借金と融資の違いとは?出資と異なる点や種類・形態をわかりやすく解説

借金と融資は、どちらもお金を借りることではあるものの、言葉の印象が違います。

まず借金は金融会社や個人からの借入れのイメージが強いのに対し、融資は資金の融通を意味する言葉として使われています。

また、資金調達の方法として出資などもあり、具体的にどのような違いがあるのか理解しにくいと感じる方も少なくありません。

そこで、借金と融資の違いについて、出資と異なる点や種類・形態をわかりやすく解説していきます。

借金とは

「借金」とは、他人から借りたお金のことです。

返済義務のある借入れや、借りた金銭のことを借金といいます。

借金の種類は多く、住宅ローンや自動車ローンなどのように、特定のモノを購入する目的で借りたお金も該当します。

また、カードローンやフリーローンのように、使い道が特定されない借入れも借金に含まれます。

主に生活費・住宅・自動車・ショッピングなど、消費を目的とした借入れが借金であり、借りたお金には利子を足して返さなければなりません。

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融資とは

「融資」とは、金融機関から資金を借りることです。

主に事業用資金の借入れのことを指すため、消費するためにお金を借りる借金とは目的に違いがあります。

融資と借金はどちらもお金を借りることは共通しています。

しかし融資を受けることは事業や利益を生むことを目的としているため、返済資金も事業から得る収益から捻出することになります。

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借金と融資の違い

借金と融資は、どちらもお金を借りることですが、次の2つに違いがあります。

  1. 消費性と事業性の違い
  2. イメージの違い

それぞれの違いについて説明していきます。

消費性と事業性の違い

借金と融資は、「消費性」と「事業性」のどちらに該当するかによる違いがあります。

まず借金は、生活費・住宅購入・自動車購入など一般的に「消費」することを目的にお金を借りるため、消費性資金の調達です。

対する融資は、企業や個人事業主が事業拡大・維持は、利益を生むための事業性資金の調達といえます。

たとえばマイホーム購入のための住宅ローンは「借金」であるのに対し、家賃収入を得ることを目的とした不動産購入のための借入れは「融資」に該当すると考えられます。

イメージの違い

借金と融資は、耳にしたときのイメージに違いがあります。

まず借金は消費性資金であるため、生活費やショッピング目的の借入れは悪いイメージが強めです。

しかし融資は、事業性資金であるため、消費性資金と違い必要不可欠な借入れというイメージが強いといえます。

事業性資金は働くお金であるため、会社経営における資金調達や事業の拡大・維持に欠かすことのできない、未来の利益を見据えた借入れといえるでしょう。

融資と出資の違い

資金調達の方法は、借金や融資を受ける以外にも、「出資」してもらうという方法もあります。

出資とは、投資家が将来的な利益を見込み、発行した株式を購入して資金を投じることです。

個人投資家であるエンジェル投資家や、投資会社のベンチャーキャピタルなどから出資してもらうことができれば、多額の資金を調達できます。

融資と言葉は似ているものの、出資により調達した資金の返済義務はない点に違いがあります。

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返済義務の違い

出資は、発行した株式などと引き換えにお金を投資してもらう方法です。

投資家は、事業の成長による利益を見込んで、資金を投じます。

将来、事業が成功したときに配当金を受け取る権利を得るだけでなく、株式の価値が向上したときに売れば売却益を得ることもできるからです。

そのため出資してもらったお金に返済義務はなく、事業や利益を生むために自由に使うことができます

融資を受けても、借りたお金に利子を加え、期日までに返済しなければなりません。

仮に調達できる金額は同じだとしても、融資と出資のどちらによる資金かによって、その後の資金繰りは大きく変わるといえるでしょう。

融資の種類

融資を受ける場合、事業性の資金となるため、多くは銀行など金融機関を頼ることになるでしょう。

民間銀行には、メガバンクと呼ばれる都市銀行・地方銀行・信用金庫など種類があり、日本政策金融公庫など公的金融機関もあります。

どの金融機関・金融商品で融資を受けるかによって、審査の難易度には違いがあることは留意しておきましょう。

提供されている金融商品は金融機関によって違いがあるものの、たとえば次の7つが挙げられます。

  1. プロパー融資
  2. 制度融資
  3. 信用保証付融資
  4. 不動産担保融資
  5. 売掛債権担保融資
  6. ビジネスローン
  7. カードローン

それぞれの融資について説明します。

1.プロパー融資

「プロパー融資」とは、金融機関独自の責任で資金を貸し付けることです。

担保や保証人なしでの貸し付けとなり、融資限度額も特に設定されていないため、事業実績や事業規模、高い返済能力などが必要となります。

ただしプロパー融資による借入れができれば、多額の資金を低金利で調達できます。

2.制度融資

「制度融資」とは、銀行・信用保証協会・地方自治体の3機関が連携して資金を貸し付ける制度です。

信用保証協会が保証することで銀行が安心して低金利で資金を貸し付けやすくなることがメリットである反面、信用保証協会と銀行の審査や3機関との手続で時間がかかります

ただし地方自治体によって、保証料など一部の費用を補助してくれる場合もあるため、確認しておくとよいでしょう。

3.信用保証付融資

「信用保証付融資」とは、信用保証協会に保証してもらった上で銀行からお金を借りる制度です。

制度融資と同じく、信用保証協会による保証があることで、銀行が安心して資金を貸し付けることができます。

なお、信用保証協会に保証してもらう場合、保証料の負担が必要です。

制度融資では地方自治体が費用の一部を負担してくれることもあるのに対し、信用保証付融資は補助制度がありませんので、調達コストがかかります。

4.不動産担保融資

「不動産担保融資」とは、所有する土地や建物を担保に差し入れてお金を借りる金融商品です。

そのため返済不能状態になったときには、差し入れた不動産は売却・換価され、返済に充てられます。

無担保ローンよりも低金利であり、返済期間も長めに設定できることはメリットですが、返済できなくなれば不動産は差し押さえられて売却されることは留意しておきましょう。

5.売掛債権担保融資

「売掛債権担保融資」は、保有している売掛債権を担保に差し入れ、融資を受ける金融商品です。

取引先に販売した商品やサービスの代金のうち、未回収の売掛金を債権として担保に差し入れます。

ただし売掛債権を担保とすることを、売掛先に通知し、承諾を得ることが必要となります。

そのため売掛先から同意を得ることができなければ売掛債権担保融資による借入れはできません。

6.ビジネスローン

「ビジネスローン」とは、一般の銀行融資を受けにくい事業者向けの金融商品です。

審査の難易度は低めであることや、早ければ即日融資が可能など、スピーディさが魅力の資金調達方法といえます。

担保や保証人も必要ないことや、融資限度枠の範囲で繰り返し返済や借入れが可能になることはメリットといえるでしょう。

しかし金利が高く、利子負担は重くなるため、長期間繰り返し利用すれば資金繰りは悪化します。

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7.カードローン

「カードローン」も、ビジネスローン同様に担保や保証人なしで融資を受けることができる金融商品です。

ただしビジネスローンは事業性資金であるのに対し、カードローンは消費性資金の借入れであり、融資を受けるのではなく借金をすることになります。

ビジネスローンと同じく、融資限度枠の範囲であれば、繰り返し借入れや返済が可能です。

しかしビジネスローンは資金使途が事業資金に制限されているのに対し、カードローンの資金使途は事業性資金以外であれば自由とされており、買い物や旅行などにも使えます。

さらに金利も高く、長期利用には適しているといえないことや、数千万円規模のカードローンでは信用保証協会の保証が必要になる場合もあります。

事前に確認の上、申し込むことが必要です。

融資の形態

融資を受けることは、事業を運営・継続するための資金調達において必要なことといえます。

ただ、金融機関から融資を受ける際の契約形態は次の4つの種類があり、それぞれ借入れ期間や金利などに違いがあります。

  1. 当座貸越
  2. 証書貸付
  3. 手形貸付
  4. 手形割引

上記の融資の形態ごとに説明していきます。

当座貸越

「当座貸越」とは、預金残高が足らなくなったとき、定期預金などを担保に自動で借入れできる契約形態です。

事前に極度額を設定しておくことで、その範囲内で融資を受けることができます。

なお、当座貸越の種類は、主に次の2つです。

  • 一般当座貸越(当座預金と連動することで、当座預金残高が不足した際に自動的に借入れできる)
  • 専用当座貸越(融資専用口座である当座貸越勘定を設定し、支払伝票や専用キャッシュカードから借入れ・返済ができる)

どちらも融資を受けるたびに審査を受けなくてもよいことや、万一の残高不足に備えることができるのはメリットです。

ただし極度額によって、担保や保証人を求められることもあります。

証書貸付

「証書貸付」とは、金銭消費貸借契約を結んで融資を受ける契約形態です。

1年以上の融資契約となることが多く、まとまった資金を低金利で調達しやすいことがメリットです。

ただし融資を受けるたびに審査が必要であるため、資金調達までに時間や手間がかかります。

手形貸付

「手形貸付」とは、期日までに所定の金額を支払うことを約束する「約束手形」を振り出して、お金を借りることができる金融商品です。

手形の振り出しが必要となるため、当座預金口座を開設していなければ利用できません。

審査に時間がかかりにくいことや、金利も低めであることで、急な資金ニーズにおいて1年以内など短期の借入れで利用されます。

ただし期限までに借りたお金を返済できなければ不渡りとして扱われるため、信用力低下や倒産リスクを高めることは留意しておきましょう。

手形割引

「手形割引」とは、保有する売掛債権のうち「受取手形」を銀行や手形割引専門業者に売り、現金化することで資金調達できる金融商品です。

商品やサービスを販売した代金は、通常であれば請求書発送後、期日に現金で入金してもらいます。

しかし業界によっては、手形による決済が商慣習で残っており、代金を現金ではなく手形で受け取ることもあります。

受け取った手形は、手形記載の支払期日にならなければ現金化できないため、比較的長期になりやすいサイトで資金繰りが悪化しがちです。

しかし手形割引を使えば、支払期日を前倒しして現金化することができます。

ただし手形割引料が必要であることと、手形の売却という形式ではあるものの、融資を受けることと見なされる点に注意してください。

手形の振出人が支払期日に決済できず不渡りになったときには、売却した手形を買い戻すことが必要になる「償還請求権あり」の契約になります。

貸し倒れリスクまでは銀行や手形割引専門業者に移転できないため、支払期日まで気を抜くことはできません。

なお、売掛債権のうち「売掛金」を売却して現金化する「ファクタリング」は、融資ではなく債権の売買であるため、「償還請求権なし」で契約できます。

ファクタリングとは?仕組み・手数料・違法性についてわかりやすく図解

まとめ

借金と融資は、どちらもお金を借りることは共通しているものの、目的に違いがあります。

まず借金は消費目的の借入れであるのに対し、融資は事業資金の借入れです。

会社経営や事業発展・継続のために資金の調達は欠かせません。

ただし資金を調達する目的や事業形態などに適した方法を選ばなければ、資金繰りが悪化してしまうリスクを高めます。

そのため借金と融資の違いを理解し、何を目的に、いつまでに資金調達しなければならないか改めて確認しておきましょう。

お金を借りることに対してマイナスのイメージを抱く方は多いものの、すべてが悪いことではありません。

ただし毎月の返済負担が重くなる状態で融資を受けることは、資金繰りを悪化させて経営破たんするリスクを大きくするため、返済計画を立てておくことが大切といえます。

PMGでも現在の資金ニーズに合った資金調達方法などのご提案が可能です。

資金調達の方法は融資を受ける以外にも多々あるため、資金繰りの不安や悩みがあれば一度お気軽にご相談ください。