売掛先に請求していた売掛金の入金があった場合、そのデータを消去する作業を売掛金の消し込みといいますが、文字通り売掛金を貸借対照表上から消す作業のことです。
請求していた金額と入金された金額が間違っていないか、期日どおりに回収できているかなどを確認していくことになります。
この売掛金の消し込み処理は、企業によってはシステム化されていることもあるようですが、まだまだ目視と手作業で行われていることが多いため、間違わないように処理していくことが必要です。
目次
売掛金の消し込み処理の方法
売掛金の消し込み処理は、
- 売掛代金の入金データを確認する
- 売掛金と入金された金額を照合する
- 売掛金を消し込んでいく
という流れで行われます。
まずは、売掛代金の入金先となっている口座の入金情報から、請求済の売掛金と金額が合致しているか確認します。
請求額と入金額が合致している場合
期日までに入金が行われ、金額に相違もなければ特に問題ありません。
【消し込み処理の仕訳例】
借方 | 金額 | 借方 | 金額 |
普通預金 | 10,000円 | 売掛金 | 10,000円 |
振込手数料が差し引かれて入金されている場合
入金額が売掛金よりも少ないケースでは、銀行の振込手数料が差し引かれた状態で入金されていることもあります。
振込手数料は送金される金額にもよりますが、数百円に消費税分が合計された額であることが一般的ですので、少額で差が生じている場合には振込手数料が差し引かれていないか確認してみましょう。
【消し込み処理の仕訳例】
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
普通預金 | 9,352円 | 売掛金 | 10,000円 |
振込手数料 | 648円 |
消費税の計算上による差額
中には、入金されている金額が1~10円程度など、ごく少ない金額で異なっているケースもあるかもしれません。
これは、何度か行われた取引分を合計して入金される場合、取引ごとに消費税を算出するのか、それともすべてを合計して計算するのかによって発生する誤差と考えられます。
さらに、会社によって、消費税の端数分を四捨五入するのか、または切り上げや切り捨てするのか異なっている場合もあります。
そのため、消費税の計算上の誤差が生じていると考えられる場合には、雑収入または雑損失で処理を行いましょう。
【消し込み処理の仕訳例】
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
普通預金 | 9,999円 | 売掛金 | 10,000円 |
雑損失 | 1円 |
まったく金額が合わない場合は?
中には、請求している売掛金の金額と入金されている金額が全く合わないというケースも出てくるかもしれません。
この場合、売掛先などにも連絡を行い、なぜ誤差が生じているのかその原因を確認することが必要となりますが、先に入金処理だけ行っておくようにしましょう。
使用する勘定科目は仮受金ですが、あくまでも仮の処理であり、後ほど誤差の原因に応じた処理が必要となります。
【消し込み処理の仕訳例】
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
普通預金 | 9,769円 | 仮受金 | 9,769円 |
売掛金の入金確認と管理はしっかり行うことが大切
請求した売掛金の金額と、売掛先から入金された代金の額が正しいのか、さらに期日通りに支払いがなされているかなど、しっかり確認と管理を行っていくことが必要です。もし原因のわからない誤差が生じている場合には、早めに売掛先にも確認を行うなど原因を明確にしておくようにしましょう。