売掛金などの債権は、将来現金として入金されるものなので多いほうが良いようにも感じるかもしれません。
しかし売掛金が多すぎてしまうと、例えば銀行から融資を受ける際の審査などでは逆効果になる可能性があります。
さらに銀行融資とは関係なく、資金繰りとしてもマイナスになるので売掛金残高は取引条件に見合う範囲に抑えることが必要です。
売掛金の取引条件は希望に合っている?
飲食店や小売業などは現金商売が基本となるので、売掛金は基本的には発生しないことが一般的です。
しかしほとんどの事業で掛売りによる商売が行われていますので、発生する売掛金の管理が大切になります。
そして売掛金の売掛期間など、取引条件は希望に合うスパンになっているでしょうか?
仮に売上発生から代金回収するまでの売掛期間が長くなると、売上は上がっているのに手元に資金がないことで、仕入代金や経費などの支払いができず資金不足が生じる可能性があります。
売掛金額が大きくなればなるほど、運転資金不足が生じてしまうことになるでしょう。
売掛金の入金があった場合には?
売掛金に対しての入金があった場合、取引先の支払通知等などを検証しながら入金額と売上計上額を照合して確認しましょう。
毎月の売掛金の動きだけでなく、残高と合致しているかで間違いを見過ごすことを防ぐことができます。
入金されない売掛金への対応は?
入金されるべき金額が長期間入金されないまま残っている場合、取引先に入金を促すことが必要になります。
売掛金残高の検証を的確に行いたいのであれば、決算期末などに残高確認状を取引先に宛てて送付するといったことも行うと良いでしょう。
売掛金管理で注意したいこと
会社で売掛金を管理する上で、同時に整備していきた管理体制は次の通りです。どこまで体制が整っているかを確認してみましょう。
与信管理
顧客や取引先などの支払能力を評価して債権回収がスムーズに行えるように、与信限度枠を設定して取引を行います。
受注、販売管理
注文内容の数量や価格、品質、納期などを確認し、対応困難なものでないか、事前に確認しておくことが必要です。
また、万一取引先との間で生じたトラブルなどに対応できるように、売上伝票や納品書、出荷指示書、受領書などの控えは保管しておきましょう。
売上戻りや値引き、割戻といった売上がマイナスになる取引は社内で承認を得る方法と会計処理の方針を明確化しておくことが必要です。
不明確なリベートや処理や記帳の間違いを防止することになります。
回収管理
マイナス残高や不明な残が生じることを防ぐためにも、売掛金が入金された時の確認と管理体制を整備しましょう。
債権を発生日ごとに管理できる売掛金年齢表を作成することも必要ですし、入金が遅れがちな売掛金については書面による残高確認などを行った上で回収していくことが必要です。
売掛金残高と売掛期間は合っている?
仮に売掛期間が1か月の取引先と2か月の取引先があるとします。
平均売掛期間は1.5か月になりますが、月の平均売上が仮に3,000万円ならあるべき売掛金残高は3,000万円×1.5か月で4,500万円です。
この場合、売掛金残高が4,500万円なら銀行融資の審査上で特に問題視されることもないでしょう。
しかし売掛金残高が5,000万円や6,000万円になっている場合には、本来あるべき売掛金残高より多くなるので銀行の融資担当者は焦げ付きの発生、もしくは架空売上による粉飾ではないかという疑問を抱かれる可能性があります。
資金繰り上でも問題に…
このように銀行で融資を受ける際の審査にも売掛期間に合っていない売掛金残高は問題になりますが、資金繰り上も問題になります。
先に述べたような理由で銀行から融資を受けることができない、しかし資金繰りは悪化しているとなると、仕入れ代金や経費の支払いに充てることができる売掛金が入金されるまで待つしかありません。
しかし入金までの期間が長いと、その間に資金がショートして最悪の場合倒産してしまう可能性も否定できなくなるでしょう。
売掛期間の交渉までの期間の資金作りは?
このような場合、売掛期間を変更してもらえるように取引先と交渉するなども必要ですが、それまでの期間の運転資金が必要であればファクタリングなどを活用することも検討してみましょう。
ファクタリングは売掛金を現金化するので、負債が増えるわけではありません。
将来入金される予定の売掛金を先に手元に受取ることで様々な支払いができますので、その間に交渉を進めて行くなど資金繰りを円滑化させる策を講じることに繋がります。