資金繰りを改善するために銀行融資を検討している方は多いでしょう。銀行融資を申し込むうえで注目するべきなのは、借入金利です。
返済の負担を減らすためには、低金利で借入を行う必要があります。今回は、銀行融資の借入金利の相場や低金利で借り入れるコツを解説します。
目次
銀行融資の借入金利は0.9%〜15%程度
銀行で融資を受ける場合の金利相場は0.9%〜15%程度と幅広いです。
銀行融資は大企業の法人の場合は金利が低くなり、中小企業は平均金利、個人事業主は金利が高くなる傾向があります。銀行ごとに金利が異なるため、融資を検討している方は複数の銀行に問い合わせてみましょう。
【その他の金融機関】融資を受ける場合の金利相場
銀行以外の金融機関からも融資を受けられます。ここでは、以下2つの金利について紹介します。
- 日本政策金融公庫の金利
- ノンバンクの金利
日本政策金融公庫の金利
日本政策金融公庫基準利率は1.08%〜1.9%です。国民生活事業の場合は基準利率2.03%〜3.15%です。融資制度や条件によっては特別利率が適用されます。
貸付期間ごとの利率は下記と表のとおりです。
令和5年9月1日実施
貸付期間
|
基準利率 |
特別利率① |
特別利率② |
特別利率③ |
5年以内 |
1.20% |
0.80% |
0.55% |
0.45% |
5年超 6年以内 |
1.20% |
0.80% |
0.55% |
0.45% |
6年超 7年以内 |
1.30% |
0.90% |
0.65% |
0.45% |
7年超 8年以内 |
1.30% |
0.90% |
0.65% |
0.45% |
8年超 9年以内 |
1.40% |
1.00% |
0.75% |
0.50% |
9年超 10年以内 |
1.40% |
1.00% |
0.75% |
0.50% |
10年超 11年以内 |
1.50% |
1.10% |
0.85% |
0.60% |
11年超 12年以内 |
1.60% |
1.20% |
0.95% |
0.70% |
12年超 13年以内 |
1.60% |
1.20% |
0.95% |
0.70% |
13年超 14年以内 |
1.70% |
1.30% |
1.05% |
0.80% |
14年超 15年以内 |
1.70% |
1.30% |
1.05% |
0.80% |
15年超 16年以内 |
1.80% |
1.40% |
1.15% |
0.90% |
16年超 17年以内 |
1.80% |
1.40% |
1.15% |
0.90% |
17年超 18年以内 |
1.90% |
1.50% |
1.25% |
1.00% |
18年超 19年以内 |
1.90% |
1.50% |
1.25% |
1.00% |
19年超 20年以内 |
2.00% |
1.60% |
1.35% |
1.10% |
出典:日本政策金融公庫「中小企業事業(主要利率一覧表)」
上記は標準的な貸付利率になるため、信用リスクや担保などに応じて適応利率が変わる場合があります。
ノンバンクの金利
ノンバンクとは、預金を扱わず、融資を専門とする銀行ではない貸金業者です。大きな特徴は、審査が通りやすく、最短で即日融資が可能な点が特徴です。
他の融資と比べて金利は最も高く、相場は3.1%〜18%程度なので、まずは銀行融資の利用を検討するようにしましょう。ノンバンクも、借入条件や審査状況によって金利に幅があります。
銀行融資の金利の計算方法
金利の計算方法は「借入残高×金利率×借入期間」です。
例えば、下記の条件では以下のように利息を求められます。
- 借入残高(融資額):100万円
- 金利:年15%
- 借入期間(返済回数):2年(24回)
- 60日間で発生する利息
- 「100万円×15%/730×60日=12,385」
今回の場合は12,385円が利息になります。
下記で、2つのパターンにおける利息について解説します。
- 一括で支払う場合
- 分割で支払う場合
一括で支払う場合
途中まで分割で支払っており、返済の目処が立ち、一括で支払う場合以下の情報を確認してください。
- 返済日当日までの利息の日割り計算
- 一括返済時の違約金の発生有無
- 違約金や手数料が発生する場合の金額
- 元金、利息、違約金の支払い方法と支払日
- 一括返済後の契約書類の返却方法や返却時期など
これらの情報を銀行と確認したうえで、返済額が決まります。支払う必要があるものは、元金と返済日までの利息です。これら2つ以外は契約によって異なるので、必ず金融機関に確認してください。
また、一括返済する際は、資金で支払う方法以外にも、担保に入れている不動産や土地の売却などで一括返済を行うことができます。
分割で支払う場合
分割で支払う場合は、元金均等返済と元利均等返済の2つの方法があります。それぞれを下記で詳しく解説します。
元金均等返済
元金均等返済とは、毎月一定の元金を返済していく方法です。利息は借入残高に応じて計算されるため、返済が進むほど利息が減ります。ただし、返済開始時は借入残高も大きくなるため、利息が大きくなるというデメリットがあります。
毎月の返済額を計算する際は下記の3つの計算式で算出します。
- 毎月の元金返済額=借入金額/返済回数
- 利息額=直前残高×月利(年利/12)
- 毎月の返済額=毎月の元金返済額+直前残高の利息額
今回は、下記の数字を用いて返済額を求めていきます。
- 借入金:1,800万円
- 金利:3.0%(固定金利)
- 返済期間:5年(60回)
ここに数値を当てはめると下記のように求められます。
- 元金返済額=300,000円(1,800万円/60回)
- 利息額(返済1回目)=45,000円(1,800万円×3.0%/12)
- 1回目の返済額=345,000円
利息額は、毎月の残高によって異なります。2回目は(17,655,000円×3.0%/12)で求められます。
元利均等返済
元利均等返済とは、毎月一定の元金を返済していく方法です。返済額が毎月一定となるため、返済計画が立てやすいのが特徴です。ただし、元金均等返済と比較すると、総返済額が増えてしまうデメリットがあります。
計算が複雑になってしまうため、インターネットでできるシミュレーションなどを活用すると良いでしょう。実際に計算したい方は、以下のシミュレーションを活用してみてください。
日本政策金融公庫「事業資金用 返済シミュレーション」
銀行融資を受けるときに必要な書類や準備
実際に、銀行融資を受けるときはどのような書類が必要となり、何を準備したら良いのでしょうか。ここからは、銀行融資を受けるときに必要な書類や準備について解説します。
事業見通しの説明のため資料作成を行う
銀行融資を受けるときは、資金繰り表や経営計画書などを作成しましょう。資金繰り表は、返済能力を証明するために必要な書類です。経営者が事業を見通していることをアピールする点においても、精度の高い資金繰り表が必要です。
経営計画書の内容から将来性が期待される場合は、有利に交渉できるようになることがあります。具体的には中長期的な損益計画や、それを裏付ける市場データ、具体的な実現方法などが盛り込まれています。
PMGでは、銀行融資を受けるときに必要な書類の準備のサポートが可能です。融資が叶わない場合でも、融資以外の資金調達方法に関するサポートにも対応しているため、銀行からの融資を受けたい方は一度、ご相談窓口までお問い合わせください。
信用度を上げるための準備を行う
信用度を上げておくことで、銀行融資が受けやすくなります。信用度を上げるためには、下記の4つのことに取り組むと良いでしょう。
- 格付けを上げる
- 適切な会計処理を行う
- 返済期間は返済能力を考慮したうえでできるだけ短く設定する
- 担保を差し入れる
上記の4つをすべて準備しておくことで、銀行からの融資が受けやすくなります。
低金利で銀行融資を受けるポイント
低金利で銀行融資を受けるためには、以下の4つのポイントがあります。
- 返済能力の高さをアピールする
- 担当者とのコミュニケーションの取り方を工夫する
- 過去の取引実績を提示する
- 他の資金調達方法を検討する
それぞれのポイントを詳しく解説します。
返済能力の高さをアピールする
銀行に返済能力の高さをアピールできると、低金利で融資を受けやすくなります。返済能力の高さをアピールするうえで重要なのが、事業計画書と面接です。
事業計画書には経営計画と返済計画を具体的に記載して、今後の事業の可能性をアピールします。中長期的な損益計画や、計画を裏付けるデータなどを詳しく記載することにより信憑性が高まります。
面接では銀行側の質問に対して、具体的なデータを元に回答を行いましょう。
担当者とのコミュニケーションの取り方を工夫する
融資の審査において担当者とのコミュニケーションは重要です。融資の可否は以下の2つで判断されます。
- 定量評価(数値化されたデータを元に融資の可否を判断すること)
- 定性評価(数値以外の部分で融資の可否を判断すること)
定性評価は担当者の主観が大きく影響します。担当者に事業への熱意を伝えられれば、低金利で融資を受けられる可能性は高まります。担当者が「応援したい」と思えるようなコミュニケーションを取りましょう。
過去の取引実績を提示する
過去に低金利で融資を受けている方は、面接の際にその取引実績を提示してください。企業や事業主としての信頼性のアピールになり、再び低金利で融資が受けられる可能性があります。
すでに融資を返済済みであれば、返済能力の高さのアピールにもなるでしょう。補助金や助成金の審査に通った実績なども、審査に有利に働く場合があります。
他の資金調達方法を検討する
低金利で融資を受けるのであれば、銀行の融資にこだわる必要はありません。銀行は審査が厳しい傾向にあり、中小企業や個人事業主は低金利で融資を受けるのが難しいです。
中小企業や個人事業主の方は、公的融資を検討してみましょう。公的融資の中でもおすすめなのが、先ほど紹介した日本政策金融公庫です。
銀行と比べて中小企業や個人事業主に対して、前向きに低金利での融資を検討してくれる傾向にあります。融資限度額が1,000万円と低めな点には注意してください。
返済時の負担を減らす方法
融資の返済時の負担を減らす方法は、以下の2つです。
- 繰り上げ返済を行う
- 借り換えを行う
それぞれの方法を詳しく解説します。
繰り上げ返済を行う
繰り上げ返済とは、毎月の返済額以外にまとまった金額を返済することです。
例えば、月2万円の返済を10年間行わなければいけないとします。その場合に、1年分の返済額である24万円を支払えば、返済期間は9年間に短縮されます。これが繰り上げ返済です。
上記のケースだと1年分の元金が減少するため、利息も減少します。繰り上げ返済を行うほど、利息は少なくなるのです。
まとめて返済するだけではなく、月1回の返済を2回に増やすのも利息の減少に効果的です。なるべく早く返済をすれば、利息による負担は少なくなります。
資金繰りに余裕がある場合は、ぜひ繰り上げ返済を検討してみてください。
借り換えを行う
借り換えとは、追加で別の融資を受けて借入を行い、その借入金で元の融資契約を完済することです。より低金利の条件の融資で借入ができれば、返済の負担を減らせるのです。
例えば、銀行Aで年15%の金利で借入を行ったとします。このまま返済を続ければ、年15%の金利が発生し続けます。
その場合に銀行Bで10%で借入をして、銀行Aの融資を完済できれば、今後の金利は年10%になるのです。
融資を行った後に経営状況が良くなった場合は、よりよい条件で融資が受けられる可能性があります。借入を行った後は放置してしまうケースが多いですが、定期的に借り換えを検討すれば、返済の負担を減らせるでしょう。
まとめ
借入金利が高いと返済の際の負担は大きくなります。融資を受ける際には、借入金利に着目してなるべく低金利での借入を行いましょう。
低金利で借入を行うためには、事業の将来性をアピールする必要があります。資金の使い道や返済計画などを記載した詳細な事業計画書を作成しましょう。
それでも低金利での融資が受けられない場合は、別の資金調達方法を検討するのもおすすめです。ファクタリングであれば、売掛債権を売却して現金化できます。利息は発生しないため、資金繰りの改善において魅力的な方法です。
PMGはファクタリングの相談を受け付けています。資金繰りに悩んでいる方や、融資を受けるべきか検討している方は、ぜひPMGにご相談ください。