医療ファクタリングとは?仕組みや利用する際の注意点をわかりやすく解説

医療ファクタリングとは、診療報酬債権を使ったファクタリングです。

診療報酬債権とは、医療機関が医療保険の被保険者やその扶養者に保険診療を行った対価を、社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会へ請求できる権利です。

医療機関が月末までに請求金額を計算し、翌月の10日までに提出した後、実際に支払われるのは翌々月となります。

そのため資金繰り悪化の原因になりやすい債権といえるため、ファクタリングによる前倒しを希望するケースも少なくありません。

そこで、診療報酬を使った医療ファクタリングについて、仕組みや利用における注意点をわかりやすく説明します。

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医療ファクタリングとは

「医療ファクタリング」とは、以下の債権を現金化するファクタリングです。

  • 診療報酬
  • 介護報酬
  • 調剤報酬

医療機関は、社会保険診療基金や国民健康保険団体連合会に、「レセプト報酬」と呼ばれる「診療報酬」を請求します。

通常、診療報酬を受け取るまでの期間は2~3か月程度です。

この期間内で、固定費など様々な事業運営にかかる費用は発生し続けるため、資金繰り悪化の要因になることは否定できません。

なお、診療報酬債権もファクタリング利用の対象であるため、活用すれば前倒しで報酬を受け取ることができます。

医療ファクタリンリングの仕組み

医療ファクタリングを利用した場合、主に次の8つの流れで資金を調達することになります。

1医療機関は売掛先(国保・社保)にレセプトを送付し報酬を請求する
2ファクタリング会社に申し込む
3ファクタリング会社と医療機関がファクタリングの契約を締結する
4診療報酬債権をファクタリング会社に譲渡する
5医療機関から売掛先(国保または社保)に対し、診療報酬債権をファクタリング会社に譲渡したことを通知する
6ファクタリング会社から医療機関に診療報酬債権額面の80%程度を支払う
7国保や社保から決定した支払額がファクタリング会社に支払われる
8ファクタリング会社から医療機関に対し、買取対象額を差し引いた残りが支払われる

ここで注意したいのは、契約段階では買取対象となる金額が、診療報酬債権額面の80%程度までの支払いになることです。

これは、医療機関が国保や社保に提出するレセプトが100%認められるとは限らないことが関係します。

診療報酬額は国保や社保の審査で削減される可能性があります。

そのため契約段階では一定額の支払いにとどめ、実際に国保や社保から支払いがあったあとに残りが支払われる仕組みです。

医療ファクタリングの種類

医療ファクタリングは、医療関連事業のファクタリングですが、主に次の3つの種類に分けることができます。

  1. 診療報酬ファクタリング
  2. 介護報酬ファクタリング
  3. 調剤報酬ファクタリング

報酬の支払いまで2か月程度待たなければならないのは、医療機関の診療報酬だけでなく、介護報酬や調剤報酬でも同じです。

3つのファクタリングはいずれも同じ仕組みですが、それぞれ何が譲渡の対象となるのか説明します。

診療報酬ファクタリング

病院や診療所など医療施設が利用対象者であり、「診療報酬債権」を譲渡対象とする売買取引が診療報酬ファクタリングです。

介護報酬ファクタリング

老人ホームやデイサービスなど介護施設が利用対象者で、「介護報酬債権」を譲渡対象とする売買取引が介護報酬ファクタリングです。

調剤報酬ファクタリング

病院等の処方箋に基づき薬を提供する調剤薬局が利用対象者で、「調剤報酬債権」を譲渡対象とする売買取引が診療報酬ファクタリングです。

医療ファクタリングを利用するメリット

医療ファクタリングを利用するメリットとして、主に次の5つが挙げられます。

  1. 審査の難易度が低い
  2. 有利な条件で契約できる
  3. 売掛先への通知を気にする必要がない
  4. 財務状況が改善される
  5. 最大2か月分の債権を現金化できる

それぞれのメリットを説明します。

審査の難易度が低い

医療ファクタリングの特徴として、一般的なファクタリングよりも審査の難易度が低いことが挙げられます。

もともとファクタリングは、銀行から融資を受けるときのように厳しい審査は行われません。

利用者ではなく、売掛先の信用力を重視した審査となるからです。

さらに医療ファクタリングでは、売掛先は社会保険診療基金や国民健康保険団体連合会など「国」のため、倒産リスクはほぼありません。

未回収リスクがほとんどない医療ファクタリングは、通常のファクタリングよりもさらに審査の難易度が低くなります。

有利な条件で契約できる

売掛先が国であることは、診療報酬債権はファクタリング会社が安心して買い取りできる債権といえます。

そのため利用者である医療機関には、3社間ファクタリングの中でも最も低い料率が適用されるなど、有利な契約が期待できます。

売掛先への通知を気にする必要がない

3社間ファクタリングで契約を結ぶ場合、売掛先に対する通知や承諾を得る必要があります。

通常、売掛先へファクタリング利用を説明する流れにより、資金繰りを懸念されその後の取引に影響が及ばないか不安になるものです。

しかし医療ファクタリングでは売掛先が国となるため、風評被害や信用を疑われる心配がなく、安心して利用できます。

財務状況が改善される

診療報酬債権は、国保又は社保からの入金までの期日が、一般企業保有の売掛債権よりも長めです。

そのためファクタリング利用すで資金繰りが短期的に楽になります。

また、売掛先への倒産リスクヘッジができ、万が一に不良債権が発生した場合、損失は回避されることもメリットです。

最大2か月分の債権を現金化できる

医療ファクタリングの場合、初回のみ2か月分の診療報酬債権を使った資金調達が可能です。

医療報酬は、翌月末が支払日の場合、前月分を当月10日までに請求すると、翌月末に入金されます。

たとえば1月分の医療報酬を2月10日に請求すると3月末に入金され、同様に2月分は3月10日に請求し4月末に受け取ります。

3月に医療ファクタリングを初めて利用する場合、2月分の医療報酬が譲渡対象となり、申し込みから1週間前後で入金されます。

1月分として2月に請求した医療報酬は、もともとのスケジュールで国保または社保から3月末に入金となり、現金化した2月分の医療報酬は契約一週間前後で3月に入金されるでしょう。

そのため医療ファクタリングを利用した月は、2か月分が同月に入金されるといえます。

医療ファクタリングを利用する際の注意点

診療所やクリニックを設立・運営するためには、一定の資産・資金を有することが必要となります。

必要最低限そろえなければならない設備などもあるため、投入しなければならない資金も大きくなりがちです。

初期費用を回収できるようになるまで一定の期間がかかり、中長期的にも運転資金や人件費、施設修繕や医療機器購入など様々なお金が必要となります。

万が一、経営難に陥っている場合、銀行からの融資を受けることができなくなるなど、資金繰りに悩むことになるかもしれません。

医療ファクタリングなら債務超過でも利用できる可能はあっても、次の2つのデメリットについては理解が必要です。

  1. 利用しすぎる恐れがある
  2. 悪質業者が存在する

それぞれ説明します。

利用しすぎる恐れがある

医療ファクタリングのデメリットは、一度利用してしまうと再度利用する可能性があり、何度も利用しすぎてしまうことです。

2か月待てば入金される報酬が、前倒し受け取ることができるのは大変喜ばしいことでしょう。

ただ、毎月のように繰り返し利用すれば、本来受け取る金額を目減りさせ、売買手数料分により利益も削られます。

さらに医療ファクタリングをストップする月に受け取ることのできる医療報酬はゼロになるため、計画を立てて利用しなければ継続利用から抜けられません

資金繰りを改善する目的で利用するときには、あくまで短期の繋ぎ資金であることを前提に、どのくらいの期間で利用するか決めておくことが必要です。

悪質業者が存在する

医療ファクタリングに限らず、ファクタリング業界には悪質業者が存在するのが事実です。

ファクタリングは、事業者を取り締まる業法がなく、許認可も必要ないため、悪質業者が横行しやすい環境といえます。

契約の際に、事前と異なる高額な売買手数料や条件を提示してくるケースや、見積書や契約書の控えを渡さない場合は、悪質業者の可能性が非常に高いため契約しないでください。

まとめ

医療ファクタリングは、通常のファクタリングよりも柔軟な審査の上、売買手数料を抑えることができます。

一般的なファクタリングでも、銀行から融資を受けるときのような厳しい審査は行われず、スムーズな資金調達は可能です。

ただ、医療ファクタリングはより審査のハードルが下がるため、利用しやすい資金調達の方法といえます。

診療報酬が入金されるまでの期間は最大で2か月で、その間に資金不足に陥ったときやまとまったお金が必要なときでも、医療ファクタリングなら安心です。

便利な資金調達の方法であるだけに、繰り返し利用したくなるものの、売買手数料で本来の入金額を減少させます。

数か月に渡り利用するときには、どのくらいの期間使うのか計画を立てた上で活用するようにしましょう。

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