売掛金が会計処理で発生するときは、入金消込の処理が必要です。
消込では、請求と入出金の情報を突き合わせて、帳簿に記載された売掛金や買掛金を消します。
しかし売掛金の入金消込を手作業で行った場合、ヒューマンエラーが発生してしまい請求額と入金額が合わなくなる恐れがあるため、注意が必要です。
そこで、売掛金の入金消込について、その方法や仕訳処理、注意点とポイントを解説していきます。
目次
売掛金の入金消込とは
売掛金の入金消込とは、掛け取引で取引先に請求した金額と、回収した金額を突き合わせて、会計帳簿に記載された売掛金を消す作業です。
請求書に記載した金額と、入金された額に相違がなければ、対象の売掛金を消します。
入金額が少ないときや未入金の場合には、取引先に確認し、催促することが必要です。
反対に入金額が多かったときには、次月の請求額から差し引くか、返金するなどの対応が必要となります。
なお、消込は売掛金の入金消込だけでなく買掛金の支払消込もあるため、違いを説明します。
支払消込との違い
支払消込とは、掛けにより仕入れを行ったことで取引先から届いた請求書の金額と、支払った金額を突き合わせて、相違がなければ帳簿に記載した対象の買掛金を消す作業です。
取引先や案件数が増えれば消込作業も煩雑になりやすいといえますが、過少に支払ってしまった場合など、取引先との信頼関係を崩す恐れがあります。
そのため請求された額を確認し、正確に支払うことと、支払い後は正確に買掛金を消込むことが必要です。
売掛金の消込の方法
売掛金を消込むときの方法は、主に以下の2つです。
- エクセルを使う
- システムを導入する
それぞれ説明します。
エクセルを使う
売掛金の発生がそれほど多くない場合は、エクセルを使った消込でも問題ありません。
オフィスが導入されていれば、特に導入コストをかけずに消込ができます。
また、関数やフィルター機能を利用すれば、管理しやすいようにカスタマイズできるでしょう。
しかしエクセルを使う場合は、請求額と入金額に相違がないか、目視による確認が必要です。
そのため漏れやヒューマンエラーが発生しやすくなることを踏まえ、複数による二重チェックなどを行ったほうがよいでしょう。
システムを導入する
取引先の数や発生する売掛金が多い場合は、システムを導入したほうがスムーズに消込作業が進みます。
会計ソフトなどを使う方法であれば、消込以外にも経理業務を効率化できます。
目視による作業ではなく、コンピュータが自動で確認してくれるため、人的なミスを防ぐことにつながります。
他の基幹システムやツールと連携すれば、より効率的な消込や会計処理が可能です。
ただしシステムを導入する費用や、運用・管理にもコストがかかることがあることは留意しておきましょう。
売掛金の入金消込の仕訳
商品やサービスを販売したとき、計上する売上分が入金されていなければ売掛金で管理します。
その後、取引先から代金の入金があったとき、売掛金で計上したデータを消す作業が入金消込です。
売掛金の発生と入金消込では、以下の仕訳で会計処理を行います。
商品1,000,000円を掛け取引で販売した | |
借 方 | 貸 方 |
売掛金 1,000,000円 | 売上 1,000,000円 |
後日、掛けで販売した代金1,000,000円が、取引先から普通預金に入金された | |
借 方 | 貸 方 |
普通預金 1,000,000円 | 売掛金 1,000,000円 |
売掛金の入金消込の注意点
売掛金の入金消込を行うときの注意点は次の4つです。
- 請求額と入金額を確認する
- 顧客番号の入力忘れに注意する
- 振込人カナを確認する
- 入金額を確認する
それぞれ説明します。
請求額と入金額を確認する
売掛金の入金消込においては、請求額と入金額を確認しましょう。
取引先に送った請求書に記載した金額と、取引先から入金された金額を突き合わせて、金額が異なるときは対処が必要です。
まずは注文金額と支払い額に差額がないか、取引先に確認してもらうことが必要となります。
注文番号と顧客番号を確認する
売掛金の入金消込においては、注文番号と顧客番号を確認しましょう。
注文件数が増えるほど、業務は煩雑になりがちです。
たとえばクレジットカード決済やコンビニ決済の場合は、注文番号や顧客番号と入金データがセットで取得されるため、データの紐づけは簡単にできます。
しかし売掛金の銀行振込による支払いでは、顧客番号や注文番号が自動入力される仕組みはなく、消込でミスが起こりやすいため注意してください。
振込人カナを確認する
売掛金の入金消込においては、振込人カナを確認しましょう。
商品を購入した顧客と、口座へ振り込みをした相手を紐づける判断として、振込人カナが手掛かりになります。
しかし管理している顧客の名称と別名で入金されている場合や、同姓同名が存在すれば、誰からの入金かわからなくなってしまいます。
この場合、振込人カナだけでなく、その他の注文状況なども確認した上での判断が必要です。
入金元の口座名義と取引内容を確認する
売掛金の入金消込においては、入金元の口座名義と取引内容を確認しましょう。
入金元の口座名義が異なっているケースでは、事前に確認しておくと、消込漏れなどのトラブルは防げます。
同企業と複数取引がある場合も、どの取引に対する入金かわからなる前に、取引名や支払サイトを事前に把握しておきましょう。
売掛金の入金消込のポイント
売掛金の入金消込をミスなく行うためには、次の4つのポイントを押さえておきましょう。
- ダブルチェックする
- エクセルを有効活用する
- 複数部署で情報を共有する
- システムを導入する
それぞれ説明します。
ダブルチェックする
売掛金の入金消込をミスなく行うためには、ダブルチェックしましょう。
単独で消込作業を行って完了とするのではなく、別の誰かが再度確認することで、ミスの発生率は下がります。
確認する人の目が変われば、作業をした人では気がつかなかったミスを発見しやすくなることや不正予防にもつながるため、複数人による確認をおすすめします。
エクセルを有効活用する
売掛金の入金消込をミスなく行うためには、エクセルを有効活用しましょう。
取引先の数や、取引自体がそれほど多くないときは、エクセルによる売掛金管理でも問題はありません。
この場合、エクセルで入金管理表を作成し、可能であればエクセル関数やマクロ機能などを活用するとより効率的に作業が進みます。
複数部署で情報を共有する
売掛金の入金消込をミスなく行うためには、複数部署で情報を共有しましょう。
たとえば経理部だけではなく、営業部とも社内の共有フォルダなどで情報を共有することにより、属人化を防ぐことができます。
請求書の送付や問い合わせ状況などを一目で確認でき、トラブルを未然に防ぐことにつながります。
システムを導入する
売掛金の入金消込をミスなく行うためには、システムを導入しましょう。
会計ソフトなどを導入することで、入金消込だけでなくいろいろな会計処理がスムーズにでき、業務効率化につながります。
財務会計・管理会計・債権管理など、会計ソフの機能はいろいろあるため、ニーズに応じた処理が可能なシステムを導入するとよいでしょう。
まとめ
売掛金の入金消込は、売上計上の際に発生した売掛金を回収したとき、必ず行っておくことが必要です。
取引先や注文数が増えると、売掛金の消込処理の作業も煩雑になるため、人的なミスなど起こりやすくなってしまいます。
銀行振込は特に確認の際に注意が必要であるため、エクセルなどを使った売掛金管理においては、ヒューマンエラーが発生しやすくなることを踏まえ、ダブルチェックを必ず行うようにしましょう。
売掛金の未入金を防ぐためにも、日ごろから適切に消込業務を含む管理を徹底して行うことが必要です。