一般的な軽貨物ドライバーであれば、運送業を始める前に所属会社と業務委託契約を定位決するため、従業員ではなく「個人事業主」として働く上で何が経費になるか把握しておく必要があります。
自らが経営する立場となる業務形態のため、会社員なら毎月の給与から税金を源泉徴収してくれるのに対し、運送事業者として売上から経費を差し引いた所得に対する税金の計算が必要です。
その手続が「確定申告」ですが、正しく税金を計算し納めるために、何が運送業では経費として対象になるのか把握しておきましょう。
そこで、運送業で得た売上から業務に使った経費として差し引くことができる費用にはどのようなものがあるのか、毎月の記帳や確定申告で注意しておきたいポイントについて解説していきます。
委託ドライバーの年末調整の扱い
年末調整とか、給与支払者(会社など給与・賃金の支払者)が、給与所得者(サラリーマンや公務員など)の扶養状況や保険料の支払い等から再計算し所得税の過不足を精算する制度が「年末調整」という制度です。
年末調整は会社勤めのサラリーマンや公務員などが対象になるため、委託ドライバーは基本的には対象ではありません。
本業の給与収入があり、副業として委託ドライバーをしている場合には、本業の勤め先で年末調整されることはあります。
ただし、副業として委託ドライバーで稼いでいる金額が年額20万円を超える所得があるときには、副業の収入は別途確定申告することが必要です。(収入から経費など差し引いた金額が年間20万円を超える場合)
このような場合、本業の会社で年末調整を済ませておき、発行された源泉徴収票も合わせて確定申告をすることになります。
経費含む記帳の必要性
毎月の収支について、記帳していくことは運送事業者だけでなく、どの事業者にも課せられた義務です。
そのため、
- いつ
- どのような取引を行ったのか
- 取引の金額
などを明確に記しておくことが必要となります。
個人事業主のすべてが日々の取引を記帳し、帳簿を作成しなければならないことは、確定申告の種類(青色申告または白色申告)に関係なく共通して義務付けられています。
作成した帳簿は7年(請求書・領収書は5年)保存しておくことも義務として定められているため、なくさないように保管しておきましょう。
- 収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) 保存期間7年
- 業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿) 保存期間5年
- 決算に関して作成した棚卸表その他の書類 保存期間5年
- 業務に関して作成または受領した請求書・納品書・送り状・領収書などの書類 保存期間5年
記帳しなかった場合のペナルティ
日々の取引を記帳していなかった場合、どのくらい儲けが出たのか、それに対する支払いなどについて正確に把握することはできなくなります。
そのため売上から経費を差し引き、出した所得に対する税金を納めようとしても、確定申告自体できなくなってしまうでしょう。
1年間の所得と税金を正しく申告するためにも、日々の記帳は必要なことであるため、記帳しなければ「申告漏れ」や「所得隠し」につながる行為とみなされます。
意図的な所得隠しが税務調査で発覚した場合、申告していなかった額に対する「重加算税」が科される可能性があり、その税率は不足分の35%や40%なので大変重いと留意しておくべきです。
記帳方法の種類
帳簿に記帳する方法には、
- 複式簿記
- 単式簿記
の2つがあります。
複式簿記は1つの取引の仕訳に対し、複数の科目を使って記帳します。
単式簿記は1つの取引を1つの科目のみで記帳するという違いがあります。
記帳するタイミングは売上や経費が発生したとき
記帳するタイミングは「発生主義」の考え方に従うため、売上や経費が発生したときです。
それに対し「現金主義」では、現金の入金・出金があったときに売上や経費を認識します。
確定申告の種類
確定申告を大きく分けると「白色申告」と「青色申告」の2種類に分類されます。
「白色申告」は、一般的な家庭の家計簿に似た形で、日々の入金と出金を記録していく簡易的な形式となります。
それに対し「青色申告」では65万円・55万円・10万円の3段階で「青色申告特別控除」の適用が認められるため、白色申告のような簡易的な形式ではなく複式簿記の帳簿が必要です。
青色申告の特徴と必要書類
青色申告で確定申告する場合、1年間に発生した事業上の損益、年末時点の資産・負債の状況を明確にすることが必要です。
確定申告書と青色申告決算書を提出しますが、売上・経費・資産・負債の残高を記載します。
ただ、青色申告で複式簿記による記帳が必要になるのは、65万円控除か55万円控除の適用を受けるときです。
同じ青色申告でも10万円控除の場合には、複式簿記で記帳しなくてもよいとされています。
なお、青色申告は管轄する税務署で開業届を提出しておくことが必要になりますが、軽貨物のドライバーとして働くときにはそもそも税務署に開業届を出しているはずです。
税務署に開業届を提出していれば、自動的に青色申告書が郵送されるため、白色ではなく青色で申告することとなるでしょう。
青色申告で保存しておく必要があるのは、以下の書類です。
帳簿…仕訳帳・総勘定元帳・現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳など 決算関係書類…損益計算書・貸借対照表・棚卸表など 現金預金取引等関係書類…領収証・小切手控・預金通帳・借用証など その他の書類…取引に関して作成・受領した上記以外の書類(請求書・見積書・契約書・納品書・送り状など)
|
白色申告の特徴と必要書類
白色申告の場合でも、平成26年1月1日以降は帳簿作成が義務付けられています。
青色申告のように複式簿記での記帳は必要ないため、単式簿記により記帳し、事業上の損益の状況を集計すればよいだけです。
確定申告書と収支内訳書を提出しますが、損益の状況は記載することが必要になるものの、資産・負債の状況まで記載する必要がありません。
簡易的な帳簿作成で済むことはメリットですが、青色申告のように控除が適用されないことはデメリットです。
白色申告の場合、以下の書類を保存しておきましょう。
帳簿…収入金額や必要経費を記載した帳簿・業務に関して作成した上記以外の帳簿 その他書類…決済に関して作成した棚卸表など・業務に関して作成または受領した請求書・納品書・領収証など |
控除の種類ごとの要件
同じ青色申告でも控除される金額には種類があり、それぞれの控除によって作成しなければならない帳簿の種類などが次のように異なるため、その違いを把握しておきましょう。
青色申告における65万円控除・55万円控除
作成する帳簿には、
- 主要簿 すべての人が作成する必要のある帳簿
- 補助簿 必要に応じて作成が必要になる帳簿
の2種類があります。
どちらも保存期間7年と決められているため、確定申告が終わったからといって過去の帳簿を破棄してしまわないようにしてください。
なお、事業の内容や規模などで必要になる帳簿は異なります。
たとえば現金売上のみの小売店などは売掛帳を作成する必要はなく、事業用の固定資産を保有していないときにも固定資産台帳を作成する必要はありません。
青色申告の控除額65万円や55万円を受けるとき、必要になる帳簿の種類は同じです。
ただ、65万円の控除を受けるときには、主要簿を電子帳簿保存していることやe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用するといった条件などがあるため注意しましょう。
青色申告における10万円控除
青色申告でも10万円の控除を適用されるときには複式簿記での記帳は必要ないため、仕訳帳や総勘定元帳を作成する必要ありません。
ただし収入金額や必要経費を記帳した帳簿は作成し、保存しておくことが必要です。
なお、白色申告のときの帳簿と差はありませんが、いずれも作成した帳簿は7年保存しておくようにしてください。
帳簿の種類
必ず作成が必要な主要簿、そして必要に応じて作成が必要となる補助簿には種類があります。
それぞれどのような書類を作成しなければならないか、その内容を確認しておきましょう。
主要簿
主要簿とは、
- 仕訳帳
- 総勘定元帳
のことで、青色申告決算書(損益計算書・貸借対照表)を作成するための資料といえます。
仕訳帳
「仕訳帳」とは、1年間すべての取引の仕訳を日付順に記録した帳簿で、補助簿ごとに記録されていたすべての取引を時系列で確認できます。
仕訳帳に取引の仕訳を記録し、総勘定元帳に転記するため、帳簿作成では基本となる重要な書類です。
総勘定元帳
仕訳により勘定科目ごとに1年間の取引を記録した帳簿が「総勘定元帳」です。
1年間の資産・負債・売上・経費の内容を確認することが可能であり、損益計算書や貸借対照表の作成や所得計算に関わる重要な帳簿です。
補助簿
補助簿は事業内容により必要な書類がことなりますが、一般的には次の5つの帳簿を作成することになります。
- 現金出納帳
- 売掛帳
- 買掛帳
- 固定資産台帳
- 現金出納帳
現金出納帳
現金の入出金と、帳簿残高と現金残高が一致するか確認するための帳簿が「現金出納帳」です。
また、銀行口座のお金の出入りを管理する「預金出納帳」では、預金通帳の内容を順番に転記して作成します。
売掛帳
「掛け取引」により商品やサービスを販売したとき、または掛け取引の販売代金を回収したときに記録する帳簿が「売掛帳」です。
掛け取引は「信用取引」なので、商品やサービスを販売し、どのくらい代金を回収できたか適切な管理ができていなければ手元の資金が不足します。
販売代金の回収漏れなどを防ぐためにも、毎月管理を欠かさず行うようにしましょう。
買掛帳
「掛け取引」により商品を仕入れたときや、掛け取引の仕入れ代金を支払ったときに記録する帳簿が「買掛帳」です。
売掛帳と同様に、適切に管理ができず、未払いなどがあれば取引先から信用を失います。
代金の支払い漏れなどを防ぐためにも、こちらも適切に管理しましょう。
なお、買掛帳に記帳していく取引は本業の商品の仕入のみであり、備品などを後払いで購入した取引は「未払金」で処理するようにしてください。
固定資産台帳
個人事業主が所有している「固定資産」を管理する帳簿です。
保有する固定資産について、
- 種類
- 耐用年数
- 減価償却費
- 未償却残高
など記録していきます。
確定申告・納税をしなかった場合の罰則
運送業の「売上」から「経費」を差し引いた「所得」から、税金を計算し納税をすることが必要ですが、所得を減少させることができれば納める「税金」も少なくなります。
そのためできるだけ多くの「経費」を計上できることが望ましいですが、そもそも申告しなければ税金を納める必要はないと考えることは間違いです。
確定申告をせず、納税を怠った場合には「無申告加算税」や「逋税」という意図的に税金を納めていない対象となり、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。
納税は国民の義務のため、厳しい措置の対象です。
運送業の主要な経費
トラック事業で必要となる主要な経費は、
- 運行費(燃料・油脂費・修理費・タイヤ・チューブ費・尿素水費など)
- 車両費(車両の減価償却費または車両リース料)
- 自動車関連諸税(自動車取得税・自動車税・自動車重量税など)
- 保険料(自賠責保険料・任意保険料)
- 運転者人件費(給与・賞与(月額)・退職金積立額(月額)・法定福利費・福利厚生費)
- その他運送費(シート・ロープ・車庫・高速道路・フェリー料金他)
- 間接費(一般管理費・施設費・事故処理費・租税公課雑費など)
の7つです。
このうち①から⑤までについて詳しく説明していきます。
①運行費(変動費)
燃料費 (軽油費など)
燃費消費量は、基本的に走行距離に比例して増加します。
- 車両の大きさ等に応じて燃費が変動 (㎞/ℓ)
- 時期によって燃料価格が変動 (円/ℓ)
油脂費
エンジンオイル・オイルフィルターなど、これらの交換に係る工賃です。
一定の走行距離ごとに交換することが必要となり、車両の大きさ等に応じて変動します。
修理費
一般修理・車検整備・定期点検などに係る費用で、基本的に一定期間ごとに整備や点検などが発生しますが、車両の大きさなどに応じて変動することが特徴です。
タイヤ・チューブ費
タイヤ・チューブ・交換工賃・バルブ・タイヤの前後ローテーションなどのメンテナンス費用です。
一定の走行距離ごとにメンテナンス費用が発生しますが、車両の大きさなどに応じて価格・必要量が変化します。
尿素水費
ディーゼルエンジンに必要な尿素水に係る費用で、消費量は基本的に走行距離に比例して増加し、車両の大きさなどに応じて変動します。
②車両費(固定費)
減価償却費
トラックを自社保有する場合に発生しますが、トラックの購入費を各年度事業の費用として平準化し、配分します。
減価償却費 = (車両の調達価格-残存価格) ÷ 償却期間
|
なお、車両価格はトラックの大きさや架装などの仕様に応じて変わり、償却年数にも一定の幅があります。
リース料
トラックをリースするときに発生します。
③自動車関連諸税(固定費)
自動車取得税
トラックを取得するときに1回限り納める税金です。
自動車取得税 = 自動車取得価格 × 税率
|
自動車重量税
新規登録や車検のときに納める税金で、車両の大きさなどに応じて変動します。
自動車重量税 = 自動車取得価格 × 税率
|
自動車税
トラック車両の保有に関する毎年発生する税金で、車両の大きさなどに応じて変動します。
④保険料(固定費)
自賠責保険
すべてのドライバーに加入が義務付けられている強制保険であり、毎年発生する費用として認識しておきましょう。車両の大きさ・地域によって保険料は変動します。
任意保険など
任意に加入する自動車保険などであり、毎年発生する費用です。こちらも車両の大きさなどによって変動します。
⑤運転者人件費・一般管理費(固定費・変動費)
運転者人件費(給与など)
トラックドライバーに対する人件費(給与・賞与)・法定福利費・福利厚生費・退職金などの費用です。
一般管理費・雑費
役員人件費や、運行管理者・整備管理者の人件費、事務所維持費用などが該当します。
軽貨物事業で経費計上できる費用
それでは軽貨物事業を行う場合、日常の会計処理においてどのような支払いであれば「経費」として認められるのでしょう。
確定申告では、「経費」として処理できる支払いが多ければ多いほど、「所得」が少ないと見なされるため納める「税金」を少なく抑えることができます。
そのため確定申告のときには、事業に対して支払った費用はしっかり経費計上したほうがよいといえますが、「経費」はその存在を証明することが必要です。
そこで、
- 領収書やレシート
- 請求書や納品書
- クレジットカードなどの明細書
- メールや郵便物
- 出金伝票
などはなくさず保管しておくようにしてください。
ドライバーが経費として計上できる費用には次のような支払いが挙げられます。
- ガソリン代
- タイヤ・その他パーツ交換代
- 駐車場や高速道路の料金
- 車検や自動車修理代
- 自動車に関する保険料
- 自動車税など租税
それぞれどのような支払いが該当するのか説明していきます。
ガソリン代
運送用自動車を運転するときにはガソリンが必要ですが、その際のガソリン代です。
タイヤ・その他パーツ交換代
タイヤがすり減り溝がなくなったときなどの交換費用や、カーナビ・ドライブレコーダー・パーツやメンテナンスグッズなども経費として計上できます。
ただし経費として計上できるのは、あくまでも運送用自動車に対し購入・交換した費用です。
自家用車などにドライブレコーダーを設置した費用などは経費としては計上できません。
駐車場や高速道路の料金
有料駐車場を利用しているときの月額料金、コインパーキング代、高速道路を利用したときの通行料なども経費として計上できます。
高速道路を通過するときETCを利用しているときには、クレジットカードの利用明細などで経費に計上しましょう。
車検や自動車修理代
2年ごとに運送用自動車の車検を行うときの費用も経費として計上できます。
また、車両が壊れたとき、修理業者に依頼した修理代も経費とみなされます。
自動車に関する保険料
運送事業者も、自動車を所有していれば「自賠責保険」への加入は義務付けられているため、自賠責保険料も経費に計上できます。
また、任意で加入している自動車保険の保険料も経費計上可能です。
自動車税など租税
自動車を使った仕事をしている事業者の場合、
- 自動車税
- 重量税
- 自動車取得税
などさまざまな租税を経費として計上できます。
その他経費計上できる費用
他にも経費として扱うできる費用には次のような支払いが挙げられます。
- 見舞金(取引先の方に対するお祝いやお見舞いのための費用)
- 祈祷料(神社で祈祷したときの祈祷料・ただし個人的なお参りは不可)
- 携帯・固定電話代
- 事務用品
- 交際費
- 会議費(事業関係者との懇親や打ち合わせ・差し入れ・香典・祝い金など)
自宅兼事務所で経費計上できる費用
中には自宅を事務所として兼用しているケースもあるでしょう。
この場合、家賃も経費として計上することができますが、プライベートと仕事の使用範囲に分けた「家事按分」が必要となります。
「家事按分」の方法は、事務所として利用している面積や、半額または3分の1程度に設定するといった方法がありますが、いずれにしても仕事で使っている範囲に合わせることが必要です。
さらに水道光熱費や通信費なども、家賃同様に家事按分により一部を経費として計上できます。
軽貨物事業で経費計上できない費用
さまざまな費用や支払いを経費として計上できますが、経費として扱うことのできない支払いもあります。
経費として計上できると勘違いしてしまいがちな費用などを紹介するため、間違って処理しないようにしてください。
借入金元本
事業のために借金をしたとき、経費として計上できるのは支払った「利息」だけであり、借り入れた元本は経費の対象ではありません。
借入金を返済したとき、間違って経費として計上しないようにしましょう。
事業者本人の社会保険料・生命保険料
運送事業者本人、配偶者・家族を対象として加入している社会保険や生命保険の保険料は経費として計上できません。
ただし確定申告のとき、控除の対象となります。
業務中の交通違反による交通反則金
仕事中にいそいで荷物を届けなければならないと、スピード違反したときなどの交通違反に対する交通反則金も経費として計上できません。
業務外の自動車関連費用
たとえ事業用の車を使っていたとしても、休日に家族で出かけたときなどに使ったガソリン代や高速料金などは経費として計上できません。
労災保険料と組合費の扱い
経費として計上するときに、間違いやすいのが「労災保険料」や「組合費」です。
労災保険料は「社会保険料控除」、組合費は「必要経費」として確定申告のときに控除します。
ただし雇用している従業員ではなく一人親方の労災保険料は経費として計上できないため、帳簿では「事業主貸」で処理しましょう。
組合費も「諸会費」として処理します。
たとえば労災保険料2万円、組合費1万円を現金で支払ったときの仕訳は以下のとおりです。
借 方 | 貸 方 |
事業主貸 20,000円 | 現金 30,000円 (摘要:労災保険料) |
諸会費 10,000円 |
確定申告のときには、社会保険料控除(社会保険の種類:労災保険料)で所得税確定申告書Bに記載します。
労災保険料は生命保険料や損害保険料と異なり、領収書など証明書類を添付する必要はありません。
一人親方の配偶者や子など、家族従事者の労災保険料は「法定福利費」で経費計上できます。組合費は「諸会費」として処理してください。
たとえば家族従事者の労災保険料2万円、組合費1万円を現金で支払ったときの仕訳は以下のとおりです。
借 方 | 貸 方 |
法定福利費 20,000円 | 現金 30,000円 (摘要:労災保険料) |
諸会費 10,000円 |
株式会社など法人の代表取締役(一人親方)の労災保険料は「法定福利費」として経費計上でき、組合費も「諸会費」として処理します。
法人の代表取締役(一人親方)が労災保険料2万円、組合費1万円を現金で支払ったときの仕訳は以下のとおりです。
借 方 | 貸 方 |
法定福利費 20,000円 | 現金 30,000円 (摘要:労災保険料) |
諸会費 10,000円 |
確定申告書の作成方法
いざ確定申告書を作成しようと考えても、初めてのときなどはどのように作ればよいかわからないという運送事業者もいることでしょう。
おもに確定申告書を作成する方法は次の4つです。
- 税務署で申告書を受け取る
- 国税庁のホームページを活用する
- 会計ソフトを利用する
- 税理士に依頼する
それぞれどのような内容か説明していきます。
税務署で申告書を受け取る
直接、税務署で確定申告書を入手し、手書きで申告書を記載し作成する方法です。
記載方法など説明書も添付されていますが、すべて手計算することになるため、ミスがないように注意しておくことが必要となります。
国税庁のホームページを活用する
国税庁のホームページに「確定申告書等作成コーナー」があります。
サイト内の利用ガイドに従い確定申告書を作成することができ、作成した申告書をダウンロードし、印刷すれば税務署に提出できます。
また、「e-Tax」という納税システムを利用することで電子申請も可能です。
ただし「e-Tax」を利用するときには、次の準備が必要となります。
- マイナンバーカード
- ICカードリーダライタまたはマイナンバーカード読み取りに対応したスマートフォン
電子申請であれば、税務署に出向く必要もなく、インターネットで申告を完結できるため大変便利です。
会計ソフトを利用する
「e-Tax」を使いたくても、必要な準備ができないときには「会計ソフト」などを利用するのも便利です。
会計ソフトを利用すれば、マイナンバーカードなど準備する必要もなく、売上や経費を入力するだけで自動的に税金など計算できます。
下記のようなオンラインサービスもあるため、うまく活用するとよいでしょう。
また、「e-Tax」と連動させて電子申請することもできます。
MFクラウド確定申告
Freeee
弥生の白色申告オンライン
弥生の青色申告オンライン
税理士に依頼する
確定申告書の作成にかける時間がない場合や、不安があるとき、そして費用面で余裕がある場合には税理士に作成を依頼することもできます。
ただしすべて丸投げするのではなく、日々の記帳などは適切に行い、毎月どのくらいの収支が発生しているのか把握できるようにしておきましょう。
確定申告の提出期日
確定申告は、毎年2月15日~3月15日までに行うようにしましょう。
運送事業者は業務委託として契約するため、個人事業主としての確定申告を行うことが必須となります。
青色申告と白色申告、どちらの場合でも申告期限は変わりません。
年末年始は運送事業者にとって繁忙期といえる時期ですが、ある程度荷物が落ち着いたときや年明けの閑散期には確定申告の準備をすすめておきましょう。
確定申告書を提出する方法は、
- 税務署に確定申告書を持ち込み提出する
- 郵送で税務署に送る
- e-taxで電子申請する
の3つです。
忙しく税務署に持ち込む時間がないドライバーなどは、郵送や電子申請がオススメですが、電子申請の場合には事前の準備も必要となります。
なお、税務署の印鑑が押された控えが必要なときには、返送用封筒に切手を貼り、控えを返送してもらえるように準備しておくようにしましょう。
まとめ
運送会社は業務委託として契約するため、個人事業主として確定申告を行うことが必要です。
確定申告には青色申告と白色申告がありますが、青色申告の場合には毎月の記帳を複式簿記で行うことが必要であり、少し手間がかかることとなるでしょう。
しかし青色申告で確定申告することで、たとえば事業を手伝ってくれている配偶者など、親族に対する給料も経費として認められる枠を増やすことや、控除できるなど優遇措置などが増えるためメリットは大きいといえます。
白色申告の場合でも、事業を手伝ってくれる親族に対する給料は、配偶者なら年間86万円・その他親族50万円までなら経費として認められます。
運送事業の必要経費として計上できる費用は多岐に渡り、たとえば運送会社からのトラックの借用料・ガソリン代・携帯電話代などいろいろあります。
ただし必ず領収書や請求書などが必要であり、作成した帳簿とともに決められた年数保管しておくことが必要です。