テレワークに関する助成金とは?リモートワークに使える制度を紹介

テレワークやリモートワークと呼ばれる働き方に対する助成金をうまく活用しましょう。

生活様式が変わり、働き方の多様化などが進む中で、テレワークやリモートワークも定着したといえます。

様々な企業が取り入れるようになったテレワークという働き方は、柔軟な労働スタイルを実現できる手法である一方で、新たな設備導入に予算・技術面での負担も伴います。

特に中小企業がテレワークを導入するときには、財政面での不安を解消できることが望ましいといえるでしょう。

そこで、テレワークに関する助成金について、リモートワークに使える制度を紹介します。

人材確保等支援助成金(テレワークコース)

パソコン操作するビジネスマン

令和6年度の「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」は、良質なテレワークを新規で導入・実施することで、人材確保や雇用管理改善などの効果をあげた中小企業を対象とした助成金です。

以前からあった助成金制度ですが、令和6年4月1日から以下の改正内容が適用されています。

  • テレワークを既に導入し実施拡大する事業主も対象
  • 仮想オフィスに係るサービス利用料・クラウドによるコミュニケーションツール・ペーパーレス化ツールの利用料も助成対象に含む
  • 機器等導入助成の助成率を30%から50%へ引き上げ

その他、「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」の概要は以下のとおりです。

支給対象となる経費 右記の取り組みを行う上で発生した費用
  • 就業規則・労働協約・労使協定の作成・変更
  • 外部専門家によるコンサルティング
  • テレワーク用通信機器等の導入・運用
  • 労務管理担当者に対する研修
  • 労働者に対する研修
受給要件

【機器等導入助成】

右記の措置を実施していること

  • テレワーク実施計画の作成のもとで管轄の労働局に提出し認定を受けること
  • 認定を受けたテレワーク実施計画に基づいて取り組みを実施すること
  • 評価期間(機器等導入助成)におけるテレワーク実施対象労働者のテレワーク実施状況が次の①また②の基準を満たすこと
  1. 評価期間(機器等導入助成)に1回以上テレワーク実施対象労働者全員がテレワークを実施すること
  2. 評価期間(機器等導入助成)にテレワーク実施対象労働者が週平均1回以上テレワークを実施すること
  • テレワークの実施促進に関して経営者などからのメッセージ発信を行い、実施しやすい職場風土作りなど取り組みを行うこと

【目標達成助成】

右記の措置を実施していること

離職率に係る目標の達成として、以下を満たすこと

  1. テレワークに関する制度を整備し、評価時離職率が計画時離職率以下であること
  2. 評価時離職率が30%以下であること
    評価期間(機器等導入助成)初日から12か月を経過した日から3か月間に1回以上、テレワークを実施した労働者数が評価期間(機器等導入助成)初日から12か月を経過した日における対象事業所の労働者数に、計画認定時における対象事業所の労働者全体に占めるテレワーク実施対象労働者の割合を掛け合わせた人数以上であること
受給額

【機器等導入助成】

目標達成助成で受け取ることのできる額は右記のとおり

1企業あたり支給対象となる経費の50%。ただし以下のいずれかの低い方の金額を上限とする

  1. 1企業あたり100万円
  2. テレワーク実施対象労働者1人あたり20万円

【目標達成助成】

目標達成助成で受け取ることのできる額は右記のとおり

1企業あたり支給対象となる経費の15%(賃金要件を満たす場合は25%)。ただし以下のいずれかの低い方の金額を上限とする

  1. 1企業あたり100万円
  2. テレワーク実施対象労働者1人あたり20万円

テレワーク促進助成金(令和6年度)

パソコンを持つ男性

令和6年度の「テレワーク促進助成金」とは、(公財)東京しごと財団の雇用環境整備事業の制度です。

たとえば従業員が生き生きと働くことのできる職場づくりを目指すときや、育児や介護も行っている従業員の離職を防いで長く働いてもらいたいときに活用したい助成金といえます。

制度の活用においては、東京都の実施する「テレワーク課題解決コンサルティング」を受けた後、「テレワーク導入提案書」を発行してもらうことが必要になります。

「テレワーク促進助成金」の主な概要は以下のとおりです。

助成限度額・助成率(コース共通) 事業所の規模 助成金の上限 助成率
30人以上999人以下 250万円 2分の1
2人以上30人未満 150万円 3分の2

コース

以下のいずれかのコースを選択(両コースの申請は不可)

  • 一般コース
    都内事業所に所属の常時雇用する労働者を対象として、在宅勤務・モバイル勤務などを可能とするテレワーク機器・ソフトウェア等のテレワーク環境整備に係る経費を助成
  • 正規社員拡充コース
    都内事業所に所属する非正規社員へのテレワーク拡充に係る在宅勤務・モバイル勤務などを可能とするテレワーク機器・ソフトウェア等のテレワーク環境整備に係る経費を助成
助成対象事業者の要件(コース共通)
  • 常時雇用する労働者が2人以上999人以下で、都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業等
  • 都の実施するテレワーク東京ルール実践企業宣言制度に登録し、設置済表示のある宣言書がウェブサイト上で発行されていることなど
申請方法 一般コースは郵送・電子申請(Jグランツ)、非正規社員拡充コースは郵送のみ
申請受付期間 令和6年5月8日(水)~令和7年2月28日(金)
郵送の場合の締切日は、当日消印有効
電子申請(Jグランツ)の場合の締切日は、当日23時59分までに提出されたものまで有効
予算範囲を超えた場合は申請受付期間内でも受付終了
問い合わせ先 (公財)東京しごと財団 企業支援部 雇用環境整備課 職場環境整備係

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テレワーク導入ハンズオン支援助成金

パソコン操作

「テレワーク導入ハンズオン支援助成金」とは、東京都の実施する「テレワーク導入ハンズオン支援コンサルティング」を受けた中堅企業等および中小企業等が、コンサルティングの提案内容に基づいたテレワーク導入の取り組みに係る経費を助成する制度となっています。

主な概要は以下のとおりです。

助成金の上限額・助成率 事業者の規模(常時雇用する労働者数) 助成金の上限額 助成率
30人以上999人以下 250万円 2分の1
2人以上30人未満(29人まで) 150万円 3分の2
助成対象事業者の要件

以下に該当する中堅企業等または中小企業等であること

  • 都内に本社または事業所を置いて事業を営み、常時雇用する労働者が2人以上999人以下であること
  • 常時雇用する労働者が都内に2人以上勤務し、かつ当該労働者のうち1人は6か月以上継続して雇用(雇用保険に加入)していること
  • 都の実施する「テレワーク導入ハンズオン支援コンサルティング」を受け、コンサルティング事務局から「テレワーク導入提案書」が発行されていること
  • 実績報告日までに都の実施する「テレワーク東京ルール実践企業宣言制度」へ登録し、「テレワーク推進リーダー」と設置済表示されている宣言書が発行されていること
    など
助成対象経費
  • 都の実施するテレワーク導入のためのハンズオン支援コンサルティングを受け、コンサルティング事務局から発行された「テレワーク導入提案書」に基づいて行うテレワーク環境構築に係る以下の経費
  • テレワーク用機器等の購入費
  • 業務ソフトウェア等の購入費
  • クラウドサービス・アプリケーションソフト等の利用料
  • 業務システムの導入費用(構築・設定費、保守業務委託料等)

など

申請受付期間

令和6年4月19日(金)から令和7年3月31日(月)までに、郵送または電子申請(Jグランツ)のいずれか(窓口への持参は不可)で申請
※申請に必要な提出書類等、詳しい内容については「募集要項ページ」参考
予算範囲を超えた場合は申請受付期間内でも受付終了

問い合わせ先 (公財)東京しごと財団 企業支援部 雇用環境整備課 職場環境整備係

育児・介護との両立のためのテレワーク導入促進助成金

パソコンを操作する女性

「育児・介護との両立のためのテレワーク導入促進助成金」とは、令和6年度から新たにスタートした助成金制度です。

テレワーク導入による育児・介護と仕事の両立を促進するために、就業規則見直しやテレワーク環境構築を行った都内の中小企業等に対し、かかった費用を助成します。

主な概要は以下のとおりです。

助成限度額・助成率

事業者の規模

(常時雇用する労働者数)

テレワークに関する規程の整備 テレワーク機器等の整備
2人以上29人以下

20万円

(定額)

30万円

(助成率3分の2)

30人以上300人以下

20万円

(定額)

80万円

(助成率2分の1)

助成内容

3歳未満の子供の育児または介護を行う労働者のために、テレワーク環境構築(テレワークに関する規程の整備・テレワーク機器等の整備)に係る以下の整備を行った場合、その費用を助成

【テレワークに関する規程の整備】

  • 育児や介護を行う労働者の柔軟な働き方の導入に関する研修を実施する(研修動画の視聴)
  • 3歳未満の子供の育児または介護を行う労働者を対象に、テレワークに関する規程を新たに整備し社内周知する
    ※テレワーク規程の整備にあたり助言を希望する場合は最大3回まで社会保険労務士を無料で派遣

【テレワーク機器等の整備】

  • テレワーク規程の整備とテレワークに必要な機器等の整備を行い社内に周知する
    ※テレワーク機器等の整備における助成対象経費は都内に所属する常時雇用の労働者のうち、3歳未満の子供の育児または介護を行う労働者に向けて行う取り組みが対象
事業者要件
  • 常時雇用する労働者が2人以上300人以下で、都内に本社または事業所のある中小企業等
  • 助成金申請日時点でテレワークに関する規程を設けていない企業等

など

申請受付期間 令和6年6月3日(月)~令和7年2月28日(金)
郵送または電子申請のいずれか(窓口への持参は不可)で申請
※申請に必要な提出書類等、詳しい内容については「募集要項ページ」参考
問い合わせ先 (公財)東京しごと財団 企業支援部 雇用環境整備課 職場環境整備係

テレワーク定着促進フォローアップ助成金

「テレワーク定着促進フォローアップ助成金」とは、テレワーク制度をすでに導入している都内の中堅・中小企業等に、テレワークの課題解決に必要なツール導入にかかった経費の一部を助成する制度です。

主な概要は以下となっています。

助成限度額・助成率 助成額上限100万円・助成率2分の1
事業者要件
  • 常時雇用する労働者が2人以上999人以下で、都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業など
  • 都の実施するテレワーク東京ルール実践企業宣言制度に登録し、「テレワーク推進リーダー設置」と表示されている宣言書がウェブサイト上で発行されていること
助成対象経費
  • 課題解決に必要なツールなどに付随する周辺機器等の消耗品費(パソコン・タブレット・携帯電話・スマートフォンの物品購入費除く)
  • 税込み単価10万円以上の課題解決に必要なツールなどに付随する周辺機器等などの備品費(パソコン・タブレット・携帯電話・スマートフォンの物品購入費除く)
  • 税込単価10万円以上の業務ソフトウェアなどの購入費
  • 導入ツールや周辺機器などの設定費・業務委託料・導入時運用サポート費などの委託費
  • 機器リース料・レンタル料等(パソコン・タブレ ット・携帯電話・スマートフォンの賃借料除く)などの賃借料
  • ソフトウェア利用料などの使用料

※ただし助成対象になるツールなどは「テレワーク課題解決コンサルティング」で発行される「テレワーク課題改善提案書」に記載されたものに限る

申請受付期間 令和6年5月8日(水)~令和7年2月28日(金)
「テレワーク課題解決コンサルティング」で「テレワーク課題改善提案書」が発行された後、郵送または電子申請(Jグランツ)のいずれかで申請(窓口への持参は不可)
※申請に必要な提出書類等、詳しい内容については「募集要項ページ」参考
問い合わせ先 公益財団法人東京しごと財団 企業支援部 雇用環境整備課 職場環境整備係

小規模テレワークコーナー設置促進助成金

ビデオ通話

「小規模テレワークコーナー設置促進助成金」とは、身近な場所でテレワークを行うことのできる環境整備を促進するための制度です。

店舗・商業施設・日常生活の身近な施設などに共用型の小規模テレワークコーナーを設置する都内の中堅・中小企業等に、整備費を助成します。

また、社内の空きスペースなどに、自社やグループ企業の従業員などの利用できる専用型の小規模テレワークコーナーを設置する場合にも、その整備費が助成金として支給されます。

主な概要は以下のとおりです。

助成対象事業者 常時雇用する労働者が999人以下で、都内に本社または事業所のある企業など
助成金額・助成率 助成金額最大50万円・助成率2分の1
助成対象費用
  • 電気設備・通信設備工事費・什器類の設置等の費用等
  • 机・椅子・簡易型テレワーク用ブース・パーティション(飛沫防止用除く)・吸音防音パネル
  • Wi-Fiルーター機器・UTM(統合脅威管理)機器・モニター・プリンター(複合機含む)・照明器具
申請受付期間 令和6年5月8日(水)~令和7年3月31日(月)
※申請に必要な提出書類等、詳しい内容については「募集要項ページ」参考
問い合わせ先 (公財)東京しごと財団 企業支援部 雇用環境整備課 シェアオフィス運営係

まとめ

多様な働き方が推奨されるようになり、中小企業などでもテレワークを導入するケースは増えています。

その際に活用できる助成金も数多くあるため、職場環境を整備したいものの設備投資などに係る費用が不安という場合には、うまくテレワーク関連の助成金を活用することをおすすめします。

少子高齢化で人材不足が深刻化する昨今、様々な業界で働き方の多様化が求められています。

活用できる助成金は上手に利用し、テレワークでも対応できる職場環境を整えていくとよいでしょう。