売上が低迷する原因は?原因分析のフレームワークと対策を解説

「売上がなぜ低迷したのかその原因がわからない」
「売上回復に向けた対策や枠組みを知りたい」

など、売上が減少することに悩みを抱えているものの、何をすれば良いか迷ってしまうケースは少なくありません。

今回は、売上が低迷する要因や売上低迷の原因を把握する3つのフレームワーク、低迷時の対策について解説します。

目次

売上が低迷してしまう2つの要因

会社の売上が減少し、低迷といわれる状態になる要因は、大きく次の2つに分けることができます。

  • 外的要因…周囲の状況や他者からの影響など社内以外に要因がある場合
  • 内的要因…行動の結果の原因が性格や能力など社内に要因がある場合

簡単に説明すると、市場や経済の変化など、会社の外の影響で売上が低迷してしまうのが「外的要因」で、社内の営業力などに問題があり売上低迷に陥るのが「内的要因」です。

売上が低迷する5つの外的要因

社内ではなく、社外で起きたことが影響し売上が低迷することを外的要因といいますが、主に次の5つが挙げられます。

  1. 流行による影響
  2. 周囲の環境変化による影響
  3. 同業他社の業績向上による影響
  4. 商品・サービスのイメージが悪化している
  5. ホームページやSNSのアクセス数が減少している

それぞれ何が原因なのか説明していきます。

流行による影響

売上が低迷してしまう外的要因として挙げられるのは、会社の外で起きていることや変化などです。

その1つとして挙げられるのが時代の流れなどによる「流行」で、「はやり」に乗ることができた場合には売上を大きく伸ばすことができます。

しかし「流行」は永続的に続くわけではなく、次の流行に移れば売上は下がっていき、いつまでも前の流行に縛られていれば低迷することとなるでしょう。

とくにファッションなどは流行の移り変わりが早く、時代の流れに沿った戦略などが必要です。

業界に限らず、消費者の購買意欲が高いものは一時爆発的に売れることはあっても、ニーズが下がればたちまち売れにくくなる傾向がみられます。

会社で現在流行している商品を取り扱っている場合、今は売上が順調に伸びているとしても、いつまでも続くわけではないと留意しておくべきです。

別商品などの開発に取り組むなど、流行がさめる前に対策を講じておかなければ売上は低迷する可能性があります。

周囲の環境変化による影響

会社が販売する商品やサービスは変化していなくても、たとえばそれらを販売する店舗の周囲環境が変化することで売上が減少・低迷する原因になりえます。

もともとは静かでゆったりと落ち着くことができる場所にある飲食店として知られていたのに、近隣に商業施設ができてしまったため、車の通りが増えて落ち着くことができなくなったなどです。

他にも近くに新たな道が通ったことで店前の道を人の通行が少なくなった場合や、バスや電車など公共交通機関の本数が減少したために顧客の来店回数が減ってしまうというケースなども該当します。

もしも売上を上げることと周囲の環境が大きく関係しているのなら、環境の変化について常にアンテナを張り情報を収集しておき、もし何らかの変化がある場合にははやめの対策を検討するべきです。

また、店舗の周辺という比較的近い場所の変化だけでなく、世界的な変化などでも売上が左右されることはあります。

たとえばリーマンショックや新型コロナウイルス感染拡大、ロシア・ウクライナ問題など世界が関係する事象などにより不況が訪れれば、売上は当然落ちてしまいます。

売上が減少してきたと感じるときには、何か周囲に変化はなかったのか確認してみるようにしましょう。

同業他社の業績向上による影響

自社と同じ業界で似た商品を取り扱う他社の業績アップは、自社の売上に影響を与えてしまいます。

競合他社やライバル会社の商品のニーズが高まり、自社の顧客が他社に移ってしまえば売上は減少・低迷することとなるでしょう。

また、他社がテレビやラジオ、インターネットを使った大々的な広告を打ち出すことや、キャンペーンを実施して顧客を獲得しているのなら、自社のシェアが奪われるとも考えられます。

同業他社の新商品リリースやキャンペーン開催の情報などは、常に入手し確認できる体制をつくっておくことが大切です。

また、自社の商品と異なる商品であるはずなのに、その商品などが売上に影響することもあります

たとえば航空会社とテレビ電話システムを取り扱う会社は、一見、ライバルになるとは考えにくいでしょう。

しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響でリモート会議やオンラインを使った仕事が推奨されるようになり、テレビ電話を使った会議も普及しました。

それにより、本社から支店などに出張で移動する人は減り、飛行機に乗る人も減少するからです。

このようにライバル会社となるケースはいろいろあるため、同じ商品やサービスを扱う会社の情報だけでなく、全体の状況などを確認しつつ売上減少・低迷の原因を探っていくことが必要といえます。

商品・サービスのイメージが悪化している

売上が減少・低迷してしまう原因として、商品・サービスのイメージが悪くなっているケースもあります。

たとえばツイッターやインスタグラムなどのSNSを使う方は多くいるため、もしユーザーの1人が商品やサービスに関して不満を抱いたとき、その内容が口コミとして広がることもあるからです。

悪い口コミがネット上で広がれば、その内容を見た方が離れてしまう可能性もあります。

自社ではなく取り扱う商品に関するネガティブ情報が拡大すれば、業界全体のイメージが低迷するため、売上を引き上げるまで時間がかかることとなるでしょう。

自社商品や業界のイメージが悪化することが起きていないか、常に新たな情報を収集し確認することが大切です。

ホームページやSNSのアクセス数が減少している

集客の方法を主にインターネットで行っていた場合、自社のホームページやSNSに対するアクセス数が減っていれば、そのまま売上減少・低迷につながる可能性があります。

たとえばホームページの場合、GoogleやYahooの検索順位でアクセス数は大きく左右されます。検索順位が上がればアクセス数も増えるでしょうが、反対に順位が下がればアクセス数も減少します。

日本内で検索エンジンとしてのシェアを占めるサイトは、GoogleのAIにより順位が決められています。

Googleは評価基準を日々改正しているため、これまでは上位の検索数だったのに、突然、掲載順位が大幅に下がるというケースもめずらしくありません。

ホームページの検索順位やSNSで多く検索されている事柄などを常に確認し、それが集客の低下につながっていないか確認するようにしましょう。

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売上を低迷させてしまう6つの内的要因

売上を減少させてしまう内的要因には、事業内容が影響しています。

事業が停滞する変化はなかったか、社内の環境や戦略など現状を把握することが必要ですが、売上を低迷させる内的要因には主に次の6つが考えられます。

  1. 新規の顧客を獲得できていない
  2. 既存の顧客のリピート率が減少している
  3. 既存の顧客が競合を選ぶなど顧客離れ
  4. 客単価の低下による影響
  5. 商品・サービスの質の低下による影響
  6. 従業員や社員の質が低下している

それぞれ詳しく説明していきます。

新規の顧客を獲得できていない

既存顧客ばかりに注力して新規顧客の開拓を怠ると売り上げは伸びません。広告や宣伝をただ打つだけでも新規顧客の獲得は難しいです。配布する場所なども影響するため、戦略がないと目にしてもらえません。

また、価格ばかりを下げても顧客は集まりにくいです。安いお店は魅力がありますが、価格競争は激化しています。価格だけでなく、商品やブランド自体が魅力的でないと新規顧客獲得は難しくなります。

既存の顧客のリピート率が減少している

既存の顧客のリピート率が減少することも売上が低迷する原因になるでしょう。

安い商品は売れているのに、値段が高めの商品はまったく売れてないときや、リピート客が減少しているときなどは注意が必要です。

競合他社の存在を気にして自社商品の値下げで対抗しようとした場合、このようなケースに陥りやすくなってしまいます。

値下げすれば売上は減少しますが、それでも集客できればよいだろうと考えていると、商品やサービスは売れているのにほとんど利益を出すことができない状態を作ります。

さらに顧客数そのものに変化がない場合でも、購入回数が減っていれば売上は下がるため、リピーターの購入回数なども確認し、もし減っているのなら対策を検討したほうがよいでしょう。

既存の顧客が競合を選ぶなど顧客離れ

売上が減少・低迷する原因として、既存顧客が離脱していることも関係します。

他社商品に切り替えたときや、必要なくなっていたことを理由に、既存の顧客が自社商品やサービスを購入しなくなってしまうケースです。

顧客離れは、商品に対する優先順位が下がっている状態ともいえます。優先度が下がる理由として、商品そのものでなく、購入プロセスなど何かしらの不満を抱えている可能性もあるでしょう。

客単価の低下による影響

顧客の数は変わっていない場合でも、客単価が下がれば売上は減少してしまいます。

値段が高めの商品から安い商品へと購入を切り替えていないか、購入する量などは減っていないか確認するようにしましょう。

また、値下げのしすぎやキャンペーン実施の多さも客単価を下げてしまいます。値下げ以外の方法で解決できないか検討しましょう。

他にも、本来であれば客単価の上昇につながるアップセルやクロスセルなどの販売戦略がうまくいっていないことも客単価の低下の原因に考えられます。

商品・サービスの質の低下による影響

販売する商品・サービスの質が低下すれば、購入する顧客も不満を抱き、売上は減少していきます。

売上が減少しているため、少しでも利益を上げようと、これまで使っていた製品より質は落ちるけれど価格が安い製品に切り替えたとします。

それにより提供するサービスや商品の質も下がったとしたら、継続して購入していた顧客は、従来と同じ金額を払っても同じレベルの満足感を得ることはできなくなるでしょう。

初めて自社商品・サービスを購入する顧客も、他社のほうがよい商品・サービスだったと不満を感じ、二度と購入することはなくなる可能性があります。

また、商品やサービスの質は気がつかない間に落ちてしまうこともあるため注意してください。

仕入れた材料の質や従業員レベルが低下しているなどがその例ですが、早めに気がつくことのできるように、顧客に対しアンケートなどを使って声を拾い、評価を確認できるようにしておきましょう。

従業員や社員の質が低下している

社員や従業員の質が低下していれば、1人頭の売上が減少することとなり、会社全体の売上低迷につながることになってしまいます。

これまで優秀な営業社員が対応していたのに、営業能力の低い担当者がついたとたんに売上が下がることもあるからです。

受注する仕事の量が減少するだけでなく、値切られてしまい、本来の金額で販売することができなくなることもあります。

そのため社員や従業員に対する教育はしっかり行い、たとえ同業他社がより良い商品やサービスを作り提供していたとしても、人と人とのつながりで売上を低迷させない仕組みをつくっておくべきです。

売上が下がったときに対策をすることはもちろん大切ですが、順調なときでも何かを実施し続けることが重要といえます。

売上低迷の原因分析のためのフレームワーク

売上低迷の要因は知っていても、自社の要因は何か探り当てるのは大変です。売上低迷の要因を洗い出すには、フレームワークが役立つでしょう。売上低迷の原因把握に使える3つのフレームワークを紹介します。

  1. ロジックツリー
  2. PEST分析
  3. 3C分析

ロジックツリー

ロジックツリーは、なぜ(Why)を繰り返し考えることで問題の根本原因を探るフレームワークです。Whyは1つではなく複数存在することもあり、ツリーのように連なることからロジックツリーといわれます。

ロジックツリーの活用方法

売上低迷の原因をロジックツリーで探るときは、まず売上を変動させる要因を考えます。例えば、新規顧客数や商品単価などが考えられるでしょう。

売上にかかわる要素を抜き出したら、要素ごとになぜ低下するのかWhyを繰り返して原因を探ります。ロジックツリーでは、分解できない小さな要素にまで落とし込んで考えることが重要です。

ロジックツリーを活用するメリット

ロジックツリーのメリットは、要素を深掘りできるため原因を特定しやすいことです。ある要素から関連性を持たせて考えられるため、論点のズレも生じにくくなります。

また、要素を分解して原因を考えるスタイルのため、全体像を把握しやすく、問題も可視化されやすいです。

売上低迷の原因究明にも役立つロジックツリーですが、要素の深掘りは、他にも展開できます。トップに売上低迷の原因をもってきて、解決策を深掘りしていく際にもロジックツリーのフレームワークは役立つでしょう。

PEST分析

PEST分析は、自社の外部環境を分析するフレームワークで、売上低迷の原因を外部環境から調査したいときに役立ちます。PESTは、以下4つの英単語の頭文字をとったものです。

  • Politics(政治)
  • Economy(経済)
  • Society(社会)
  • Technology(技術)

外部要因のなかでも、売上低迷の原因をマクロ環境に求めるときに活用できます。

PEST分析の活用方法

PEST分析のPoliticalは政治の動向や規制緩和など法改正を含めた政治の動き全体のことです。特に税制や規制緩和は企業に与える影響も大きくなります。

Economicで見るのは、景気や物価、最低賃金などの経済的な環境全般です。物価や景気は企業のコストや売上に大きく影響を与える他、輸出入のある企業は為替の影響も受けます。

Socialは、人口動態やライフスタイル、流行など市場に影響を与える要素です。Technologyは、新技術や技術革新などを表します。新しい技術の開発は企業の競争力に影響を与える要素です。

PEST分析では、まず自社を取り巻く外的要因について4つに分解して整理します。すべて書き出すのではなく、自社に影響のある要因を中心に考えるのがコツです。

次に、外的要因から、機会(メリット)になり得る要因、脅威(デメリット)になり得る要因をピックアップします。外的要因と自社の置かれた状況がより明確になるでしょう。

次に、機会や脅威が自社にどれくらいの影響を及ぼすか考えます。優先して改善に取り組みたいのは、自社への影響が大きく、売上にも大きく影響を与える要因です。

PEST分析を活用するメリット

PEST分析のメリットは、4つの大きな要素で外部要因を捉えることで、外部環境の変化を客観視できることです。自社の置かれている状況を把握でき、するべきことが明確になります。

また、各要因を機会や脅威との組み合わせで考えることで、何に取り組むべきか優先順位が決めやすいのもPEST分析のメリットです。

3C分析

3C分析は、適切な市場やターゲットであるか環境の整理に活用できるフレームワークです。Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの要素を用いて分析します。

3C分析の活用方法

3C分析は、市場や顧客ニーズがどのように変化しているか、競合や自社はどのような立ち位置にあるか、環境の把握に適しています。売上低迷の原因が市場やターゲットとのズレにある場合などに有効です。

顧客が競合に流れているときにも活用できるでしょう。競合の強みや自社の弱みを把握することによって、顧客が競合を選ぶ理由が明確になります。また、競合の動きを把握できていれば、自社が次に取るべき行動の把握にも役立ちます。

3C分析のメリット

3C分析のメリットは市場と自社を比較できることです。自社の商品やサービスが市場にマッチしているか把握しやすくなります。ターゲットニーズと自社商品にズレが生じていないかの確認にも活用できるでしょう。

また、自社だけでなく競合も分析することから、競合の立ち位置や強みも明確になります。他社と差別化を図り売上を伸ばしていくためにも、自社を取り巻く環境を正確に把握できていることは重要です。

売上が低迷したときに欠かせない7つの対策

売上が低迷した原因を上記の2つの枠組み(フレームワーク)で確認できたら、次はいよいよ何を対策とするか検討することが必要となります。

売上が減少・低迷したときの主な対策として挙げられるのは次の7つです。

  1. 原因を分析する
  2. 資金ショート回避に向けて経費を見直す
  3. 新規顧客獲得に向けて集客率を向上させる
  4. 既存顧客掘り出しとリピート率を向上させる
  5. 客単価を上げる
  6. 商品・サービスの質を上げていく
  7. 従業員・社員のモチベーションを向上させる

それぞれどのような対策か説明していきます。

原因を分析する

売上が減少・低迷したときには、まず何よりもその原因を分析することが必要です。

原因を分析することなく、たとえばネットやセミナーで得た売上回復のための知識やノウハウを実践したとしても、売上を回復させることはできません。

仮に何らかの対策を講じたとしても、その内容が自社の売上が低迷している原因に合った内容でなければ、さらに売上を低迷させる可能性もあります。

資金ショート回避に向けて経費を見直す

売上が減少・低下したときには、資金をショートさせないように経費を見直すようにしましょう。

売上が減少しているのに支払う経費も同じである場合、これまでは黒字だった場合でも大きな赤字となります。

赤字でも手元に十分な資金があれば、経費の支払いに困ることはないでしょう。しかし手元に資金がなければ、近いうちにショートし、会社を倒産させてしまう最悪の事態を引き起こします。

黒字のときでも手元の資金を枯渇させないことは重要ですが、赤字のときはとくに経費削減や赤字を減少させることを心掛け、売上回復の施策を立てる時間を確保するようにしてください。

経費を削減してもさらに売上が下がってしまったり、施策を打てなくなることは問題ですので、どの支払いが無駄なのかしっかり見極めていくようにしましょう。

新規顧客獲得に向けて集客率を向上させる

売上の減少・低迷の原因に、新規顧客が獲得できていないことが含まれているのなら、新しく顧客を獲得できる仕組みをつくることが必要です。

新規顧客獲得に向けた方法として挙げられるのは、

  • 新聞・雑誌・テレビなど既存メディアに広告を出す
  • インターネット広告を活用する
  • ポスティングによりチラシをまく
  • ホームページのSEO対策を行う
  • SNSを使ったプロモーションを実施する

などです。

自社に合った広告などの活用で、しっかり新規顧客を獲得できる方法を実践していくようにしましょう。

既存顧客掘り出しとリピート率を向上させる

既存の顧客の中には、ここ最近は購入履歴のない方なども含まれることでしょう。

その場合、そのようなリピートの少ない顧客の掘り出しやリピート率向上を図る工夫をすることで、売上回復を図ることもできます。

購入頻度が減少している顧客などに、再度、自社の商品やサービスを思い出してもらえるように、次の方法を検討することをおすすめします。

  • 手紙やメールなどを使って商品・サービスをアピールする
  • 既存顧客向けのイベントなどを開催し招待する
  • パンフレットや無料サンプルなどを送付し試してもらう

積極的に顧客フォローを行うことも、顧客離れを防ぐ一歩となり、継続して購入し続けてもらうことにつながります。

客単価を上げる

客単価が下がれば当然、売上も低下・低迷することとなりますが、回復させる方法として検討できるのは以下のとおりです。

  • 商品・サービスそのものの価格を上げる
  • 商品(サービス)に関連する別商品(別サービス)をセット販売し購入を促す
  • 高額商品やセット購入の案内を行う
  • 高額商品の体験ができるサービスや機会を提供する

客単価を上げれば顧客数を増やさず売上を伸ばすことができますが、そもそも顧客数を増やさなければいずれまた低迷することになると留意しておくことも必要といえます。

商品・サービスの質を上げていく

商品・サービスの質が低下していれば、既存の顧客は離れ、新規顧客は獲得しにくくなります。

そのため販売している商品やサービスの質を改善するにようにし、顧客満足度をアップさせましょう

顧客満足度が上がれば、高額な商品を購入しようと考えてもらいやすくなり、客単価もアップさせることができます。

他社が販売する商品やサービスに劣らない質の商品・サービス提供に向けて、売上低迷の原因となっている質部分を改善させるための開発など進めていくことが必要です。

従業員・社員のモチベーションを向上させる

低迷した売上を回復させるには、社員や従業員のモチベーションを上げることも必要です。

どれほど有効な対策を立てたとしても、実際にその対策を現場で実行するのは社員や従業員といえます。

そのため社員や従業員のモチベーションが低ければ、対策により想定していた改善が見られなくなってしまいます。

経営者だけでなく、現場の従業員とも、低迷した売上を回復させるように一致団結して取り組む姿勢が必要です。

売上回復に向けて社員や従業員のモチベーションを上げることができれば、施策をさらにアレンジし、より良い結果へと導くことができる可能性も出てきます。

人材不足で売上が低迷しているときの5つの対策

一定の業界に限らず、少子高齢化などを背景に様々な産業で人手が不足している状態といえますが、需要の低迷や大型店舗進出などの影響もあり、売上が低迷しているケースもめずらしくありません。

しかし限られた資金力と人材で現場をまわすことが必要であり、社員や従業員などを今より増やすことはできないものの、売上回復を図りたいと考えることもあるでしょう。

この場合、主に次の5つの対策で営業活動を効率化させていくことが必要です。

  1. 営業能力の高い社員のノウハウを他の社員と共有できるようにマニュアル化する
  2. 営業社員の行動分析を実施し無駄な活動はなくす
  3. できるだけ内勤の時間を抑え外勤の時間を増やす
  4. 将来性が高く見込める顧客に優秀な営業担当者をつける
  5. 情報を共有化し営業の効率化を図る

それぞれの対策について説明していきます。

営業能力の高い社員のノウハウを他の社員と共有できるようにマニュアル化する

商品やサービスの販売に直接かかわることとなる営業担当者が優秀であれば、売上は向上しやすくなります。

しかし同じ商品やサービスを販売する場合でも、営業担当者によって売れる場合と売れない場合があるのは、担当者の営業能力が関係します。

そこで、優秀な営業担当者の行動をお手本に、行動パターンや商談におけるノウハウなどをマニュアル化してみましょう。

マニュアル化するときには、

  • 営業アプローチ
  • クロージングまでの営業プロセス

の2つを明確に分けておきます。

この2つを明確に分けておくことで、プロセスごとに改善する意識を持つことができるでしょう。

単に優秀な営業担当者の行動やノウハウをマニュアル化しただけでは、別の営業担当者のスキルをアップさせることはできません。

ただ、営業ノウハウを社内で共有することにつながり、新入社員の入社の際にも研修や指導に活用することができます。

営業社員の行動分析を実施し無駄な活動はなくす

売上を思うように伸ばすことできない営業担当者の、

  • 1日の行動
  • 週間行動

などについて分析してみましょう。

何をしているのか、その行動を分析することによって、本来の営業活動に関係のない行動が多いことに気がつくこともあります。

さらに営業能力の高い優秀な営業担当者と、平均的な営業担当者の行動パターンを比較することで、より優秀な営業担当者の特性などを見ることもできます。

その上で、売上を伸ばすことのできない営業担当者の行動のうち、どの活動が無駄なのか洗い出すこともできるでしょう。

優秀な営業担当者の場合、

  • 訪問経路を効率的に組んでいる
  • 重要な顧客には重点的に訪問している
  • 内勤業務はできるだけ抑えている

など、無駄な行動が省かれていることがほとんどです。

優秀な営業担当者の行動を参考に、他の営業担当者の無駄な行動をなくすことへつながるようにしてください。

できるだけ内勤の時間を抑え外勤の時間を増やす

売上・業績を改善させていくために、顧客との商談時間を最大にすることが必要です。

その方法として、

  • 内勤業務を減らし外勤時間を増やす(営業担当者以外が対応できる見積書作成・DM送付・事務処理などは内勤社員や事務担当者が行う)
  • 顧客分担を見直しす(成績のよい営業担当者は将来性の高い顧客の対応を行う)
  • 直行・直帰制導入で移動時間を減少させる(移動時間の減少により営業活動時間を増加させる)
  • 提案書や見積書作成など商談準備業務は標準化させる

などが検討できます。

低迷してしまった売上をもとに戻すには、営業担当者だけが努力をするのではなく、内勤や事務を担当する社員なども協力し、営業担当者をサポートすることが必要といえるでしょう。

将来性が高く見込める顧客に優秀な営業担当者をつける

成長性の高い顧客に重点を置いた営業活動で、効率的に売上を拡大させることもできます。

そのため、将来的に拡販できる顧客か、売上規模の大きさなどを参考にしつつ、重点に置いたほうがよい顧客を見極めましょう。

将来性が高く見込める顧客には、訪問頻度・販売促進・価格など優遇しつつ、優秀な営業担当者をつけるなど効率的な営業活動を目指すことが必要です。

情報を共有化し営業の効率化を図る

  • 顧客・キーパーソンの情報
  • 進行中の商談の進捗状況
  • 頻繁に活用する提案書や見積書の雛形
  • 過去の相談の成功事例・失敗事例

など、様々な情報はデータベースとして共有できるようにし、営業の効率化を図るようにしてください。

売上が減少・低迷したときにやってはいけないこと

売上が減少・低迷したときに絶対にやってはいけないこととして、特に何の分析なども行わずに改善へ行動してしまうことです。

何が原因かわからず、とりあえずまず行動してしまうケースとして多いのは、たとえば商品やサービスの価格をひとまず値下げすることといえます。

値下げにより一時的に売上が回復することもあるため、対策として問題なかったと考える経営者も少なくないようですが、実際には利益率が低下しており状況を改善させることはできていません。

低い利益率のままでは、労働時間を増やすこととなり、原価の高騰などがあれば一気に赤字転落します。

一度値下げした状態から値上げすることは簡単なことではなく、結果として多くの事業が失敗してしまうでしょう。

売上が減少したとき大切なのは、まずその原因をしっかりと分析し、何をするべきか考えた上で改善させていくことです。

根拠があって値下げや値上げなど価格を変えるのなら問題ないでしょうが、何の根拠もなくとりあえず対策として行動することは避けるようにしてください。

まとめ

売上低迷があったら原因を究明することが重要です。原因究明には、今回紹介したフレームワークが役立ちます。原因がわかったら対策に取り組みましょう。

PMGでは、企業の資金調達や財務支援をサポートしています。売上低迷による資金不足などでお悩みでしたら、PMGまでご相談ください。