AIは様々な分野で使われていますが、ファクタリングの審査でも導入されている場合があります。
オンラインで手続が完結するAIによるファクタリングは、自動で審査結果が出るため、入金まで時間がかからないと好評です。
しかしAIが審査を行うゆえに、通常のファクタリングとは異なる特徴があり、メリットもあればデメリットもあるといえます。
そこで、AI審査のファクタリングについて、メリット・デメリットをわかりやすく解説していきます。
AI審査とは
「AI」審査とは、申込者の様々な情報を人工知能が分析し、利用可否などを判定することです。
たとえば融資審査におけるAI活用のケースでは、取引データなどの情報をAIが分析し、項目ごとに点数を付ける与信スコアリングで可否や限度額などが決定します。
従来まで人の手を介して行っていた調査などの工程を、AIが代わりに対応するため審査に時間がかかりません。
人による審査とAI審査の違いとして、主に次の3つが挙げられます。
- 人件費
- 精度
- スピード
それぞれ簡単に説明していきます。
人件費
人による審査とAI審査の違いとして、かかる人件費が挙げられます。
審査を行う上で人を介する場合、担当する人員が必要となり、人件費がかかります。
しかしAI審査では従来まで人が行っていた審査における工程が自動化されているため、少ない人員で現場対応が可能であり、人件費がかかりません。
AI審査によるファクタリングは手数料が低めに設定されますが、人件費や店舗に費用がかからない部分が反映されているとも考えられます。
精度
人による審査とAI審査の違いとして、審査の精度が挙げられます。
たとえば融資におけるAI審査では、自動的に支払い能力などに関するポイントが分析され、点数化されて融資可否や金利などが判定されます。
人が申し込み情報を目で確認するよりも、正確で確実な情報のもと、結果を出すことができます。
ファクタリングにおけるAI審査も同様であり、機械が対応するため特別な事情など考慮はされません。
審査の精度は高いといえるものの、ファクタリングの利用者の多くは諸事情など配慮を求めるケースも少なくないため、従来までの人の手を介する審査のほうが利用しやすいともいえるでしょう。
スピード
人による審査とAI審査の違いとして、結果が出るまでのスピードが挙げられます。
AI審査は機械で分析・判断するため、結果が出るまで最短30分程度など、時間が短いことが特徴です。
人による審査では、項目をそれぞれ確認し、面談などを経て判断するため一定の時間がかります。
ただし通常のファクタリングでも、午前までに手続を済ませれば最短即日入金されるケースも少なくないため、それほどスピードに違いはないといえるでしょう。
AI審査によるファクタリングとは
AI審査によるファクタリングとは、申し込み情報を人工知能の活用で判定するファクタリングサービスです。
AIが人の代わりに審査を行い、あらかじめ設定された基準に基づいてファクタリングの利用可否など判断します。
必要な作業をAIが対応するため、スピーディな審査を実現できるといえますが、次の特徴があります。
- 短時間で結果が出る
- 店舗がない
- オンライン完結する
- 2社間ファクタリングのみ利用できる
それぞれ説明します。
オンライン完結のファクタリングとは?非対面のデメリットについて解説
短時間で結果が出る
AI審査によるファクタリングは、インターネットで自動的に判定するため、人を介さないため審査に時間がかかりません。
申し込み後、必要書類をデータで送れば審査がスタートするため、短時間で結果が出ます。
店舗がない
AI審査によるファクタリングは、実店舗を設けず運営していることがほとんどです。
申し込み情報をAIが確認し、利用可否などを判断するため、店舗は不要であることが理由といえます。
ただし実店舗がない分、電話や対面で担当者と話すことはできず、あくまでも送信したデータで利用可否等を判断されるため、個別の事情等は考慮されません。
オンライン完結する
AI審査によるファクタリングは、申し込みから審査、入金まですべてオンラインで完結します。
店頭窓口に出向く必要はないため、全国どのエリアでも同条件で申し込み・契約・審査・入金まで可能であり、書類の持参や郵送などの手間はかかりません。
2社間ファクタリングのみ利用できる
AI審査によるファクタリングは、基本的に2社間ファクタリングのみ利用できます。
3社間ファクタリングでは、売掛先に対する通知や承諾が必要であるため、AIのみで利用可否や手数料など決められないことが理由と考えられます。
2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社のみで契約が完結するため、AI審査で対応しやすくスムーズに手続できます。
AI審査によるファクタリング利用の流れ
AI審査によるファクタリングを利用する場合、一般的に次の手順で売掛金が現金化されます。
- アカウント登録
- 申し込み
- 審査
- 入金
それぞれ説明します。
アカウント登録
AI審査によるファクタリングを利用する場合、まずはアカウント登録が必要です。
手続をすべてオンラインで済ませるため、公式サイトからアカウント登録を済ませることが必要となります。
アカウント登録の際には、メールアドレスや本人確認書類などアップロードする必要がありますが、無料でできます。
申し込み
アカウントを登録したら、公式サイトやアプリから申し込みをします。
以下の書類が必要になることが多いため、データをアップロードして提出しましょう。
本人確認書類(運転免許証など) 請求書(売掛金を証明する書類) 取引履歴が確認できる通帳(入金明細書) 決算書または確定申告書(2~3期分など) |
上記書類は最低でも準備しておけば、申し込みが完了後にAIによる審査が実行されます。
審査
申し込みが完了した後は、申込内容と提出した書類をもとにしてAIによる審査が行われます。
審査に通過した場合、契約内容が示されますが、手数料・入金時期・償還請求権の有無などは確認しましょう。
提示された条件で納得のもと、契約を締結します。
入金
ファクタリング契約を締結すると、あらかじめ指定していた口座に買取代金が入金されます。
AIによる自動審査であるため結果が出るまで早く、申し込みから数時間で入金されることもあります。
AI審査によるファクタリングのメリット
AI審査によるファクタリングは、インターネットを使って手続するため、手間がかからずオンラインで完結できることが大きな特徴です。
メリットとしては、次の6つが挙げられます。
- 最短即日で入金される
- 24時間申し込みできる
- 手続に手間がかからない
- 遠方でも利用できる
- 調達コストを抑えられる
- 強引な勧誘を受けない
それぞれのメリットについて説明します。
最短即日で入金される
AI審査によるファクタリングのメリットとして、最短即日入金されることが挙げられます。
申し込みから入金まで、最短即日で対応など迅速であることがメリットといえます。
最短即日入金が可能である理由は、手続をすべてインターネット上で完結できるからです。
スピーディな資金調達につながることがAI審査によるファクタリングのメリットといえます。
24時間申し込みできる
AI審査によるファクタリングのメリットとして、24時間申し込みができることが挙げられます。
窓口に出向いて対面で面談を受けることや、郵送で書類を送るといった必要はなく、インターネットがつながる環境であれば24時間申し込みできます。
手続に手間がかからない
AI審査によるファクタリングのメリットとして、手続に手間がかからないことが挙げられます。
インターネット上で完結するため、時間とコストを抑えることができることが挙げられます。
必要書類はアップロードで対応することになり、契約も電子契約により締結します。
そのため窓口まで出向く交通費も必要なく、郵送による送料も不要です。
遠方でも利用できる
AI審査によるファクタリングのメリットとして、遠方でも利用できることが挙げられます。
地方などで近隣にファクタリング会社がない場合でも、AI審査によるファクタリングならインターネットを通して申し込みができるため、場所を問わずに利用できます。
調達コストを抑えられる
AI審査によるファクタリングのメリットとして、調達コストを抑えられることが挙げられます。
本来、2社間ファクタリングで契約した場合にかかる手数料は、10〜20%が相場です。
しかしAI審査によるファクタリングなら、人件費や家賃などのかからない運営をしているため、10%未満の手数料による提示も期待できます。
強引な勧誘を受けない
AI審査によるファクタリングのメリットとして、強引な勧誘を受けないことが挙げられます。
店頭窓口に出向き、担当者と対面で面談を受ける必要はないため、強引な営業や勧誘を受ける心配はありません。
直接対面で提示された見積もりに不満があっても、無理に契約を押し通してくる悪徳業者も存在します。
特にファクタリング業界は法規制が十分ではないため、悪徳業者が横行しやすい環境であり、信頼できる業者か見極めなければ騙される可能性も否定できません。
しかしAI審査を使ったファクタリングなら、インターネット上ですべての手続をできるため、契約するまで帰してもらえないことや強引に押し切られる心配はないといえます。
AI審査によるファクタリングのデメリット
AI審査によるファクタリングを利用する場合、次の7つのデメリットに留意しておきましょう。
- オンライン以外で申し込みできない
- 柔軟性がなく融通が利きにくい
- 3社間ファクタリングが利用できない
- 信頼関係を築きにくい
- 提出書類をデータ化する必要がある
- 高額債権に対応していない
- 個人事業者は利用しにくい
それぞれ説明します。
オンライン以外で申し込みできない
AI審査によるファクタリングのデメリットとして、申し込みはインターネットを使うことが必要であり、オンライン以外で申し込みができないことが挙げられます。
店頭窓口など設けられていないため、直接出向くことや郵送による書類提出などには対応していません。
アップロードや電子契約など、ある程度の知識がなければ利用しにくいことはデメリットといえます。
柔軟性がなく融通が利きにくい
AI審査によるファクタリングのデメリットとして、担当者と対面で話すことができず、審査で柔軟な対応や融通を利かせてもらえないことが挙げられます。
通常のファクタリングであれば、請求書を提出できない場合でも、売掛債権の存在を証明できる代わりの書類の提出で申し込みできる場合もあります。
諸事情に合わせた柔軟な対応が期待できることが通常のファクタリングの魅力といえますが、AI審査によるファクタリングは自動的に判断されるため融通は利きません。
入力ミスや提出書類に不備があった場合など、本来であれば買取可能である債権でも審査に落ちる恐れがあるため、十分に注意してください。
3社間ファクタリングが利用できない
AI審査によるファクタリングのデメリットとして、多くは2社間ファクタリングのみの対応であり、3社間ファクタリングは利用できないことが挙げられます。
3社間ファクタリングでは、売掛先に対する通知や承諾が必要です。
そのためAIによる自動審査のみでは対応できず、本来のメリットといえる迅速性を欠くことになります。
3社間ファクタリングの利用を希望する場合、AI審査によるファクタリングでは対応できないといえるでしょう。
信頼関係を築きにくい
AI審査によるファクタリングのデメリットとして、手続すべてをインターネット上で完結させるため、ファクタリング会社との信頼関係を築きにくいことが挙げられます。
AIによる自動審査のため、担当者の諸事情に対し、柔軟な対応はしてもらえません。
仮に不明な点があり、質問したい場合でも、メールやチャットなどによる対応となります。
そのため利用者とファクタリング会社で信頼関係を築きにくいといえるでしょう。
提出書類をデータ化する必要がある
AI審査によるファクタリングのデメリットとして、必要書類の提出においてデータ化しなければならないことが挙げられます。
インターネットを使って書類を提出するため、すべてPDF化などデータに変えることが必要です。
電子署名ツールも用意が必要となるなど、ネット取引に対応できる準備を前もって行わなければなりません。
中小企業の経営者は高齢化が進んでいるため、インターネットに慣れていない場合など、利用しにくいと考えられます。
高額債権に対応していない
AI審査によるファクタリングのデメリットとして、高額債権に対応していない場合があることが挙げられます。
少額取引には対応しているケースは多いものの、AIによる自動審査であるため、高額な取引に対応していないケースも少なくありません。
高額債権の買い取りを希望するなら、人を介して審査を行う通常のファクタリング会社を選びましょう。
個人事業者は利用しにくい
AI審査によるファクタリングのデメリットとして、個人事業者は利用しにくいことが挙げられます。
ネット経由で自動審査となるため、法人のみ契約可能としているケースも少なくありません。
ただし個人事業者でも、税務署に開業届を提出していれば利用できる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
まとめ
AI審査を使ったファクタリングは、インターネットで申し込みから契約までを完結させることができるファクタリングサービスです。
手続が簡素化されており、人工知能による自動審査となるため、スピーディに資金調達できることがメリットといえます。
ただしAI審査によるファクタリングは、インターネット以外で申し込みはできないため、パソコンやオンラインに不慣れな方は利用しにくいと考えられます。
また、高額債権や個別の諸事情にも臨機応変に対応してもらうことはできません。
そのため、実際にファクタリング会社の担当者と対面で相談できる通常のファクタリングのほうがおすすめです。
契約のみ電子契約などで対応できるケースもあるため、顔の見えない取引に不安を感じるのなら、通常のファクタリングサービスを選びましょう。