リーガルチェックとは?必要性やメリット・手続の流れと注意点を解説

リーガルチェックとは、契約書が法律や規制に遵守した内容になっているか、合法性や法的リスクを踏まえた内容の確認を行うことです。

契約書の内容に、法律に関係した内容やコンプライアンスに触れる文言などが含まれている場合、民法や商法の原則と比較し、法律に違反する内容や不利な条件が盛り込まれていないか確認します。

そのためリーガルチェックは専門的な知識が必要になるため、社内で法律関係に詳しい法務担当者や、弁護士などに依頼して行うことが一般的です。

そこで、リーガルチェックについて、その必要性やメリット、手続の流れと注意点をわかりやすく解説していきます。

リーガルチェックとは

契約書と印鑑

「リーガルチェック」とは、取引先と交わす契約書について、法的に問題なく妥当な内容になっているか前もって確認することです。

ビジネスにおいては、色々な契約を締結することが多く、その際に契約書の作成は必須ともいえます。

契約を結ぶことで権利や義務が発生すると考えたとき、法的に不利益を被る内容になっていれば、取引を続ける上で不利になってしまいます。

また、違法な内容が盛り込まれていれば、契約は取り消されるだけでなく大きな損害となる恐れもあります。

契約書の不備でトラブルや損害を発生させないためにも、事前に法律に詳しい専門家などにリーガルチェックしてもらうことで、安心して取引や契約ができるようになるでしょう。

リーガルチェックについて、以下の2つを説明します。

  1. 実施の対象
  2. 実施する者

実施の対象

商取引などで取引先と交わす契約書のうち、リーガルチェックの対象となるのは以下の種類などです。

  • 業務委託契約書
  • 秘密保持契約書
  • 金銭消費貸借契約書
  • 売買契約書
  • ライセンス契約書
    など

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実施する者

取引先との間で交わす契約書について、リーガルチェックを実施するのは会社の法務担当者または弁護士です。

法務担当者が担当する場合、社内事情を理解しているため、それを踏まえた上で法的な観点から確認を行っていきます。

必要に応じて弁護士などに二次チェックを依頼するとよいでしょう。

弁護士がリーガルチェックを実施する場合、会社の負担する可能性がある法的リスクを洗い出した上での専門的視点によるアドバイスが行われます。

リーガルチェックの必要性

ルールを取り囲む人たち

リーガルチェックを行い、契約書に法令違反がないか確認することはとても大切といえますが、主に以下の理由で必要とされています。

  1. 法令違反を防ぐ
  2. 不利な条項を是正する
  3. トラブルを低減する
  4. 好ましい取引に結び付ける

それぞれ説明します。

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法令違反を防ぐ

リーガルチェックが必要なのは、是正が必要となる条項の有無などを確認することで、法令違反を防げるからです。

法律の規定は、主に以下の2つに分けることができます。

強行規定 法令とは別のルールを設けても、強制的に法令が優先・適用される規定
任意規定 法令とは別のルールを任意で設けたとき、法令よりも契約による定めが優先・適用される規定(契約による別の定めがなければ法律のルールが適用される)

上記のうち、強行規定に違反する契約条項があれば契約自体が無効となるため、修正が必要です。

また、業界ごとの業法で契約規定が必須とされている事項があれば、抜けがないかチェックし、不足していれば追記が必要となります。

不利な条項を是正する

リーガルチェックが必要なのは、不利な状況を是正しなければならないからです。

取引先から契約書のドラフトの提示があったときには、自社には不利益な条項が含まれていないとも限りません。

自社がドラフトを作成した場合も、取引先から不利益な条項が追記される恐れもあります。

そのため、リーガルチェックで不合理な条項を見つけ、締結前に交渉することが必要です。

トラブルを低減する

リーガルチェックが必要なのは、取引におけるトラブルを低減しなければならないからです。

契約書には、実際にトラブルが発生したときのルールや対応、その手順などを定めます。

しかし、契約書内のトラブルが網羅されていないときや、そもそも記された対応手順などに問題があった場合は機能しなくなります。

そのためリーガルチェックを実施し、誤った記載については修正や追記などが必要になるといえます。

好ましい取引に結び付ける

リーガルチェックが必要なのは、取引先と契約を結んだ後の取引が、自社にとって好ましいものであるべきだからです。

契約書は、取引におけるルールを記した文書といえますが、記載に誤りや不足があれば不利な状態での取引を続けることになりかねません。

そのためリーガルチェックをしっかりと行い、取引の実態を反映する内容へと修正することが必要です。

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リーガルチェックのメリット

リーガルチェックはビジネスを円滑に進めるために必要不可欠な手続といえますが、実施することには次の3つのメリットがあるといえます。

  1. 正しい契約書作成につながる
  2. トラブルを防ぐことができる
  3. 安心・安全に取引ができる

それぞれのメリットについて説明します。

正しい契約書作成につながる

リーガルチェックのメリットとして、正しい契約書の作成につながることが挙げられます。

たとべ契約内に記載されている条件の不備や、不適切または不明瞭な言い回しがあったとき、確認後に修正することによって正確な契約書を作成できます

言い回し次第で想定していなかった法的義務が発生することや、法的効果が得られないといった問題もあるため、弁護士などの専門家によるリーガルチェックを受けたほうが安心です。

トラブルを防ぐことができる

リーガルチェックのメリットとして、未然にトラブルを防ぐことができることが挙げられます。

契約に関わらう当事者の合意があれば、契約内容は自由に決めることができるといえますが、法律に違反する内容があれば無効です。

記載の内容が法律に違反していないか判断できなければ、円滑な取引にはつながりません。

自己判断で契約をしてしまうと、後で大きなトラブルにつながる恐れもあります。

そのため安心してスムーズな契約を行うためにも、法律上の問題をクリアできるリーガルチェックが大切です。

安心・安全に取引ができる

リーガルチェックのメリットとして、安心・安全に取引できることが挙げられます。

自社が契約書を作成する場合、利益を追求するあまりに取引先には不利益となる条項を盛り込んでしまいがちです。

反対に取引先の作成した契約書であれば、自社に不利益な条項が盛り込まれる恐れもあります。

双方が納得して安心・安全に契約を結ぶためには、事前に第三者的な立場での確認が必要であるため、リーガルチェックを実施しておきましょう。

リーガルチェックの流れ

立法を見ながら説明する弁護士

リーガルチェックは、社内の法務担当者または弁護士に依頼することが一般的ですが、主に以下の流れで手続を行います。

  1. 契約書の準備
  2. 会社情報の準備
  3. 希望する合意内容の整理
  4. 弁護士へ依頼
  5. 結果の確認
  6. 取引相手との交渉
  7. 契約書の締結

それぞれ説明します。

1.契約書の準備

自社の作成、または取引先から受け取った契約書の原案を用意しておきます。

社内の法務担当者または弁護士に提出しましょう。

2.会社情報の準備

弁護士にリーガルチェックを依頼する前に、自社の情報をまとめておきましょう。

なぜなら資本金や従業員数などにより、適用が変わる法律もあるからです。

伝える情報が変わったときも、すみやかに報告することが必要となります。

3.希望する合意内容の整理

合意内容を整理し、法務担当者または弁護士に説明できるようにしておきましょう。

また、契約に関して専門的な確認が必要な項目なども整理しておいてください。

4.リーガルチェックの依頼

社内の法務担当者または弁護士へリーガルチェックを依頼しますが、外部の弁護士に依頼するときには専門家のスケジュールの確認なども必要です。

また、弁護士の得意分野は異なるため、対応可能な専門家か事前に確認の上、依頼することが必要となります。

5.結果の確認

法務担当者または弁護士に契約書を確認してもらい、不適切な条項などは変更履歴を付した上での修正を行います。

なお、弁護士に依頼した場合、結果は法務担当者へ連絡されます。

連絡を受けた法務担当者は、弁護士から伝えられた内容を確認し、所管部署へ契約書ファイルを回付します。

所管部署に補足的な説明があるときは、弁護士のコメントに法務コメントを併記するとわかりやすいでしょう。

6.取引相手との交渉

契約書の修正におけるコメントに、必要に応じて所管部署のコメントも追加しておきます。

弁護士によるコメントを踏まえた会社としてのコメントバックの内容を決めて、反映させた契約書ファイルを取引先へと返し、内容に関して交渉を行います。

7.契約書の締結

取引先のとの交渉で契約書の内容が確定した後は、最終版を作成し、双方の署名・捺印を行い契約締結となります。

作成した契約書は、双方が一通ずつ保管しておきましょう。

リーガルチェックの費用

リーガルチェックの費用は、主に外部の弁護士に依頼したときに発生します。

依頼する専門家がもともと顧問契約を結んでいた弁護士なのか、スポット的に依頼するのかによっても費用は変わります。

スポット依頼の場合、会社の規模や確認を依頼する契約書の種類や内容によっても異なると考えられますが、目安としては1件あたり5~15万円程度となるでしょう。

売買契約書・請負契約書・賃貸借契約書など、定型取引で内容が一般的なものであれば5万円程度が相場となります。

業務委託契約書や取引基本契約書など、複雑な内容で事業内容を理解した上でのチェックが必要となるケースは、10~15万円程度が目安と考えられます。

顧問契約を結んでいる弁護士の場合、毎月顧問料は発生するものの、1件あたりの確認費用は抑えることができます。

たとえば月10件程度までのリーガルチェックで月額3~10万円程度、10~20件であれば月額10~20万円程度などです。

契約相手の数が多く、継続してリーガルチェックを依頼する予定があるのなら、弁護士など専門家と顧問契約を結んだほうがよいでしょう。

リーガルチェックの注意点

法律に従う人

リーガルチェックは、不備のない契約書を作成するために行います。

そのため注意すべきことは、以下の2つの確認が必要であることです。

  1. 内容
  2. 形式

それぞれ説明します。

内容

リーガルチェックにおいて、契約書の内容については以下を確認しましょう。

契約類型に応じた条項 業務内容・報酬(代金)・目的物・契約不適合責任など、契約類型に応じた重要な条項の見直しを行う
過去事例と異なる条項 ひな形や過去に締結した契約書と異なる条項を盛り込む場合、自社に不利益な内容や法令上は不適切とされる内容が含まれている恐れがある
取引先の追加による条項 自社に不利益な内容が含まれている恐れがあるため、重点的な確認と必要に応じて見直しと交渉を行う

形式

リーガルチェックにおいて、契約書の形式面では以下の事項を確認します。

タイトル 内容が一目で分かる題名となっているか
調印者 当事者情報に誤りがないか
締結日 実際に契約を締結する日になっているか
誤植や条ズレの有無 誤字・脱字・表記揺れ・条文番号のズレなどはないか
印紙税の有無 契約書が印紙税の課税文書か確認し、該当する場合は所定の収入印紙を貼付し、消印があるか

まとめ

リーガルチェックは取引先と交わす契約書が、法的に問題のない妥当な内容か事前に確認することです。

ビジネスにおいて様々な文書を作成することが多い中で、契約内容を証明する契約書の内容が適切なものでなければ後々大きなトラブルに発展してしまいます。

そこで、契約書に記載されている内容が法的に問題のないものであることを専門的な視点で確認してもらうことにより、安心して取引ができます。

トラブルのない円滑なビジネスを行うためにも、リーガルチェックを行うことをおすすめします。