資金調達の相談先はどこかと尋ねられたとき、普段から取引のある銀行などを真っ先に思い浮かべる会社経営者がほとんどでしょう。
しかし長く付き合いがある銀行だとしても、会社の業績悪化で資金繰りがうまくいかない状態では、融資の申し込みにおける審査に通るとは言い切れません。
むしろ審査に通らず、態度を一変させて既存の融資を早期に返済を迫られないとも限らないため、銀行融資にのみ頼るのは危険です。
抱えているお金の問題を解決させたいとき、資金調達の相談をできるのは取引銀行だけではありません。
そこで、資金調達の相談先として中小企業向けの9つの相談窓口や機関を、それぞれ詳しく紹介していきます。
目次
資金調達の相談先
資金調達に関する相談は、どこからお金を調達すればよいかだけでなく、資金繰りをどのように改善すべきかなど多岐に渡ります。
そのため資金面で悩みを打ち明ける相談先として、以下の9つが候補として挙げられます。
- 経営コンサルタント
- 税理士
- 民間銀行
- 日本政策金融公庫
- 中小企業基盤整備機構(中小機構)
- 商工会議所・商工会
- よろず支援拠点
- 都道府県等中小企業支援センター
- 投資家
それぞれの相談先を紹介します。
1.経営コンサルタント
資金調達の相談において、会社の立て直しや今後の戦略も含めた内容であれば、事業再生などにも詳しい「経営コンサルタント」がおすすめです。
客観的な視点で何をすれば会社を立て直すことができるのか、資金調達の相談以外に資金繰り改善に向けた抜本的な改革への取り組みに関する相談もできます。
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2.税理士
資金調達の相談において、財務状況の分析や税金関連も含めた内容であれば、税務の専門家である「税理士」を頼るとよいでしょう。
顧問契約をしている税理士がいれば、毎月の財務状況などを把握しているため、資金繰り改善に向けた相談もしやすいといえます。
助成金や補助金などに詳しい税理士であれば、財務状況や節税対策を含む資金調達に関する相談もできると考えられます。
3.民間銀行
資金調達の相談において、追加融資を希望するのなら取引のある「民間銀行」を頼るとよいでしょう。
すでに融資取引などがある場合、資金繰りに関する相談もしやすいといえますが、経営状況が悪ければ返済能力がないとみなされ審査に通らない恐れはあると留意しておきましょう。
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4.日本政策金融公庫
資金調達の相談において、創業期で民間銀行の審査に通らない可能性が高いときや、業績悪化で資金繰りなどの内容であれば、政府系の金融機関の「日本政策金融公庫」を選ぶとよいでしょう。
日本政策金融公庫は、民間銀行などを補完する役割を担っている金融機関であるため、民間銀行の融資審査に通りにくい創業期でも借入れの申し込みがしやすいといえます。
また、業績悪化や金融機関との取引状況が変わったことで資金繰りに悩んでいるときは、資金繰り支援を目的とする「セーフティネット貸付制度」など利用できないか相談することもできます。
5.中小企業基盤整備機構(中小機構)
資金調達の相談は、経済産業省所轄の独立行政法人「中小企業基盤整備機構」でも可能です。
中小企業基盤整備機構は、中小企業の経営基盤の強化や事業展開の促進など、いろいろな支援を行っています。
全国の主要地域に本部があり、対面形式での相談以外にも、経営相談ホットライン・メール・AIチャットポッドを使った窓口から問い合わせもできます。
6.商工会議所・商工会
資金調達の相談は、地域の商工業者で構成する公益経済団体の「商工会議所」や「商工会」でも可能です。
在籍している経営指導員に資金調達に関する相談もできます。
融資制度や補助金などの紹介や、指導を受けた後で「マル経融資」などの支援制度を利用することもできるため、まずは相談するとよいでしょう。
7.よろず支援拠点
資金調達の相談は、中小企業基盤整備機構の経営相談窓口「よろず支援拠点」でも可能です。
よろず支援拠点は、全国47都道府県に相談窓口が設けられています。
日本政策金融公庫や民間銀行の融資制度に関するリスケジュールなどの相談にも対応しているため、資金調達や既存の借入れの返済に悩みがあるのなら相談してみるとよいでしょう。
8.都道府県等中小企業支援センター
資金調達の相談は、中小企業庁の「中小企業支援センター」でも可能です。
公的融資や補助金などを案内してもらえますが、都道府県によって利用可能な支援制度は異なるため、前もって確認しておくとよいでしょう。
9.投資家
資金調達の相談は、個人投資家である「エンジェル投資家」や、投資会社である「ベンチャーキャピタル」などを頼れれば多額の資金を調達できます。
創業者や小規模事業者でも、将来性が期待でき、大きな収益を生み出し上場する可能性があると判断されれば資金を投じてもらえます。
ただし出資を前提とした事業計画では、将来性を認めてもらえるだけの説得力のある内容であることが必要です。
資金調達を相談するメリット
資金調達に関する相談をすることで、以下の7つのメリットがあります。
- 資金調達に成功しやすくなる
- 資金調達の選択肢が増える
- ノウハウを獲得できる
- 無駄な時間や労力を節約できる
- 問題解決につながる
- 経営判断のミスがなくなる
- 信用力が上がる
自己資金で賄うことができない場合には、外部からお金を調達することが必要です。
それにより、どのようなメリットがあるのかそれぞれ説明します。
資金調達に成功しやすくなる
資金調達に関する相談をすることで、手元の資金を増やしやすくなります。
多くの方法で事業計画書を作成することが必要となるため、専門家に相談することで作成に関する悩みは軽減されます。
対策を講じた事業計画書の作成が可能となり、資金調達に成功する確率も上がります。
資金調達の選択肢が増える
資金調達に関する相談をすることで、手元の資金を増やす方法の選択肢が増えます。
中小企業の資金調達の方法は、銀行融資に限らず、出資を受けたり資産を現金化したりなどいろいろあります。
専門家に相談しなければ知ることのなかった方法に巡り合える可能性もあるため、資金調達における選択肢を増やすことにつながるといえるでしょう。
ノウハウを獲得できる
資金調達に関する相談をすることで、実際に申し込み経験しなければわからないことなどのノウハウを獲得できます。
たとえば日本政策金融公庫で創業融資を受ける場合、自己資金額の3~4倍が一般的と考えらえますが、あくまでも実際に利用した方によるデータであり、公表されているわけではありません。
情報として出回っていない内容も専門家なら把握していることが多いため、資金調達におけるノウハウの獲得にもつながるといえるでしょう。
無駄な時間や労力を節約できる
資金調達に関する相談をすることで、無駄な時間や労力を節約できます。
事業計画を立案しても、何度も修正したり大幅に見直したりといったことが必要になる可能性もあります。
何度も計画を修正していては、時間や労力の無駄遣いです。
そのため早期に専門家に相談することで、無駄な時間や労力を使うことなく、スムーズに手続を進めることができます。
問題解決につながる
資金調達に関する相談をすることで、客観的な視点でなければ気がつかない問題点を洗いだし、解決につなげることができます。
追加融資やリスケジュールの際にも、金融機関へ提出する必要書類作成における支援を行い、銀行との交渉がスムーズに進むようにサポートしてもらえます。
経営判断のミスがなくなる
資金調達に関する相談をすることで、資金繰りが明確化されるため経営判断のミスを防げます。
事業を拡大したり会社を成長させたりするためには、資金を投じることも必要です。
しかし無理な投資では、投じた資金を回収できずに倒産リスクを高めるだけといえます。
専門家に相談すれば資金繰りを見える化できるため、設備投資に充てるべき目安などを判断がしやすくなり、経営判断のミスを防ぐことができます。
信用力が上がる
資金調達に関する相談をすることで、信用力が上がります。
専門家に相談した上で事業計画書などを作成し、資金調達後にも定期的に最新の資金繰り表を提出することで、高い信用を得やすくなるといえます。
資金調達を相談するデメリット
資金調達に関する相談をすることで、手元の資金を増やしやすくなるなどメリットはいろいろありますが、次の4つのデメリットには注意しましょう。
- 調達コストがかかる
- 手間や時間がかかる場合がある
- 審査が厳しい場合がある
- 調達額が制限される場合がある
それぞれ説明します。
調達コストがかかる
資金調達を相談するデメリットとして、ほとんどの方法で調達コストがかかることが挙げられます。
たとえば銀行融資などお金を借りる方法では、設定された金利に沿って利子が発生します。
信用保証協会に保証してもらう場合には、保証料の支払いも必要です。
また、登記が必要な場合には登記費用も発生するなど、資金調達する上で一定のコストが発生することは避けられないといえるでしょう。
手間や時間がかかる場合がある
資金調達を相談するデメリットとして、方法によって手間や時間がかかる場合があることが挙げられます。
たとえば銀行に相談して融資を受ける場合、事業計画書や収支計画書の作成が必要です。
また、信用保証協会の保証が必要な場合には、金融機関だけでなく協会でも審査を行うため、融資実行まで月単位で時間がかかることもあります。
急いで資金が必要なときは、最短即日に資金調達が可能となるファクタリングなどを活用するとよいでしょう。
調達額が制限される場合がある
資金調達を相談するデメリットとして、方法によって調達額が制限される場合があることが挙げられます。
たとえば信用組合に相談して融資を受ける場合など、上限額は日本政策金融公庫より少なめです。
売掛金を現金化するファクタリングにおいても、調達額は売掛債権の額面までに留まります。
審査が厳しい場合がある
資金調達を相談するデメリットとして、方法によっては審査が厳しい場合があることが挙げられます。
民間銀行から融資を受ける場合は、審査が厳しいため担保の差し入れや人的保証などを求められることが一般的です。
投資家に出資してもらう場合も、将来性を認めてもらえなければ資金を投じてもらうことはできません。
なお、売掛金を現金化するファクタリングなら、売掛先の信用力を重視した審査を行うため、柔軟な審査で利用しやすいといえます。
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まとめ
資金調達の相談は、民間の取引銀行以外にも、たとえば経営コンサルタントや税理士などの専門家でも可能です。
ただし、資金繰りが悪化していることを理由に、取引先へ仕入れ代金の支払いを先延ばしにしてもらう交渉や、売掛金の入金を早めてもらう相談などは避けたほうがよいといえます。
資金面で困窮している噂が同業他社へ広がれば、その後の取引など打ち切られてしまう恐れもあります。
この場合、売掛金をファクタリング会社に売って現金化するファクタリングも利用できます。
PMGではファクタリングや資金調達を含めたコンサルタント業務も対応しているため、気軽にご相談ください。