事業再生を成功させたいならコンサルタントに依頼したほうがよい?その理由とは

「事業再生」とは、債務超過などで資金繰りが悪化している事業を再建し、企業経営を健全化していくことですが、コンサルタントに依頼し再建を図るケースもめずらしくありません。

なぜなら経営者独自で事業の再生を図ろうとしても、スムーズに手続を進めることは容易とはいえず、コンサルタントに頼ったほうがよい場合もあるからです。

事業再生のため金融機関に相談するケースも少なくありませんが、経営再建の経営陣の右腕としてコンサルを行う会社なども存在します。

そこで、事業再生とはそもそも何を行うのか、コンサルタントに相談するときのポイントなどについて解説していきます。

「事業再生コンサルタント」とは

「事業再生コンサルタント」は、経営環境の変化や競争激化により事業継続が厳しい状況にある企業を、健全な経営状態に導くためのコンサルティングを行う専門家です。

ここ数年は外資系再生コンサルティングファームや監査法人系アドバイザリーファームなどが人員を増やすなど、積極的に活動しているといえます。

企業をV字回復させるコンサルタントとも言えますが、収益性や資金繰りなどで問題を抱えている企業を、事業・財務・組織・人材など多方面から改革していきます。

一時的に有事な状況にある企業でも、コア事業は高い収益力を保有していることもあり、市場競争力のある高い技術は保有したままというケースもあります。

そのため、企業の負の部分と効率の悪い部分を取り除き、事業価値を蘇らせることを仕事とするのが事業再生コンサルタントと言えるでしょう。

事業再生コンサルタントが行うコンサルティングの例として挙げられるのが、

  • 経営診断・予備調
  • 事業計画・再生計画の立案
  • M&A・PMI
  • 売上向上に向けた商品・価格最適化
  • オペレーション変更による収益改善
  • 運転資金のマネジメント
  • 設備投資リターンを最大化する
  • 利害関係者の合意形成

などです。

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「事業再生コンサルタント」と他のコンサルティングとの違い

一般的な事業再生に向けたコンサルティングは、半年から1年または2年程度の期間をかけることになります。

コンサルティングの内容は、

  • 業務改善
  • 収益改善
  • キャッシュフロー改善
  • コスト削減
  • バランスシート最適化
  • 経営戦略の見直し
  • 組織改編

など多方面に改革が及ぶこともあります。

戦略系ファームでは、成長戦略を策定するサポートを行い、新規事業を開発するための支援も行うため、時間をかけて調査・分析し報告書にまとめることになるでしょう。

しかし事業再生コンサルティングでは、迅速に対応できるオペレーションを改善することや、短期的にキャッシュフローを改善させるなどを重視するため、戦略に紐づき改革を実行しステークホルダーから合意を得て改革を実行させることに重きをおくことになります。

企業や事業の売上や利益など収益性を向上させることや、キャッシュフローを改善させるなど、直接的な働きかけによるコンサルティングがメインとなるため、目に見える成果を追求することになると考えられます。

事業再生コンサルタントへの依頼で進められること

事業再生コンサルタントに依頼すると、以下のような流れで、会社の立て直しを進めていきます。

  • ステップ① 現状把握のためのヒアリング
  • ステップ② 課題の原因究明
  • ステップ③ 経営状況の改善

以下では、各ステップについて、どういうことをするのか解説します。

ステップ①現状把握のためのヒアリング

事業再生コンサルタントに依頼した際、会社の現状を把握するためのヒアリングが行われます。ヒアリングを実施するのは、状況に合わせた解決策を提示するためです。

例えば、企業が立て直しをしたい理由は、

  • 人員が足りていない
  • 不採算な事業を抱え込んでいる
  • 資金繰りがうまくいっていない

など様々です。

さらに、希望する解決の方向性についても、企業によって異なります。不採算事業について、なくしてもよいケースもあれば、どうにか収支を改善し存続させたいケースもあるでしょう。

このような個別の事情や要望に寄り添い、思いどおりの立て直しをするために、最初にヒアリングを行うのです。

ステップ②課題の原因究明

ヒアリングで会社の現状が十分に把握できたら、次は、現在抱えている課題の原因を究明します。

現状の課題の原因を具体的に把握しないまま立て直しを行っても、一時しのぎとなり、会社そのものの立て直しは実現しづらくなるからです。

また、課題は表面的な原因だけでなく、複数の問題が関連して深刻化していることも多いので、全体像を明らかにしておくことが大切です。

原因を究明する際は、会社の担当者の意見を参考にしつつ、第三者の客観的な視点からも分析を行います。

ステップ③経営状況の改善

課題の原因が究明できたら、いよいよ経営状況の改善のために、経営システムの改革などを進めていきます。

各課題へ対処をするだけでなく、根底にある経営システム・業務フロー・事業内容などから見直しておかないと、時間の経過で課題が再発してしまうからです。

自力で立て直しをしようとすると、どうしても対症療法で終わりがちです。「根本的なところから立て直しが断行できるのは、事業再生コンサルタントならでは」といえるでしょう。

事業再生コンサルタントに依頼したほうがよい理由

事業再生は独自で行うよりも、コンサルタントに依頼したほうがスムーズです。

ただ手続を迅速に進めることができるだけではなく、コンサルタントに依頼したほうがよい理由は他にもいろいろありますので説明していきます。

専門的な知識など獲得できる

事業再生コンサルタントと呼ばれる専門家は、これまでも色々な経験から様々な企業を再建してきたといえます。数多くの企業が再生することをサポートしてきたからこそ得ることのできる、高い専門的な知識や独自のメソッドが存在しており、それらのノウハウを自社で使えるようになるのは大きなメリットです。

客観的な判断ができる

100%客観的な意見を聞きたいという場合でも、取引先や顧問契約を結んでいる税理士などから得られるとは限りません。

しかし事業再生コンサルタントは完全に外部の第三者のため、余計な私見や忖度など排除した客観的な意見を聞くことができ、公平な判断が可能となります。

迅速・正確に遂行できる

事業再生を顧問の税理士や弁護士に相談したくても、事業再生自体がメイン業務ではないことが多いですが、事業再生コンサルタントなら再建に向けたサポートが本業なのでスピードや正確性なども満足できるサービスを受けることができるでしょう。

事業再生コンサルタントの見極め方と選び方

事業再生のコンサルティングを外部のコンサルタントに依頼しようと考えたとき、何を基準にコンサルタント選びをすればよいか迷ってしまうものでしょう。

信頼できるコンサルタントを見つけたとしても、経営者や役員などもすべてをコンサルタントに丸投げするのではなく、当事者意識を捨てずに一緒に事業再生に臨むことが必要です。

ともに当事者となり事業再生に向けて親身に取り組んでくれる優秀なコンサルタントを見つけるためには、次の特性を確認した上で決めるようにしましょう。

自社に必要な知識を保有していること

事業再生コンサルタントを選ぶときには、自社が必要としている知識など保有している専門家を選ぶことが必要です。

たとえばキャッシュフローが問題となり事業が傾いているのなら、資金調達やコストカットなどに詳しいコンサルタントを選ばなければなりません。

コンサルタントをサービスとしている会社やコンサルタント個人が得意とする分野を把握し、自社の事業再生に注力してくれるか判断しましょう。

また、コンサルティングは人と人で行うもののため、コンサルタントの人柄や相性の良さなども重視しつつ見極めることが必要です。

当事者意識を持って事業再生に向け取り組んでくれること

コンサルタントの中には、たとえば顧問の弁護士や税理士など総入れ替えすることをすすめるケースもあるのに対し、士業を尊重し協力しながら再生を目指すコンサルタントもいます。

顧問契約を結んでいる弁護士や税理士に不満を抱えているときには総入れ替えすることも方法の1つといえますが、そうでない場合にはすでに契約している専門家とも協力しながら事業再生に取り組んでくれるコンサルタントの方がよいでしょう。

そこで、コンサルタントの都合だけで顧問先を変更することなどすすめず、コンサルタント自身も企業の経営者や社員として、当事者意識を持ち一緒に再建に向けて取り組んでくれるか確認しましょう。

互いに協力しながらプロジェクトを遂行してくれなければ、どれほどよい計画を立てたとしても成功にはつながりません。

高いマネジメント能力を保有していること

事業再生コンサルタントには、メンバーを纏めるリーダーシップ能力とコミュニケーション能力が高いこと、そして迅速に対応できる能力も必要です。

たとえば会社にとって好ましくない話があれば、早めに次の対応を検討し軌道修正できることが必要になります。

特に事業再生では、早期に業績を回復することが必要となるため、長々と時間をかける暇はなく、限られた時間でコンサルティングすることが必要です。

迅速に対応できる高いマネジメント能力のあるコンサルタントがよいですが、自意識過剰ではなく何事にも謙虚な姿勢で取り組んでくれる専門家のほうがより望ましいといえるでしょう。

空気を読む力やきめ細やかな対応力があること

企業が何に悩みを抱えているのか、何が起きているのか現状を把握できる能力と、プロジェクトを進行するだけでなくきめ細やかな対応や気遣いができるコンサルタントであれば、何でも相談しやすいといえます。

そもそも事業再生のコンサルティングにおいては、経営状況が急変することもめずらしくないため、マニュアルに沿った対応を行うコンサルタントでは窮地を乗り切ることは難しくなるでしょう。

臨機応変な対応が可能で、常に最新の情報を入手でき、その場の空気を読む力や対応能力の優れたコンサルタントこそ、自社の事業再生を任せることのできる専門家といえます。

事業再生の豊富な実績があること

事業再生を専門とするコンサルタントなら、これまでもすでに多くの企業の再建に携わってきたはずです。

経験が豊富で高い実績があれば、実力や知見も身についており、信頼性も高いコンサルタントと判断できます。

さらに顧問先の事業に関しての知識なども保有しているコンサルタントなら、より的確な再生案などを作成し実行することが可能となるでしょう。

これまでどのような企業をサポートし、実際に再建を成功させたのか過去の実績なども参考にしながら、信頼できる事業再生コンサルタント選びをしたほうがよいといえます。

「事業再生」の成功のカギを握るのがコンサルタント選び

餅は餅屋といわれるように、事業再生を図るなら専門のコンサルタントに相談したほうがよいといえます。

コンサルタントに相談した上で、弁護士や税理士などにも支援してもらうことにより、様々な分野でそれぞれの強みを発揮したサポートを受けることができるといえるでしょう。

そして事業再生コンサルタントは誰でもよいわけではなく、それまでの実績や専門的なスキル、人柄なども見極めた上でパートナーとして選ぶことが必要です。

今後、経営をどうすればよいかわからないときや誰に相談すればよいかわからないとき、事業をこのまま継続していけるのか不安を抱えているときや銀行など金融機関と話し合いしても上手くいかずに資金繰りが回らないときなどがコンサルタントに相談するときといえます。

国内企業のほとんどが中小企業であり、その4割近くは10年間で5回以上営業赤字を経験しているといわれています。

厳しい状況にあり、再建がすぐにでも必要という追い込まれた状況にある企業はもちろんのこと、今は経営に余力がある企業なども早期の段階で事業再生を検討し、今自社が抱えている課題が何か把握しておけばいざ窮地に陥ったときに改善しやすくなります。

まとめ

事業の再生や会社の立て直しを成功させるなら、事業再生コンサルタントに依頼するのが確実で、近道です。

コンサルタントを利用すれば、半年から数年程度の期間をかけて、業務・収益・経営戦略・組織編成など多方面にわたった根本的な解決が期待できます。

コンサルタントでは、きめ細やかなカウンセリングと課題の原因究明を行ったうえで、会社の実情や希望に沿った立て直しを行うので、安心です。

自社に最適なコンサルタントを選び、将来にわたって安定させられる事業に再生しましょう。