貸しているお金が返ってこず、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。その場合に利用できるのが支払督促です。支払督促を利用すれば、法的に代金の回収ができます。
一方で、支払い催促にはデメリットもあるため注意しましょう。今回は、支払督促とは何か、デメリットとあわせて解説します。
目次
支払督促とは?
支払督促とは、お金を貸していたり、立て替えていたりする場合に利用できる制度です。代金の支払督促しても応じてもらえない際に、支払督促を行うと簡易裁判所を通じて、支払督促が発付されます。
訴訟を行うと費用や時間が多くかかってしまいますが、支払督促の場合は訴訟の半分の費用しかかかりません。裁判所にわざわざ出向くことなく手続ができます。
支払督促の特徴
支払督促の手続きは書類審査だけで行われるので、裁判所に出向いて証拠を提出する必要がないことが特徴です。申立ての内容を裁判所書記官が確認し、相手の言い分を聞くことなく支払いを命じる支払督促を発付します。
商品やサービスを販売・提供したのに、その代金が回収できていないままなのは、事業を継続する上で大きな痛手となります。しかし、いつまでに代金を支払うのかは、事業者同士で事前に取り決めがなされているはずです。
支払督促は、このように双方で期日の取り決めを行い、その約束事が一方的に守られてない時に有効な手続きです。
それでも支払ってもらえない場合や、相手から異議申立てなどない場合、今度は仮執行宣言が発付されて強制執行を申し立てることが可能です。相手から異議申立てがなければ、判決と同じ法的効力が生じることになるのが特徴です。
訴訟や調停より簡単にできる手続きで、貸したお金を返してもらえない場合以外にも利用できます。たとえば家賃や売買代金の支払いがされない場合なども対象となるため、売掛金が未回収で悩んでいる場合は、利用するのがおすすめです。
支払督促のデメリット
支払督促は代金の回収に役立つ一方で、以下のデメリットもあります。
- 支払いに応じないケースが多い
- 訴訟に発展する可能性もある
- 強制執行はできない場合もある
- 行方不明の相手には利用できない
それぞれのデメリットを解説します。
支払いに応じないケースが多い
支払督促を行ったとしても相手が応じないケースは少なくありません。支払督促を無視されたり、異議申し立てをしたりしてくる場合が多く、スムーズに代金の回収を行うのは難しいです。
訴訟に発展する可能性もある
支払督促は債権者側の言い分を元に行われます。債務者は発付された支払督促に対して、異議を出す権利があります。
異議申し立てが行われると、相手の住所地を管轄する裁判所で通常訴訟が行われるため、出廷をしなければいけません。訴訟を避けるために支払督促を行っても、結果として訴訟をしなければならない場合があります。
支払督促ではなく、最初から訴訟を行っていれば、自分の住所に近い裁判所で裁判ができます。支払督促を行ったため、逆に遠方で裁判に対応しなければならず、手間が増えてしまう場合があるのです。
強制執行はできない場合もある
支払督促を発付した後に、相手が代金の支払いを行わず、異議申し立てもしない場合があります。この場合は、相手の財産を強制執行できます。
しかし、相手の財産が分からない場合は、強制執行ができません。裁判所は財産を見つけてくれないため、債権者側が財産の調査をしなければならないのです。
調査をした結果、相手の財産が見つからなければ、代金の支払いは行われません。財産が見つかったとしても、代金の価値に満たない可能性もあります。相手が借金を抱えており、回収できる財産が存在しないのは、よくあるケースです。
支払督促を行っても、必ず代金を回収できるとは限らないため注意が必要です。
行方不明の相手には利用できない
通常の訴訟であれば、行方不明の相手に対しても「公示送達」を行うことで訴訟を起こせます。公示送達とは、相手が行方不明であることの資料を提出して裁判所に申し立てを行えば、裁判所の掲示板に2週間訴状を提示した後に、訴状が相手に届いたものとして扱える手続きです。
支払督促では、公示送達を利用して支払督促を相手に送ることができません。行方不明の相手には、支払督促ができない点には注意が必要です。
まとめ
支払督促は、相手が遠方に住んでいる場合は、あまりおすすめできない手続方法です。異議申し立てが行われて訴訟に発展すると、非常に手間がかかってしまいます。
代金の回収ができない場合に、支払督促をするべきか、訴訟をするべきかは慎重に判断しなければいけません。支払督促は手軽に利用できる手続である一方で、訴訟と比べるとデメリットがある点も理解しておきましょう。
訴訟と支払い催促のどちらを利用するべきか迷った際は、専門家に相談するのをおすすめします。
代金の支払いが行われないと、資金繰りが苦しい方もいるでしょう。その場合は、別の方法で資金繰りを改善するのがおすすめです。ファクタリングであれば、早期に現金化ができるため、資金繰りを改善しやすいです。
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