新規事業助成金とは?事業立ち上げ時の助成金8選とメリット・デメリットを解説

新規事業に取り組むための資金調達をする上で、欠かせないのが助成金の活用です。

ビジネス変革を迫られている状況の中で、新規事業に取り組む上で活用したいのが助成金です。

新規事業を立ち上げるときには、革新的なアイデアや発想のもと、これから進めていくビジネスについて綿密な計画を練り資金調達や人材確保なども必要となります。

多くの資金が必要になる中で、新規事業については実績もないため、銀行融資による資金調達は期待できません。

このような場合にこそ助成金を頼りたいと考えるものですが、どのような制度があるのか、その内容や申請について知りたいという方も少なくないことでしょう。

そこで、新規事業助成金とはどのような制度か、事業立ち上げ時の助成金8選とメリット・デメリットについて紹介していきます。

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新規事業助成金とは

助成金とは、国の政策目的に合った労働環境改善などに取り組む事業者を支援するための制度で、返還不要の資金を支給しています。

厚生労働省の雇用関係の助成金については、制度によって支給される金額の上限は異なります。

さらに経費として実際に支払った後で支給される後払い方式であり、かかった経費の2分1までなど支給割合も決まっています。

助成金の目的は、事業者の労働環境改善や雇用対策・人材育成を支援することで、働き方改革が推進され労働者が働きやすい環境を確保できることです。

それにより、雇用創出や人材定着などを図ることができ、新たな雇用も生まれることになります。

厚生労働省管轄の助成金の場合、支援対象となるのは雇用に関連することになるため、従業員を雇用している雇用保険適用事業者が対象です。

財源は事業者の負担する雇用保険の保険料と税金の一部であるため、助成対象は事業運営の経費ではなく、人材の雇用や能力開発でかかる経費となっています。

支給金額は数十万円から100万円程度にとどまるものの、年間通して申請できるため、タイミングを逃すことはありません。

また、雇用関係の助成金だけでなく、研究開発型の補助金なども活用することで、多額の資金を調達することや経営環境を改善させることにつなげることができるでしょう。

助成金と補助金の違い

助成金と似ている制度に、補助金があります。補助金は、受給要件を満たしていても必ずしも 受給できるとは限らない点が、助成金との大きな違いです。

助成金

補助金

主に管轄する省庁

厚生労働省

経済産業省

主な目的

事業者の労働環境改善や雇用対策・人材育成を支援することなど

新規事業・サービスの支援・地域振興・公益につながる事業の促進など

主な財源

事業者の負担する雇用保険の保険料と税金の一部

税金

支給を受ける条件

受給要件を満たす

受給要件を満たすことに加え、審査に合格する必要がある場合が多い

申請可能時期

年間通して申請できる

助成金に比べて公募期間が短く、募集開始から1ヶ月程度で締め切ってしまうものもある

新規事業助成金のメリット

新規事業助成金とは、新たな事業を始めるときに資金調達できる制度であり、助成金を利用するためには提出書類や支給されたお金を使用する目的は明確にすることが必要です。

銀行融資よりは難易度が低いため活用したい制度ですが、新規事業助成金で資金調達することには、主に次の3つのメリットがあります。

  1. 返還する必要がない
  2. 人材確保・定着につながる
  3. 社会的信用が高まる

それぞれどのようなメリットか説明します。

返還する必要がない

新規事業助成金のメリットは、返還する必要がないことです。

助成金は要件を満たした上で申請すれば、ほとんど支給されるという特徴があるため、採択などが必要となる補助金よりも難易度は低めです。

銀行融資で資金調達したときには返済原資を生み出すことが重要であり、返済を続けることが必要となりますが、助成金は返す必要はありません。

なお、助成金は会計帳簿上、本業と関係のない雑収入として計上されます。

人材確保・定着につながる

新規事業助成金のメリットは、人材確保・定着につながることです。

助成金申請に向けて実際に取り組み、従業員が働きやすい会社の制度を整備することで、労働環境改善につながります。

その結果、適正な労働環境が整備されることになり、従業員の満足度も向上させることが可能となるため、人材確保や定着につながるでしょう。

また、研修制度やメンター制度など整えることにより、新入社員を迎え入れたときにも仕事に必要な技術や知識を身につけることができる環境も整います。

従業員教育の充実している会社と認知されれば、優秀な人材を採用できる機会が増えるでしょう。

社会的信用が高まる

新規事業助成金のメリットは、社会的信用が高まることです。

助成金は厚生労働省などの定めた要件を満たしたときに支給されるため、助成金を受給できることで審査に合格したという社会的な信用を得ることができます。

なお、偽った内容で助成金を受給してしまうと不正受給となり、会社名が公表され社会的に信用を失います。

せっかくはじめた新規事業が失敗に終わることになるため、たとえ故意でなくても不正受給と認定される申請には注意してください。

新規事業助成金のデメリット

新規事業を立ち上げるときには多額の資金が必要ですが、どのような事業を立ち上げるときにも同じです。

さらに事業立ち上げには人員も必要となるため、人を雇用する上でも費用がかかります。

しかし新規事業を立ち上げたばかりで十分に実績がない時期は、売上もほとんど期待できず、初期投資で一過性の赤字経営というケースもめずらしくないといえるでしょう。

たとえ赤字でも人を雇用していれば、毎月給料を支払うことが必要であるため、新規事業は莫大な資金がなければ実行できないともいえます。

しかし新規事業助成金のメリットを活用すれば、返す必要のない資金を調達することができるといえますが、次の3つのデメリットには留意しておくことが必要です。

  1. 申請要件が複雑
  2. 申請に手間がかかる
  3. 受給まで時間がかかる

それぞれどのようなデメリットか説明します。

新規事業助成金のデメリットは、申請要件が複雑であることです。

助成金として設けられている制度は種類が多く、政策に合わせて廃止や新設など内容も頻繁に変更されています。

提出しなければならない書類も多く、申請する前に必要書類の準備など計画的に行うことが必要です。

特に助成金は申請要件を満たすとほとんどが支給されるため、不正受給を防ぐために要件や審査が年々厳しくなっていることは留意しておきましょう。

申請に手間がかかる

新規事業助成金のデメリットは、申請に手間がかかることです。

助成金が実際に支給されるまでには、申請から受給までの書類を作成しなければなりません。

労働局やハローワークなどの審査や確認を受け、たずねられたことには応えなければならないなど、多くの手間がかかります。

そのため助成金の申請が初めてという場合、条件を満たしていないこともあれば書類に不備があり申請できないという場合もあるため、必ず要件や書類がそろっているか確認した上で申請するようにしましょう。

受給まで時間がかかる

新規事業助成金のデメリットは、受給まで時間がかかることです。

助成金は受給要件を満たせばほとんどが支給対象となるものの、すぐに支給されるわけではありません。

申請してから支給が決定するまで、たとえば半年や1年近くかかるケースもあり、近年では期間がさらに延びている傾向も見られます。

厳格な審査が行われていることなども関係していますが、基本、助成金は後払いとなるため実際に手元に支給されるまでの費用は一時的に立て替えが必要となることを留意しておきましょう。

新規事業助成金の種類

助成金は補助金と異なり、一定の受給要件を満たすと支給される制度なので、中小企業にとっても比較的難易度が低いことが特徴です。

新規事業助成金は新規事業の立ち上げのときに利用できる制度であるため、新たに事業をスタートする方が雇用や人材育成に向けて取り組むときには大変便利ですが、数が多くてどの制度を選べばよいか迷うこともあるでしょう。

主に新規事業をスタートさせるときに活用したい助成金として、候補として挙げられるのは次の7つです。

  1. キャリアアップ助成金
  2. トライアル雇用助成金
  3. 人材確保等支援助成金
  4. 人材開発支援助成金
  5. 両立支援等助成金
  6. 地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)
  7. インキュベーション施設整備・運営費補助事業

それぞれの助成金について説明していきます。

①キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金」とは、パート・アルバイト労働者・派遣労働者などの非正規雇用労働者が企業内でキャリアアップすること促進するため、正社員として採用することや処遇改善などに取り組む事業者をサポートしている制度です。

いくつかコースがあり、たとえば「正社員化コース」であれば非正規雇用労働者を正社員に転換または直接雇用し、一定要件を満たしたときに受け取ることができます。

中小企業がキャリアアップ助成金の正社員化コースを申請した場合、受け取ることができる金額は以下のとおりです。

職業経験不足などで就職が困難な求職者を無期雇用契約に移行することを前提に、一定期間試行雇用する事業者をサポートする制度です。

トライアル雇用助成金のうち、次のいずれかに合致する求職者を対象としているコースです。

  • 紹介日前日から過去2年以内に2回以上転職または離職している
  • 紹介日前日時点で離職期間が1年を超えている
  • 妊娠・出産・育児を理由に離職し、紹介日前日時点で安定した職業に就いていない期間が1年を超えている
  • 55歳未満でハローワークの担当者制による個別支援を受けている
  • 就労に特別な配慮を要する(生活保護・一人親家庭の親・日雇労働者・季節労働者など)

助成額は、支給対象者1人につき月額4万円ですが、対象者が一人親家庭の親(母子家庭の母または父子家庭の父)の場合には1人につき月額5万円となります。

また、「障害者トライアルコース」は、トライアル雇用助成金のうち次のいずれかに合致する障がいを持つ求職者を対象としているコースです。

  • 紹介日前日から過去2年以内に2回以上転職や離職をしている
  • 紹介日前日時点で離職期間が6か月を超えている
  • 就労経験のない職業への就職を希望している

なお、重度身体障がい者・重度知的障がい者・精神障がい者の場合、上記の要件を満たさなくても対象であり、雇用する障がい者の障がいの原因・内容は問われません。

助成額は、支給対象者1人につき月額4万円(最長3か月間分)ですが、テレワークによる勤務を行う場合にはトライアル雇用期間を6か月まで延長できます。(支給額は3か月分となり期間延長分の支給はなし)

③人材確保等支援助成金

人材確保等支援助成金」とは、魅力ある職場づくりに向けた取り組みを行う事業者や事業協同組合などをサポートする制度です。

一般的な中小企業向けの人材確保等支援助成金には、「中小企業団体助成コース」が挙げられます。

改善計画の認定を受けている中小企業団体(事業協同組合)などが、構成中小企業者のための人材確保や職場定着をサポートする事業を行ったときに助成する制度です。

中小企業団体が構成中小企業者に労働環境向上事業を実施した場合に、要した費用の2/3を支給します。(上限額は団体の規模に応じて600~1,000万円)

労働環境向上を図る事業に対し助成するため、雇用管理改善を推進し、雇用創出を図ることが目的です。

④人材開発支援助成金

 

人材開発支援助成金」とは、事業主が労働者に職務関連の専門的知識・技能を習得させるための職業訓練を行ったときに、かかった訓練経費や訓練期間中の賃金の一部をサポートする制度です。

支援内容としては、次の4つのコースが設けられています。

  1. 人材育成支援コース
  2. 教育訓練休暇等付与コース
  3. 人への投資促進コース
  4. 事業展開等リスキリング支援コース

⑤両立支援等助成金

両立支援等助成金」とは、仕事と育児・介護を両立する制度を導入した事業者や、女性が活躍できる取り組みを行う事業者をサポートする制度です。

優秀な人材の確保や定着につなげることを目的としています。

⑥地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)

地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)」とは、雇用機会の不足する地域の事業者が事業所設置・整備などに併せて地域に居住する求職者を雇用する場合にかかった設置整備費用を対象労働者増加数に応じてサポートする制度です。

支援内容としては、1年ごとに最大3回まで支給を受けることができます。

⑦インキュベーション施設整備・運営費補助事業

インキュベーション施設整備・運営費補助事業」とは、東京都が実施している「インキュベーション施設運営計画認定事業」によって、施設運営計画の認定を受けた民間事業者が施設運営のレベルアップ等に取り組むときに、公社が審査した上で施設の整備・改修費・運営費など必要な経費の一部を補助する制度です。

補助を利用することにより、個室整備・インキュベーションマネージャーの雇用・セミナーや勉強会の開催など、入居者の創業を後押しする環境を整備することができます。

まとめ

新規事業立ち上げ時の資金調達をスムーズにするには、助成金の活用が効果的です。

助成金や補助金は、年間に約8,000件も公表されています。

そのため、自力で申請しようとすると、どうしても「もらえるはずのお金をもらいそびれた」という事態が起こりえます。

このような事態を避けたいときや、不明点や困っていることがある方は、PMGまでお気軽にご相談ください。

ご相談者様の状況に合わせて、助成金や補助金をリストアップし、申請から受給まで、まとめてサポートします。

 

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