塗装業の経営は粗利が多いことが特徴ですが、少しの甘さであっという間に利益が吹き飛ぶといった怖さもあります。
そして直販で請け負う仕事では利益が出ていても、下請けの仕事は赤字が続いており、経営難に陥る塗装業もめずらしくありません。
経費はしっかり管理しなければなりませんが、塗装業は粗利が多いだけについおろそかになってしまうため、経営がうまくいかなくなってしまうのでしょう。
そこで、資金繰りが不安で眠れない状態という塗装業経営者に向けて、コロナ禍の今どのように経営を改善させていけばよいのかご説明します。
塗装業者の経営者の特徴
塗装業者の経営者は大きく二極化しているといえますが、
- 営業担当者出身の経営者
- 塗装職人出身の経営者
に分かれます。
もともとはバリバリの営業担当者だった経営者の場合、利益重視主義であるため広告にも費用をかけ、仕事を増やすため職人よりも営業担当者の採用を優先させる傾向が見られます。
その結果、会社の規模は大きくなっていくでしょうが、塗装工事の質は向上しないといったこともめずらしくありません。
そして以前から塗装職人だった経営者の場合は、技術や想いにこだわりを持っているため、仕事の質は高めです。
ただ、提案力など営業能力が低いこともあり、営業会社の塗装業者から中間マージンを取られた上で、下請けや孫請けとして仕事を請け負うことが多くなるでしょう。
高い技術を持っているのに、受け取ることができるお金が少ないため、会社を維持・存続のために手抜き工事しなければならないといったケースも見られます。
塗装業に必要なコスト削減
いくら売上を上げても利益が残らなければ、いずれ資金がショートし倒産してしまいます。
そのため支出はできるだけ抑えることが大切ですが、塗装業の経営者が生き残るためにもコスト削減を実践していきましょう。
実践したいコスト削減は、
- 職人の日当は下げず余分な人工を削減
- 仕入れ代金は価格交渉する
- 在庫を保有しない
- 無駄に広告宣伝費を使わない
- 福利厚生費などの予算を決めておく
- 過剰に人を雇用しない
などが挙げられます。
受注を増やすことも売上を伸ばすことも大切なことですが、無駄のない経営を続けることがより大切です。
コロナ倒産する塗装業
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、もともとは大口の受注があり順調に経営を続けていた塗装業者でも、倒産してしまう事例が多く見られます。
コロナ禍で倒産してしまうその背景には、もともと運転資金を捻出するため銀行から融資を多額の融資を受けていたり消費者金融からお金を借りていたりなど、資金繰りが厳しい状態にあったことも関係するでしょう。
1つの事例を紹介させていただくと、長年に渡り一般個人向けに塗装工事を請け負っていた会社ですが、もともとは銀行から借入れも行っておらず経営も順調でした。
順調に進む経営から事業を拡大させていこうと、設備投資のため銀行から融資を受けることを決めます。
その結果、さらに仕事を順調に増やすことができ、従業員も雇用できるまで成長しました。
人も雇ったことで、さらに設備投資のため銀行から追加融資を受けたことで、年間売上も億単位にまで増えます。
返済や支払いも滞ることなく順調に進み、特に資金繰りに困ることはなかったのです。
その実績を認められ、大手量販店の特約店になることができ、経営は安定したかに思えました。
しかし不況により複数の取引先が倒産したことで、回収できなくなった売掛金により資金繰りが悪化します。
経営者は自身名義で消費者金融からお金を借りて不足分を賄ってしましたが、大手量販店の特約店の仕事も激減してしまったため、増々窮地に立たされることとなります。
大手量販店の特約店からの仕事だけで十分安定していたため、新規顧客を獲得するための営業は行っていなかったことが、会社の根底を揺るがす問題になってしまったといえるでしょう。
銀行に借入金の返済はできなくなり、消費者金融から借入れを繰り返すようになり、最盛期は数億円近くあった売上も数千万円程度まで落ち込んでしまいます。
担保として提供していた自宅はついに競売にかけられることになったため、任意売却を選択したものの、売却代金を充てても借入金は全額返済できる状態ではありませんでした。
ついに手形の不渡りを出し、事実上倒産してしまったというケースもあります。
塗装業に求められる資金確保
コロナ禍はいつ収束するのか先の見通しが立たないため、まずは会社を存続させることを優先し、運転資金を確保することが大切です。
低下した売上は再度上昇させることも必要ですが、手元の資金がショートすれば倒産してしまいます。
工務店などに営業に行って仕事をもらうことや、新規開拓の営業をかけることだけでなく、手元の現金が枯渇しないための資金調達も同時に行うようにしてください。
これからは、コロナとともに業績を上げる考え方で経営を行うことが必要となるでしょう。