ

売掛金の発生における仕訳処理は、売上を計上するときに行いますが、消費税の扱いによって方法が異なります。

消費税の仕訳処理においては、商品やサービスの価格と消費税を合わせた金額を売上にする税込経理方式か、それとも別途消費税を計上する税抜経理方式の2種類です。

売掛金発生から入金、消費税納付まで正しい仕訳処理をすることと、取引先からの売掛金回収が遅れないための徹底した管理が重要といえます。

期日通りに支払いがなされているのか確認し、請求額と入金額に差が生じている場合には、原因を追及して早めに取引先に確認するようにしましょう。