税金滞納により、いずれ財産を差し押さえられてしまいます。
手元にお金がなければ税金を納めることはできず、滞納したままの状態が続くことも考えられますが、放置することは危険です。
最終的に財産を差し押さえられることを避けるためにも、税金滞納による問題解決方法を知っておくことが必要といえます。
そこで、税金を滞納したらどうなるのか、納めることができない場合に差押えを回避する方法について解説していきます。
目次
税金とは
「税金」とは、次のような公的サービスを運営する費用を賄うために国民が納めるお金です。
- 年金や医療などの社会保障・福祉
- 水道・道路などの社会資本整備
- 教育
- 警察
- 防衛
全部で50種類あり、国の徴収する「国税」と地方公共団体の徴収する「地方税」に分けられますが、種類としては以下のとおり分類されます。
国税 | 所得税・復興特別所得税・贈与税・相続税・消費税・酒税など |
地方税 | 固定資産税・都市計画税・不動産取得税・住民税・法人事業税・個人事業税など |
さらに国税と地方税のどちらも納め方によって「直接税」と「間接税」に分けることもできます。
直接税 | 納税者と負担者が同じ税金 |
間接税 | 納税者と負担者が異なる税金 |
たとえば消費税の場合、消費者が負担するものの納付するのは事業者であるため、間接税に分類されます。
税金に対する時効の扱い
税金滞納にも「時効」があります。
たとえば所得税や相続税などの国税の場合、徴収する国の権利が法定納期限から5年行使しなければ時効により消滅すると定められているため、国が税金の徴収できるのは納期限から5年間です。
住民税や固定資産税などの地方税も、国税と同じく法定納期限翌日から5年間行使しなければ時効で消滅します。
借金と同じように、一定期間経過すれば時効により消滅すると考えられますが、これはあくまでも理論上の扱いです。
実務上は、時効が成立する前に自治体や税務署が納税者に督促状を送り、それでも納付がなければ財産を差し押さえるための手続を行います。
その結果、時効は更新され成立しなくなります。
滞納中の税金を自治体や税務署が時効期間を過ぎるまで放置するということは現実的にありえないため、時効成立まで未払い状態を続けることは得策とはいえません。
滞納している税金を支払うことができない場合、時効成立まで放置するのではなく、自治体や税務署にまずは相談することが必要です。
税金滞納によるペナルティ
税金を滞納してしまった場合、自治体や税務署は納付を促すための手続を進めていくことになりますが、滞納者には以下の流れで処分が下されることになります。
- 延滞税や延滞金が発生する
- 督促状が送られる
- 滞納処分の執行
それぞれのペナルティについて説明していきます。
延滞金の発生
税金滞納によるペナルティとして、「延滞金」が発生することが挙げられます。
納期限内に税金が納付されないと、本来の税金以外に加算される罰金が延滞金です。
延滞金の税率は、国税と地方税のどちらを滞納しているか、どのくらいの期間納めていないかによって次のとおり異なります。
国税 | 納期限翌日から2か月までの税率年 7.3% ・ 2か月経過後の税率 14.6% |
地方税 | 納期限翌日から1か月までの税率 年7.3% ・ 1か月経過後の税率 年14.6% |
以上のことから、税金滞納はできる限り速やかに解消することが必要です。
なお、延滞税や延滞金は法定納期限翌日から完納日までの日数に応じて以下の計算式で発生します。
延滞税(延滞金) = 滞納税額 × 延滞日数 × 延滞税などの割合 ÷ 365(日) |
なお、延滞税率について詳しく知りたい場合には、国税庁のホームページ「延滞税について」で確認してください。
督促状の発送
税金滞納によるペナルティとして、「督促状」が送られてくることが挙げられます。
納期限を過ぎても納付がなかった場合、国税と地方税それぞれ次のタイミングで督促状が発送されます。
国税 | 納期限から50日以内 |
地方税 | 納期限から20日以内 |
税目・期月・納期限・税額などが内容として記載されており、万一納めることができない場合の相談先なども記されています。
督促状を無視して税金も納めなければ、差し押さえを予告する催告書が届くことになるため、督促状が届いた段階で速やかに対応することが必要です。
滞納処分の執行
督促状や催告書が送付されてもなお税金の滞納が続く場合、滞納処分へ移行します。滞納処分として行われることは次の2つです。
- 財産調査
- 財産差し押さえ
それぞれの処分について説明します。
財産調査
滞納している税金を強制的に徴収するため、滞納者の身辺や財産の調査が行われます。
調査の対象となるのは、以下のとおりです。
- 家族構成(戸籍調査)
- 勤務先・取引先
- 給与・預貯金・不動産・自動車・電化製品や貴金属の他、生命保険など金銭的価値のある財産の保有状況
財産が差押え対象になった場合、勤務先に債権差押通知書が届くことになります。
財産の差押え
税金滞納者の身辺調査や財産調査が行われた後は、所有する財産を差し押さえて、公売により換価し納税に充てるための強制徴収手続が行われます。
通常、財産の差押えは支払督促や訴訟で勝訴するなど、確定判決を得ることが必要です。
しかし納税は国民の義務であるため、税金滞納による差押えは確定判決が行われることなく執行されます。
国税と地方税のどちらも督促状発行日から10日以内に税金を納めなければ差し押さえられるリスクが高まります。
万一支払いができない場合は、催告書に記載されている相談先などに連絡することが必要です。
税金滞納問題を解決する方法
税金を滞納したまま放置していても、いずれ財産を差し押さえられるなど強制的に回収されることになるため、何の解決にもつながりません。
そのため税金滞納問題を解決させるために、次の4つの方法を検討しましょう。
- 税務署・市町村へ相談する
- 猶予制度の申請をする
- 分納相談をする
- 資金調達する
それぞれどのような方法か説明していきます。
税務署・市町村へ相談する
税金滞納問題を解決するためにも、税務署や市町村に「相談」することが必要です。
督促状が届いても何の連絡もせず、税金も納めずに無視し続けていれば、催告によりいずれ財産を差し押さえられてしまいます。
そのためできる限り早めに税務署や市区町村に相談し、税金を納め滞納を解消したい意思はあるものの、現在厳しい状況にあることを示すことが大切です。
また、相談するときには、現在の財務状況など具体的に説明できるように、書類など持参するようにしてください。
猶予制度の申請をする
税金滞納問題を解決するために、「猶予制度」を申請する方法もあります。
税務署や市町村に相談したとき、経済的に困窮状態にある場合には、納付の猶予制度を利用することで一定期間滞納中の税金納付を猶予してもらえる制度です。
なお、猶予制度には次の2つがあります。
- 納税(徴収)の猶予制度
- 換価の猶予制度
それぞれの制度について説明します。
納税(徴収)の猶予制度
「徴収の猶予制度」とは、特定の事情があるときに限り、1年以内で税金を納めることを可能とする計画を作成することにより猶予を認めてもらう制度です。
徴収猶予が認められた期間の延滞税や延滞金は、全部または一部が免除されます。
ただしどのようなケースでも徴収猶予が認められるわけではなく、次のような事情がある場合に限られます。
- 災害
- 盗難
- 納税者または家族の病気・負傷
- 事業の廃止・休止
- 事業に著しい損失が発生した場合
- 本来の納付期限から1年以上経過後に修正申告などで納付税額が確定した場合
換価の猶予
「換価の猶予」とは、税金を一括で納めることは難しく、たとえば納税により事業継続や生活維持が困難になる場合などにおいて、1年以内の期間に限り差し押さえられた財産の売却など財産の処分を猶予する制度です。
分納納付の提案
税金滞納問題を解決するために、「分納納付」を提案しましょう。
本来、滞納した税金は一括で支払うことが必要であるものの、一括納付が難しく分割であれば支払いできるという場合には、分割納付の相談にも応じてくれる可能性があります。
分割納付が認められた場合、決められた期限に遅れず税金を納め続けていれば、その期間中に財産を差し押さえられることはないでしょう。
資金調達する
税金滞納問題を解決するために、「資金調達」で手元のお金を増やしましょう。
資金を調達した後は、滞納した税金を納めることで財産を差し押さえられることはなくなります。
ただし納税資金がなく、銀行融資などで資金を調達できないからこそ税金を滞納しているといえるため、借入れなどを頼ることは厳しい状況です。
特に銀行や日本政策金融金庫などから融資を受けたくても、税金を滞納していれば審査には通りません。
そのため税金滞納の資金調達方法は、主に次の3つを検討することになるでしょう。
- リースバック
- 不動産売却
- ファクタリング
どのような資金調達方法か説明していきます。
リースバック
税金滞納中に資金調達する方法として、「リースバック」が挙げられます。
リースバックとは、「セール・アンド・リースバック」と呼ばれることもある方法で、不動産を売って現金化した後でも利用し続けることのできるサービスです。
不動産を売ることで所有権は買手に変更されますが、売ると同時にリース契約(賃貸借契約)を結び、引き続き持ち家に住んだり事務所として活用したりできます。
納期限が直近で迫っているのに滞納したままの状況が続き、金融機関からお金を借りることができないのなら、リースバックを活用するとよいでしょう。
不動産売却
税金滞納中に資金調達する方法として、「不動産売却」が挙げられます。
不動産は一定の価値を見込めるため、差し押さえられて公売するよりも先に売却すれば、市場価格に近い価格で売り資金を調達できます。
ただし事業用として使用している不動産を売ってしまうと、その後の事業運営に支障をきたすことになるため、使っていない土地や建物に限られます。
リースバック同様に、資産売却による様々なメリットがある方法といえますが、リースバックは不動産会社が買い取るため資金調達までスムーズです。
しかし一般的な不動産売却では、買手がみつからないなど、資金調達まで一定の時間を要する可能性もあると留意しておきましょう。
ファクタリング
税金滞納中に資金調達する方法として、「ファクタリング」が挙げられます。
ファクタリングは、企業の保有する売掛金をファクタリング会社に売って換金する資金調達のサービスです。
商取引で発生した売掛金は、1ヶ月または2ヶ月先にならなければ取引先から入金されません。
しかしファクタリングを利用することで、早ければ即日現金化が可能となり、スムーズな資金調達が可能です。
審査では売掛先の信用力が重視されるため、税金滞納や債務超過などが直接的に影響しないことも利用しやすいポイントです。
ファクタリングとは?仕組み・手数料の目安や注意点について簡単に解説
まとめ
税金を滞納し続けると、督促状が届くことになり、それでも放置していたり納めなかったりすればいずれ財産を差し押さえられてしまいます。
事業用の資産が差し押さえ対象となれば、税金滞納が原因で事業を継続できなくなるリスクが高くなるため、早期に問題を解決することが必要です。
税金を滞納している状況で、銀行など金融機関から融資を受けることは難しいといえますが、リースバックやファクタリングなら活用できます。
特にファクタリングは最短即日資金調達できるため、滞納中の税金を納めるための資金確保に活用することをおすすめします。
税金滞納の資金調達でお悩みの場合、ぜひ当社に一度お気軽にご相談ください。