請求書の出し忘れで起こるリスクとは?有効期限や消滅時効を解説

企業間取引で取引先に対し、売掛金を支払ってもらうよう請求書を発送しますが、うっかり出し忘れてしまうともう回収できなくなるのでは?と不安を感じることもあるでしょう。

普段から請求書を出し忘れることのないよう、適切な管理が必要ですが多忙な日常でつい忘れてしまうこともある可能性があります。

そこで、もし請求書を出し忘れてしまったときにはどのようなリスクが発生するのか再度確認し、適切に売掛金を回収するよう管理を行うようにしてください。

請求書の出し忘れで起こること

もしも請求書を出し忘れてしまうと、取引先は購入した商品やサービスの代金をいくら支払えばよいのか確認できません。

仮に請求書を出し忘れていたとしても、すでに商品を納品していたりサービスを提供していたり、取引が発生した時点で債権債務は発生しているから支払ってもらえるだろうと甘く考えないことです。

なぜなら売掛金は売掛債権という債権であり、時効により消失する可能性があるからといえます。

売掛債権の有効期限

売掛債権とは、商品やサービスを販売や提供したことによる売上代金を、支払ってもらうよう請求する権利のことです。

商品やサービスを購入した取引先は、代金を支払う買掛債務を義務として負っている状態にあります。

しかしこのような法定上の権利は永続的に続くわけでなく、一定期間を経過することで時効によって消滅してしまいます。

売掛債権はいつ時効で消滅するのか

民法が改正される前には職業別の短期消滅時効が定められており、売掛金がどのような職種の債権かによって消滅時効の期間は異なります。

一般的に売掛金は商品を他者に販売したことでその対価を受け取る権利のため、2020年3月以前(民法改正前)に発生していれば支払期限から2年と考えておいてよいでしょう。

改正民法による消滅時効期間は、

  • 債権者が権利を行使することをできると知ったときから5年
  • 債権者が権利を行使することができるときから10年

のどちらか早い方が適用されます。

債権者が権利を行使することができるときは客観的起算点と呼ばれ、権利を行使する際に法律上の弊害がなくなったときを指します。

たとえば支払期限が定められている債権の期限が到来していない状態などが該当するため、期限を過ぎてから10年ということになります。

改正前の民法でも、債権は10年間行使しないければ消滅すると規定があったため、一般的な債権は権利を行使することができるときから10年経過すれば、消滅時効にかかるとされていました。

ただ、新しい民法では、債権者が権利を行使するできると知ったときあら5年というように、10年より短い消滅時効期間も定められています。

いずれか早いほうが適用されるため、民法改正後の売掛債権は業種に関係なく、5年の消滅時効が適用されるといえるでしょう。