マネジメントとは、経営資源であるヒト・モノ・カネ・情報を活用し、リスク管理をしながら目標達成を目指すことです。
組織の経営と発展に向けて経営資源を管理することといえますが、マネジメントで求められることは多岐に渡ります。
組織で将来的なビジョンを明確にし、立てた戦略を実行するためのリソース配分や調整がマネジメントといえますが、他にも様々な業務があり種類も豊富です。
そこで、マネジメントについて、種類や業務内容、必要なスキルをわかりやすく解説します。
目次
マネジメントとは
「マネジメント」とは、組織の経営資源であるヒト・モノ・カネを効率的に運用し、リスク管理のもとで経営上の効果を最適にすることです。
目標やミッション達成に向けて経営や組織を管理することであり、現場で活躍する人材の能力や特性を業務に活かしてもらう管理や調整を行います。
組織において、戦略を実行に移すために必要な資源を配分・調整し、モチベーションを高めて一人ひとりが能力を最大限に発揮できる環境を整備します。
また、問題解決や意思決定のプロセスのリードや、リスクを最小限に抑えて成果を効率的に上げることといえます。
組織マネジメントとは?種類や必要な能力・ポイントをわかりやすく解説
マネジメントの必要性
マネジメントは企業を持続的に発展させる上で欠かせないことといえますが、必要性として以下の4つが挙げられます。
|
会社や組織の目標は、社会全体によい影響を与え貢献できるものであるべきです。
業績向上を目指すだけでなく、社会の一部の役割として貢献することが必要であり、そのためにもマネジメントを行って需要へ対応する経営が求められます。
マネジメントの役割
マネジメントには、以下の3つの役割があるといえます。
- 目標達成
- 社会貢献
- 雇用創出
それぞれ説明します。
目標達成
マネジメントの役割のうち、「目標達成」とは社会貢献に向けて組織特有の目的とミッションをやり遂げて、使命を果たすことです。
目標を達成し成果を上げることは、組織発展を持続化することにつながります。
社会貢献
マネジメントの役割のうち、「社会貢献」とは顧客以外に社会の求めるニーズに応えることです。
目標達成が最終的に社会貢献に繋がることが必要といえます。
雇用創出
マネジメントの役割のうち、「雇用創出」とは企業や組織に属して仕事をする機会を与えることです。
現場で働くことにより、自己実現できる機会・対価・地位を与えることで、それぞれが強みを業務に活かし成果へとつなげることができます。
マネジメントの種類
マネジメントは、主に以下の2つに区分されます。
- 階層別マネジメント
- 業務別マネジメント
区分ごとのマネジメントの種類を説明します。
階層別マネジメント
「階層別マネジメント」は、以下の階層ごとに構成されるメンバーや求められる役割などが異なります。
トップマネジメント | 会長・社長などの組織の最高経営者や、取締役会や執行役員など組織を仕切っているメンバーで構成された層です。経営計画や事業戦略などの基本的な方針を決め、最終的な意思決定や問題における責任を負う立場といえます。 |
ミドルマネジメント | 中間管理職として経営陣と現場をつなぐ役割を担う立場であり、たとえば部長・課長・支店長・工場長などの組織の管理者層で構成されます。トップマネジメントと次のロワーマネジメントの中間的な立場として、経営陣の描く将来的なビジョンや考えを理解し、部下を指導・育成します。 |
ロワーマネジメント | 現場のメンバーを指揮・監督する係長・主任・チーフ・リーダーなどの現場管理者層で構成されます。ミドルマネジメントから指示を受け、方針に従って現場での業務へと落とし込みます。現場で働く従業員を直接管理する立場であるため、役職のない監督者層とも呼ばれることがある立場です。 |
業務別マネジメント
「業務別マネジメント」は、以下の3つに分けることができます。
- 組織運営
- 人材管理
- メンタルヘルス
それぞれ複数のマネジメントの種類があるため、簡単に内容を説明します。
組織運営
チームマネジメント | 中堅の従業員やチームリーダーによるマネジメントであり、目標を達成するためにメンバーが最大限能力を発揮し、活動できる仕組みや環境を作ります。 |
ナレッジマネジメント | 個人の熟練された知識・経験・技術などを組織内で共有し、生産性向上や新規事業開発へとつなげる経営手法です。 |
プロジェクトマネジメント | 組織内でプロジェクト計画を立てて管理する手法であり、成功までの道筋を逆算してプロセスを構築し人員配置・投資・スケジュールの管理など実施します。 |
人材管理
タレントマネジメント | メンバーの知識・技術などを把握し、適材適所で能力を最大限に発揮できる人員配置を行う人材マネジメントの手法です。 |
パフォーマンスマネジメント | メンバーの能力とモチベーションを向上させつつ、目標達成へと近づける行動へ促すマネジメント手法です。 |
モチベーションマネジメント | 生産性向上を目的として、組織内で動機付けを行って成果へ向かえる行動を促すマネジメント手法です。 |
メンタルヘルス
アンガーマネジメント | 「アンガー(怒り)」と「マネジメント(管理)」を合わせた名称のとおり、客観的な状況から怒りや感情などの強い気持ちを調整しつつ、適切にコミュニケーションを取るマネジメント手法です。 |
ストレスマネジメント | 仕事によるストレスとの付き合い方を考え、状況に応じた適切な対処でストレス調整やパフォーマンス向上を目指すマネジメント手法です。 |
メンタルヘルスマネジメント | 最大限に能力を発揮するための心の健康管理やサポートで、職場での心の不調や疾患による離職・休職を防ぐマネジメント手法です。 |
マネジメント業務の内容
マネジメントでは、主に以下の6つを業務として行います。
- 目標設定
- 組織化
- 動機付け
- 育成
- 評価
- リスク管理
それぞれの流れを説明します。
1.目標設定
マネジメントは、まずは「目標」と「ゴール」を明確に設定することが必要です。
組織の目標の他に、メンバーそれぞれの育成目標も設定します。
一人ひとりの適性に合う仕事を割り振り、最大限に実力や能力を発揮することで、現場の士気やモチベーションが上がり生産性も高まります。
目標は数値で具体化することにより、部下は何をするべきか把握しやすくなります。
目標を管理するときには、社内の風土や部下の適正に合わせて、以下の2つの手法を活用するとよいでしょう。
手法 | 内容 |
MBO | 会社と部下の目標をすり合わせ、目標達成までのプロセスを管理する手法 |
OKR | 会社の目標と達成までに必要な指標を連動させ、目標達成までのプロセスを管理する手法 |
2.組織化
「組織化」とは、メンバーそれぞれが会社の向かう方向を理解し、目指す目標や成果を共有して実現に向けた役割や責任を全うすることです。
目標を達成するための活動・意思決定・関係などを分析し、メンバーを求められる業務や役割へ振り分け、業務ごとに組織をつくります。
その上で、マネジメントを行う者と業務を遂行する者の人選を行いましょう。
3.動機付け
「動機付け」とは、モチベーションの維持のことです。
仕事だけでなく、インセンティブ・報酬・昇進昇格などで部下のモチベーションの維持・向上を図ります。
マネジメントする側である管理者が、される側の部下や業務担当者とコミュニケーションを取って行うことであり、動機付けによってチームがまとまると理解しておきましょう。
4.育成
「育成」とは、現場で活躍するメンバーを育てることです。
メンバーの主体性を導き出し、自らが課題を見つけて解決できる人材へと育成します。
本来備わっている能力や強みを発揮してもらうため、知識や技術を伝えることも大切といえますが、悩みや課題などを解決できる精神的なサポートも必要です。
そのためには管理者とメンバーが十分にコミュニケーションを取り、適正や考え方、強みや弱みを把握した上で適切な育成方法を選択することが求められます。
5.評価
「評価」とは、能力や特性を客観的に判断し、設定したゴールへ向かうことができているか査定することです。
組織に望ましい行動か、業績への査定やフィードバックを行い、問題があれば改善することも含まれます。
公平性を保つために、評価の明確な基準を設けておきましょう。
仕事の内容や進捗状況、業績などの振り返りも行いつつ、目標までどの程度到達できたのか確認していきます。
6.リスク管理
「リスク管理」とは、組織が取り巻くリスクを把握し、前もって対策を行うことで損失を発生させないプロセスです。
情報漏洩や法令遵守違反、リコールやクレームなどのリスクが発生すれば、企業は甚大な損失を被ることになります。
また、SNSなどの投稿をきっかけとして信用を失う恐れもあるため、多方向での対策が求められるでしょう。
コンプライアンス違反に目を配ることはもちろんのこと、研修などを開催し、メンバーのリスク管理への意識を高める取り組みも必要です。
予防策だけでなく、万一リスクが発生したときの対処法も講じておくとより安心といえます。
マネジメントの手法
マネジメントは、部下のスキルやモチベーションなどで手法が異なります。
たとえばマネージャーは、業務指示とコミュニケーションの必要性の2つの軸により最適なマネジメント手法を選びます。
選択するマネジメントの手法は主に以下の4つです。
- 説明型
- 説得型
- 参加型
- 委託型
それぞれ説明します。
説明型
「説明型」のマネジメントとは、以下の指示を出して進捗を細かく管理することです。
- 何を
- いつまでに
- どのように行うのか
計画・問題解決・意思決定などもマネジメント側が行うため、信頼関係の構築よりも業務への理解を高めることを重視した手法といえます。
説得型
「説得型」のマネジメントとは、部下なども意思決定に参加してもらう手法です。
具体的な指示や進捗の確認はマネジメント側が行うものの、部下などにも意見を出してもらいます。
一方的な指示ではなくマネジメントされる側の声にも耳を傾けるため、成長支援や信頼関係構築につながりやすい手法といえるでしょう。
参加型
「参加型」のマネジメントは、細かい指示は行わないものの、問題解決の支援など目標達成までサポートする手法です。
意思決定はマネジメント側と部下で分け合う手法であり、業務の理解度を向上させるよりも信頼関係構築を重視しています。
委託型
「委託型」のマネジメントは、主に進捗を確認する手法です。
意思決定や問題解決などを部下に任せるため、特に大きなサポートは行わないことが特徴といえます。
マネジメントで必要なスキル
マネジメント遂行において、欠かせないスキルは以下の5つです。
- 意思決定能力
- コミュニケーション能力
- 論理的思考力
- 管理能力
- 分析力
それぞれ求められる能力を説明します。
マネジメント能力とは?必要なスキルと業務内容・高める方法を徹底解説
意思決定能力
「意思決定能力」は、重要な場面で判断しなければならないとき、適切な決定ができる能力です。
すべてのメンバーから賛同を得ることはできない状態で、異論や対立などが存在していても、決断しなければならないタイミングを逃せばビジネスチャンスを失う恐れもあります。
しかし誤った判断をしてしまうと、方針とのズレや矛盾で信頼度が著しく低下するとも考えられます。
慎重な判断が求められる中、適切な決断をスピーディにできる意思決定能力はマネジメントにおいて必要なスキルといえます。
コミュニケーション能力
「コミュニケーション能力」は、組織内で意思疎通を図る上で必要なスキルです。
マネジメントする側から部下へ、目標達成に適した方法を伝え、方針や方向性に沿った内容であることを理解してもらうことが必要になります。
意思疎通を図る上で必要なことであるものの、一方的な押し付けや会話にならないように注意しましょう。
論理的思考力
「論理的思考力」は、メンバーに目的や内容をわかりやすく伝え、その必要性や判断の理由を説明する能力です。
日々多くの意思決定が求められる場面で、問題の本質を捉え、正しい判断をする能力ともいえます。
管理能力
「管理能力」は、目標達成に向けた運営や業務の振り分けが適切か確認し、不適切な場合は調整する能力です。
効果を測定し、適宜フィードバックを行い、最大限の能力や強みを発揮できる環境を整備します。
管理能力が高ければ、問題や困難なことが起こったとしても、冷静さを失うことなく迅速かつ適切な判断と的確な決断ができます。
分析力
「分析力」は、データや情報を収集・調査し、複合的に考えをまとめる能力です。
目先の感情に流されることなく、問題を抽出し、原因の特定や把握できます。
経験や勘のみに頼る会社経営ではなく、的外れな施策で誤った方向へ組織を導くことのないように、常時最新の情報を入手できる仕組みをつくることが必要です。
まとめ
マネジメントとは、会社経営において組織の目標や成果を達成するため、経営資源を効率的に運用し最適化することです。
意思決定力やコミュニケーション能力、分析能力などいろいろなスキルが求められ、評価・分析・改善・選択・計画・調整・統制などの要素も含みます。
会社の目指す方向や目標により、適切なメンバーを選び育成することも必要となります。
マネジメントでは、リーダーにも部下を指導し、正しい方向へと導く力が求められるため、双方ともに成長することが必要となるでしょう。
働き方や価値観が多様化していることも踏まえ、中長期的なマネジメントを実行することで、より高い効果が期待できます。
マネジメントや組織における課題で悩んでいるときは、専門家による組織コンサルティングも行うPMGに気軽にご相談ください。