お酒を飲みにいった時に「ツケといて!」と支払いを次回に延長したり、ショッピングの代金をクレジットカード決済にしたり、商品やサービスは受取ったけれど代金の決済は後日という取引を「掛取引」といいます。
売った側は「売掛金」、買った側は「買掛金」として会計上は処理することになりますが、商取引では頻繁かつ継続的に取引が発生するため、全ての取引を同時決済することが困難なことから一般的に用いられています。
掛取引ではいつ代金を支払うか約束してもらった上で、先に商品やサービスを受け払いします。掛取引は売掛債権とも言われており、売上代金を貸していることと同じ意味を持ちます。
売掛金で取引を行う業種とは?
どのような企業が売掛金で取引を行っているかを見た場合、業種別で見ると不動産業、飲食店を除くほとんどの業種で売掛金による取引が行われています。
不動産業や飲食店で割合が低いのは、不動産業では不動産の仕入れに対し、1週間以内に手付金の支払いが必要になるといった迅速さなどが求められることなどが理由です。飲食店では販売が現金と引き替えとなる現金商売が一般的なので、掛取引はあまり行われていません。
借入申込に対する対応にも変化が?
そしてメインバンクの借入申込に対する対応と関係を考えた場合、希望通りに融資を受けることができた企業の方が、そうでない企業より売掛金取引を行っている割合が高い傾向にあります。
短期借入金利を見た場合、売掛金取引を行っている企業とそうでない企業では短期借入金利にはほとんど差がありません。
一般に売掛金で販売することは取引先に信用を供与することなので、売掛金で取引を行っている企業はそうでない企業よりも資金繰りに余裕のある企業だと判断される傾向にあるとも考えられます。
掛取引で大切なのは与信管理
ただしメインバクなどに信用を付けたいからと掛取引をやみくもに行うことは危険です。取引先との取引を行う間には、しっかり期日に支払いをしてもらえるか判断しなければなりません。
そのために重要になるのが与信管理で、取引先の会社の雰囲気はしっかり整理整頓ができているか、社長の性格は浪費かではないかなどを確認します。
さらに商業謄本(履歴事項証明書)を法務局で取得し、本店所在地や代表者が頻繁に変更されていないか、資本金額が1円などで設立された法人でないかなども確認しましょう。
その取引先が不動産を持っていたとしたら、不動産の謄本も法務局で取得して所有者名義も確認しておきましょう。さらにその不動産に莫大な(根)抵当権が設定されていないか、銀行などの金融機関以外の抵当権が設定されていないか、差し押さえなどの登記がされていないかも確認しておくと良いでしょう。