セルフコーチングとは、自身をコーチングし、課題解決や目標達成を実現するために内面と向き合う手法です。
夢や目標の達成や、現状を変えたい方が、自問自答を繰り返し自己肯定感や行動力を養っていきます。
なぜ自信を持つことができないのか、何を始めればよいかなど、自身へ問いかけ深堀りすることで成長できる方法がセルフコーチングといえます。
そこで、セルフコーチングとはどのような手法なのか、やり方や目標達成するためのコツをわかりやすく解説していきます。
目次
セルフコーチングとは
「セルフコーチング」とは、自身がコーチとなって自分自身と向き合い、目標達成へ導く手法です。
内面にある問題は何か見つけ出すため、自問自答を繰り返していき、改善策や新たな可能性などを発見していきます。
本来であれば指導者が行うべき人材育成の手法を、自分自身で行うことことが大きな特徴といえますが、以下の4つを説明します。
- 効果
- 適している人
- コーチングとの違い
- ティーチングとの違い
効果
セルフコーチングの効果は主に以下の3つです。
- 自己意識の向上
- 行動計画を立てる能力の育成
- 効果的なアクション選択の実現
問いかけや振り返りを自身で行い進むため、目標達成するスピードが向上し、行動や思考を客観的に評価する能力も鍛えられます。
問題や課題へ冷静に判断できるようになり、高い効果が期待できる改善策を見つけられることが期待できます。
適している人
セルフコーチングに適しているのは、解決したい悩みや実現したい目標などがある方です。
何が原因かわからないものの、ストレスや不安を抱えている方や、ポジティブに行動できない方はセルフコーチングによる自問自答でよい効果を感じやすいと考えられます。
自身が何を軸に行動するべきかわからず、立ち止まった状態であるときにもセルフコーチングを実践するとよいでしょう。
コーチングとの違い
「コーチング」とは、対象者本人が自らで考え行動し、目標達成やパフォーマンス向上を実現できるようにサポートする人材育成の手法です。
専門的な知識やスキルのあるコーチが、対象者とコミュニケーションを取りながら、本人に答えを導き出してもらいます。
セルフコーチングは、自身がコーチと対象者となり、自問自答を繰り返して解決策を導き出すため、異なる手法であるといえます。
コーチングとは?意味や種類・ビジネスに活かすコツを詳しく解説
ティーチングとの違い
「ティーチング」とは、経験値の高い方から浅い方へ、知識やノウハウなどを伝える指導の手法です。
コーチングは、対象者への先導や強制などはなく、本人が主体的に行動できるように促します。
しかしティーチングは、答えを教えて指導するため、組織の人材育成や学校教育などで主に実践されています。
セルフコーチングは自身で自らをコーチングするため、ティーチングとは異なる手法です。
コーチングとティーチングの違いとは?メリット・デメリットや使い分け方
セルフコーチングのやり方
セルフコーチングは、自身へのコーチングのため内面と向き合う思考法となるため、以下の流れで行います。
- 目標の設定
- 現状の把握・分析
- 行動計画の策定
- PDCAサイクルによる運用
それぞれの手順を説明します。
1.目標の設定
セルフコーチングを始めるなら、まずは目標を設定しましょう。
目標がなければ何を目指すべきかわからないため、モチベーションを高めるためにも必要です。
たとえば「売上を上げる」といった抽象的な目標ではなく、「○月末までに○円売上を上げる」など、具体的な数字であらわすことで実現に向けた取り組みを明確にしやすくなります。
2.現状の把握・分析
具体的な目標を設定したら、今の段階で不足することや障壁になっていることを把握し、改善策を分析しましょう。
たとえば売上が上がらない理由は行動力の不足なのか、無駄な行動の有無などを自問自答し原因を特定します。
その上で、足りない行動力を業務時間内に確保するには何をすればよいのかなど、解決策を分析しましょう。
3.行動計画の策定
現状を把握し、改善策や解決策を分析したら、理想と現実のギャップを埋めるための行動計画を立てていきます。
設定した目標達成の期限が1か月後なら、1週間ごとに計画を立てて見直すことも必要です。
中間地点を設けておくことで、進捗を確認しつつ小さな達成感も味わうことができ、モチベーションの維持・向上につながります。
4.PDCAサイクルによる運用
行動計画を策定したら、PDCAサイクルを回しながら実践します。
PDCAとは、以下の4つにより、品質確保・生産向上・業務効率化などに取り組むフレームワークです。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Action(改善)
策定した行動計画通りに手順を進めているのか、停止している部分があれば何が原因かなどを把握し、対策や方法の見直しを繰り返します。
セルフコーチングで目標達成するコツ
セルフコーチングを実践し、設定した目標を達成すれば、自身の人材育成に成功したといえます。
そのために、以下の6つのコツを押さえておくとよいでしょう。
- 行動を習慣にする
- 実現可能なゴールを設定する
- 効果的な質問をする
- 決めたことはやり遂げる
- 過去に固執しない
- ポジティブ思考に切り替える
それぞれのコツを説明します。
行動を習慣にする
セルフコーチングで目標を達成するために、行動を習慣にしましょう。
たとえば朝のルーティーンでは歯磨きや洗顔は習慣として身についていることであり、行わなければ不快な状態を作ってしまいます。
セルフコーチングも、同じ曜日・時間帯で実践を続ければ、習慣づけることができます。
結果が出れば喜びを感じることもでき、続ける励みとなるでしょう。
実現可能なゴールを設定する
セルフコーチングで目標を達成するために、実現できるゴールを設定しましょう。
すぐに手が届く低い目標よりも、高いほうがよいと考えてしまいがちですが、現実離れした高すぎる目標は途中でくじけてしまいます。
目標設定の際に、目標を達成した後に何があるのか、反対に達成しないことで何が起こるのか、2つを明確にすることで達成意欲も高まります。
効果的な質問をする
セルフコーチングで目標を達成するために、自問自答において効果が見込める質問を使いましょう。
プロコーチたちなどの使っている効果的な質問により、ゴール達成の短期化や新たな選択肢の発見などの効果を得ることができます。
質問内容が重要といえるため、本当の気持ちと向き合うためにも以下の質問を活用することをおすすめします。
など |
決めたことはやり遂げる
セルフコーチングで目標を達成するために、一度決めたことはやり遂げましょう。
多忙であることや体調が万全ではないなど、やらない理由を探すのではなく、決められた曜日や時間などに実践することが必要です。
優先する必要のある事情で、セルフコーチングの時間が取れないときでも、別の曜日や時間に実施するなど続けることが大切といえます。
自身で決めたことを守りやり遂げることは、コーチである自分との約束を守ることにもつながります。
過去に固執しない
セルフコーチングで目標を達成するために、過去のできごとや状況に固執しないようにしてください。
うまくいかない事態を作ったのは誰が悪いのか、何が原因で成功しない状況を繰り返すのかなど、過去のネガティブな悩みを掘り返しても意味はありません。
反省することはよいことではあるものの、失敗した経験をどのように活かして成功するのか、足らない部分は何で補っていけばよいかなど次のステップにつなげましょう。
ポジティブ思考に切り替える
セルフコーチングで目標を達成するために、ポジティブ思考に切り替えましょう。
過去に固執しないことに共通していえることですが、マイナスなネガティブ思考はうまくいかない状況をつくってしまいます。
そのため自問自答により、ネガティブな経験をもとにつくられたマイナス思考やパターンにまずは気づきましょう。
気がつくことができれば、改善部分を洗い出し、何らかの手を打ってポジティブ思考へと変化させることができます。
セルフコーチングのメリット
セルフコーチングで自分自身と対話することは、自己理解を深める以外にも次の4つのメリットがあるといえます。
- コーチングの基礎が身につく
- 目標達成まで短期化できる
- 自主性が向上する
- 良好な人間関係を築ける
それぞれのメリットを説明します。
コーチングの基礎が身につく
セルフコーチングは、コーチングの基礎や土台になるスキルが身につくことがメリットです。
コーチと対象者の役割を一人で担うことになるため、セルフコーチングを実践することは、コーチングの土台となる基本的な知識やノウハウを身につけることにつながります。
また、セルフコーチングを進めていけば、コーチと対象者のどちらの気持ちも理解することができます。
悩みや相談を持ち掛けられたとき、本音を聞き出す手法としても活用することができるでしょう。
目標達成まで短期化できる
セルフコーチングは、目標達成の確度が高まり、時間も短縮できます。
自己対話を繰り返し、必要な行動や優先順位が明確化していくため、ティーチングよりは時間がかかる恐れはあるものの、自分自身で答えを見つけ出すことにつながります。
障壁となっている問題や事実の認識や現状の改善策を導くことができれば、具体的な解決方法に気がつくことができ、目標達成までの時間短縮が期待できます。
自主性が向上する
セルフコーチングは、自問自答を繰り返すことで自己肯定感や行動力が養われるため、自主性が向上します。
問題が整理されていくため不安も緩和され、自信を持って行動できるようになるでしょう。
自身で道を切り開ける主体性が向上し、リーダー的な存在へと成長していくことも期待できます。
良好な人間関係を築ける
セルフコーチングは、良好な人間関係を築くことができます。
コーチと対象者の両方の役割を担うため、双方の立場で相手の気持ちや立場なども理解できるようになります。
セルフコーチングで身につけた相手への理解力をもってコミュニケーションを深めていけば、良好な人間関係を構築することにつながると考えられます。
セルフコーチングの注意点
メリットの多い手法であるセルフコーチングをすぐにでも始めたいと考える方もいるかもしれません。
しかしスタートする前に、以下の3つの注意点は理解しておきましょう。
- 感情や行動の意味を理解する
- 意識して時間をつくる
- 途中で投げ出さない
それぞれ説明します。
感情や行動の意味を理解する
セルフコーチングは、感情や行動の意味を理解することが必要です。
単に目標を達成するだけであれば、ティーチングにより指導を受けたほうが時間はかかりにくいといえます。
しかしセルフコーチングでは、自身を成長させた上で目標達成することを目指すため、時間がかかっても目標達成のみを目的としていません。
そのため、自身がふと感じたことや体が動いたことなど、感情や行動との向き合いながら意味を理解しましょう。
うまくいかないときにネガティブな感情が出ても、無理にポジティブな考えに変えるように強制するのではなく、なぜマイナス思考が出てしまいやる気が出ないのかなど一つひとつに向き合うことが大切です。
意識して時間をつくる
セルフコーチングは、忙しい場合でも意識して取り組む時間をつくることが大切です。
自分自身に向き合う手法であるセルフコーチングは、すぐに結果が出るわけではなくある程度の時間がかかります。
緊急の業務に忙殺されれば、ゆっくりと自身と向き合い考える時間は少なくなってしまうでしょう。
しかし時間をかけて臨まなければ効果は期待できないため、セルフコーチングの大切さを理解し、意識して時間を作ることをおすすめします。
途中で投げ出さない
セルフコーチングは、思うように効果が出ないことを理由に途中で投げ出さないことが大切です。
時間をかけているつもりなのに、効果が出なければ途中でやめてしまいたくなるものでしょう。
しかし機能すれば大きな成果となって返ってくるため、粘り強く続けることをおすすめします。
まとめ
セルフコーチングは、課題の解決や目標達成に向けて、自身がコーチとなって内面と向き合う手法です。
指導者は自身であり、自分自身の感情・価値観・過去の行動から学び成長していきます。
コーチと対象者の一人二役は大変と想像してしまいがちですが、誰にも知られたくない情報などを他人に開示することなく、一番理解者である自分自身が本人を育成します。
理想に近づく有効な手法であり、特段の設備や投資などの準備もいらず、大きな失敗もないため気軽に始めやすいといえます。
可能性を広げ、モチベーションを向上させたいなら、セルフコーチングに取り組んでみるとよいでしょう。