銀行融資で資金調達できないとき、ビジネスローンを検討することもあるでしょうが、気になるのが金利です。
日本政策金融公庫や民間銀行からの一般的な融資と違って、審査の難易度も低く資金調達までのスピードがはやいメリットはあるものの、金利が高いため利子負担が重くならないか心配になることでしょう。
そこで、できるだけビジネスローンを安心して利用するために、金利相場や決定付ける要素、引き下げる方法について解説していきます。
目次
ビジネスローンとは
ビジネスローンとは事業資金専用の事業者向け金融商品であり、一般的な銀行融資による資金調達が難しい場合でも利用しやすいことが特徴です。
事業資金の貸し付けとなるため、個人事業者や法人経営者であれば申し込みできます。
新規事業を立ち上げる際の資金や設備・運転資金、取引先に対する支払いなど事業に関連する支払いであれば利用することが可能です。
銀行だけでなく、信販・クレジットカード会社や消費者金融などでも取り扱いしていますが、契約基準・金利・融資限度額はそれぞれ異なります。
ビジネスローンとカードローンの違い
ビジネスローンで融資枠を作っておくと、必要なときにATMから借入れたり返済したりすることができます。
個人向けのカードローンと似た金融商品ですが、違いとして次の3つが挙げられます。
- 融資・審査の対象
- 資金使途の制限
- 総量規制による扱い
それぞれの違いについて説明していきます。
融資・審査の対象
ビジネスローンとカードローンの違いの1つ目は、融資・審査の対象です。
カードローンで融資・審査の対象となるのは一般個人ですが、ビジネスローンは事業者を対象としています。
どちらも審査では審査項目を点数化し、自動的に融資可否を判断するスコアリングシステムを採用していますが、ビジネスローンの申込者が法人の場合には個人ではなく会社としての借入れ状況や金融事故情報などが調査されます。
資金使途の制限
ビジネスローンとカードローンの違いの2つ目は、資金使途の制限の有無です。
カードローンは個人向けのローンであるため、資金使途は生活費や買い物、旅行など自由度が高いのに対し、ビジネスローンは事業用資金としてのみ使えます。
ただしカードローンで借りたお金を事業用資金として使うことはできず、個人用と事業用とそれぞれに資金使途が分けられているといえるでしょう。
総量規制による扱い
ビジネスローンとカードローンの違いの3つ目は、総量規制による扱いです。
消費者金融など貸金業者がお金を貸し付ける際、貸金業法で年収の3分の1を超えた貸付はできないと定められています。
個人向けのカードローンのうち、消費者金融などノンバンクの金融商品はこの総量規制の対象となるのに対し、ビジネスローンは事業者向けであるため対象に含まれません。
ビジネスローンの金利を決定する要素
ビジネスローンは一般的な銀行融資よりも金利が高めに設定される傾向が見られますが、金利を決定する要素は主に次の4つです。
- 金融市場の状況
- 債務者の信用力
- 貸付条件
- 業界の動向
それぞれどのような要素が関係するのか説明していきます。
金融市場の状況
ビジネスローンの金利を決定する要素として、金融市場の状況が挙げられます。
金融市場の金利は、銀行や投資家などが資金を調達したり貸し付けたりした価格が反映されますが、経済情勢が良好なときには需要と供給のバランスが崩れて上昇傾向となります。
債務者の信用力
ビジネスローンの金利を決定する要素として、債務者の信用力が挙げられます。
資金を貸し付ける金融会社は、申込者が借りたお金と利子を遅れずに返してくれるのか、返済能力や過去の金融事故の情報などを加味して信用力を判断します。
返済困難や返済不能となるリスクが高いと判断される場合、貸し付け自体断る場合もあれば、高めに金利を設定しリスクを低減させています。
貸付条件
ビジネスローンの金利を決定する要素として、貸付条件が挙げられます。
返済方法・期間・担保の有無など、資金を貸し付ける上で金融会社が負うリスクの大きさにより、金利も変動するといえるでしょう。
業界の動向
ビジネスローンの金利を決定する要素として、業界の動向が挙げられます。
銀行は日本銀行からの資金調達や預金者から預け入れられたお金、消費者金融は銀行からの資金調達などを、ビジネスローンで貸し付ける原資としています。
金融市場からお金を借りるときには利子が発生するため、負担した利子を上回る利益を得るには、その利率よりも高い割合での貸し付けが必要となります。
また、他の金融会社との競争により、顧客を奪われないようにできるだけ金利を下げることも必要となるでしょう。
以上の金融業界の動向により、ビジネスローンの金利も変動します。
ビジネスローンの金利相場
ビジネスローンは、民間銀行やノンバンクで取り扱っている金融商品ですが、金利相場は次の借入れ先によって異なります。
- 都市銀行
- 地方銀行
- ネット銀行
- ノンバンク
それぞれの金利相場を紹介していきます。
都市銀行
都市銀行の扱うビジネスローンの金利相場は、1.0%台〜14.0%です。
ただし都市銀行にも種類があるため、それぞれ適用金利の上限・下限には差が見られます。
地方銀行
地方銀行の扱うビジネスローンの金利相場は、3.0%台〜15.0%です。
どのエリアか、民間銀行か信用金庫かなどによって適用金利の上限・下限には差があります。
ネット銀行
ネット銀行の扱うビジネスローンの金利相場は、3.1%〜13.8%です。
都市銀行や地方銀行と異なり、手続がすべてインターネット上で完結するため、資金を貸し付ける上でのコストや手間を軽減できていることで金利水準は低めといえます。
ノンバンク
ノンバンクの扱うビジネスローンの金利相場は、5.0%〜18.0%です。
銀行のビジネスローンよりも金利は高めに設定されるのは、銀行系の審査に通らない申込者が流れてくる傾向が高いため、貸し倒れリスクの大きさに応じ金利も上がるからといえます。
また、ノンバンクは預金機能を持たないため、ビジネスローンで貸し付けるお金の原資は銀行からの借入れです。
銀行からお金を借りる際に支払う利子負担と、利益を加味した上で金利が設定されるため、高めの利率が適用されると考えられます。
ビジネスローンが高金利である理由
ビジネスローンは一般的な銀行融資よりも金利が高く設定されるため、急な資金ニーズなどで一時的に利用するにはよいものの、長期利用し続けると資金繰りが悪化しがちです。
金利が高く設定される理由としては、以下の3つが関係しているといえるでしょう。
- 審査の難易度が低いため
- 迅速な融資実行を実現するため
- 高い貸し倒れリスクを補填するため
それぞれどのような理由か説明していきます。
審査の難易度が低いため
ビジネスローンが高金利である理由の1つ目として、審査の難易度が低いことが挙げられます。
一般的な銀行融資と異なる、ビジネスローンは必要書類も簡素化されており、審査の難易度も低めです。
銀行融資を受けることができない場合でも、独自の基準で前向きに検討する傾向もみられるため、金融会社が負う貸し倒れリスクも大きくなり金利も高めに設定されます。
迅速な融資実行を実現するため
ビジネスローンが高金利である理由の2つ目として、迅速な融資実行を実現していることが挙げられます。
通常、ビジネスローンではスコアリング方式による審査が導入されるため、結果が出るまで営業時間内であれば30分程度です。
特にノンバンクのビジネスローンであれば、最短で即日融資も可能となるスピーディさであるため、細かい部分まで審査できません。
はやさがウリである分、金融会社の負う貸し倒れリスクも高くなるため、金利も高めに設定されます。
高い貸し倒れリスクを補填するため
ビジネスローンが高金利である理由の3つ目として、高い貸し倒れリスクを補填していることが挙げられます。
先に述べたとおり、ビジネスローンはすぐにお金が必要な場合や、銀行融資を受けることができない信用力に不安がある場合でも比較的借りやすいローン商品です。
しかし資金を貸し付ける金融会社にとっては、信用力が低い相手にお金を貸すことで高い貸し倒れリスクを負います。
そのためリスクを補填することを目的として、金利も高めに設定されています。
ビジネスローンを低金利で借りる方法
金利が高めに設定されがちなビジネスローンですが、できるだけ金利を引き下げて利用したいなら、次の3つの方法を検討するとよいでしょう。
- 低金利キャンペーンに申し込む
- 限度額まで借りる
- 担保を差し入れる
それぞれどのような方法か説明していきます。
低金利キャンペーンに申し込む
ビジネスローンを低金利で借りたいなら、低金利キャンペーンに申し込み利用しましょう。
金融界者によるものの、一時的に低金利キャンペーンなど実施している場合もあるため、その時期を狙って申し込みすれば低い金利での借入れが可能です。
限度額まで借りる
ビジネスローンを低金利で借りたい場合、限度額まで借りたほうが金利を下げることができる場合もあります。
金利は借入額が多いほど低くなり、少ないほど高めに設定されるため、金利を下げたいのなら有効な方法です。
ただし金利を下げることはできても利子負担は当然必要となるため、金利だけにこだわった結果、本来払う必要のなかった費用負担が発生することは留意しておいてください。
担保を差し入れる
ビジネスローンを低金利で借りたいなら、担保を差し入れたほうがよいでしょう。
原則、無担保・無保証で借入れが可能であることがビジネスローンの魅力といえますが、あえて担保を差し入れることで金利は下がります。
ただし万一返済できなくなったときには、担保として差し入れていた資産を失うことは十分理解しておきましょう。
まとめ
ビジネスローンは一般的な銀行融資よりも審査の難易度が低く、早ければ即日借入れできるため急な資金ニーズに対応しやすいメリットがあります。
また、ATMを使って繰り返し借入れや返済などが可能であるため、融資枠を作っておくと万一の資金調達にも役立てることができるでしょう。
しかし金利が高く借入れ先や条件によっても異なるため、長期に渡り利用し続ければ資金繰りは悪化してしまうため、一時的な利用に留めておくべきです。