ファクタリングは、急いで資金を調達しなければならないという中小企業などのニーズにもこたえることができる方法であることがメリットですが、他にも経理上のメリットがあります。
そこで、ファクタリングを利用することで資産をオフバランス化することができるという、経理部分でのメリットについてご説明します。
目次
ファクタリングによるオフバランス化とは
資産をオフバランス化するということは、賃貸対照表(BS)に記載される資産を資産の部から消し、総資産額を減少させることです。
銀行など金融機関から融資を受けると、貸借対照表の負債を増やします。
しかしファクタリングは負債も資産も増えず、むしろ貸借対照表をスリム化するオフバランス化が可能です。
事業運営に活用している資産や負債でありながらも、財務諸表に記載されないことで資産効率の改善が期待できます。
会計上のリスクが存在する取引が貸借対照表(バランスシート)外へ出されるため、企業価値を高めることにつながります。
ファクタリングによるオフバランス化のメリット
ファクタリングによるオフバランス化で、経営状態をよく見せることができれば銀行からの評価も上がり、銀行融資を受けやすくなるなどメリットが増えます。
銀行からの評価が上がる理由は、以下の指標が上がるからです。
- 総資産利益率(ROA)
- 自己資本比率
- 現金比率
それぞれ説明します。
ファクタリングによるオフバランス化の要件やメリットについて解説
総資産利益率(ROA)
総資産利益率(ROA)とは、資産に対しどのくらい効率的に利益を生んだか分析する指標です。
オフバランス化により総資産利益率(ROA)も向上しますが、以下の計算式で算出できます。
総資産利益率(ROA) = 当期純利益 / 総資産 × 100(%) |
総資産利益率は財務分析を行う上で収益性を把握するための指標となるものであり、数値が高いほど効率的に経営できていると評価されます。
自己資本比率
オフバランス化により、返済義務のない資本を意味する自己資本(純資産)が総資本(負債と純資産の合計)に占める割合を示す自己資本比率も上がります。
自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資本 × 100(%) |
少ない資産で同じ利益を上げていることになれば、経営の効率がよいとみなされ銀行からの評価も上がります。
現金比率
オフバランス化により、現金比率が上がりやすいこともメリットです。
現金比率 = 預金 ÷ 貸出金(預金+現金) × 100(%) |
ファクタリングを利用すると、売掛金がそのまま現金に変わるため、現金預金の割合が高く安定していると判断されやすくなります。
短期的な支払能力が高いと見なされれば、安全性のアピールにもつながり、企業価値も高いと判断されます。
ファクタリングによるオフバランス化のデメリット
ファクタリングによるオフバランス化のデメリットは、手数料がかかることです。
手数料は、契約を結ぶファクタリング会社や取引形態によって変わるものの、銀行融資で発生する利子よりも高い手数料が発生します。
手数料が高すぎると、コストがかかりすぎて利益を圧迫し、上がるはずだった総資産利益率(ROA)や自己資本比率を引き下げることになってしまいます。
ファクタリングの利用の際には、相場の範囲で良心的に手数料を設定するファクタリング会社に相談するようにしてください。
まとめ
ファクタリングで総資産利益率などを高めることにより、銀行融資などで不利になりやすい中小企業にも有利になる可能性も高まります。
早ければ即日売掛金を現金化できるといった迅速性が注目されている方法です。
資金調達だけでなく、資産をオフバランス化できるメリットがあることも理解しておくと、より有効な方法として活用できるでしょう。