建設業は、業務効率化や人手不足などさまざまな課題を抱えています。
少し前まで建設バブルと呼ばれるほど業界は好況だったといえますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でより多くの課題を抱えることになりました。
建設業の未来のため、今何を行うべきなのか考えるためにもまずは現状を把握し、解決させなければならない3つの課題について検討するようにしましょう。
目次
1つ目の課題は新型コロナで現状が大きく変化したこと
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、建設業だけでなく様々な業界が苦戦を強いられているといえます。
コロナ禍前の建設業界は、東京オリンピックや都市再開発などの影響により建設バブルと呼ばれる好況でした。
もともと建設投資額も2019年度は65兆円以上と見込まれていましたが、2021年度は約61.8兆円まで減少すると見通されています。
中小規模の建設現場では工事の中止・延期が相次ぎ、再開された後も感染防止対策用の消毒液を購入しなければならなくなり、さらに三密回避の作業工程導入で人件費増加など負担が大きくなっています。
小規模の中小企業はコロナ倒産する例も多くなっているのが現状です。倒産を防ぐためには手元の資金を枯渇させないことが必要ですが、銀行融資だけに資金の調達を頼るのではなく、調達先を多様化させることも必要といえます。
2つ目の課題は建設業の業務効率化について
建設業の業務は、ノウハウをテンプレート化することが困難なため、システムに頼りにくいといえます。さらにノウハウを習得すれば業務を効率的に進められるわけでもないため、属人化しにくいのも特徴です。
そして業界特有の重層下請構造により様々な場所で情報が共有され、全体像を把握しにくいことから、業務効率化が進まないといった問題を抱えています。
デジタル化が遅れた状態のまま
建設業では人の手で行う業務が多く、システムに任せっきりというわけにはいきません。
打ち合わせ・業務連絡・図面や書類の管理など、アナログ手法で行われていることはめずらしくないといえます。
ただ、だんだんと建設業でもITやAIなどを導入する動きが進むようになりましたが、まだ十分とはいえないでしょう。
今後は建設業界でもDX化を促進することが重要となると認識し、ITを活用したコミュニケーション効率化や、事務作業はアナログからデジタルへ移行することが必要となります。
テレワーク制度を導入することが不可欠に
建設業で行う作業はテレワークにより対応することはできませんが、事務作業や設計業務などは環境を整備することでリモート対応が可能です。
そこで、
- クラウドストレージ・オンラインミーティング用のビデオ通話
- 勤怠管理システム
- 会計システム
などITツールを活用し、様々な業務の無駄を省き効率化させていくことが必要となるでしょう。
結果、コスト削減につながり、浮いた費用を従業員の待遇に充てることができれば不足する人材も集まりやすくなります。
3つ目の課題は深刻化する建設業界の人材不足
建設業界では慢性的な人手不足に悩まされており、既存の職人たちは高齢化が進む中で、若い世代の人材は集まりません。
機械に任せて作業を進めることができればよいですが、人の手で行わなければならない業務が多く、人手不足の問題は解消させていくことが必要です。
建設就業者は1997年をピークに減少傾向にあり、2025年には47~93万人不足することが予想されています。
55歳以上の就業者が3分の1以上を占めているため、10年間後にはその多くがリタイアしてしまい、増々建設就業者は不足することとなるでしょう。
中長期的な建設業の担い手をどのように確保していくのかが今後の大きな課題として取り上げられています。
労働環境に問題がある場合が多い
建設業界が人手不足なのは、労働環境に問題があるケースが多いからといえます。
たとえば所定外労働時間は全産業が年間平均132時間なのに対して、建設業は160時間とそれほどの大きな差は見られません。
しかし休日取得状況を見ると、建設従業者の約65%が4週4休以下で就業しています。
年間出勤日数は全産業平均が224.4日であるのに対し、建設業界は全産業平均よりも26.9日多い251.3日です。
働き方改革が進む中、働きやすい環境を求める人材が多いことを踏まえた上で、積極的に待遇や福利厚生を充実させる取り組みが必要となります。
肉体労働であるのに見合う賃金が受け取れないと感じれば、仮に雇用してもすぐに辞めてしまうことになるため、長く働いてもらえる条件を検討することが必要です。
働きやすい環境整備に必要なこと
建設業界が抱える人材確保という課題を解決させるために、快適で働きやすいと感じてもらえる職場環境を作ることが重要です。
適切な賃金水準と安定した仕事量の確保に加え、週休2日モデル工事を拡大させることなども進んでいますが、今後はより様々な人材が働きやすい環境整備が求められるでしょう。
たとえば女性が活躍できる職場として設備を整備することや、教育訓練を充実させるといった取り組みも必要です。
建設業界で必要な人材を集め、長く働いてもらうことで企業自体の発展につながり、よい状態を持続させることができます。