ファクタリングを法人が活用するメリット・デメリットを徹底解説

資金調達が必要になったとき、ファクタリングを利用する法人も増えてきました。

法人の中でも中小企業など規模の小さな会社は、銀行から融資を受けて資金を調達しにくいこともあり、よりファクタリングを利用するケースが多くなったといえるでしょう。

ただ、ファクタリングをまだ利用したことがない法人は、本当に安全・安心な資金調達の方法か不安を抱えていることも少なくありません。

そこで、経営の舵取りに欠かせない資金調達の悩みを解決する方法として、法人がファクタリングを活用するメリットとデメリットについて解説していきます。

ファクタリングを法人が活用するメリット

ファクタリングを法人が活用するメリットはいろいろあります。

支払いに充てるお金が必要でも運転資金に余裕がないときや、予定外の出費で資金が足りなくなってしまったときにも対応できる方法です。

売上が伸び、仕入れを増やしたいものの資金準備ができないときや、大口の受注案件で仕入れ資金がないときにも活用できます。

銀行から融資を受けたくても、担保不動産を所有していないときや保証人が立てられない場合、創業したばかりで実績がなく融資審査に通らないケースでも申し込み可能です。

以上のことから、法人がファクタリングを活用するメリットとして、次の5つが挙げられます。

  1. 資金調達のスピードがはやい
  2. 赤字でも利用できる
  3. 未回収リスクを回避できる
  4. キャッシュフローが改善される
  5. 決算書に悪影響を及ぼさない

それぞれ説明します。

①決算書に悪影響を及ぼさない

ファクタリングは銀行から融資を受ける方法よりも審査に時間がかからず、資金調達のスピードがはやいことがメリットといえます。

銀行融資の場合、申し込んで実行されるまで3週間から1か月かかることが多いのに対し、ファクタリングなら最短即日というはやさです。

提出資料も少ないため、申込の準備に時間がかからないこともメリットといえます。

②赤字でも利用できる

ファクタリングは融資を受けるときと違って、赤字でも利用できることがメリットです。

審査では売掛先の信用力を重視するため、利用者が赤字決算のときや債務超過の場合でも利用できることがメリットといえます。

③未回収リスクを回避できる

ファクタリングで売掛金をファクタリング会社に譲渡することにより、万一支払いがされない未回収リスクを回避できます。

仮にファクタリング利用後、売掛先が倒産して売掛金を回収できなくなっても、その責任を利用者が負うことはありません。

④キャッシュフローが改善される

銀行から融資を受けると貸借対照表の負債を増やしてしまいますが、ファクタリングは売掛金の現金化であり借金を増やしません。

⑤決算書に悪影響を及ぼさない

ファクタリングは売掛金の現金化であり借金を増やしません。

調達した資金を借入金返済に充てれば、オフバランス化も可能となり、むしろ決算書の見栄えを改善できます。

ファクタリングを法人が活用するデメリット

法人がファクタリングを活用するメリットはいろいろあるといえますが、その一方で次のデメリットには注意が必要です。

  1. 売買手数料が割高
  2. 調達金額が売掛金の範囲内
  3. 売掛先が法人であることが必要
  4. 確定債権であることが必要

それぞれ説明します。

①売買手数料が割高

ファクタリングを利用するときには、ファクタリング会社に対し売買手数料を支払います。

ただし売買手数料は、融資を受けるときの金利と比較すると割高です。

そのため長期利用により資金繰りを悪化させるため、一時的なつなぎ資金の用途や、事前に計画を立てた上で活用することが求められます。

②調達金額が売掛金の範囲内

ファクタリングは売掛金を現金化する資金調達の方法のため、調達金額は売掛金額の範囲内にとどまります。

③売掛先が法人であることが必要

ファクタリングは、売掛先が法人であることが原則です。

一般消費者への請求書は、ファクタリングに活用できません。

個人事業主が売掛先の場合も、審査が通らない場合がほとんどです。

④確定債権であることが必要

ファクタリングは、確定している売掛金でなければ買取対象にはなりません。

工事代金であれば工事完了後、商品の販売代金であれば商品の納品後など、役務が完了していることが前提となります。

法人のファクタリング会社選びのコツ

法人がファクタリングを活用するとき、ファクタリング会社選びでは次の6つをコツとして押さえておきましょう。

  1. 複数社から相見積もりを取る
  2. 売買手数料の妥当性を確認する
  3. 入金が早いファクタリング会社を選ぶ
  4. 資金調達可能上限額を確認する
  5. 償還請求権の有無を確認する
  6. 信頼性の高いファクタリング会社を選ぶ

それぞれのコツを説明します。

①複数社から相見積もりを取る

ファクタリングで資金調達する場合、一社だけに限定せずに複数社から相見積もりを取って比較しましょう。

複数社を比較することで、どのファクタリング会社の売買手数料の相場を知ることや、費用の引き下げの交渉にも利用できます。

②売買手数料の妥当性を確認する

資金繰りが逼迫しているとき、売買手数料の高いファクタリング会社と契約してしまうと、資金調達コストが財務状態を圧迫します。

ファクタリング会社によって、売買手数料以外にも以下の費用を請求するケースもあります。

  • 事務手数料
  • 調査料
  • 登記費用
  • 郵送費用
  • 交通費または出張費

表面的な費用や金額ではなく、契約にかかる費用も含めて確認してください。

③入金が早いファクタリング会社を選ぶ

突発的な支出や想定外の入金ズレなど、すぐに資金を調達しなければならず、切羽詰まった状況に追い込まれることもめずらしくありません。

即日対応など資金化までの期間が早いファクタリング会社なら、急な資金ニーズに対応できるため安心です。

債権譲渡から現金化までどのくらいの時間がかかるのか確認し、入金の早いファクタリング会社を選ぶとよいでしょう。

④資金調達可能上限額を確認する

ファクタリングで調達できる上限金額は、ファクタリング会社によって異なります。

オンラインで申し込みや契約が完結できるファクタリング会社の場合、扱う債権は小口のケースが多いため、利用上限額は数十万円までなど少ないことも多いといえます。

大口での資金調達を希望する場合、オンラインでは対応できない可能性があるため、前もって上限金額を確認しておきましょう。

⑤償還請求の有無を確認する

銀行や貸金業者などの扱うファクタリングは、償還請求権や買い戻し特約などが付されているリコース契約によるファクタリングです。

売掛金が回収できなかった場合、譲渡した売掛債権を買い戻すことが必要となるため、実質的には売掛債権を担保に融資を受けることになります。

償還請求権のないノンリコース契約によるファクタリングなら、債権譲渡と同時に貸し倒れリスクもファクタリング会社に移転されるため、安心して利用できます。

⑥信頼性の高いファクタリング会社を選ぶ

ファクタリングを頼った理由が、銀行融資の審査に通らず他に資金調達方法がないなどの場合でも、相手の言うがままの条件をのみ契約してしまうことは避けてください。

法外な費用を請求する悪質な違法業者も存在するため、信頼できるファクタリング会社か十分に見極めが大切です。

常識の範囲を超える費用を請求する違法業者を選ぶと、手元に入金される現金が少なくなり、資金繰りを改善させるどころか悪化させます。

表向きはファクタリング会社を装い、金銭を貸し付けようとするヤミ金融業者も存在することは留意しておいてください。

まとめ

近年、中小企業に注目されているファクタリングですが、法人が利用することにはメリットもあればデメリットもあります。

それぞれの内容を理解した上で活用するときには、ファクタリング会社選びも重要です。

現金化までのスピードなど、様々なことを考慮し、信頼できるファクタリング会社を選択しましょう。