運送業で必要不可欠なものといえばトラックですが、確保する方法としてリースか購入か、はたまたレンタルかなど迷うこともあるでしょう。
そこで、今回は実際にトラックリースを利用した場合の料金や、購入やレンタルとの費用の違いについて解説します。
目次
トラックリースとは
トラックのリースとは、毎月定額を払ってトラックを借りるシステムのことです。借りられるトラックの種類はアルミバンやダンプ、平ボディ、冷凍車やパッカー車など用途に応じて幅広く、サイズに関しても2t、4t、大型10tクラスと豊富にあります。
リースの種類は、下記の2通りです。
- ファイナンスリース
- メンテナンスリース(オペレーティングリース)
それぞれの特徴を利用するメリットとあわせて紹介します。
ファイナンスリース
ファイナンスリースとは、ユーザーが必要とする車種をリース会社が購入し、ユーザーがリース会社と長期のリース契約を結んで、その車種を借り受ける契約のことです。
ファイナンスリース契約終了後は、トラックなどの車両をリース会社から購入することもできます。ファイナンスリースの活用によって本来なら一括払いでしか購入できない車両を実質的に分割払いで購入可能です。
そのため、車両購入に必要な資金がまとまっていなくても、業務環境を整備できるメリットがあります。
メンテナンスリース(オペレーティングリース)
メンテナンスリース(オペレーティングリース)とは、契約満了後の選択肢が「再リース」または「返却」のどちらかに限定されるリース契約のことです。
メンテナンスリースでは、リース料の支払い総額が「ファイナンスリース」よりも安い傾向にあります。
そのため、車両を返却する前提でもよいので、できるだけコストを抑えて一定期間使いたい場合にメリットの大きな契約形式です。
リース・ローン・レンタルの違い
トラックを確保する方法はトラックリースの他にも、ローン(購入)やレンタルなどが挙げられます。ここでは、それぞれの違いについて、以下の表で確認しておきましょう。
リース契約 | ローン契約 | レンタル | |
向いているトラックの利用期間 | 中長期(1年から数年間) | 長期間(数年以上) | 短期間(数日以下)もしくは一時的 |
トラックの所有者 | リース会社 | ユーザー本人 | レンタル会社 |
トラック架装のカスタマイズ及び塗装 | 不可 ※リース期間中のみ可能な場合もあるが、返却時に元通りにする必要がある |
可 | 不可 |
解約の可否 | 基本的には不可 ※解約料や諸費用がかかる |
基本的には不可 ※ローン残高から車両査定価格を差し引いた額を払う必要がある |
可 ※直前のキャンセルの場合、キャンセル料が発生する |
保守・修繕義務 | ユーザー | ユーザー | レンタル会社 |
契約満了後の選択肢 | 再リース・買取・返却 | ユーザーの所有 | 返却 |
トラックリースの料金相場
実際にトラックリースで車両を確保した場合、毎月どのくらいの料金を負担することになるのか気になる方もいることでしょう。
トラックリースでは、リース会社がトラックを購入し、利用者に納車します。
利用者はリース会社に毎月のリース料金負担のもとでトラックを使用しますが、その料金には次の費用が含まれます。
- 車両本体価格
- 自動車税
- 重量税
- 自賠責保険
- メンテナンス費用
- 任意保険料等
なお、上記のリース料金に含まれる費用はリース会社によって異なるため、一般的な例です。
取引されることの多い種類の料金相場は以下のとおりです。
なお、リース契約期間は5年とした場合の毎月のリース料金相場ですが、あくまでも一般的な相場であり、リース会社によって異なります。
トラックの種類 | 毎月のリース料金相場 |
アルミウィング | 35万円 |
アルミバン | 35万円 |
平ボディ | 35万円 |
冷凍冷蔵庫 | 40万円 |
トラクター | 30万円 |
ダンプ車 | 35万円 |
ミキサー車 | 35万円 |
鉄道コンテナ | 34万円 |
セルフローダー | 40万円 |
購入やレンタルとの料金の比較
トラックを確保する方法は、トラックリース以外にもレンタルや購入などが挙げられます。
レンタルもリースと同じようにトラックを借りて使用する方法ですが、レンタルの場合は1日のみなど単発的に利用されることが多いといえます。
トラックを借りて使用した後は返却するのみという手続の流れですが、トラックリースでは契約期間が満了した後で使用していたトラックを買い取るという選択もできます。
ただ、いずれ購入する予定があるのなら、最初から購入する方法でローン契約を結んだ上で支払ったほうが、総支払額を安く抑えることができる場合もあります。
トラックのリース(5年契約)・レンタル・購入(ローン契約期間5年・金利5%)の料金相場は以下のとおりです。
ただしローン契約では、下記に加えてメンテナンスや車検などの費用もかかるため、総支払額はリース料金よりも高くなります。
トラックの種類 | 毎月の料金相場(リース) | 1日の料金相場(レンタル) | 毎月の料金相場(購入) |
アルミウィング | 35万円 | 5万円 | 29万円 |
アルミバン | 35万円 | 5万円 | 31万円 |
平ボディ | 35万円 | 4万2千円 | 13万円 |
冷凍冷蔵庫 | 40万円 | 7万円 | 49万円 |
ローン契約の場合、メンテナンスや車検などの費用がかかる月とそうでない月があるため、その費用も含めれば毎月の支出にはバラつきが出ます。
リースならメンテナンスなどの費用を含めた一定金額の支払いとなるため、車両に関する支出を管理の手間を削減できるでしょう。
トラックリースを利用するべきケース
トラックを確保する方法として、リースとレンタル、または購入などどの方法を選ぶべきか迷ってしまうこともあるでしょう。
この場合、トラックリースを利用したほうがよいケースとして次の5つが挙げられます。
- 車両を長期使用したい
- 最終的に自社所有したい
- 初期費用を抑えたい
- 複数台の車両を確保したい
- 節税対策したい
それぞれのケースについて説明します。
車両を長期使用したい
車両を長期使用したい場合には、トラックリースがおすすめです。
レンタルでトラックを1週間以上借りた場合、リース契約の1ヶ月分程度の費用がかかることになります。
そのため1週間以上トラックを利用する予定があるのなら、レンタルよりもリースがお得です。
ただしトラックリースと購入を比べた場合には、購入したほうが得をする場合もあります。
トラックを購入すると、管理や手間がかかりメンテナンスや車検などの費用も別途発生することになりますが、最終的な総支払額は購入のほうが安くなることが多く、さらに好きなようにカスタマイズできます。
複数台トラックが必要な場合には、すべて購入すると多額の資金が必要になるため、トラックリースを上手に活用したほうがよいといえます。
最終的に自社所有したい
トラックリースかレンタルか迷ったとき、最終的にトラックを自社所有したいのならトラックリースがおすすめです。
レンタルすると、契約期間満了後にトラックを返却することになるため、引き続き使用したければレンタル契約を延長するしかありません。
しかしトラックリースでは、契約期間満了後にトラックを返却する以外にも、買い取ることも選択できます。
そのため借りていたトラックをいずれは購入して自社所有したいという場合には、レンタルよりもリースを選んだほうがよいといえます。
初期費用を抑えたい
トラックリースか購入か迷っているとき、初期費用を抑えたいのならトラックリースがおすすめです。
レンタル料金を払ったとしても、1日など単発的な使用であればよいですが、1週間以上借り続ければ料金負担が重くなります。
特に事業を立ち上げたばかりの初年度は、売上や雇用状況なども安定していないことが多いため、できるだけ初期費用を抑えたいと考えるものでしょう。
トラックリースなら仮にトラックが故障した場合も、リース会社負担で修理ができるため、金銭的な負担を軽減できる契約方法であるといえます。
複数台の車両を確保したい
複数台車両を確保したい場合には、リース・レンタル・購入のうち、トラックリースがおすすめです。
レンタルではレンタル会社所有のトラックから1台から数台借りることはできるでしょう。
しかし契約するタイミングでレンタル会社が所有しており、他の利用者がいないときでなければ借りることはできません。
リース契約であれば、希望するトラックをリース会社が購入し、リース会社とリース契約を結んで使用することになるため、確実に欲しいトラックを確保できるといえます。
もちろんほしいトラックを購入できれば問題ないといえますが、複数台の車両を購入する場合には多額の資金が必要となるため、トラックリースのほうがおすすめです。
節税対策したい
トラックリースか購入するのか迷ったとき、節税対策したいならリースがおすすめです。
トラックを購入した場合、購入年度にすべてを経費として計上するのではなく、耐用年数に応じた年数で割った1年度分を経費として計上する減価償却が必要となります。
最終的に経費として計上できるなら問題ないとも考えられますが、会計処理の手間など考えればリースのほうがメリットは大きいといえます。
トラックリースの場合、毎月支払ったリース料金を100%経費として計上できます。
購入ではトラックを一度自社の固定資産として計上しなければならない手間がないのは、トラックリースのトラック所有者はあくまでもリース会社だからです。
トラックを社用車として使用していても、リース車両であれば固定資産には含まれません。
毎月負担するリース料金をすべて経費として計上できるため、トラックリースのほうが節税対策にも役立てやすいといえます。
リース料金を経費として計上することを節税対策へつなげる方法は、法人リースがもともと多く利用されている大きな理由の1つです。
トラックリースのデメリット
「トラックリースを利用すべきケース」では、「費用が抑えられる」「納車までの期間が短い」といったメリットを解説しましたが、トラックリースにはデメリットもあります。主なデメリットは、以下の2つです。
- トラックをカスタマイズできない
- 途中解約ができない
どういう点に注意すべきか、順番に説明していきます。
トラックをカスタマイズできない
トラックリースでは、トラックをカスタマイズできないというデメリットがあります。リース契約では、トラックの所有権はリース会社にあるため、自由に手を加えることはできないからです。
トラックの車体に、自社ロゴなどのデザインを入れるといったカスタマイズをしたいと考えているなら、リース契約以外の方法を検討する必要があるでしょう。
途中解約ができない
一度契約すると基本的に途中解約ができなくなることも、トラックリースを利用するときの注意点です。途中解約すると、違約金や諸経費といった余計なコストが発生してしまいます。
リース期間中にトラックを使う業務量が大きく変動しそうな場合や、従業員の人数が減少しそうな場合などは、リース以外の方法でトラックを調達したほうがよいでしょう。
トラックリースの流れ
トラックリースを利用する場合には、次の流れで手続を進めます。
- 申し込み
- 見積もり
- 審査
- リース契約
- 納車(リース開始)
申し込む方法はリース会社のホームページにある問い合わせフォームから、または電話などから行います。
先に問い合わせをしておき、どのようなトラックが必要なのか伝えた上で、メンテナンスや購入選択権の有無などリース形態を選ぶことになります。
トラックといっても平ボディやバンの他、ダンプをはじめとする特装系車両など種類があるため、要望に沿った車両を提案してもらいましょう。
希望する契約期間や月間走行距離など、使用状況に応じた利用料金を見積もりしてもらい、申し込みする場合には審査が行われます。
リース会社に運転免許証と印鑑を提示し、契約手続を済ませれば後は納車です。
契約期間中はリース料を支払って、トラックを使用することになります。
審査を受ける際に必要な書類(リース申込書以外)があるので、スムーズな契約のためには、事前に用意しておきましょう。
下記で法人、個人事業主それぞれの場合において、必要な書類を紹介します。
- トラックリースの契約に必要なもの(法人)
- トラックリースの契約に必要なもの(個人事業主の場合)
トラックリースの契約に必要なもの(法人)
法人名義でトラックリース契約をするために必要となる主な書類は、次のとおりです。
代表者の身分証明書(免許証など) | 審査までの過程で必要 |
決算書 | |
印鑑証明書 | トラックリース契約の締結時に必要 |
履歴事項全部証明書 | |
事業用自動車等連絡書 | |
委任状 | |
自動車保管場所証明書 |
手続をスムーズに進めるためにも事前に準備しておきましょう。
トラックリースの契約に必要なもの(個人事業主の場合)
個人事業主名義でトラックリース契約を締結するときに必要になる主な書類は、次の6種類です。
身分証明書(運転免許証など) | 審査までの過程で必要 |
確定申告書 | |
印鑑証明書 | トラックリース契約の締結時に必要 |
事業用自動車等連絡書 | |
委任状 | |
自動車保管場所証明書 |
必要書類の中には、手元に準備できるまでに日数を要するものもあります。前もって計画的に集めていきましょう。
まとめ
トラックには種類がいろいろあるものの、車両価格が高額であり、購入したくても複数台揃えるには資金が足らないという場合もあるでしょう。
特に特殊なトラックの場合、一時的に使いたいときなど、購入ではもったいないと感じることもめずらしくありません。
このような場合、借り続けるのか最終的に購入するか、契約終了後の状況に応じて柔軟に検討できるのがトラックリースのメリットといえます。
トラックリースだけでなく、レンタルや購入などそれぞれメリット・デメリットもあるため、その点を踏まえた上でいずれかの方法を選ぶことをおすすめします。
トラックリースのメリット・デメリットとは?レンタルや購入との違い