トラックの自動車税はいくら?税額の決め方と滞納するリスクについて解説

トラックを保有していれば、毎年、自動車税を納めることが必要です。

自動車税とは、トラックに限らず車やバイクを保有している方に対して課税される税金ですが、どのくらい支払うことが必要なのでしょう。

そこで、トラックの自動車税はいくらなのか、税額の決め方や滞納するリスクについて解説していきます。

自動車税とは

「自動車税」とは、車やバイクを保有している方が自治体に納める税金です。

毎年4月1日時点の保有者に課税されるため、たとえばディーラーローンを返済中の場合など、売主に所有権が留保中でも車検証に記載された使用者である買主が納税義務を負います。

5月中に納税通知書が送付され、5月末までに納めなければなりませんが、自治体によっては6月上旬送付で6月末期限とする場合もあります。

自動車税は国の歳入確保のために車を所有している方に課税する税金ですが、税額は排気量に応じて決定します。

電気自動車やハイブリッドカーなどが普及し、カーシェアリングを利用するケースも増えたため、税収確保も難しくなっているようです。

トラックの自動車税の決定方法

トラックの自動車税は、主に次の4つで税額が決まります。

  1. 最大積載量
  2. ナンバーの色
  3. 経過年数
  4. 減税措置の有無

それぞれの決定方法について説明します。

最大積載量

トラックに限らず、自動車税は総排気量で税額が決まります。

2019年10月の税制改正以降に購入した車は新税額、2019年9月までの車は従来どおりの税額が課税されます。

ナンバーの色

自動車税は、営業用の緑ナンバーか、自家用の白ナンバーかによっても違います。

トラックは営業用車両であることが多いといえますが、営業用のほうが自家用よりも税額は安くなります。

経過年数

製造からどのくらい経過しているのか、その年数も自動車税に関係します。

新規登録から11年以上経過したディーゼル車と、13年以上経過したガソリン車・LPガス車は、自動車税が重課される対象です。

この場合、自動車税は約15%、軽自動車であれば約20%税額が高くなりますが、ハイブリッド車などは対象に含まれません。

経過年数の考え方は、初年度登録年月から12年11か月後に自動車検査証の交付などを受けるとき13年経過とみなします。

減税措置の有無

減税措置の有無によっても、自動車税は変わってきます。

トラックは長く乗り続けることが一般的といえますが、古い自動車に乗り続けると重課されます。

新車登録から13年経過した車の自動車税が重くなるのは、車の排出ガスが地球温暖化などに悪影響を及ぼすからです。

そのため環境問題に対応していると考えられる以下の自動車なら、重課されることもなくむしろ減税されます。

対象となるのは主に次の3つの減税措置です。

  1. グリーン化特例
  2. 先進安全自動車(ASV)特例
  3. エコカー減税

それぞれの減税措置について説明します。

グリーン化特例

「グリーン化特例」とは、排出ガス性能および燃費性能に優れた自動車の税金を軽減する制度です。

2026年3月31日までに新車で新規登録した自動車に限り、対象年度の翌年度分に特例措置が適用されます。

グリーン化特例の目的は、環境性能に優れた自動車に対する自動車税を軽減させ、反対に環境に負荷をかける車に重課することにより、環境に優しい車へ移行を進めることといえます。

2023年4月1日~2026年3月31日までの間、たとえば乗用車であれば以下の対象車両について概ね75%軽減されます。

  • 電気自動車
  • 燃料電池自動車
  • 天然ガス自動車(平成21年排出ガス規制NOx10%以上低減または平成30年排出ガス規制適合)
  • プラグインハイブリッド自動車

環境負荷の大きい車は税負担が重くなるのは、先にも説明したとおり、初回新規登録から11年を超えるディーゼル車と13年を超えるガソリン車・LPG車に対する重課のことです。

環境負荷が軽い車に対する軽減措置は1年のみとされていることと、反対に環境負荷が重い車に対する重課は永続的であることは留意が必要といえるでしょう。

先進安全自動車(ASV)特例

「先進安全自動車(ASV)特例」とは、衝突被害軽減ブレーキが搭載された大型トラック・バスに対し、新車の初回新規登録時の自動車重量税と自動車取得税を減税する措置です。

令和5年度の税制改正により、側方衝突警報装置を備えた車両総重量8トン超のトラックについては、自動車税(環境性能割)の特例措置が1年1月間延長されています。

さらに特例措置の対象として、衝突被害軽減ブレーキ(歩行者検知機能付き)が以下のとおり拡充されました。

対象車両 対象装置
バス ①衝突被害軽減ブレーキ(歩行者検知機能付き)(AEBS)
トラック3.5トン超 ①衝突被害軽減ブレーキ(歩行者検知機能付き)(AEBS)
トラック8トン超 ②側方衝突警報装置(BSIS)
税制特例措置の内容
1装置装着 自動車重量税(初回のみ適用)25%軽減 自動車税(取得価額からの控除額)175万円控除
2装置装着 自動車重量税(初回のみ適用)50%軽減 自動車税(取得価額からの控除額)350万円控除

エコカー減税

「エコカー減税」は、自動車税ではなく自動車重要税が軽減される制度です。

環境性能の高い車に対して自動車重量税を優遇する措置を設けることで、排出ガス性能や燃費性能の高いエコカーへの買い替えを促すことを目的として創設されました。

2026年4月30日までに対象車両を新規で新車登録した場合、減税措置が1度限り適用されます。

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営業用車両の自動車税

乗車定員が3人以下の営業用トラックの、自動車税種別割グリーン化特例の適用を受けない自動車税年額は以下のとおりです。

最大積載量 税額(円)
1㌧以下 6,500
1㌧超~2㌧以下 9,000
2㌧超~3㌧以下 12,000
3㌧超~4㌧以下 15,000
4㌧超~5㌧以下 18,500
5㌧超~6㌧以下 22,000
6㌧超~7㌧以下 25,500
7㌧超~8㌧以下 29,500

※以降は8㌧を超える部分1㌧ごとに所定の金額加算

緑ナンバーのけん引自動車(トラクタ)は以下のとおりとなっています。

自動車の種別 税額(円)
小型 7,500
普通 15,100

被けん引自動車(トレーラ)は以下のとおりです。

自動車の種別 排気量 税額(円)
小型 3,900
普通 8㌧(8,000kg)以下

7,500

※以降は8㌧を超える部分1㌧ごとに3,800円を加算

また、乗車定員3人以下はトラック用途であるのに対し、乗車定員4人以上は貨客兼用車用途となります。

営業用貨客兼用車(乗車定員4人以上のバン)の自動車税は以下のとおりです。

最大積載量 総排気量 税額(円)
1トン以下 1.0リットル以下 10,200
1.0リットル超1.5リットル以下 11,200
1.5リットル超 12,800
1トン超2トン以下 1.0リットル以下 12,700
1.0リットル超1.5リットル以下 13,700
1.5リットルを超 15,300
2トン超3トン以下 1.0リットル以下 15,700
1.0リットル超1.5リットル以下 16,700
1.5リットル超 18,300

トラックの自動車税を滞納するリスク

トラックの自動車税は、毎年5月1日に都道府県税事務所から一斉送付される納税通知書を使って納めることが必要です。

納税期限は5月中ですが、滞納した場合には次の4つのリスクを負うことになります。

  1. 延滞金が発生する
  2. 督促状が届く
  3. 催告・差押え予告通知が届く
  4. 強制執行で差押えに遭う

それぞれのリスクについて説明していきます。

税金滞納したらどうなる?払えない場合や差し押さえの回避方法を解説

延滞金が発生する

トラックの自動車税について、納付期限を過ぎても支払わず滞納した場合、延滞金が発生します。

延滞金は、納付期限翌日から1か月以内に納めれば年7.3%、以降は年14.6%で加算されます。

1年を365日で日割り計算された期間分を加算するため、滞納が続けば続くほど余計な費用を支払わなければなりません。

督促状が届く

トラックの自動車税を納付期限までに納めなかった場合、納付が完了するまで督促状が届くようになります。

督促状の送付日から10日過ぎても納付がなかった場合には、強制執行による差押えも可能となるため注意が必要です。

催告・差押え予告通知が届く

手元に督促状が届いているのにもかかわらず、それでもなおトラックの自動車税を納めなかった場合、差押えを警告する「催告書」が届きます。

催告書には、いつまでに納付しなければ強制執行による差押えが実行されることなど記載されています。

何度か催告書が届いてもまだ自動車税を支払わなかった場合、「差押え予告通知書」が届きます。

差押え通知書は、財産を差し押さえることに対する最終警告と留意しておきましょう。

強制執行で差押えに遭う

差押え通知書が届いてもなおトラックの自動車税を支払わなかった場合、いよいよ銀行口座など財産の差押えが実行されます。

未納状態の自動車税と延滞金を、差し押さえた銀行口座から強制的に引き落とすことになります。

残金がなければ、トラックも差押えの対処となり、役所担当者立会いのもとでタイヤをロックされます。

廃車または名義変更した場合の自動車税の扱い

自動車税は毎年5月中に1年度分をまとめて納めることになるものの、年度途中で廃車したり名義変更したりといった手続をすることもあるでしょう。

毎年4月1日時点の所有者に対して自動車税がかかるため、納付がまだの場合には、廃車手続の1〜2か月後に未納分の納付書が送付されます。

未納が1年分であれば廃車はできますが、2年を超えた未納状態ではすでに車が差押えを受けた状態であるため、廃車することも所有権を移すこともできません。

すでに自動車税を納めている場合には、年度未経過分を払い戻してもらえるのかなど気になるところでしょう。

そこで、次の2つに関する自動車税の扱いについて説明していきます。

  1. 廃車の場合
  2. 名義変更の場合

廃車の場合

既に自動車税を納めている場合でも、廃車手続の翌月から年度末である3月までの残り月数分を返金してもらえます。

自動車税の還付は申請の必要がなく、廃車による抹消登録が完了すれば、早ければ1か月後、遅くても3か月以内に還付通知書が届きます。

届いた還付通知書・印鑑・身分証明書を金融機関に持参すると、還付金を受け取ることができます。

ただし還付通知書は有効期限が1年と定められているため、期限内に還付手続を済ませましょう。

名義変更の場合

年度途中でトラックの所有者名義を変更するケースとは、たとえば車買取店への売却や、知人への譲渡などが挙げられます。

他にも結婚で氏名を変更するケースもありますが、所有者自体が変わることを「移転登録」、所有者の氏名が変わることを「変更登録」と言います。

なお、名義変更の手続をしても廃車のときのように自動車税が返金されることはないため、個人売買などであれば契約書に盛り込みそれぞれの負担額を決めておくことが必要です。

買取業者にトラックを売却するときには、すでに納めた自動車税の一部も負担してもらえないか交渉してみましょう。

納税金額の一部を買取金額へ反映させてくれるケースもあるようです。

まとめ

トラックの自動車税は、毎年4月1日時点の所有者または使用者に課せられます。

自家用か営業用かによっても税率が変わってくるものの、有償で貨物を運ぶ営業用トラックのほうが自動車税は安く抑えることができます。

自動車税の納期限は自治体によって異なることはあるものの、毎年5月1日に納付書が一斉されたのち、5月末までに納めなければならないことが一般的です。

納期限を過ぎた場合、延滞金が発生するだけでなく、最終的には財産を差し押さえられてしまうリスクを高めます。

差押えの対象は銀行口座ですが、滞納した自動車税に充てるほどの預貯金がない場合には、トラック自体が差押えの対象となる可能性があります。

トラックが差し押さえられる場合には、役所の担当者が立会ってタイヤをロックし、車を動かすことができない状態にされます。

たとえ本人が不在でも、警察官の立会いのもとでタイヤをロックすることもあり、最終的にはトラックは競売にかけられてしまいます。

しかしこのような場合でも、何の連絡もせずに税金未払いのまま放置することや滞納状態を続けるのではなく、最寄りの県税事務所に相談することが必要です。