在庫や売掛金、前払費用などは節税対策が可能?

決算月を迎えた時に、計算してみたら想像よりも利益が出ていて納税資金に慌てるといったこともあるかもしれません。そのようなことのないように、在庫や売掛金、前払費用についての節税対策を知っておくと良いでしょう。

現金支出が必要ない節税対策
商売をしていく上で、季節的な商品や流行商品、またモデルチェンジで売れ残りの商品はこれまでの価格で販売することはできなくなります。
売れ残った商品は時価まで評価減をして、売れていなかったとしても取得価格と時価との差額を経費にすることが可能です。現金支出の追加が必要ない節税方法だと言えるでしょう。
ただし時価が妥当な額になっているか、税務調査などで確認が入る場合がありますので客観的な価格の推定が必要となります。根拠がある時価なら税務署側に否認されることはないでしょう。

回収できない売掛金などの不良債権は経費に!
回収ができない売掛金や貸付金は一定要件を満たすことで経費として処理することができますがいくつかの条件があります。
まず、会社更生法や民事再生法など法律の規定に基づいて切り捨てられた金額は経費にできます。
相手先が死亡や失踪、行方不明といった場合も経費にできますが、相手先と取引がなくなって1年以上を経過した場合などは1年待たないと経費にすることはできません。
ただし書面で債権を放棄することで40%分の税金が少なくなり、その分だけ回収したと同じ効果が得られるでしょう。

前払費用の特例を活用した節税対策
地代家賃、信用保証料、保険料、支払利息、手形割引料などは、翌期1年の役務の対価だとしても決算日に近い支払いであれば経費として計上できます。
原則としては役務やサービスの提供を受けていなければ、前払費用にストックして実際に提供を受けた段階で費用に計上します。しかし特例で支払いをした時に費用として計上できるというものです。
ただし一定の要件を満たすことが必要で、その要件とは次の通りです。
・継続的な役務の提供であること
・支払った日から1年以内に役務の提供を受けること
・役務が等質等量であること
・支払い方法や会計処理を継続すること
・売上に対応する費用でないこと
・他にも特例には要件がある
例えば3月決算の法人で、2月に翌期の1年分を前払いしているなど、支払った時点から1年を超えている際には認められませんので3月末に支払うことが必要になります。
また、3~5年は同じ会計処理を継続する必要がありますので、今回は利益が出ないので前払費用に計上するなど処理の方法を変更することは利益を調整していることになるため認められません。
他にも時の経過に応じて費用化することが必要といった要件もありますし、重要性の原則も適用されますので支払い額は法人の財務規模より重要性が乏しいことが必要です。
そのため財務内容と比較した場合に、あまりにも大きな額を経費処理すると認められない可能性がありますので注意しましょう。