取引先から振り込まれるはずの未払い金を放置していると、資金ショートが起こるリスクがあります。
正しく請求書を発行し送った場合でも、なかには手違いで入金されないこともあります。
そこで、未入金の売掛金の回収方法について、消滅時効と防ぐ方法を解説します。
中小企業経営者向け!

未入金への望ましいい対応
未払いの売掛金を放置するのは厳禁です。
企業は現預金から商品やサービスを生み出し、売り上げて現預金を得る営業サイクルを繰り返していて、取引先からの支払金は事業になくてはならない資金です。
取引先からの入金がないと、現預金が不足します。代金、経費、従業員の給料が支払えなくなり、最悪の場合「資金ショート」を引き起こすリスクがあります。
資金ショートにより倒産すると、自社の支払いができなくなり、別の取引先や顧客にも多大な迷惑をかけます。
キャッシュフローの悪化は、自社だけの問題ではありません。未払いの売掛金が発生した場合は、できる限り早期に回収に着手しましょう。
売掛債権の消滅時効
売掛金は商取引に基づく債権のため、商事債権となり時効が5年となります。
さらに細かく分けると、飲食・宿泊代、運送費などは1年、生産・商品の売買代金などは2年、建築工事に関する代金は3年と、何の債権かによって消滅時効の期間は異なります。
ただし、民法の改正により、消滅時効期間は次のいずれか早い方へと変更されています。
- 債権者が権利を行使することができることを知ってから5年
- 債権者が権利を行使することができるときから10年
この改正民法が施行されたのは2020年4月1日です。これよりも前に生じた債権は改正前の民法、同日以降分は改正後の民法が適用されます。
いずれにしても消滅時効により請求権を失うことのないよう、迅速な対応が求められます。
未入金の売掛金の回収方法
取引先から入金がないときは、次の手順で対処します。
- 請求状況を確認する
- 取引先に連絡する
- 内容証明郵便を送る
- 法的措置をとる
それぞれ説明します。
請求状況を確認する
決められた期限までに取引先からの入金が確認できなかった場合、まずは、送った請求書に間違いがなかったか確認してください。
自社のミスで、正しく請求されていない可能性もあります。
取引相手名、所在、部署、担当者名、請求した内容、口座番号をはじめとする振込先情報、支払期日なども調べましょう。
別の口座に間違って送金されていないか、取引先から問い合わせやクレームがきていないかも確認する必要があります。
取引先に連絡する
自社の請求手続に問題がない場合は、取引先に入金がされていない状況を伝え、請求書は届いているか、再送する必要はあるか確認してください。
取引先が支払期日を間違って把握しているか、単に忘れてしまっている可能性もあります。
相手との連絡は、関係性が良好なら直接電話で、そうでない場合は文書やメールで行います。
営業担当同士で連絡を取り合うほうが確認しやすいかもしれません。
取引先に事情がある場合は、社内で猶予できるかを検討して、改めて支払い期日を設定します。
内容証明郵便を送る
相手と連絡がつかないときや、相手と意思疎通を図れない場合は、弁済期限を設けた督促状を作成して内容証明郵便で送付します。
内容証明郵便は、法的効力をもちます。
未払い代金があり、催促した事実を証拠に残すことが大切です。面倒でも確実な手続を踏めば、万が一裁判に発展した際に有利になります。
法的措置をとる
内容証明郵便で再三督促しても取引先から入金がない場合は、簡易裁判所に支払い督促の申し立てをします。
まずは民事調停で解決を目指しましょう。
裁判所からの督促で合意に至らない場合は、強制執行の申し立てに進みます。
未払いの売掛金が60万円以下なら、より手続が簡略化された「少額訴訟」でも対応できます。
売掛金の未払回収を防ぐ方法
売掛金の未払いが発生すると、回収には時間、労力、コストともかかります。
担当者の心理的負担も大きいため、未払い金は未然に防ぐことが大切です。
未払い金を防ぐためにも、請求情報はきちんと管理しましょう。
取引先の情報を把握して与信管理をすればリスクは減らせます。
取引先の情報は社内で共有し、会社をあげて未回収を防いでください。
まとめ
長期間付き合いのある取引先には、未払い金の請求をしにくいものです。
しかし、取引先から入金がないと、自社の存続が危ぶまれます。
資金ショートが起きると自社だけでなく、大切な取引先や顧客にまでリスクが広がるため、未払いの売掛金は早期に回収する必要があります。
正しい手順を踏み、確実な解決を目指しましょう。
中小企業経営者向け!

