クラウドファンディングとは?やり方やメリット・デメリットを簡単に解説

クラウドファンディングとは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により注目されるようになった資金調達の方法です。

以前から資金調達の方法として活用されていたものの、最近になって耳にしたことがあるという方や、聞いたことがあるものの流れややり方がわからないといった方も少なくありません。

そこで、クラウドファンディングとはどのような資金調達の方法なのか、その方法やメリット・デメリットについて簡単に解説していきます。

クラウドファンディングとは

「クラウドファンディング」とは、インターネットを通じて不特定多数の方から少額の資金を調達する方法です。

ソーシャルファンディングと呼ばれることもある方法で、主に個人から資金を募るため少額の資金集めになるものの、人数が多ければまとまった資金を調達できます。

従来までであれば、ベンチャー企業や非上場企業が資金調達するときには、銀行から「融資」を受ける方法や投資家を探して「出資」してもらうしかありませんでした。

また、法律の規制などで寄付という形式で資金提供してもらうことがほとんどで、実際には使いにくい状態だったといえます。

現在では金融商品取引法の改正により、1人あたり50万円を上限として総額1億円未満の資本調達ができるようになりました。

さらにインターネットが普及したことによって、「小口」の出資者から資金を集めることが可能になり、誰でも資金調達しやすくなったといえます。

クラウドファンディングの仕組み

クラウドファンディングをする人たち

「クラウドファンディング」という名称は、「群衆(クラウド)」と「資金調達(ファンディング)」を合わせた造語です。

明確な定義はなく解釈はいろいろであるものの、実現したいことやビジネス計画などのプロジェクトに対し、共感した人が資金を支援する方法といえます。

インターネットを使って資金を募ることができる仕組みであるため、手軽に誰でも利用でき、プロジェクトを拡散したりテストマーケティングに使ったりすることもできます。

2011年の東日本大震災でも、多大な被害を受けた東北地方の被災地への支援のため、たくさんの人たちがクラウドファンディングで復旧・復興を呼びかけることを行いました。

社会貢献にもつながる手法であり、アイデアがあれば誰でも「起案者」として発信できます。

アイデアに共感し応援したいと感じれば、資金提供者は誰でも「支援者」になれます。

消費者庁の「クラウドファンディングの仕組み」も参考にするとわかりやすいでしょう。

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クラウドファンディングの種類

パソコン画面を操作する人

クラウドファンディングには、支援者が起案者に対しどのように資金を提供し、リターンを得るかによって次の6つの種類に分けることができます。

  1. 購入型
  2. 寄付型
  3. 融資型
  4. ファンド型
  5. 投資型
  6. ふるさと納税型

それぞれのクラウドファンディングについて説明していきます。

購入型

「購入型」とは、プロジェクトに対して賛同した支援者が、提供した資金のリターンとしてモノやサービスを得る仕組みのクラウドファンディングです。

支援者は、資金を支援してくれた見返りとして、販売する商品やサービスを購入する感覚で受け取ることができるものの、金銭面のリターンはないことが特徴といえます。

寄付型

「寄付型」とは、プロジェクトに対して賛同した支援者が、寄付という形で資金を提供する仕組みのクラウドファンディングです。

無償で資金を提供することになるため、起案者から商品やサービスなどが返礼として渡ることはありません。

寄付型のクラウドファンディングは、主に被災地支援など社会的な貢献性が強いプロジェクトで利用されることが多いといえます。

融資型

「融資型」とは、お金を借りたい企業がクラウドファンディングの運営会社を通じて、資金集めをします。

投資家は、興味のあるファンドへ出資し、運営会社を通じて企業へ貸し付けます。

お金を借りた企業は、運営会社に元本に金利を乗せた金額を毎月返済します。

運営会社は返済分から手数料を差し引き、残りを出資した投資家へ分配金として割り当てる仕組みです。

元本保証されていない分配金は元本割れするリスクがあることは注意が必要といえます。

また、金融商品として扱われるため、融資する事業者は「貸金業法」や「金融商品取引法」などの法律規制を受けることが特徴です。

ファンド型

「ファンド型」とは、特定の事業に対し個人から出資を募る仕組みのクラウドファンディングです。

支援者は、売上による成果や出資額に応じて金銭的なお礼を受け取ることができ、商品やサービス、割引なども受け取れる場合もあります。

そのため社会的な貢献性も強く、融資型は元本と利息で利回りが計算されるのに対し、ファンド型では売上に基づいた分配金で利回りが計算される違いもあります。

なお、ファンド型で資金提供する事業者は第二種金融商品取引業に登録していることが必要であるため、投資する個人は事業者を通して匿名組合契約など出資契約を結ぶことも必要になります。

投資型

「投資型」とは、主に株式会社が利用するクラウドファンディングで、個人の投資家に非公開株を提供します。

支援者は、株式投資による運用リスクを抱えますが、配当やキャピタルゲインを得ることができる可能性もあります。

なお、投資型を利用する場合には、第一種少額電子募集取扱業の資格も必要です。

ふるさと納税型

「ふるさと納税型」とは、自治体の課題をプロジェクト化し、共感した支援者がふるさと納税という形で寄付をする仕組みのクラウドファンディングです。

支援者はふるさと納税を利用することによって寄附金控除を受けることができるメリットもあります。

クラウドファンディングの流れ

1万円札の束

クラウドファンディングはインターネットを使って資金を募りますが、その流れは主に次の4つです。

  1. ビジネスの立案
  2. ビジネス計画のページ作成
  3. 運営元による審査
  4. クラウドファンディングの開始

それぞれの流れについて説明していきます。

①ビジネスの立案

クラウドファンディングを利用する場合、まずはビジネスの立案が必要です。

誰のために何を解決したいのか明確化し、賛同者を集めることができるプロジェクトに仕上げるために目的もはっきりと決めておきましょう。

目標とする金額や見返りとして渡すリターンなどについて、支援者が理解しやすい分かりやすい説明も考えておくことが必要です。

②ビジネス計画のページ作成

ビジネスを立案した後は、クラウドファンディング専用のサイトへアクセスし、会員登録してプロジェクトページを作成していきます。

立案したプロジェクトの内容や、目標金額・リターンなど必要事項を入力し、必要に応じて画像なども貼り付けます。

③運営元による審査

プロジェクトページ作成後に申請すると、運営元がその内容について審査します。

利用規約などに基づいた内容になっているかチェックが入り、掲載してもよいと判断されれば一般公開されます。

④クラウドファンディングの開始

審査結果は1週間以内に分かることが多く、通過すればクラウドファンディングをスタートできます。

サイトにプロジェクトページが公開されていることを確認した後は、SNSやプレスリリースなどをうまく活用し、できるだけ多くの人に知ってもらうように周知していきましょう。

クラウドファンディングの決済方法

クラウドファンディングで資金を受け取る条件ともいえる決済方法には次の2種類があります。

  • All in方式…期間内に目標金額に到達しなくても集めた金額を受け取ることが可能
  • All or Nothing方式…期間内に目標金額に到達した場合にのみ集めた金額を受け取ることが可能

例えば目標金額を500万円に設定している場合において、集まった金額が300万円だったとします。

この場合、All in方式なら集めた300万円を受け取ることが可能であるのに対し、All or Nothing方式なら何も受け取ることはできず、支援されたお金は支援者に全額返金されます。

確実に資金調達できるのはAll in方式であるものの、目標金額に達っしていなくても購入が1件でも発生すれば成立と見做すため、購入成立した時点で必ずリターンを渡さなければなりません。

目標到達の有無に関係なくプロジェクトを実施しなければならないため、どちらを選ぶか慎重に判断しましょう。

クラウドファンディングのメリット

能力とお金を示す図

クラウドファンディングは誰でも手軽に資金を調達しやすい方法といえますが、利用することによって起案者には次の5つのメリットがあると考えられます。

  1. 実績がなくてもチャレンジできる
  2. 多額の資金調達が期待できる
  3. 返済義務のない資金を調達できる
  4. ファン獲得が期待できる
  5. テストマーケティング手段に使える

それぞれのメリットについて解説します。

実績がなくてもチャレンジできる

クラウドファンディングのメリットとして、実績がなくてもチャレンジできることが挙げられます。

融資や出資で資金調達するときには、これまでの実績や成功が高く見込める事業でなければ銀行や投資家に認めてもらえず、希望金額を調達することは難しいといえます。

しかしクラウドファンディングでは、幅広い一般の方たちにもアイデアなどを周知するため、賛同を得ることができれば資金を調達できます。

社会的な貢献性が強い場合や、潜在的に将来性が期待できるビジネスの場合には、たとえ実績や確実性がなくても資金調達につながりやすいといえるでしょう。

多額の資金調達が期待できる

クラウドファンディングのメリットとして、多額の資金調達が期待できることが挙げられます。

資金を提供してくれるのはインターネットを利用している個人であるため、1人あたりの資金は少額です。

しかし多くの賛同者を集めることで、多額の資金を調達できることが期待できるといえるでしょう。

返済義務のない資金を調達できる

クラウドファンディングのメリットとして、返済義務のない資金を調達できることが挙げられます。

融資ではなく支援という形であるため、リターンは発生することはあっても、基本的に返済義務のない資金を調達できます。

ファン獲得が期待できる

クラウドファンディングのメリットとして、ファン獲得が期待できることが挙げられます。

インターネットでビジネスや商品・サービスを公開することで、活動や魅力を多くの人たちに知ってもらうことができます。

ブランド認知度や人気を高める効果が期待でき、魅力に感じた方がファンになる可能性も十分にあります。

テストマーケティング手段に使える

クラウドファンディングのメリットとして、テストマーケティングの手段に使えることが挙げられます。

プロジェクトや商品・サービスについてインターネットに公開するため、どのくらいの賛同者が集まるのか、SNSでどの程度話題になっているのかなど確認できます。

これから開発したり販売したりする商品やサービスには、本当にニーズがあるのか確認する手段として使うこともできるため、一般的なテストマーケティングよりも労力やコストをかけずにニーズなど知ることが可能です。

クラウドファンディングのデメリット

デメリットの表示

クラウドファンディングには起案者にとっていろいろなメリットがあるといえますが、次の4つのデメリットには留意しておく必要があります。

  1. アイデアの盗用リスクがある
  2. 目標金額を調達できない可能性もある
  3. 資金調達までの期間が長い
  4. 実行見送りは説明など対応が必要

それぞれのデメリットについて説明していきます。

アイデアの盗用リスクがある

クラウドファンディングのデメリットとして、アイデアを盗用されるリスクがあることが挙げられます。

これから開発・販売しようとする商品・サービスなどについて、インターネットに公開することが必要になるため、その情報を見た人がアイデアなどを盗んでしまうリスクもゼロではありません。

公開したアイデアが資金力や知名度の高い企業などに模倣されれば、自分が生み出したアイデアであったとしても、知名度の高い企業が勝つことになり十分な利益を得ることが厳しくなる可能性もあります。

クラウドファンディングでは幅広く情報を公開することが必須となるため、アイデア盗用のリスクについては覚悟しておくことも必要です。

アイデア盗用を防ぐためには、先に特許権や商標権など知的財産権を取得しておくなど、模倣ができない状態を作っておくことも必要になると考えられます。

目標金額を調達できない可能性もある

クラウドファンディングのデメリットとして、目標金額を調達できない可能性もあることが挙げられます。

銀行など金融機関から融資を受けるときや、投資家に出資してもらう場合などは、先に必要な資金額を提示し、審査などを経て希望する金額を貸し付けまたは投資してもらうことになります。

そのため融資や出資してもらえることは、必要な資金を調達できることを意味します。

しかしクラウドファンディングは、不特定多数の人から少額資金を集めて多額の資金調達を目指す方法であるため、必ず目標金額を調達できるとは限りません。

さらに決済方法がAll in方式なら、目標金額に達しなくても集めた金額を受け取ることができるのに対し、All or Nothing方式では目標金額に達しなければ1円でも受け取ることはできなくなります。

インターネットで情報のみ公開し、事業計画は頓挫するといった可能性もあることは留意しておいたほうがよいでしょう。

資金調達までの期間が長い

クラウドファンディングのデメリットとして、資金調達までの期間が長いことが挙げられます。

インターネットにプロジェクトを公開するために、プロジェクトページの作成や審査などで一定の時間がかかります。

実際にインターネットで公開された後も、多くの人にプロジェクトが周知され、賛同を得て資金を提供してもらうまで1か月程度時間が必要です。

また、資金が集まってもすぐに入金されないことも踏まえれば、資金調達まで2~3か月程度時間がかかると考えておいたほうが良いでしょう。

そのためすぐに資金が必要という場合には適さない方法であり、急いでお金が必要であれば即日性の高いファクタリングやビジネスローンなどの検討が必要になるといえます。

実行見送りは説明など対応が必要

クラウドファンディングのデメリットとして、プロジェクトの実行を見送るときには支援者に説明するなど対応が必要であることが挙げられます。

支援者が出資したお金に対し、特に何か保証されているわけではありません。

プロジェクトが実行されないときや、支援者がリターンとして期待していた商品やサービスなどが渡されなかった場合でも、お金は戻ってこないといえます。

実行を見送らなければならないときには、善意で資金を提供してくれた支援者に対して、説明など対応する義務が発生します。

まとめ

クラウドファンディングはインターネットを使った資金調達の方法であるため、誰でも手軽に始めることができます。

事業をスタートさせたいものの出資者がみつからないという場合でも、ビジネスやアイデアに賛同し、少額の資金を提供してくれる個人をできるだけ多く集めることで多額の資金を調達することができるでしょう。

しかし、成功させるのは容易なことではありません。クラウドファンディングによる資金調達を行うのであれば、募集を始める前から準備を重ねる必要があります。

クラウドファンディングを利用することによるメリットは数多くあるものの、デメリットもあります。それらを十分に踏まえた上で活用することをオススメします。