個人事業主にファクタリングはおすすめ?メリットや業者の選び方を解説

ファクタリングを個人事業主でも利用したいと考える方は少なくないですが、法人でなくても資金調達に活用できます。

ただし個人事業主のファクタリングは、保有する売掛債権が少額であることが多いため、ファクタリング会社が買取可能とする債権額の範囲に注意が必要です。

また、法人のみが手続できる債権譲渡登記を必須とするファクタリング会社の場合、個人事業主は対応してもらえないと考えられるため、業者選びが重要といえます。

そこで、個人事業主にファクタリングはおすすめなのか、メリットや業者の選び方をわかりやすく解説していきます。

個人事業主のファクタリングとは

スケジュール確認するビジネスマン

個人事業主のファクタリングとは、保有する売掛債権をファクタリング会社へ売却し、現金化することで資金を調達できるサービスです。

主に中小企業など法人の利用が増えている金融サービスですが、売掛債権を保有していれば、個人事業主でも利用できます。

1~2か月待たなければ入金されない売掛金を、期間を短縮して回収できることがファクタリングの最大のメリットです。

特に資力の乏しい個人事業主では、銀行融資もスムーズに受けることが難しいため、資金繰りを改善できるファクタリングが救いの手になるとも考えられます。

個人事業主のファクタリング利用における要件

個人事業主のファクタリング利用においては、以下の3つの要件を満たすことが必要となります。

  1. 法人売掛先の債権を有している
  2. 信用力の高い債権を有している
  3. 必要書類を用意できる

それぞれ説明します。

法人売掛先の債権を有している

個人事業主のファクタリング利用においては、法人売掛先の売掛債権を有していることが必要です。

取引相手が法人ではなく、個人事業主のほうが多い場合もあるでしょう。

しかしファクタリング会社が売掛金を買い取る場合、売掛先の信用力を重視するため、個人事業主ではなく法人売掛先の債権であることが必要となります。

信用力の高い債権を有している

個人事業主のファクタリング利用においては、高い信用力の債権を有していることが必要です。

法人の債権でも、信用力が高いとは限りません。

信用力の低い会社の売掛債権では、ファクタリング会社が抱える貸し倒れリスクが大きいと判断され、買い取りを拒否されることもあります。

必要書類を用意できる

個人事業主のファクタリング利用においては、必要書類を用意できることが必要です。

ファクタリングを利用するときには、ファクタリング会社から提出を求められる以下の書類を揃えることが必要となります。

  • 本人確認書類
  • 売掛先との基本契約書
  • 売掛債権の存在を証明する資料(請求書)
  • 2~3期分の確定申告書
  • 取引履歴のある銀行口座の通帳

ファクタリング会社によって必要書類は異なるため、前もって準備できるか確認しておくと安心です。

個人事業主のファクタリングの流れ

書類を見て説明する女性

個人事業主に限らず、ファクタリングを利用するときには、以下の6つの流れで手続が進みます。

  1. 相談・申し込み
  2. 必要書類の提出
  3. 審査
  4. 見積もりの提示
  5. 契約の締結
  6. 買取代金の受け取り
  7. 売掛金の支払い

それぞれの流れについて説明します。

1.相談・申し込み

個人事業主のファクタリングの流れとして、まずはファクタリング会社へ相談し、申し込むことが必要です。

インターネットでファクタリング会社の公式ホームページにアクセスし、無料相談や申し込みフォームからコンタクトを取れます。

また、メールや電話でも相談できるため、まずは問い合わせてみましょう。

ただし表向きはファクタリングを装うヤミ金融業者などが紛れている恐れもあるため、過去の実績や口コミなどを参考に、信頼できるファクタリング会社か見極めた上でコンタクトを取ってください。

2.必要書類の提出

個人事業主のファクタリングの流れとして、ファクタリング会社から伝えられる以下の必要書類を提出することが必要です。

  • 決算書(個人事業主は確定申告書)2~3期分
  • 請求書
  • 取引履歴の確認できる通帳の写し
  • 身分証明書(運転免許証など)

その他、売掛先との基本契約書など求められることもあります。

個人事業主は法人よりも社会的信用力が低いため、売掛金が発生していることを証明する書類を多く準備しておくと、審査で有利になるでしょう。

3.審査

個人事業主のファクタリングの流れとして、提出された書類などをもとに、ファクタリング会社が審査を行います。

審査では売掛先の信用力が重視されることと、入金までの期間や債権額などいろいろなことが考慮され、買取可否や売買手数料が決定します。

4.見積もりの提示

個人事業主のファクタリングの流れとして、ファクタリング会社の審査で買取可能と判断されれば、見積もり額などが提示されます。

5.契約の締結

個人事業主のファクタリングの流れとして、提示された見積もりに双方が納得すれば、ファクタリング会社と契約を締結します。

ただし3社間ファクタリングは売掛先への通知や承諾が必要となるため、契約が完了するまである程度の時間がかかります。

6.買取代金の受け取り

個人事業主のファクタリングの流れとして、ファクタリング会社から買取代金を受け取ります。

契約完了後に売買手数料を差し引いた買取代金が、利用者指定の口座に入金されます

7.売掛金の支払い

個人事業主のファクタリングの流れとして、利用者からファクタリング会社への売掛金の支払いが挙げられます。

2社間ファクタリングでは売掛先から回収した売掛金を、そのままファクタリング会社へ渡します

3社間ファクタリングでは、ファクタリング会社が売掛先から回収するため、利用者が回収を代行する必要はありません。

個人事業主がファクタリングを利用するメリット

矢印のと急ぐ人物

ファクタリングは、中小企業などの法人だけでなく、個人事業主にとってもメリットがあります。

主なメリットとしては、以下の4つが挙げられます。

  1. 保証人・担保は不要
  2. 信用情報に影響しない
  3. 銀行融資よりスピーディ
  4. 税金滞納中でも申し込みできる

それぞれ説明します。

保証人・担保は不要

個人事業主がファクタリングを利用するメリットは、借入れではないため保証人・担保は必要ないことが挙げられます。

保証人や担保を求められるのは、銀行や貸金業者からお金を借りるときです。

しかしファクタリングは売掛金の売買であるため、融資を受けるわけではないため、保証人や担保を用意する必要はありません。

特に個人事業主は、保証人を準備することや担保を保有していないことが多いため、ファクタリングは利用しやすい資金調達の方法といえます。

信用情報に影響しない

個人事業主がファクタリングを利用するメリットは、融資を受けるわけではないため信用情報に影響しないことが挙げられます。

信用情報とは、ローンやクレジットカードへの申し込みや契約、取引に関する事実を登録した個人の情報です。

ローンやクレジットカードを申し込み、審査に落ちれば6か月間は信用情報に記録されます。

しかしファクタリングは融資を受けるわけではないため、仮に審査に落ちてもその事実が信用情報に記録されることはありません。

銀行融資よりスピーディ

個人事業主がファクタリングを利用するメリットは、銀行融資よりスピーディであることが挙げられます。

銀行融資の審査は、月単位で時間がかかることも少なくありません。

しかしファクタリングは、最短即日に入金されるなど、他の資金調達よりスピーディです。

税金滞納中でも申し込みできる

個人事業主がファクタリングを利用するメリットは、税金を滞納していても申し込みできることが挙げられます。

税金や社会保険料を滞納していると、銀行融資など借入れの審査には通りにくくなります。

しかしファクタリングの審査では、売掛先の信用力が重視されるため、税金を滞納していても申し込み可能であり、利用できる可能性も十分あるといえます。

ただし滞納中の税金について、行政に分納などの支払計画の相談をしていないと、口座や売掛債権を差し押さえられてしまう恐れがあるため審査に通らない可能性もあります。

個人事業主のファクタリング利用の注意点

個人事業主がファクタリングを利用するときは、以下の3つに注意しましょう。

  1. 審査に通らない場合もある
  2. 売買手数料は必ず発生する
  3. 悪徳業者が紛れている恐れがある

それぞれ説明します。

審査に通らない場合もある

個人事業主がファクタリングを利用するときは、審査に通らない場合もあることを留意しておきましょう。

ファクタリング会社の審査では、売掛先の信用力を重視します。

そのため以下に該当する場合、審査に通らないと理解しておいてください。

  • 実在している売掛先か疑わしい
  • 売掛先との取引実績が浅い
  • 売掛先の信用力が低い
  • 売掛金入金予定まで長い
  • 債権の二重譲渡の疑いがある
  • 契約により債権譲渡が禁止されている

なお、民法改正で売掛先との契約に債権譲渡禁止特約が付されていても、債権流動化は可能です。

しかしファクタリング会社もできるだけトラブルは避けたいため、契約上、譲渡が禁止されている債権の買い取りは避ける傾向が多いといえます。

売買手数料は必ず発生する

個人事業主がファクタリングを利用するときは、必ず手数料が発生することは理解しておきましょう。

ファクタリング会社に支払う手数料は債権の売買によって発生しますが、できるだけ安く抑えたいなら、複数社から相見積もりを取得し比較するとよいでしょう。

売却予定の売掛債権の相場を知ることにもつながります。

悪徳業者が紛れている恐れがある

個人事業主がファクタリングを利用するときは、悪徳業者が紛れている恐れがあるため注意が必要です。

ファクタリング業界自体の法整備が不十分であるため、悪徳業者が横行しやすい環境となっています。

正規のファクタリングは、安全で健全な資金調達の方法であるため、違法な取引ではありません

しかし悪徳業者と契約してしまうと、法外な表向き手数料とする利息の請求や、本来存在することのない追加費用などを請求されるため注意してください。

個人事業主のファクタリング会社の選び方

選び方の言葉

個人事業主がファクタリングで資金調達するとき、重要となるのがファクタリング会社選びです。

選び方として、以下の8つをポイントとして押さえておきましょう。

  1. 個人事業主の利用可否
  2. 2社間ファクタリングへの対応
  3. 入金までの早さ
  4. 売買手数料の低さ
  5. 買取可能な債権額の下限・上限
  6. 償還請求権の有無
  7. 債権譲渡登記の必要性
  8. 業者の信頼性

それぞれ説明します。

少額債権でも利用可能!個人事業主がファクタリング会社を選ぶときのポイント

個人事業主の利用可否

個人事業主のファクタリング会社の選び方として、個人事業主の利用可否を前もって確認しておくことが挙げられます。

ファクタリング会社によって、申し込みは法人のみ可能とするケースも少なくありません。

また、個人事業主の申し込みを可能とする場合でも、法人とは異なる審査基準を設けている場合もあるため、事前の確認が重要です。

2社間ファクタリングへの対応

個人事業主のファクタリング会社の選び方として、2社間ファクタリングへ対応しているファクタリング会社か確認しておくことが挙げられます。

2社間ファクタリングでは利用者とファクタリング会社で契約が完結しますが、信用力の低い個人事業主の場合、2社間ファクタリングではファクタリング会社の抱えるリスクが高くなります

そのため3社間ファクタリングでなければ対応できないケースも考えられるため、事前に2社間ファクタリングでも対応してもらえるか確認しておきましょう。

入金までの早さ

個人事業主のファクタリング会社の選び方として、入金までの早さを重視することが挙げられます。

ファクタリングは、最短即日で入金されることもあるなど、スピーディな資金調達が魅力の方法です。

スピードを重視して資金調達に選ぶ場合、いつまでに資金が必要なのか、そのタイミングに間に合うように素早く入金してくれるファクタリング会社を選ぶよいでしょう。

売買手数料の低さ

個人事業主のファクタリング会社の選び方として、売買手数料の低さを重視することが挙げられます。

売買手数料はファクタリング会社ごとに異なるものの、多くはファクタリング会社の抱えるリスクに比例します。

個人事業主は、登記簿などで事業実態など確認することはできません。

そのため審査が法人よりも厳しくなることや、売買手数料が高くなる可能性はあると留意しておきましょう。

買取可能な債権額の下限・上限

個人事業主のファクタリング会社の選び方として、ファクタリング会社が買い取りできる債権額の下限や上限を確認することが挙げられます。

個人事業主は少額債権を保有しているケースが多いため、ファクタリング会社が買い取りできる債権額の範囲に注意が必要です。

下限が高い場合、少額債権では買い取りしてもらえません。

償還請求権の有無

個人事業主のファクタリング会社の選び方として、償還請求権の有無を確認しておくことが挙げられます。

償還請求権ありのファクタリングは、利用後に売掛先倒産などで売掛金が回収できなくなった場合、その責任は利用者が負います。

売買手数料は低く抑えられるの、償還請求権ありの契約は融資とみなされるため、貸金業登録している業者でなければ取り扱いはできません。

償還請求権なしのファクタリングなら、売掛金が回収できなかった責任はファクタリング会社が負うため、不安なく契約できます。

債権譲渡登記の必要性

個人事業主のファクタリング会社の選び方として、債権譲渡登記の必要性について確認しておくことが挙げられます。

2社間ファクタリングでは、誰が債権の保有者か証明できないため、ファクタリング会社から債権譲渡登記を求められる場合もあります。

目に見えない資産である債権は、誰のものか証明できないため、二重譲渡されるリスクもあるといえます。

そのため債権を誰が保有しているのか証明するために行われるのが債権譲渡登記ですが、この登記制度は法人しか利用できません。

2社間ファクタリングで債権譲渡登記を必須とするファクタリング会社の場合、個人事業主は契約できないと考えられます。

業者の信頼性

個人事業主のファクタリング会社の選び方として、業者の信頼性を重視することが挙げられます。

ファクタリング業界は悪徳業者が横行しやすい環境であるため、金融庁も「ファクタリングの利用に関する注意喚起」と警鐘を鳴らしています。

悪徳業者と契約すると、相場よりも高額な売買手数料を請求されることや、借入れではないのに担保など要求されます。

インターネット上で公式ホームページなどから、過去の実績など確認し、信頼できるファクタリング会社か見極めることが大切です。

まとめ

ファクタリングは法人以外に個人事業主でも利用できます。

ただし個人事業主のファクタリング利用については、対応可能とするファクタリング会社でなければ利用はできません。

特に法人のみが可能である債権譲渡登記を必須とするファクタリング会社とは契約できないため、事前に確認しておきましょう。

売掛金が発生している個人事業主は、ファクタリングも資金調達の方法として選択できるため、銀行融資の審査に通らないときなど検討することをおすすめします。