ファクタリングを利用した場合、経理処理が複雑になるのでは…と心配になる方もいるようです。
ファクタリングは、ファクタリング会社から受け取った資金を保証しなければならない償還請求権のあるリコースファクタリングと、売掛先が倒産してもその弁済義務を負うことのないノンリコースの2種類があります。
どちらを利用するかによって経理処理の方法は異なりますが、現在、ファクタリングサービスとして提供されている多くはノンリコースファクタリングですので、こちらの経理処理をメインに覚えておきましょう。
ファクタリングを利用した場合の経理処理
仕訳とは、発生した取引をそれぞれの勘定科目に分類する経理処理のことです。
企業間の商取引において売掛債権が発生したときには、
借方 | 貸方 |
売掛金 | 売上 |
という仕訳を行います。
その後、売掛代金が期日に入金されると、
借方 | 貸方 |
現金(または預金) | 売掛金 |
という仕訳処理を行うことが一般的です。
しかしファクタリングを利用する場合にはこの仕訳は行わず、
借方 | 貸方 |
未収入金 | 売掛金 |
という未収入金を使った処理を行い、
ファクタリング会社から売却した売掛債権分の入金があったときに、
借方 | 貸方 |
現金(または預金) | 未収入金 |
売掛債権売却損 |
で、経理処理を行いましょう。
ここで用いられる売掛債権売却損という勘定科目は、ファクタリング会社に支払う手数料のことです。
ファクタリングを利用する場合、手数料を差し引いた分が売掛債権の売却代金として入金されますので、売掛債権売却損で処理を行います。
なお、手形割引で用いられる割引料という勘定科目がありますが、ファクタリングにおいても割引料を用いても特に問題ありません。
ファクタリングと消費税の関係
ファクタリングの利用に関係なく、売掛債権は売上高に含まれることになりますので消費税の対象です。
消費税を申告する際には、商品を販売したことで顧客などから受け取った消費税額から仕入れなどで支払った消費税を控除して納める消費税を計算します。
この処理を仕入税額控除といいますが、課税対象期間中の課税売上高が5億円以下であり、課税売上割合が95%以上ある場合には全額控除となります。
課税売上割合は、
課税期間中の課税売上(税抜)÷ 課税期間中の総売上(税抜)×100=課税売上割合
で、算出できます。
総売上部分には、預金や売掛金、貸付金など、その他金銭債権も加算することが必要ですが、ファクタリングにより得た対価も本来なら金銭債権と考えられます。
ただ、例外規定によりファクタリングで得た対価は加算しなくてもよいとされているので、課税売上割合にファクタリング取引は考慮しなくてもよいと理解しておきましょう。